いちよし証券 (8624) 企業分析レポート

東京証券取引所プライム市場に上場するいちよし証券(証券コード: 8624)について、個人投資家の皆様向けに企業分析を行います。

1. 企業情報

いちよし証券は、1944年に設立された日本の証券会社です。主に個人顧客を対象とした投資・金融サービスを提供しており、特に中・小型株に関する調査力に定評があります。関西発祥の企業ですが、首都圏においては富裕層への個人営業に強みを持っています。事業の中心は受入手数料で、預り資産の積み上げに注力する「ストック型ビジネスモデル」の構築を目指しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

いちよし証券は、証券業界において、個人営業主体で中・小型株に特化し、富裕層に強みを持つという独自のニッチなポジションを確立しています。中小型株の調査力に定評がある点は、特定の投資家層にとって競争優位性となりえます。具体的な市場シェアに関するデータは提供されていませんが、この特化戦略により、大手証券会社とは異なる顧客層へのアプローチを行っていると考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

同社は、中期経営計画「3・D」のもと、「ストック型ビジネスモデル」の構築を経営戦略の重点に掲げています。具体的には、お客様本位の視点から、預り資産3兆円達成を目指し、安定的な収益基盤の確立を図っています。「いちよしファンドラップ『ドリーム・コレクション』」などのファンドラップや投資信託など、預かり資産残高が増加することで収益が安定するビジネスモデルの積み上げに重心を置いています。

4. 事業モデルの持続可能性

いちよし証券の事業モデルは、証券業の特性上、株式市場の変動から大きな影響を受ける傾向があります。しかし、「ストック型ビジネスモデル」への転換を進めることで、相場変動に左右されにくい安定的な収益源の確保を目指しています。ファンドラップや投資信託といった継続的に手数料収入が得られる商品を強化することは、市場ニーズの変化への適応と、収益モデルの持続可能性を高めるための重要な取り組みと考えられます。直近の決算では利益が減少していますが、長期的な戦略を通じて収益基盤の強化を図ろうとしています。

5. 技術革新と主力製品

提供された情報からは、具体的な「技術革新」に関する動向や独自性についての記載はありません。主力製品としては、主に以下のサービスが挙げられます。
* 受入手数料事業: 株式売買や投資信託などの仲介により得られる手数料が収益の大部分を占めています。
* いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション」: お客様の投資方針に基づき、専門家が資産運用を一任するサービスで、預かり資産残高は増加傾向にあります。
* 投資信託: 幅広い顧客層に提供する投資信託の残高も、主力事業の一角を担っています。
* いちよしアセットマネジメント: 資産運用会社として、機関投資家向けの運用なども手掛けています。

6. 株価の評価

  • 現在の株価: 825.0円
  • BPS(1株あたり純資産): 851.00円 (連結実績値)
  • PBR(株価純資産倍率): 0.97倍 (連結実績値)
  • 業界平均PBR: 1.0倍

同社のPBR0.97倍は、業界平均PBR1.0倍に近い水準にあります。このことから、現在の株価は1株あたり純資産とほぼ同程度の評価を受けていると見ることができます。
また、損益計算書による過去12ヶ月の希薄化後EPS(Diluted EPS)は65.38円です。このEPSに基づくと、現在の株価におけるPER(株価収益率)は約12.62倍となります。業界平均PERが13.3倍であることと比較すると、やや低い水準にあります。

7. テクニカル分析

いちよし証券の株価は、直近10日間の推移を見ると、750円台から825円まで上昇傾向にあります。
* 年初来高値: 969円
* 年初来安値: 593円
* 52週高値: 1058.00円
* 52週安値: 593.00円
* 50日移動平均: 786.28円
* 200日移動平均: 821.76円

現在の株価825.0円は、50日移動平均線および200日移動平均線を上回っており、短期的には上昇トレンドにあると見られます。しかし、年初来高値や52週高値と比較するとまだ距離があり、高値圏にあるとは断定できません。年初来安値から見ると大きく上昇しており、安値圏からは脱している状況です。

8. 財務諸表分析

  • 売上高(Total Revenue)の推移:

    • 2022年3月期: 19,589百万円
    • 2023年3月期: 16,663百万円 (対前年減少)
    • 2024年3月期: 18,836百万円 (対前年増加)
    • 2025年3月期: 18,801百万円 (ほぼ横ばい)

    売上高は市場環境に連動して変動する傾向が見られます。
    * 営業利益(Operating Income)の推移:
    * 2022年3月期: 3,323百万円
    * 2023年3月期: 1,166百万円 (対前年大幅減少)
    * 2024年3月期: 2,805百万円 (対前年大幅増加)
    * 2025年3月期: 2,288百万円 (対前年減少)

    利益は売上高以上に市場環境の影響を受けやすく、変動幅が大きい傾向にあります。
    * 親会社株主に帰属する純利益(Net Income Common Stockholders)の推移:
    * 2022年3月期: 2,526百万円
    * 2023年3月期: 758百万円 (対前年大幅減少)
    * 2024年3月期: 1,929百万円 (対前年大幅増加)
    * 2025年3月期: 1,564百万円 (対前年減少)

    純利益も営業利益と同様に、変動が大きいことが見て取れます。
    * 直近四半期(2026年3月期 第1四半期)の状況:
    * 純営業収益: 4,615百万円(前年同期比: △7.5%)
    * 営業利益: 380百万円(前年同期比: △56.9%)
    * 親会社株主に帰属する四半期純利益: 226百万円(前年同期比: △61.7%)

    直近の四半期では、前年同期と比較して売上および利益が大幅に減少しており、厳しい状況にあります。
    * 収益性・効率性:
    * ROE(実績、2024年3月期): 5.55%、過去12ヶ月: 4.27%。
    * ROA(過去12ヶ月): 2.42%。
    * Profit Margin: 6.53% (過去12ヶ月)。
    * Operating Margin: 8.25% (過去12ヶ月)。

    これらの指標は、市場の状況によって変動する証券業において、中程度の水準にあると言えます。
    * 財務安全性:
    * 自己資本比率(実績、2024年3月期): 65.4%、直近四半期: 59.5%。
    * Current Ratio (直近四半期): 2.20。

    自己資本比率が50%を超えており、流動比率も2.0倍を超えていることから、財務の安全性は高い水準にあると評価できます。

    9. 株主還元と配当方針

    • Forward Annual Dividend Rate (年間予想配当額): 34円
    • 現在の株価に基づく予想配当利回り: 約4.12%
    • Trailing Annual Dividend Yield (実績配当利回り): 4.20%
    • Payout Ratio (配当性向): 72.51%
    • 5 Year Average Dividend Yield (5年平均配当利回り): 5.30%

配当性向は72.51%と高水準であり、利益の多くを株主還元に充てていることが伺えます。過去5年平均配当利回りも高いことから、株主還元への意識は高いと考えられます。また、発行済株式数のうち16.13%を「自社(自己株口)」が保有していることから、これまでも自社株買いを株主還元策の一つとして実施してきた実績があると考えられます。直近の決算短信では、2026年3月期の配当予想は未定とされています。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は直近の10日間で750円台から825円まで上昇しており、短期的には上昇傾向を示しています。50日および200日移動平均線を上回っていることも、この勢いを支持する要素です。
出来高は、本日の90,500株が過去10日平均(76,030株)を上回っているものの、3ヶ月平均(106,860株)よりは少ない水準です。
信用取引残高は、信用買い残が信用売り残を上回っており、信用倍率は2.05倍となっています。
ベータ値は0.30と低く、市場全体の値動きに対して株価が比較的安定している傾向を示唆しています。
株価変動の要因としては、日本経済全体の動向や株式市場のトレンド(特に米国の金融政策や先端技術株の動向)、地政学的リスク(中東情勢など)、そして国内の東証グロース市場の動向が挙げられます。直近の決算発表では業績が大きく落ち込んだものの、株価は堅調に推移しています。

11. 総評

いちよし証券は、個人営業と中・小型株に特化し、富裕層に強みを持つ証券会社です。経営戦略としては、収益を安定させる「ストック型ビジネスモデル」への転換と預り資産3兆円達成を目標に掲げ、ファンドラップや投資信託に注力しています。
財務面では、自己資本比率が高く、財務の安全性は高い水維持です。しかし、業績は市場環境に大きく左右されやすく、過去数年の損益は変動が大きい傾向にあります。特に、直近の2026年3月期第1四半期決算では、売上、利益ともに大幅な減少を記録しており、収益性に課題が見られます。
株価の評価では、PBRは業界平均とほぼ同水準であり、過去12ヶ月のEPSに基づくPERも業界平均よりやや低い水準です。現在の株価は純資産価値をほぼ反映しており、割安感は限定的です。テクニカル的には直近で上昇基調にありますが、高値圏にあるとは言えません。
株主還元については、配当性向が高水準で、過去の自社株取得の履歴もあり、株主還元への意識は高いと考えられます。
全体として、市場環境の変動を受けやすい証券ビジネスの中で、安定収益化を目指す経営戦略は注目されます。一方で、直近の業績悪化や市場の不透明感は注視すべき点となるでしょう。


企業情報

銘柄コード 8624
企業名 いちよし証券
URL http://www.ichiyoshi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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