東京証券取引所プライム市場に上場しているNISSHA(証券コード: 7915)の企業分析レポートを以下の通りまとめました。

1. 企業情報

NISSHAは、1929年創業で、その祖業は印刷事業にあります。時代とともに事業構造を転換し、現在は「産業資材」「ディバイス」「メディカルテクノロジー」の3つを主要な事業の柱としています。海外売上高比率は89%と高く、グローバルに事業を展開しています。
* 産業資材事業: インモールドデコレーション技術を活用した加飾フィルムや加飾成形品、蒸着紙、サステナブル素材、CMFデザインサンプルブックなどを製造・販売しています。主にモビリティ、家電、食品・消費財、化粧品市場向けに提供しています。
* ディバイス事業: タッチセンサー、フォースセンサー、ガスセンサーなどのセンサー製品を開発・製造・販売しています。モバイルデバイスや産業機器市場が主なターゲットです。
* メディカルテクノロジー事業: 低侵襲医療用手術機器、医療用ウェアラブルセンサー、単回使用心電用電極などの製品を手がけるほか、欧米を中心に大手医療機器メーカー向けのCDMO(医薬品・医療機器の製造受託)事業を展開しています。また、経口薄膜や経皮吸収型医薬品、溶解性マイクロニードルパッチなどの医薬品分野も手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

NISSHAは、祖業である印刷技術を基盤としつつ、高機能材、電子部品、医療分野といった高付加価値領域への事業転換を進めてきました。特定の市場シェアデータは提供されていませんが、各事業領域において独自の技術力とグローバルネットワークを競争優位性としています。
* 産業資材: 加飾技術や持続可能な素材の開発を通じて、自動車の内外装や家電製品のデザイン性向上に貢献しています。
* ディバイス: タッチセンサー技術はスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス分野で実績がありますが、足元ではタブレット需要の減少が課題となっています。
* メディカルテクノロジー: 医療機器のCDMO事業は、欧米の大手医療機器メーカーとの連携により安定的な成長を示しており、企業買収によって事業規模を拡大しています。医薬品分野への展開も特徴です。

3. 経営戦略と重点分野

NISSHAは、2024年から2026年までの第8次中期経営計画を策定しており、「安定的な成長と資本効率性の向上、事業ポートフォリオの強化」を目標として掲げています。決算短信からは、以下の点が重点分野としてうかがえます。
* 事業ポートフォリオの最適化: 堅調なメディカルテクノロジー事業の成長をさらに推進し、ディバイス事業の需要変動に対する生産体制の見直しなど、事業構造の強化を図っています。
* 新技術・新製品への投資: 産業資材事業における新製品関連の先行投資のように、将来の成長のための技術開発や製品投入に注力しています。
* グローバル展開の強化: 海外売上高比率が高いことから、引き続き国際市場での事業拡大を重視しています。

4. 事業モデルの持続可能性

NISSHAの事業モデルは、多様な市場ニーズに対応できる高機能材やサービスを提供することで持続可能性を高めています。印刷技術から派生した独自の加工技術と、多角化戦略が特徴です。
* 高付加価値転換: 祖業の印刷から、インモールドデコレーション技術、各種センサー、医療機器CDMOといった高付加価値分野へシフトすることで、市場の変化に適応してきました。
* 多角的な市場展開: モビリティ、モバイルデバイス、家電、医療、食品・消費財、化粧品など、幅広い産業分野に製品やサービスを提供することで、特定の市場変動リスクを分散しています。
* 医療分野の強化: 安定的な需要が見込める医療分野、特にCDMO事業や自社ブランド医薬品・医療機器の展開は、今後の収益基盤として持続可能性に貢献すると考えられます。
* サステナブル素材への注力: 環境配慮型の製品開発にも取り組み、社会的なニーズの変化に対応しています。

5. 技術革新と主力製品

NISSHAは、基盤技術を応用した多岐にわたる製品開発と技術革新を進めています。
* インモールドデコレーション技術: 樹脂成形と加飾を一体化する技術で、自動車内装や家電製品のデザイン向上に貢献しています。
* センサー技術: フィルムタッチセンサー、フォースセンサー、ガスセンサーなど、小型・高感度なセンサー開発に強みを持ちます。
* 医療技術: 低侵襲医療用手術機器、ウェアラブルセンサーの開発、さらには経口薄膜・経皮吸収型医薬品や溶解性マイクロニードルパッチといった、新しい投薬デバイスの開発にも取り組んでいます。これらは医療機器メーカー向けのCDMO事業を通じて収益を牽引しています。

6. 株価の評価

現在の株価1,323.0円における各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 25.12倍
* PBR(実績): 0.58倍
* EPS(会社予想): 52.67円
* BPS(実績): 2,298.61円

業界平均と比較すると、PERは業界平均(14.5倍)よりも高い水準にあり、PBRは業界平均(1.3倍)よりも低い水準にあります。
PBRが0.58倍と1倍を下回っており、純資産に対して株価が割安である可能性を示唆しています。一方で、PERが業界平均を上回っている点は、直近の利益水準に対して現在の株価が割高感がある可能性を示唆しているとも考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価1,323.0円は、直近の株価推移や移動平均線と比較して以下の状況です。
* 年初来高値: 1,689円、年初来安値: 1,061円
* 52週高値: 2,185.00円、52週安値: 1,061.00円
* 50日移動平均線: 1,309.88円
* 200日移動平均線: 1,430.51円

現在の株価は、50日移動平均線をわずかに上回っていますが、200日移動平均線よりは低い水準にあります。また、年初来高値や52週高値からは大きく下落した位置にあり、52週変化率は-33.53%と大きく下落しています。これは、現在の株価が過去1年間の高値と比較して安値圏に位置していることを示唆しています。

8. 財務諸表分析

NISSHAの過去数年間の財務諸表は以下の傾向を示しています。
* 売上高: 2023年12月期に一時減少したものの、2024年12月期(通期)では1,955億98百万円と過去数年間で最高を記録し回復しました。しかし、2025年12月期第2四半期(中間期)の売上高は996億61百万円と対前年同期比2.6%減と、直近では減収傾向にあります。
* 利益: 営業利益は、2021年174億8百万円から2022年に95億78百万円、2023年には-35億74百万円と赤字に転落しましたが、2024年には58億18百万円と黒字に回復しました。ただし、2025年12月期第2四半期の中間期連結営業利益は42億66百万円と、対前年同期比36.9%減となっており、大幅な減益です。親会社所有者に帰属する当期利益も、2023年に赤字となりましたが、2024年には黒字回復しています。直近の「過去12か月」における純損益は-372百万円(EPS -5.19円)と赤字であるという情報もあります。
* キャッシュフロー: 2025年12月期第2四半期(中間期)の営業活動によるキャッシュフローは30億75百万円のプラスでした。ただし、「過去12か月」のレバードフリーキャッシュフローは-4.45Bとなっており、投資活動などを含めた自由な資金はマイナスです。現金及び現金同等物の期末残高は378億47百万円あります。
* 収益性・効率性・安全性:
* ROE(実績):3.43%(決算短信発表値、または2024年12月期実績に基づく計算値と類似)と-0.06%(過去12か月の実績)の二つの情報があり、直近の利益変動により数値が大きく変動していることを示唆します。会社予想EPSに基づく概算ROEは約2.29%です。
* ROA(過去12か月):1.10%
* 自己資本比率(実績):45.4%(2025年6月30日時点)。これは一定の財務健全性を示しています。
* 総負債/自己資本比率:64.50%

セグメント別では、産業資材事業とメディカルテクノロジー事業は増収を維持または増益でしたが、ディバイス事業が大幅な減収減益となり、連結全体の利益を押し下げています。

9. 株主還元と配当方針

NISSHAは、積極的な株主還元姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.78%
* 1株配当(会社予想): 50.00円(中間25.00円、期末25.00円)
* 配当性向(実績): 88.75%(提供データに基づく。ただし、EPS等の実績値により変動の可能性あり)

会社は2025年12月期も年間50円の配当を予想しており、高い配当利回りを維持する方針です。一方で、配当性向が88.75%と高い水準にあるため、今後の業績変動が配当水準に影響を与える可能性も考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の変動傾向: 直近10日間の株価は1,262円から1,356円の間で推移しており、現在の株価1,323.0円は直近では横ばいからやや軟調な推移です。しかし、52週高値や年初来高値からは大きく下落しており、市場全体(S&P 500の52週変化率15.22%)と比較しても大幅な下落(-33.53%)を示しています。
  • 出来高: 3ヶ月平均出来高161.13千株に対し、10日平均出来高は219.32千株と直近で出来高が増加傾向にあります。
  • ベータ値: 0.52と低く、市場全体の変動に比べて株価の変動が小さい特性があります。
  • 信用取引: 信用買残が191,600株、信用売残が26,000株で、信用倍率は7.37倍です。買い残が売り残と比較して多い状況です。
  • 株価への影響要因: 直近の株価は、ディバイス事業の需要減による業績下振れや、為替差損の計上などが影響している可能性があります。一方で、メディカルテクノロジー事業の成長や、中期経営計画の進捗に関心が集まると考えられます。

11. 総評

NISSHAは、祖業の印刷から高付加価値の産業資材、ディバイス、メディカルテクノロジーへと事業ポートフォリオを転換してきた企業です。グローバル展開を強みとし、特にメディカルテクノロジー事業は堅調な需要と企業買収により成長を牽引しています。
財務面では、2024年の売上高は回復しましたが、2025年12月期第2四半期では、ディバイス事業の需要減や為替差損の影響から売上と利益が前年同期比で減少しています。これにより、会計上の実績ROEは一時的に低い水準にあります。ただし、自己資本比率は45.4%と財務基盤は一定の健全性を保っています。
株価は、年初来高値や52週高値から大きく下落した水準にあり、純資産と比較して割安感を示すPBR0.58倍となっています。一方で、会社予想PERは25.12倍と業界平均を上回っており、足元の利益水準に対しては高めに評価されている可能性があります。会社は高い配当利回りを維持する方針ですが、配当性向も高水準です。
今後の焦点は、第8次中期経営計画にある「安定的な成長」と「資本効率性の向上」、「事業ポートフォリオの強化」がどのように進展するか、特にディバイス事業の回復とメディカルテクノロジー事業の継続的な成長が業績および株価に影響を与える要因となると考えられます。


企業情報

銘柄コード 7915
企業名 NISSHA
URL http://www.nissha.com/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – その他製品

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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