杏林製薬(4569)企業分析レポート(2025-08-19時点)
株価:1,573円/時価総額:942.9億円/市場:東証プライム/業種:医薬品
1. 企業情報
- 概要と事業内容
- 呼吸器・アレルギー領域(ぜんそく、アレルギー性鼻炎)、泌尿器領域(過活動膀胱:OAB)、感染症領域(キノロン系抗菌薬)などに強みを持つ医療用医薬品メーカー。新薬・後発薬の双方を展開し、国内偏重だが一部海外も取り扱い。
- 主な製品
- 呼吸器・アレルギー:フルティフォーム(喘息)、デザレックス、ナゾネックス/モメタゾン、キプレス(LTRA)
- 泌尿器:ベオーバ、ウリトス、イミダフェナシン製剤(OAB)
- 消化器:ペンタサ(潰瘍性大腸炎/Crohn病)
- 感染症:ラスビック(キノロン系)
- その他:ムコダイン、Montelukast KM(後発)、OTC・検査機器(GeneSoC:リアルタイムPCR)、消毒剤(ミルトン・Rubysta)等
- 連結売上構成(2025.3):新医薬品等(国内)65%、新医薬品(海外)7%、後発医薬品28%
- 研究・提携:Hyfe社と慢性咳嗽向けDTxを共同開発。バイエル社導入品「KRP-S124(閉塞性睡眠時無呼吸)」はPh2準備中。あすか製薬との「AKP-009(前立腺肥大症)」共同開発は解消。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内中堅の医薬品メーカー。呼吸器・アレルギーとOABに製品群を持つことで一定のブランドと医師リーチを確保。ライセンス導入品と自社創製を組み合わせたポートフォリオ。
- 競争優位性
- 呼吸器・アレルギー領域の長年の蓄積と主力品のラインナップ、後発品を含む広いカバレッジ、診断機器(GeneSoC)やDTxなど周辺領域への拡張。
- 課題
- 国内薬価改定の継続・抗菌薬市場の構造的縮小(適正使用の進展)、導入品比率の相対的高さによるライセンス条件の影響、特許・ライフサイクル管理の難易度。定量的な市場シェアは公表資料からは不明。
3. 経営戦略と重点分野
- 長期・中期方針
- 長期ビジョン「Vision 110(2023〜2032)」と中期計画「Vision 110 -Stage 1-(2023〜2025)」を推進。
- 重点戦略:「新薬比率の最大化」。主力新薬の販売拡大と収益性向上に注力。
- 具体施策
- 主力品の販売強化(呼吸器・アレルギー、OAB)、R&Dの選択と集中(KRP-S124など)、DTx(慢性咳嗽)、診断(GeneSoC)でのシナジー創出。
- コストコントロール(2026年3月期1Qは販管費・R&D減少が貢献)。
- 資本政策:自己株式の消却を実施し資本効率の改善を図る方針を示唆。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 国内新薬の安定収益+後発薬売上のボリューム基盤+一部海外・周辺事業(診断・OTC等)。単一領域依存度は相対的に低め。
- 適応力
- 薬価改定や特許満了の影響を受けうる一方、ポートフォリオの多層化(新薬/後発/診断/DTx)と導入・共同開発モデルでリスク分散を図る構造。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・開発動向
- 呼吸器・アレルギー、泌尿器の開発深耕に加え、DTxやPCR機器などデジタル・診断領域に展開。KRP-S124が次期柱候補の一つ。
- 収益貢献品
- フルティフォーム、ベオーバ、デザレックス、ナゾネックス/モメタゾン、キプレス、ペンタサ、ラスビック等。2026年3月期1Qは新薬伸長と費用抑制で利益改善。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在値:1,573円
- 指標比較
- 予想PER:18.83倍(業界平均:27.8倍)
- 実績PBR:0.66倍(業界平均:1.4倍)
- 予想EPS:83.55円、実績BPS:2,369.99円
- 予想配当利回り:3.62%(1株配当57円)
- EV/EBITDA(概算):約5.6倍[EV≒1.04兆円(942.9億+純有利子負債約98.7億)、EBITDA約1,845億円→注:単位は億円換算]
- P/S(時価総額/売上高):約0.72倍
- 参考比較(機械的計算・評価ではない)
- 予想EPS×業界平均PER=約2,323円
- BPS×業界平均PBR=約3,318円
- 現状との乖離は事業ポートフォリオ、薬価・特許リスク、収益性(ROE実績6.8%)等を市場が織り込む可能性に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:1,511円、200日:1,482円。株価は両線上に位置。
- 年初来高値:1,698円、安値:1,331円。現在値は高値比▲約7%、安値比+約18%のレンジ内。
- 需給
- 出来高(本日):4.24万株(3カ月平均9.32万株、10日平均6.90万株を下回る)。
- 信用買残13.3万株・信用倍率15.13倍(需給は買い方優位だが残高規模は限定的)。
8. 財務諸表分析
- 成長・収益性(連結)
- 売上高(億円):1,055(2022)→1,133(2023)→1,195(2024)→1,301(TTM)
- 営業利益(億円):50(2022)→51(2023)→62(2024)→126(TTM)
- 親会社純利益(億円):39(2022)→47(2023)→55(2024)→91(TTM)
- 営業利益率:概ね9.7%(TTM、12,568/130,087)。提供指標では7.8%の記載もあり(算定定義差の可能性)。
- 1Q(2026年3月期):売上302億円(+6.4%)、営業利益23.7億円(+106%)、四半期EPS 36.57円。
- 効率性・資本
- ROE(実績):6.8%、ROA(参考):約4.7%(提供指標)。
- 自己資本比率:70.4%(実績)/1Q時点71.4%。流動比率4.13。財務安全性は高い水準。
- 負債・キャッシュ:現金166億円、総有利子負債265億円(純有利子負債約99億円)。利払い負担は小さく、EBIT/利息負担比率は十分。
- キャッシュフロー
- 連結C/Fは未開示(四半期)。EBITDA拡大(TTM約1,845億円)で内部資金力は改善傾向。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 会社予想:年57円(中間20円・期末37円)。予想配当利回り3.62%。
- 配当性向:TTMベース約33%(提供指標)。会社予想EPS(83.55円)に対しては約68%と計算される(前提の違いに留意)。
- 自社株
- 1Q末の自己株式:2,496,792株(発行済に対し約4.2%)。自己株式の消却を実施し保有株が減少(以前の約10%から縮小)。
- 株主構成
- インサイダー保有比率:約32.8%、機関投資家約24.1%。フロート約3,672万株。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日:1,550〜1,580円の狭いレンジでの揉み合い。本日は小陽線・商い細り。
- ボラティリティ:β値−0.05(5年、月次)で市場連動性は低めの傾向。
- 需給・イベント
- 信用需給は買い方優位。直近出来高は平均を下回る。
- 想定イベント:開発進捗(KRP-S124のPh2移行、DTxの開発状況)、薬価改定・後発品市況、次回決算(公表予定等は会社IR参照)。配当権利落ち日:2025/9/29予定。
11. 総評
- 収益面では主力新薬の伸長と費用抑制で利益が改善。財務安全性は高く、流動性にも余裕がある。
- バリュエーションは業界平均に比べてPER・PBRとも低位水準。配当はTTMで約33%の性向だが、会社予想EPS前提では性向が高まる計算。
- 事業環境は薬価改定・特許・抗菌薬の構造要因などの外部圧力が存在。一方で、DTxや診断を含む周辺領域、パイプライン(KRP-S124)など次の柱の育成が焦点。
- 株価は移動平均線上で推移し、年初来レンジの中上位に位置。出来高は落ち着いており、今後は開発・IRイベントや業績進捗が注目点。
注記
– 本資料は公開情報に基づく情報提供であり、投資助言ではありません。
– 数値は提供データに基づき記載。TTM/会社予想/実績の定義差により一部指標が異なる場合があります。最新の開示(決算短信・有価証券報告書・IR資料)をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 4569 |
企業名 | 杏林製薬 |
URL | https://www.kyorin-pharm.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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