不二越(6474)企業分析レポート
本レポートは公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資助言ではありません。
1. 企業情報
- 概要:不二越(NACHI-FUJIKOSHI)は、工具・工作機械・産業用ロボット、ベアリング・油圧機器等の部品、特殊鋼・熱処理設備などを一貫展開する総合機械メーカー。自動車向けが中核。海外売上比率は約51%(2024.11)。
- 主な製品・サービス
- 機械工具:切削工具(ドリル、タップ、エンドミル、ブローチ等)、工作機械(ブローチ盤、研削盤、成形機、ギヤ用スカイビング加工センタ等)、産業用ロボット(スポット溶接・ハンドリング等)
- 部品:ベアリング(玉・ころ・スラスト等)、油圧機器(バルブ、ポンプ、モータ、ユニット)、自動車用油圧
- その他:特殊鋼(高速度鋼、工具鋼、ステンレス鋼等)、産業炉(真空浸炭)、コーティング、再研磨・再コート等のエンジニアリングサービス
- 事業構成(2024.11、連結):機械工具32%(営業利益率約5%)、部品61%(約1%)、その他7%(約5%)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:ベアリング(NSK・NTN・JTEKT等)やロボット(FANUC・安川電機等)、切削工具(OSG・三菱マテリアル等)と競合する中堅総合メーカー。素材(特殊鋼)から加工・装置・ロボットまでの垂直統合と、自動車分野での用途密着が特徴。
- 競争優位性:
- 製品横断の提案力(工具×工作機械×ロボット×熱処理×部品)
- 一部ニッチ領域(ブローチ、ギヤ加工、真空浸炭等)での高い専門性
- 内製化・集約生産によるコストコントロール
- 課題:
- 標準品ベアリング・油圧での価格競争と市況循環
- 中国・欧州の需要変動や在庫調整の影響
- 自動車電動化の進展に伴う製品構成の変化への対応
(注)定量的な市場シェアは開示なし。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針:脱炭素・EV化を踏まえた総合機械メーカーとして、製品群の組み合わせ提案を強化。収益力改善と事業ポートフォリオの最適化を推進。
- 重点施策:
- 構造改革:標準ベアリングの集約生産、合理化、内製拡大、設備・人員適正化(中間期に構造改革費用98億円計上:減損4.47億円、特別退職金等3億円等)
- コスト低減:固定費削減と原価改善で部品セグメントの利益改善
- 製品戦略:自動車向け工作機械・ギヤ加工(スカイビング)やロボットの領域で用途密着を継続
- 業績見通し(会社計画・修正なし)
- 売上高 2,430億円、営業利益 86億円、経常利益 66億円、純利益 40億円、EPS 175.51円(2025/11期)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:部品(ベアリング・油圧)が売上の中心で、景気循環の影響を受けやすい一方、工具・工作機械・ロボットや特殊鋼・熱処理設備・エンジニアリングで補完。アフター(再研磨・再コート、メンテ)が収益の下支えに寄与。
- 適応力:海外売上約半分、用途分散(自動車、機械・小売、エネルギー、インフラ)。構造改革により損益分岐点の引き下げを図る方針。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発:ギヤ加工向けスカイビング加工センタ、真空浸炭炉・コーティング技術、ブローチなど特殊加工工具、溶接・ハンドリング用ロボット等。素材(高速度鋼等)から加工・表面処理までの一貫技術が強み。
- 収益牽引:
- 売上構成では部品(ベアリング・油圧)が約62%で主力
- 自動車分野の回復局面で工作機械・ロボットが利益寄与(中間期:機械工具のセグメント利益16.5億円、部品21.9億円)
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 3,420円
- 指標(会社予想・実績ベース)
- PER(予想):3,420円 / 176.61円 = 約19.4倍(提供値19.36倍)
- PBR(実績):3,420円 / BPS 6,938.98円 = 約0.49倍(提供値0.49倍)
- 配当利回り(会社予想):100円 / 3,420円 = 約2.92%
- EV/EBITDA(概算):EV ≒ 時価総額8,522億円 + 有利子負債8,814億円 − 現金3,029億円 ≒ 1兆4,307億円、EBITDA 2,652億円 → 約5.4倍
- 業界平均との比較(機械)
- 業界平均PER 16.6倍、PBR 1.4倍
- 当社はPERが平均比やや高め、PBRは大きく低位。低ROE(実績2.08%)がPBR低位の一因とみられる一方、収益水準の前提差に留意。
- 配当データの差異:外部データに「フォワード配当200円・利回り5.85%」の記載がある一方、会社予想は年間100円(期末のみ)。本分析では会社予想(100円)を採用。
7. テクニカル分析
- トレンド:株価3,420円は50日移動平均3,188円、200日移動平均3,183円を上回る水準。中期的には上向き基調。
- 価格帯:年初来高値3,700円に対し約7.6%下、年初来安値2,640円に対し約29.5%上。直近10日では3,330〜3,425円レンジで推移し、3,420円付近に上値抵抗が意識される局面。
- 出来高・需給:3カ月平均約42千株、直近約36千株、当日21千株。信用倍率1.24倍、買残減少・売残増加(前週比)で、短期的にはやや上値が重くなりやすい需給。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(百万円)
- 売上高:2021 229,117 → 2022 258,097 → 2023 265,464 → 過去12か月 239,892(減収に転じる)
- 営業利益:2021 14,721 → 2022 17,030 → 2023 11,878 → 過去12か月 6,639
- 当期純利益:2021 9,993 → 2022 12,237 → 2023 6,469 → 過去12か月 3,351
- 収益性
- 粗利率:約20.9%(過去12か月)、前年約21.0%からやや低下
- 営業利益率:約2.8%(過去12か月)、2023の約4.5%から低下
- 純利益率:約1.4%(過去12か月)
- ROE(実績):約2.1%、ROA(過去12か月):約1.3%
- 財政・キャッシュフロー
- 自己資本比率:47.4%(中間48.7%)
- 流動比率:1.98倍
- 総有利子負債:881億円、現金等:303億円 → ネット有利子負債約578億円
- 営業CF:227億円、レバードFCF:217億円(過去12か月)
- 金利負担:利息費用約14.2億円、EBITDA 265億円 → 金利カバレッジは十分
- セグメント(2025/11期 中間)
- 機械工具:売上3,706億円、セグ利益16.5億円
- 部品:売上7,148億円、セグ利益21.9億円(固定資産減損4.47億円計上)
- その他:売上734億円、セグ利益3.4億円
- トレンド評価:2022期をピークに減収・減益基調。中間期は固定費抑制で利益率が改善(営業利益中間3.63%)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2025/11期の年間配当予想は100円(期末のみ、会社公表)。予想利回り約2.92%。
- 配当性向:過去12か月EPS 193.57円ベースで約51.7%。会社予想EPS 176.61円ベースでは約56.6%。
- 自己株式:自己株式保有あり(期末自己株式数 約241万株、発行済の約9.7%相当)。直近期の新規自己株買い有無は資料記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落率 +12.5%。直近は移動平均線上での推移が継続。
- ボラティリティ:5年β 0.26と低め。流通株式(フロート)約1,724万株、出来高は中庸。
- 保有構造:インサイダー約27.9%、機関投資家約27.2%。従業員・取引店持株会や金融機関、自己株の存在でフリーフロートは限定的。
11. 総評
- 事業面:素材から装置・ロボット・部品までの垂直統合とニッチ技術で差別化。自動車分野回復局面で機械工具が利益寄与する一方、標準品中心の部品は価格競争・需要変動の影響を受けやすい。
- 収益・財務:2023期以降は減収・減益で利益率は低下。中間期は構造改革の効果で利益改善が進展。財務体質は自己資本比率約48%・流動比率約2倍と安定、CF創出も継続。
- バリュエーション:PERは業界平均を上回る一方、PBRは大きく低位。低ROEがPBR低位の背景。EV/EBITDAは概算5.4倍と中庸。配当は会社予想で利回り約2.9%。
- テクニカル・需給:株価は中長期移動平均を上回り、3,420円近辺に上値抵抗。信用需給は中立〜やや上値抑制的。
企業情報
銘柄コード | 6474 |
企業名 | 不二越 |
URL | http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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