1. 企業情報
フルサト・マルカホールディングスは、2021年10月にフルサト工業とマルカが経営統合して設立された企業です。主に「機械・工具」「建設資材」「建設機械」「IoTソリューション」の4つの事業を展開する複合商社です。工業用機械、設備、工具、鉄骨建築資材、配管資材、建設機械の販売やレンタル、さらには監視カメラやセキュリティシステムなどのIoTソリューションを提供しています。連結売上の約65%を機械・工具事業が占めており、主要な収益源となっています。本社は大阪にあり、設立は2021年10月1日です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、建設資材・機械や機器工具販売の大手として、国内の基幹産業に製品やサービスを提供しています。フルサト工業の鉄骨建築資材における強みと、マルカの産機・建機における専門性を統合することで、事業領域の拡大と競争力の強化を図っています。複数の事業セグメントを持つことで、特定の市場変動リスクを分散できる体制となっていると考えられます。
決算短信では、国内の建設資需要の低迷や米国関税の影響といった市場環境の課題に言及されていますが、具体的な市場シェアに関する数値や同業他社との直接比較データは提供されていません。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、中期経営計画「UNISOL」（最終年度2026年12月期）を掲げ、「資本コスト・株価を意識した経営」と「経済的価値および社会・環境的価値の向上」を目指しています。
事業ポートフォリオにおいては、従来の「機械・工具」「建設資材」「建設機械」といった基盤事業に加え、「IoTソリューション」事業を今後の成長ドライバーの一つと位置付けていると考えられます。IoTソリューション事業は売上構成比こそ小さいものの、データセンターや配送センター向けのセキュリティシステム構築などで高い成長性を示しています。
当中間期の業績・施策については、中期計画の目標達成を目指す旨が記載されています。
4. 事業モデルの持続可能性
フルサト・マルカホールディングスは、幅広い産業分野にわたる事業ポートフォリオを持つことで、特定の市場変動リスクへの対応力を高めていると考えられます。
「IoTソリューション」事業は、監視カメラやシステム構築といった分野で、データセンターや配送センターにおけるセキュリティ需要という新たな市場ニーズを取り込んでおり、デジタル化社会の進展という市場の変化に適応しようとしている姿勢がうかがえます。
一方で、国内建設需要の低迷や国際的な貿易政策（米国関税）は、主要事業の収益に影響を与える可能性がある外部要因として認識されており、これらの市場環境への適応力が今後の持続可能性に影響を与える可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
具体的な技術革新に関する詳細な記述は、提供されたデータからは確認できませんでした。
収益を牽引している主力製品・サービスは、売上高構成比とセグメント利益から判断すると、「機械・工具セグメント」に含まれる産業機械、設備、工具の販売・サービスが最も大きいと考えられます。このセグメントは全体の売上高の約65%を占め、セグメント利益への寄与度も約64.5%と高いです。
また、「IoTソリューション」は売上高構成比は低いものの、データセンターや配送センター向けセキュリティ需要、システム構築の大型案件などで高い成長率を示しており、今後の収益に貢献していく可能性を秘めていると見られます。
6. 株価の評価
現在の株価は2,278.0円です。
* PER（会社予想）: 21.91倍
* 業界平均PER（12.1倍）と比較すると高めの水準です。
* PBR（実績）: 0.76倍
* 業界平均PBR（1.0倍）と比較すると低めの水準です。現在の株価が1株当たりの純資産（BPS: 2,984.80円）を下回っていることを示しています。
上記から、現在の株価は純資産価値と比較して割安と評価される可能性がある一方、企業が将来稼ぎ出す利益に対する評価は業界平均よりも高い水準にあることを示唆しています。
7. テクニカル分析
現在の株価2,278.0円は、
* 年初来高値（2,554円）および52週高値（2,594.00円）からは下落しています。
* 年初来安値（2,015円）および52週安値（2,015.00円）よりは高い水準です。
* 50日移動平均線（2,320.62円）と200日移動平均線（2,314.42円）の両方を下回っており、短期的には下降トレンドにある可能性があります。
直近10日間の株価推移を見ると、概ね2260円から2350円の範囲で推移しており、本日終値（2278円）は直近の安値圏に近い水準です。相対的に見て、高値圏からは距離があり、安値圏に近い位置にある可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 過去12か月実績（2024年12月期予想を含む）は161,716百万円で、2023年12月期（172,980百万円）から減少しています。
- 2025年中間期は79,779百万円で前中間期比1.2%の増収となりましたが、2025年通期予想は162,000百万円に下方修正され、前期比で減収の見込みです。機械・工具事業での設備投資の慎重化や建設資材事業での需要低迷が影響しています。
- 利益:
- 営業利益は、2023年12月期から過去12か月では減少し、2025年中間期は1,507百万円で前中間期比11.7%減となりました。2025年通期予想も3,500百万円に下方修正され、前期比で大幅な減益が見込まれています。
- 親会社株主に帰属する中間純利益は996百万円で、前中間期比で65.2%の大幅減となりました。2025年通期純利益予想も2,500百万円に下方修正されています。
- キャッシュフロー:
- 過去12か月の営業キャッシュフローは7,010百万円とプラスであり、直近四半期の現金及び預金は30,680百万円と潤沢です。キャッシュフローの創出能力は安定していると考えられます。
- 収益性・安全性指標:
- RIE（実績）は6.40%、過去12か月ベースでは3.93%と低下傾向にあります。
- ROA（過去12か月）は1.92%です。
- 自己資本比率は、実績で59.9%、当中間期で60.6%と高い水準を維持しており、財務の健全性は確保されています。
全体として、売上高・利益は直近で減少傾向にあり、2025年の通期業績予想も下方修正されました。一方で、自己資本比率は高く、財務基盤は安定していると考えられます。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り（会社予想）は4.43%と高水準です。1株当たり配当金（会社予想）は年間101.00円（中間30円、期末71円）です。配当性向（Payout Ratio 4）は65.50%と、利益に対する配当の割合が高い水準にあります。
2024年実績では、年間107円の配当（中間30円、期末77円うち特別配当32円）を実施しましたが、2025年予想には特別配当の記載はありません。
また、発行済株式数の中に自社(自己株口)が3.36% (844,300株) を保有しており、自己株買いも株主還元策の一つとして実施されていることが示唆されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近10日間で見て、2,432円（8月8日）から2,278円（8月22日）へと下降傾向にあります。
出来高は直近3ヶ月平均で34.76千株、直近10日平均で53.32千株と、日によって大きく変動しています。
信用取引では、信用買残が31,000株、信用売残が20,900株であり、信用倍率は1.48倍です。信用買残・売残ともに前週比で増加しており、投資家の関心が高まっている可能性があります。
直近の業績下方修正（2025年12月期 第2四半期決算発表時に実施）は、今後の株価に影響を与える要因の一つとなることが考えられます。
11. 総評
フルサト・マルカホールディングスは、主に建設関連と産業用機械・工具を扱う複合商社です。2021年の経営統合により事業規模を拡大し、IoTソリューションといった新たな分野への取り組みも見られます。
財務基盤は、高い自己資本比率と安定した営業キャッシュフローにより健全性を保っています。しかし、直近の業績は、外部環境の変化（米国関税や国内建設需要の低迷）の影響を受け、売上高と利益が減少傾向にあり、2025年通期業績予想も下方修正されました。
株価評価では、PBRが業界平均を下回っており、純資産価値から見ると割安感がある可能性があります。一方で、PERは業界平均よりも高めの水準です。テクニカル分析では、株価は年初来高値から乖離し、短期的な移動平均を下回っており、調整局面にあると見られます。
株主還元には積極的で、高水準の配当利回りを提供しています。しかし、特別配当の有無や業績連動性が今後の配当水準に影響を与える可能性があります。
今後の業績推移は、主力事業を取り巻く市場環境の変化への適応と、成長分野であるIoTソリューション事業の進捗に注目が集まるものと考えられます。
企業情報
| 銘柄コード | 7128 |
| 企業名 | フルサト・マルカホールディングス |
| URL | https://www.unisol-gr.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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