フルヤ金属(7826)企業分析レポート
注記:本資料は公開情報に基づく客観的整理であり、投資判断を目的とした助言ではありません。数値は原則として最新決算短信(2025年6月期)・提供データを優先しています。不明項目は記載を省略しています。
1. 企業情報
- 概要:プラチナ族金属(PGM:Pt, Ir など)の製造・加工・回収・精製に強み。薄膜(スパッタリングターゲット)、電子部品用イリジウムるつぼ・シードホルダー、温度センサー、貴金属化合物・粉体、受託薄膜加工・分析、貴金属リサイクルを展開。PGMバリューチェーン(精製~加工~回収)を社内で一貫化。
- 主な製品・サービス:
- イリジウムるつぼ・反射板・アフターヒーター、Pt合金製ガラス溶融用材(光学・LCD向け)
- スパッタリングターゲット(HDD、FPD、半導体、電子部品向け)、蒸着材、パターニング・薄膜分析
- 温度センサー(熱電対)、振動試験機・パレタイザ(IDEX)
- 貴金属化合物・粉末(ナノ合金、FT-eco触媒 等)、貴金属の回収・精製
- セグメント構成(2025/6期 売上構成比・売上総利益ベース管理)
- 電子 10.3%、薄膜 19.6%、サーマル 8.5%、ファインケミカル・リサイクル 45.9%、サプライチェーン支援 13.3%、その他
- 海外売上比率:61.5%
- 事業別粗利寄与:ファインケミカル・リサイクル、薄膜が中心
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジショニング:
- PGMの高純度・高温域用途(Irるつぼ等)や薄膜ターゲットで実績。リサイクル・精製~高付加価値加工の一気通貫は国内でも限られる強み。
- 顧客は半導体、電子部品、記録媒体(HDD)、FPD、ガラス、計測機器など広範。
- 競争環境:
- 国内外の貴金属大手(例:田中貴金属工業[主要株主]、海外はHeraeus、Umicore など)との競合。価格(貴金属相場・為替)、品質・歩留まり、サプライチェーン安定性が差別化要因。
- 課題:
- 貴金属相場・為替の変動感応度、デリバティブ評価損益のブレ、顧客側の投資循環(半導体/HDD)の影響。サプライチェーン支援はマージンが相対的に低い傾向。
(市場シェアの定量は開示なし)
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/中計:「KFKビジョン2030」
- 電子:Ir・Ptのバルク加工を核に半導体分野で高付加価値化
- 薄膜:HDD向け技術をベースにMEMSなど半導体領域へ展開
- サーマル:生産能力拡張・新製品開発
- ファインケミカル・リサイクル:ナノ合金技術確立、グリーン市場向け新製品
- 重点施策:
- 設備投資(2025/6期:有形約39億円、無形約10億円)
- 海外需要の取り込み(海外売上比率6割超)
- サプライチェーン安定化(原材料在庫・供給網の強化)
- 前提リスクへの対応:為替・貴金属相場、国際貿易政策(追加関税等)を踏まえた見通し設定・ヘッジ運用
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:高付加価値PGM製品(薄膜、るつぼ、センサー)+化合物・粉体+リサイクル・精製(クローズドループ)+受託薄膜加工。製造と素材循環の両輪。
- 強み:一貫体制による品質・納期・回収対応、ニッチ高温・耐食用途での技術蓄積。
- 変化対応:
- 半導体投資やHDD需要のサイクル変動には影響を受ける一方、用途多様化とリサイクル収益で一定の平準化余地。
- 相場・為替はヘッジを活用も、評価損益の振れ(2025/6期はデリバティブ評価損)には留意。
5. 技術革新と主力製品
- 技術の独自性:Ir等の難加工貴金属の高温部材、薄膜ターゲットの組成・均質化、ナノ合金・触媒(FT-eco)など。
- 主力/収益牽引:
- 粗利寄与はファインケミカル・リサイクル、薄膜が大きい構造。
- 電子(Irるつぼ等)、サーマル(温度センサー)は半導体・電子分野の投資動向に連動。
6. 株価の評価(2025-09-02終値 2,594円)
- 時価総額:658.35億円
- 会社予想EPS:195.31円 → 予想PER:約13.28倍(提供値)
- 直近期(2025/6期)EPS:263.29円 → 実績PER:約9.9倍(= 2,594 ÷ 263.29)
- 実績BPS:2,622.14円 → PBR:約0.99倍(提供値)
- 業界平均との比較(提供ベンチマーク)
- PER(業界平均14.5倍)に対して:実績PERは低め、予想PERは近い水準
- PBR(業界平均1.3倍)に対して:やや低め
- EV/EBITDA(参考)
- ネット有利子負債:約161億円(負債291.9億-現金130.5億)
- 企業価値EV:約819億円(概算)
- EBITDA(過去12か月):約108.3億円 → EV/EBITDA ≈ 7.6倍(概算)
- 配当
- 2025/6期 実績配当:96円(配当性向36.5%)
- 2026/6期 会社予想:60円(配当利回り約2.31%)
(注:一株指標は2024/7/1の1→3株分割後ベース)
7. テクニカル分析
- 直近株価推移(10日):2,269円(8/20終値)→ 2,592円(9/2)と持ち直し。8/21以降、短期的な上昇基調。
- 移動平均:50日線 約2,474円、200日線 約2,832円
- 現在値は50日線上、200日線下。中期トレンドはまだ下方からの戻り局面に位置。
- 年初来レンジ:安値2,020円~高値3,650円
- 現在値はレンジ中腹よりやや下側(安値から約35%回復程度)。
- 出来高:本日29.6万株は3カ月平均(約31.2万株)並み、10日平均(約35.8万株)をやや下回る。
- 信用動向:信用買残55.2万株(前週比▲2.0万)、信用倍率14.52倍。買い残はやや減少、売り残増加。
8. 財務諸表分析(連結)
- 売上・利益(2025/6期 実績、対前期)
- 売上高:573.8億円(+20.7%)
- 売上総利益:141.9億円(▲3.3%)
- 営業利益:95.4億円(▲2.8%)
- 経常利益:93.9億円(▲12.2%)
- 親会社株主純利益:64.7億円(▲12.7%)
- 営業利益率:約16.6%(= 95.4/573.8)
- 純利益率:約11.3%
- コメント:売上は伸長も、貴金属価格・評価損益、ミックス等でマージン低下。
- キャッシュフロー(2025/6期)
- 営業CF:+9.2億円
- 投資CF:▲49.4億円(設備・無形投資)
- 財務CF:+47.9億円(長期借入増)
- フリーCF:マイナス(レバードFCF ▲61.1億円:提供値)
- 財政状態
- 総資産:1,238.6億円、自己資本比率:52.0%
- 現金同等物:130.4億円、有利子負債:291.9億円、D/E(提供):45.2%
- 流動比率:2.14倍
- 収益性
- ROE:実績10.4%(短信)、提供データ10.21%
- ROA:提供5.04%
- 複数期の傾向(参考)
- 売上:2021/6期338億 → 2025/6期574億へ拡大
- 営業益:2022/6期130.6億をピークに、その後は段階的に縮小(2025/6期95.4億)
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績/方針
- 2025/6期:期末96円(連結配当性向36.5%)
- 2026/6期予想:期末60円(予想配当性向約30.7%)
- 自己株式:期末81.4万株(発行済の約3.2%)
- 株式分割:2024/7/1に1→3株
- 参考イベント:次回基準日(予定)2026/6/29(Ex-Dividend予定日データ)
(自己株買いの有無・規模は本資料では未確認)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週変化率▲41.4%(提供値)。直近10日は反発基調。
- ボラティリティ:5年β 0.56と相対的に低め。
- 需給:信用倍率は高水準、買い残は減少・売り残増加。出来高は平常域。
- 外部要因と価格感応度:
- 貴金属相場・為替(特にUSD/JPY)
- 半導体/HDD投資サイクル、在庫調整
- デリバティブ評価損益、国際貿易政策(追加関税等)
11. 総評
- 事業面:PGMの一貫体制と高難度加工・薄膜技術、リサイクルまで含むバリューチェーンが特色。用途分散と海外需要取り込みで売上は拡大。
- 収益面:2025/6期は売上増加もマージン低下で各利益は前年割れ。評価損益・相場/為替の影響、ミックスの変化が背景。CFOはプラスだが、積極投資でFCFはマイナス。
- 財務面:自己資本比率5割超、流動性は確保。有利子負債は増加傾向でレバレッジは上昇。
- 見通し:2026/6期は会社計画で減収減益想定。半導体/HDDの回復時期、PGM相場・為替、政策動向が変動要因。
- 株価面:PBR約1倍、予想PERは業界平均に近く、実績PERは低水準。株価は50日線上・200日線下で年初来レンジ中腹。信用需給は買い長。
注視ポイント:
– 半導体・HDD投資サイクルと受注の戻り、薄膜・リサイクルの粗利動向
– 貴金属相場・為替、ヘッジ運用に伴う評価損益の振れ
– 設備投資の成果(歩留まり・能力増)とFCFの改善
– 2026/6期ガイダンス進捗(売上・利益の四半期推移、セグメント別マージン)
企業情報
銘柄コード | 7826 |
企業名 | フルヤ金属 |
URL | http://www.furuyametals.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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