東邦チタニウム(証券コード:5727)企業分析レポート
東邦チタニウムは、JX金属グループに属するチタン製錬の大手企業です。航空機向けを主力としつつ、電子材料や次世代触媒など多岐にわたる事業を展開しています。
1. 企業情報
東邦チタニウム株式会社は、1953年に設立された非鉄金属メーカーです。主な事業内容は、金属チタン、触媒、化学品の製造・販売です。特に、高機能素材であるチタン金属の製錬技術に強みを持ち、航空機、一般産業、半導体向けの高純度チタンなどを手掛けています。ポリプロピレン等のポリオレフィン向け触媒や、MLCC(積層セラミックコンデンサ)向けの超微粉ニッケルなどの化学品も提供しています。JX金属が主要株主であり、日本国内のチタン製錬業界では大阪チタニウムと並ぶ主要プレイヤーです。横浜に本社を置き、従業員数は1,260名(平均年齢41.9歳、平均年収7,020千円)です。
連結事業構成比(2025年3月期):
- 金属チタン: 売上高構成比 74%、営業利益構成比 10%
- 触媒: 売上高構成比 12%、営業利益構成比 22%
- 化学品: 売上高構成比 14%、営業利益構成比 -12%(損失)
2. 業界のポジションと市場シェア
東邦チタニウムは、JX金属を主要株主とする国内大手チタン製錬企業であり、大阪チタニウムと並び称される存在です。航空機向けチタン製品の供給実績や、高純度チタンの製造技術は競争優位性と考えられます。
競争優位性:
- 国内チタン製錬における主要プレイヤーとしての地位。
- 航空機向けなど、特定の高付加価値市場での実績。
- 触媒や高純度化学品など、多角的な事業ポートフォリオによるリスク分散。
課題:
- 足元では、航空機メーカーのサプライチェーンにおける在庫調整長期化により、金属チタン事業の販売が低調です。
- 中国メーカーのスポンジチタン過剰生産が、一般産業用途向けの価格競争を激化させています。
- 輸入原材料価格や電力価格の高止まりも、収益性を圧迫する要因となっています。
- 化学品事業は営業損失となっており、収益改善が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
具体的な中期経営計画の詳細は本資料には含まれていませんが、企業概要から以下の点が推測されます。
現在の状況と戦略の方向性:
- 航空機向けチタン製品を基盤としながら、半導体向け高純度チタン、次世代触媒、電子材料といった高機能素材分野への展開を強化していると考えられます。
- リチウムイオン伝導性固体電解質や多孔質チタンシート「WEBTi」の開発は、次世代技術への投資と市場開拓の意欲を示します。
- 足元の決算短信では、金属チタン事業の市況悪化に対応しつつ、触媒事業での需要回復や化学品事業の収益改善を目指す姿勢が見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
東邦チタニウムの事業モデルは、基幹事業である金属チタンの安定供給に加え、高成長が期待される半導体、電子部品、次世代エネルギー分野への多角化を図っています。
収益モデル:
- 金属チタン製品(航空機、一般産業、半導体用途)の販売。
- ポリオレフィン等の触媒製品の販売。
- 超微粉ニッケル等の化学品の販売。
市場ニーズの変化への適応力:
- 今後の航空機需要の回復、半導体市場の拡大、リチウムイオン電池など新エネルギー分野の進展は、同社の製品に対する新たな需要を創出する可能性があります。
- 一方で、国際的な景気変動、原材料価格の変動、為替レートの変動、中国市場における需給バランスの悪化など外部要因に影響を受けやすい側面があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、独自のチタン製錬技術を背景に、技術革新に注力しています。
技術開発の動向:
- 半導体製造プロセスに不可欠な高純度チタンの提供。
- 高機能樹脂製造に用いられる次世代触媒の開発。
- 将来のEV(電気自動車)向け全固体電池のキーマテリアルとなり得るリチウムイオン伝導性固体電解質の開発。
- フィルターや電極材料として期待される多孔質チタンシート「WEBTi」の開発。
収益を牽引している製品・サービス:
- 現状では金属チタン事業が売上高の大部分を占めていますが、足元では収益性が悪化しています。
- 触媒事業は売上高構成比は低いものの、収益貢献度は高いとみられます。
- 化学品事業は需要回復の兆しはあるものの、現在は営業損失となっています。
6. 株価の評価
現在の株価1,731.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 51.51倍
* PBR(実績): 2.14倍
* EPS(会社予想): 33.72円
* BPS(実績): 813.47円
業界平均との比較:
- 業界平均PER: 80.4倍
- 業界平均PBR: 0.8倍
- 同社のPERは業界平均と比較して低い水準にあります。
- 一方でPBRは業界平均と比較して高い水準にあり、企業が持つ資産価値に対して市場が高い評価をしている、あるいは将来性への期待が織り込まれている可能性も考えられます。
- 会社予想EPSが過去実績を下回っており、会社としては慎重な業績見通しを出している可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,731.0円は、年初来高値1,870円に比較的近い水準にあります。
株価推移:
- 本日(2025年9月2日)の終値は1,731.0円。
- 直近10日間の株価は、8月20日の1,521円から8月29日には1,793円(一時1,870円まで上昇)と、短期的に大幅に上昇しました。その後、本日1,731円とやや調整が見られます。
- 50日移動平均線(1,403.46円)と200日移動平均線(1,137.54円)を大きく上回っており、株価は中長期的な上昇トレンドにあると考えられます。
- 年初来安値が801円であることから、現在の株価は年初来高値圏に位置しています。
8. 財務諸表分析
損益計算書(年度比較):
- 売上高: 過去数年間は増加傾向にあり、2022年3月期から2025年3月期(予想)にかけて順調に拡大しています(555億円 → 803億円 → 784億円 → 889億円)。
- 営業利益・純利益: 売上高の増加に比べて利益は変動が大きく、2023年3月期には大きく伸びましたが、2024年3月期には減少し、過去12ヶ月の実績もさらに減少傾向にあります。
- 最新の第1四半期(2026年3月期Q1): 売上高は前年同期比3.7%増の221億円でしたが、営業利益は同53.5%減の8.2億円、経常利益は同80.3%減の4.3億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同79.5%減の3億円と、大幅な減益となりました。これは主に金属チタン事業の市況悪化が影響しています。
財務状態(実績):
- 自己資本比率: 直近で46.2%(前期末46.8%)と、一定の安定性を維持しています。
- 流動比率: 直近四半期で1.54倍と、短期的な支払い能力に問題はないと考えられます。
- 総負債/自己資本比率: 直近四半期で97.95%と、負債が自己資本に迫る水準にあります。総負債567億円に対し、総現金は47億円です。
- ROE: 過去12ヶ月で4.44%(実績6.49%)。
- ROA: 過去12ヶ月で2.50%。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 1.04%
- 1株配当(会社予想): 18.00円
- 配当性向: 34.38%
2025年3月期の実績は年間18.00円で、2026年3月期の予想も年間18.00円(中間9.00円、期末9.00円)と同水準の配当を計画しています。直近の業績予想修正においても配当予想の変更はありませんでした。現在のところ、自社株買いに関する情報は開示されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、8月中旬以降に大きく上昇し、年初来高値を更新する勢いを見せました。それに伴い出来高も増加しており、投資家の関心が高いことがうかがえます。
株価に影響を与える要因:
- ポジティブ要因: 航空機需要の本格的な回復、半導体市場の拡大、次世代製品(固体電解質など)の実用化と市場拡大、触媒事業の堅調な推移。
- ネガティブ要因: 航空機メーカーの生産トラブルやサプライチェーンの停滞長期化、中国経済の減速や過剰生産問題、輸入原材料・電力価格の高騰、為替の変動(特に円高転換)。
- 最新の決算短信では、航空機向けの供給遅延や中国市場での競争激化が明確なリスク要因として指摘されています。
11. 総評
東邦チタニウムは、国内チタン製錬における大手企業であり、基幹事業である金属チタンのほか、触媒や高機能化学品へと事業を多角化しています。
財務基盤は自己資本比率が46%台で一定の安定性を保っていますが、借入金は自己資本に近い水準です。過去数年間で売上高は増加傾向にありますが、営業利益および純利益は変動が大きく、特に直近の第1四半期決算では、金属チタン事業の市況悪化を主因として大幅な減益となりました。
株価は直近で大きく上昇し、年初来高値圏に位置しており、中長期的な上昇トレンドを示唆しています。PERは業界平均を下回る一方で、PBRは業界平均を上回る水準です。
今後の注目点は、航空機向け需要の回復、中国市場での需給状況の改善、原材料・エネルギー価格の安定化に加え、触媒事業の成長性維持と、電子材料および次世代技術(固体電解質など)の開発・事業化の進捗が、中長期的な収益性改善と企業価値向上に寄与するかどうかとなるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 5727 |
企業名 | 東邦チタニウム |
URL | http://www.toho-titanium.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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