古野電気(6814)企業分析レポート
注記:本資料は公開情報に基づく企業分析であり、投資助言を行うものではありません。数値は特記なき限り連結ベース。日付は2025-09-02時点。
1. 企業情報
- 概要:舶用電子機器の世界大手。商船・漁船・プレジャー向けにレーダー、魚群探知機、ソナー、AIS、ECDIS、衛星通信機器、オートパイロット等を提供。産業分野ではETC2.0/DSRC、GNSS(測位・時刻同期)、医療機器(生化学分析装置、超音波骨密度計)、無線LANアクセスポイント、ハンディターミナル、電磁環境試験など。
- 収益構成(2025.2期):舶用86%、産業用11%、無線LAN・ハンディターミナル3%、他0%。海外売上比率70%。
- 強み:無線・レーダー・ソナー・GNSS等の電波・測位技術を核とした製品群と、グローバルな販売・保守ネットワーク。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:魚群探知機や電子海図など舶用電子機器で世界的な高シェアを持つメーカーの一角。商船向けブリッジ統合、航法・通信、漁業向け音響機器に強み。
- 主な競合:
- 舶用:Garmin、Navico(Simrad/Lowrance等)、Raymarine、Kongsberg、Wärtsilä Voyage、JRC(日本無線)など。
- 産業用:ETC/GNSSで車載・通信各社、ヘルスケアで国内外IVD大手が競合。
- 競争優位性:法規制・安全基準(SOLAS/IMO等)対応力、アフターサービス網、製品の信頼性。課題は、プレジャー市場の景気・金利影響、造船サイクルと地域需要変動、為替感応度。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン:FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”。収益性向上、売上拡大、サステナブル経営。
- 中期計画フェーズ2(2024–2026年):最終年度(2026年2月期)。
- 重点施策(短信等からの要旨)
- 舶用:商船の新造・代替燃料船対応、既存船のリプレースと保守サービス強化、デジタル化・接続サービスの拡充。
- 産業用:ITS/GNSS(ETC2.0、時刻同期製品)拡販、5G/通信インフラ向け需要取り込み。ヘルスケアは地域競争下で収益性重視。防衛は需要拡大トレンドを注視。
- 体質強化:為替・資材動向に応じた価格・コストコントロール、グローバル拠点最適化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:ハードウェア販売に加え、据付・保守・リプレースによるストック性の高い収益が見込める(舶用中心)。法規制・安全基準準拠やGHG対策関連の更新需要が需要の下支え要因。
- 適応力:航海・通信・測位の中核技術を横展開(舶用→ITS/GNSS・医療等)。一方、プレジャーや教育ICTの需要変動、地域競争(特に中国ヘルスケア)への対応が継続課題。
5. 技術革新と主力製品
- 技術領域:レーダー/ソナー等の電波・音響、GNSS(PNT)、衛星通信、船舶統合航法、時刻同期(5G/電力系統等)。
- 主力製品:
- 舶用:レーダー、AIS/ECDIS、VDR、衛星通信、魚探・ソナー、オートパイロット、プレジャー向けMFD/GPSチャートプロッタ。
- 産業用:ETC2.0/DSRC機器、GNSS受信機・GPSDO、臨床化学分析装置、超音波骨密度計、無線LAN AP、ハンディターミナル。
- 動向(2026年2月期1Q):商船向け新造・既存船向け販売が好調、漁業は地域差で弱含み。ITS/GNSSは増、ヘルスケアは中国競争で減、防衛は生産調整で一時減、教育ICT向け無線LANは低調。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:5,750円
- 業績予想ベース(会社予想EPS 284.83円)
- PER:約20.19倍
- 直近12カ月ベース(LTM EPS 433.72円)
- PER:約13.26倍
- BPS:2,295.56円 → PBR:約2.50倍
- 参考比較(業界平均:PER 24.2倍、PBR 1.6倍)
- PER比較:同社予想PERは業界平均を下回る一方、PBRは業界平均を上回る水準。
- 参考レンジ試算(中立的比較)
- 業界平均PER適用の理論株価参考:284.83円 × 24.2 ≈ 約6,900円
- 業界平均PBR適用の理論株価参考:2,295.56円 × 1.6 ≈ 約3,670円
- EV/EBITDA(概算):企業価値約1,856億円(時価総額1,834億+ネット有利子負債約22億)/ EBITDA約176億 ≈ 約10.5倍
- 補足:2026年2月期は会社計画で減益見通し(EPS 284.86円)。計画前提の達成度が評価の焦点。
7. テクニカル分析
- トレンド:50日移動平均(約4,366円)と200日移動平均(約3,034円)を大きく上回る上昇基調。52週高値を本日5,810円まで更新し、終値5,750円は高値圏に位置。
- 出来高:本日56.3万株は3カ月平均(約43.1万株)を上回り、モメンタムの強さを示唆。
- 信用需給:信用買残40.97万株(前週比減少)、信用売残15.01万株(前週比増加)、信用倍率2.73倍。買い玉の整理と売り残増により短期的な攻防が想定される状況。
- 値幅制限:4,640~6,640円。年初来安値1,803円、年初来高値5,810円。
8. 財務諸表分析
- 損益(年次/LTM)
- 売上高推移:847億(2022.2)→ 913億(2023.2)→ 1,148億(2024.2)→ 1,270億(2025.2/LTM 1,300億)と拡大基調。
- 営業利益:25億 → 15億 → 65億 → 132億(LTM)へ改善。営業利益率はLTM約11%。
- 当期純利益:28億 → 13億 → 62億 → 114~137億(LTMデータ差異ありも増益傾向)。
- 収益性・効率性
- 営業利益率:約11.0%
- 純利益率:10.5%
- ROE:17.2%(実績)、LTM ROE 20.35%
- ROA:7.36%(LTM)
- 安全性
- 自己資本比率:58.5%
- 流動比率:約256%
- 有利子負債:197.7億、現金等:175.3億 → ネット有利子負債約22億、D/E比率約27%
- 直近四半期(2026年2月期1Q)
- 売上:312.96億(前年同期比+11.0%)
- 営業利益:34.38億(+30.8%)
- 親会社純利益:35.31億(+175.7%)
- セグメント:舶用が売上・利益牽引。産業用は損失小幅、無線LAN・ハンディは赤字継続。
9. 株主還元と配当方針
- 配当(実績/予想):年間110円(2025年実績、中間35・期末75)。2026年予想も年間110円(中間55・期末55)。
- 配当利回り:約1.91%(株価5,750円)
- 配当性向:約25.35%(LTMベース目安)
- 自社株:自己株式約29.7万株(発行済みの約0.93%)。足元での新規自己株買いの開示は確認できる範囲でなし(短信記載ベース)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落+217.0%。短中期移動平均上方かい離が大きく、上昇の勢いが観測される一方、変動性に留意が必要な水準。
- 投資家属性:浮動株約2,376万株、インサイダー保有約21.8%、機関保有約33.9%。主要株主に古野興産、日本マスタートラスト、日本カストディ等。
- 近時イベント
- 2025/7/9:2026年2月期1Q短信公表(増収増益)
- 今後:次回配当の権利落ち予定 2026/2/26(予定)
- 業績見通し:通期は増収微増・減益計画(売上1,275億、営業利益115億、純利益90億、EPS約285円)。計画進捗と為替・造船需要・プレジャー/教育ICT動向が注目点。
11. 総評
- 舶用事業が新造・リプレース・保守サービスを軸に業績を牽引し、収益性は近年大きく改善。グローバルなアフターサービスと法規制対応力が強み。
- 産業用はITS/GNSSが伸長する一方、ヘルスケアの地域競争や教育ICTの需要低調が課題。ポートフォリオ内での収益安定化が焦点。
- 財務は自己資本比率約58%、ネット有利子負債軽微で健全。キャッシュも積み上がりつつある。
- バリュエーションは、予想PER約20倍・PBR約2.5倍。業界平均と比べた水準感は指標により差があるため、LTMと会社計画(減益見通し)のギャップ、セグメント別の持続力、為替感応度などの前提確認が重要。
- 株価は52週高値圏でモメンタムが強い一方、短期的な需給(信用残動向)と値動きの振れに留意が必要。
(本資料は事実関係と計算に基づく客観的整理を目的としており、投資判断は行いません。不明点や追加データがあればお知らせください。)
企業情報
銘柄コード | 6814 |
企業名 | 古野電気 |
URL | http://www.furuno.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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