東部ネットワーク株式会社(9036)企業分析レポート

作成日: 2024年12月25日

1. 現在の株価の評価

  • 株価: 817円
  • PER(会社予想): 53.40倍 (連結)
  • PBR(実績): 0.23倍 (連結)
  • EPS(会社予想): 15.30円 (連結)
  • BPS(実績): 3,554.96円 (連結)

現在の株価は、予想EPSに基づくPERが53.40倍と業界平均(8.1倍)を大きく上回っており、割高感があると言えるでしょう。一方、PBRは0.23倍と業界平均(0.5倍)を下回っており、株価が純資産価値を大きく下回っていることを示しています。BPSとの比較では、株価はBPSの約23%の水準です。これらの指標からは、株価の評価について相反する情報が得られます。

2. テクニカル分析

直近10日間の株価は812円~828円の範囲で推移しており、年初来高値1,292円からは大きく下落しています。現在の株価は年初来安値738円を上回っていますが、年初来高値からは約37%の下落であり、高値圏とは言えず、むしろ安値圏に近いと判断できます。出来高は低水準にあり、大きなトレンド転換を示唆する動きは見られません。

3. 財務諸表分析

損益計算書(過去12か月と直近四半期)

指標 過去12か月 直近四半期(2024/4-9) 前年同期比
売上高 10,304,336千円 5,458,350千円 2.0%増
営業利益 315,454千円 144,260千円 45.1%減
経常利益 315,454千円 172,928千円 39.8%減
純利益 78,910千円 -46,225千円 △145.6%減
ROE(過去12か月) 0.40% -0.83% △123%減
営業利益率(過去12か月) 2.94% 2.64% △1.0%

売上高は増加傾向にあるものの、営業利益、経常利益、純利益は大幅に減少しています。ROEも大きく低下しており、収益性の悪化が懸念されます。直近四半期の純損失は、原価高騰、輸送数量減少、2024年問題対策による物流合理化の影響、のれん減損損失計上などが要因として挙げられています。

4. 業界のポジションと市場シェア

東部ネットワークは神奈川県を拠点とする中堅物流企業です。飲料、セメント輸送、産業用ガス輸送などを主力としており、物流センター運営も行っています。業界内での具体的な市場シェアは不明ですが、競争が激しい業界であるため、競争優位性を維持するための戦略が重要となります。

5. 経営戦略と重点分野

決算短信によると、2024年問題対策による物流合理化、原価高騰への対応が経営課題となっています。中期経営計画の具体的な内容は不明ですが、これらの課題への対応が経営戦略の重点分野と考えられます。テーエス運輸株式会社の連結も、事業拡大の一環として行われています。

6. 事業モデルの持続可能性

事業モデルは、多様な貨物輸送と物流センター運営を組み合わせたものです。しかし、原価高騰や輸送数量減少といった課題を抱えており、収益モデルの持続可能性には懸念が残ります。市場ニーズの変化への適応力も、今後の経営戦略の成否を左右する重要な要素となるでしょう。

7. 技術革新と主力製品

具体的な技術開発の動向や独自性については情報が不足しています。主力製品・サービスは飲料、セメント、産業用ガスなどの輸送と物流センター運営です。

8. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 1.84%
  • 1株配当(会社予想): 15.00円
  • 配当性向: 103.02% (予想)

予想配当利回りは1.84%と比較的高い水準ですが、配当性向が100%を超えていることから、利益を上回る配当を行う計画であることがわかります。これは、今後の業績悪化のリスクを考慮する必要があることを示唆しています。

9. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は下落傾向にあり、投資家の関心は低いと推測されます。信用買残は増加傾向にありますが、信用倍率は0.00倍と低く、信用取引による株価上昇への期待は少ないと考えられます。

10. 総評

東部ネットワークは、売上高は増加傾向にあるものの、利益は大幅に減少しており、収益性の悪化が大きな懸念材料です。PERは高水準、PBRは低水準と、株価評価は相反する結果となっています。原価高騰や輸送数量減少といった課題への対応、そして市場ニーズの変化への適応力が、今後の企業業績と株価に大きく影響するでしょう。 高配当利回りを魅力と感じる投資家もいる一方、業績の悪化と高い配当性向を懸念する投資家もいると考えられます。 投資判断にあたっては、今後の業績推移や経営戦略の進捗状況を注視する必要があります。


企業情報

銘柄コード 9036
企業名 東部ネットワーク
URL http://www.tohbu.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 運輸・物流 – 陸運業

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