東京電力ホールディングス(9501)企業分析レポート
株価(終値):759.9円(2025-09-11)
時価総額:約1.22兆円/発行済株式数:1,607,017,531株
市場:東証プライム/業種:電気・ガス業
PBR(実績):0.43倍/配当利回り(会社予想):0.00%
1. 企業情報
- 事業概要
- 東京電力ホールディングス(TEPCO HD)は、持株会社体制のもと以下の主要セグメントで事業を展開。
- パワーグリッド:関東エリアの一般送配電事業(規制収入ベース)
- エナジーパートナー:小売電気・ガス販売(自由化市場)
- フュエル&パワー:発電(火力等、原子力関連含む)
- リニューアブルパワー:再生可能エネルギー(洋上風力等)
- 2011年の福島第一原子力発電所事故に伴う賠償・廃炉費用負担が継続。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が49.89%を保有し、公的関与のもと再建を進めている。
- 発送電分離により、送配電は中立運用、発電・小売は競争領域で展開。
- 連結従業員:38,076人/平均年齢:45.1歳/平均年収:814万円
- 本社:東京都千代田区内幸町1-1-3/代表者:小早川 智明
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 電力・ガス大手の中で最大級の顧客基盤・系統規模を持つグループ。送配電(パワーグリッド)は関東広域の重要インフラを担い、安定的な規制収入を獲得。
- 小売(エナジーパートナー)は自由化後も国内最大級の顧客基盤を維持。
- 競争優位性
- 送配電の規制収入・広域系統運用ノウハウ、スマートメーター等のデータ基盤。
- 調達・発電・小売までのバリューチェーンとスケールメリット。
- 課題
- 福島第一の廃炉・賠償に係る見積り変動リスク、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働時期の不確実性。
- 小売は燃料・卸電力価格の変動や制度変更による収益の振れが大きい。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・基本方針
- 安定供給と安全最優先を前提に、事故対応(賠償・廃炉)を着実に進めつつ、収益基盤の再構築と脱炭素への貢献を両立。
- 重点施策(開示等に基づく要点)
- 廃炉中長期実行プラン2025に沿った費用見積り・工程管理の強化(燃料デブリ取り出し準備等)。
- 送配電:設備更新・レジリエンス強化、再エネ主力化に向けた系統増強。
- 小売:料金メニュー・サービス多様化、需要家ソリューション(省エネ、DR、ガス販売等)強化。
- 再エネ:洋上風力等の開発・アセット拡大。
- 原子力:安全対策徹底の上での再稼働準備(柏崎刈羽)の継続。ただし時期は未定。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- パワーグリッドは規制収入が中心で相対的に安定。一方、小売・発電は燃料価格・卸電力価格・規制動向の影響を受けやすい。
- 適応力
- 調達ヘッジや補助金制度の活用、料金改定等で収益変動対応を図る一方、原子力・廃炉関連の特別損失は収益・財務に大きな振れをもたらす可能性がある。
- リスク要因
- 廃炉・賠償見積りの変動、再稼働時期の不確実性、制度・規制変更、燃料・為替動向。
5. 技術革新と主力製品・サービス
- 技術開発・独自性
- 福島第一の廃炉技術(遠隔ロボティクス、燃料デブリ取り出し、ALPS関連)など特殊技術の蓄積。
- スマートメーター・系統制御・需要家データ活用の知見。
- 収益牽引
- 直近は小売(エナジーパートナー)と送配電(パワーグリッド)が主力。再エネは拡大中だが規模は限定的。
- 原子力の再稼働が実現すれば燃料費構造の改善余地が生じる一方、スケジュールは不透明。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現状
- 株価:759.9円/BPS(実績):1,768.78円 → PBR:約0.43倍(業界平均PBR:0.7倍)
- EPS(会社予想):未提示 → PER算出不可(業界平均PER:7.0)
- 補足指標(概算)
- 総有利子負債:6.63兆円/現金等:0.74兆円 → ネット有利子負債:約5.9兆円
- EBITDA(過去12か月、概算):約0.64兆円 → EV/EBITDAは2桁台の水準(概算)
- コメント
- 足元は2026年3月期1Qで巨額特損を計上し、直近12か月利益は赤字。PBR中心の相対評価が参照されやすい状況。
7. テクニカル分析
- 株価位置
- 年初来高値:788円/年初来安値:360円。現在値は高値圏に近い水準。
- 50日移動平均:638.4円、200日移動平均:481.27円 → いずれも上回る推移。
- 需給・ボラティリティ
- 直近10営業日の出来高は高水準。9/3には700円台前半まで下落後、数日で760円台を回復するなど値幅が大きい局面。
- 信用残は買残優勢(信用倍率7.95倍)。買い・売りともに前週比で増加。
8. 財務諸表分析
- 損益(連結)
- 売上高:2023/3 8.11兆円 → 2024/3 6.92兆円 → 2025/3(LTM)6.81兆円
- 営業利益:2023/3 ▲2,290億円 → 2024/3 2,789億円 → 2025/3(LTM)2,344億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:2023/3 ▲1,236億円 → 2024/3 2,679億円 → 2026/3期1Qで災害特損計上により四半期▲8,577億円(LTMは赤字)
- 2026年3月期1Q:災害特別損失9,030億円計上(燃料デブリ取り出し準備の見積変更等)
- 安全性・効率性
- 自己資本比率:25.1%(前期末)→ 19.3%(2026/3期1Q)
- 総負債:約11.85兆円(2026/3期1Q)/Total Debt/Equity:231.6%
- 流動比率:0.50(短期資金繰りタイトな水準)
- ROE:直近期は特損影響でマイナス。前期実績ROE 4.44%(参考)。
- キャッシュフロー(参考)
- EBITDA(LTM):約0.64~0.69兆円。減価償却費は年0.36兆円規模。
- セグメント
- 外部売上(2026/3期1Q):EP 1.11兆円、PG 0.27兆円、RP 0.01兆円、HD等 0.03兆円。
- セグメント利益合計は黒字だが、連結では特別損失計上で大幅赤字。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期:年間0円、2026/3期予想:年間0円(未変更)。
- トレーリング配当利回り:0.00%、平均5年利回り:3.45%(参考値、直近は無配)。
- 自社株
- 自己株式比率:約0.11%(保有3,372,900株)。大規模な自社株買いは確認できず。
- 体制
- 原賠・廃炉等支援機構が49.89%保有。公的関与のもと、財務健全性確保を優先する運営が継続。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落率:約+16.5%。主要移動平均線を上回り、上昇トレンド寄りの推移。
- 投資家関心
- 出来高(3カ月平均:約8,740万株/10日平均:約9,901万株)と信用残の増加から、短期の市場関心は高い。
- 価格形成要因
- 柏崎刈羽の再稼働見通し、廃炉・賠償費用見積りの更新、制度・料金政策、燃料・為替、需給動向等。
11. 総評
- 送配電の規制収入と小売・発電の競争領域から成る事業ポートフォリオにより、基礎的なキャッシュ創出力は維持。一方、2026年3月期1Qに災害特損を計上し、自己資本比率の低下・LTM赤字化が確認された。
- バリュエーションはPBR約0.43倍で業界平均(0.7倍)を下回る水準。直近は株価モメンタムが強く、出来高・信用残の増加が見られる。
- 今後の注目点は、廃炉関連費用の見積り変動と柏崎刈羽の再稼働時期、規制・制度動向、燃料・為替環境。これらが損益・財務指標・バリュエーションに与える影響が大きい。
(注)本レポートは提供データおよび公開情報に基づき事実を整理したものであり、投資勧誘や投資判断の助言を目的としたものではありません。数値は百万円・兆円換算を含む概算があり、不明点は記載を省略しています。
企業情報
銘柄コード | 9501 |
企業名 | 東京電力ホールディングス |
URL | http://www.tepco.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.0)」によって自動生成されました。
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