コーセル(6905)企業分析レポート

個人投資家の皆様へ
本レポートでは、東京証券取引所プライム市場に上場するコーセル株式会社(証券コード: 6905)について、皆様の投資判断の一助となるよう、公開情報に基づいて多角的に分析します。本レポートは投資助言を目的としたものではなく、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

1. 企業情報

コーセル株式会社は1969年に設立され、電源機器の開発、製造、販売を主力事業としています。主な製品は、交流-直流スイッチング電源、直流-直流コンバータ、ノイズフィルタ、そしてIC、FETなどの半導体デバイスです。これらは情報通信、医療、工場自動化(FA)機器といった幅広い産業機器に利用されています。国内のスイッチング電源標準品市場では国内2位のポジションにあります。近年、台湾のLITE-ON TECHNOLOGY CORPORATIONが筆頭株主となり、資本業務提携を通じてシナジー創出を図っています。

事業内容(連結事業売上構成比 2024.5期):

  • ユニット電源:53%
  • オンボード電源:28%
  • ノイズフィルタ:4%
  • PRBX製品:15%

海外売上比率は37%です。

2. 業界のポジションと市場シェア

コーセルは、スイッチング電源の標準品分野において国内で2位の市場ポジションを確立しています。主な顧客は産業機器メーカーであり、高い信頼性が求められる分野での実績を持っています。

競争優位性:

  • 長年の経験と技術力に基づく高品質な製品開発。
  • 幅広い産業分野への供給実績。
  • 筆頭株主であるLITE-ON TECHNOLOGY CORPORATIONとの資本業務提携による、新たな販路拡大や製品ラインナップの強化の可能性。

課題:

  • 半導体市場や特定の産業機器市場における需要変動の影響を受けやすい事業構造。
  • 米国の関税政策や地政学リスクといった外部要因が販売や投資判断に影響を与える可能性。
  • 競合他社との詳細な市場シェアについては、公開情報から把握が困難です。

3. 経営戦略と重点分野

コーセルは、「品質至上」「受注変動に強いものづくり体制の構築」「新製品開発力の強化」そして「顧客密着営業」を経営の重点分野として掲げています。

具体的な施策:

  • LITE-ONとの協業: 資本業務提携を通じて、特に北米市場でのクロスセル(LITE-ON製品の導入)などの販路・製品協業の取り組みを本格化させています。これは中期的な売上回復の重要な要素と位置付けられています。
  • 生産体制の最適化: 生産の一部を中国へ移管するなど、効率的なサプライチェーン構築を進めています。
  • 研究開発の継続: PDAシリーズ、MUシリーズ、TECS/TEPSなどの新製品を継続的に投入し、医療用規格対応モデルなども展開しており、技術的な優位性を維持する努力をしています。

2026年5月期に向けては、売上高33,325百万円、経常利益2,793百万円の回復を見込むなど、業績改善への強い意欲が示されています。

4. 事業モデルの持続可能性

コーセルの収益モデルは、高品質な産業用スイッチング電源および関連電子部品の製造・販売を基盤としています。製品は多様な産業(情報通信、医療、FA)で利用されており、特定の産業への依存度を低減しています。

市場ニーズへの適応力:

  • IoT、AI、5Gなどの技術進展により、サーバーやデータセンター向けの半導体・電源需要は今後も成長が期待される分野であり、同社製品の需要も継続的に見込まれます。
  • LITE-ONとの提携は、新たな市場や顧客層へのアクセスを可能にし、事業モデルの多様化と成長ドライバー創出に寄与する可能性があります。
  • 顧客企業の在庫調整による需要変動は一時的な課題となるものの、中長期的には安定した産業需要に支えられています。

5. 技術革新と主力製品

コーセルは、高機能・高品質な電源製品の開発に注力しています。

技術開発動向:

  • 新製品として、高効率・小型化を進めたPDAシリーズ、MUシリーズなどを市場に投入しています。
  • 医療機器向けなど、特定の高度な規格にも対応した製品開発を進め、多様な顧客ニーズに応える体制を整えています。

収益を牽引する製品・サービス:

  • ユニット電源(売上構成比53%): 最も売上を牽引する主力製品であり、様々な産業機器に広く利用されています。
  • オンボード電源(売上構成比28%): 機器の基板上に実装される小型電源で、省スペース化や高密度化が求められる分野で需要があります。
  • PRBX製品(売上構成比15%): 具体的な製品内容は不明ですが、新たな取り組みと位置付けられます。

6. 株価の評価

現在の株価1,254.0円を基に、主要な指標を評価します。
EPS(会社予想 連結): 46.36円
BPS(実績 連結): 1,357.41円
PER(会社予想 連結): 27.07倍
PBR(実績 連結): 0.92倍
配当利回り(会社予想): 4.38%

評価:

  • PERは27.07倍で、業界平均の24.2倍をやや上回っています。これは、今後の業績回復への期待や、高配当利回りが影響している可能性があります。
  • PBRは0.92倍で、業界平均の1.6倍を下回っています。これは、企業の資産価値と比較して株価が低めに評価されていることを示唆しているかもしれません。

7. テクニカル分析

現在の株価1,254.0円は、年初来高値1,256円(本日高値と同じ)、52週高値1,287円に近い水準にあります。年初来安値は916円です。
移動平均線: 50日移動平均(1173.96円)が200日移動平均(1097.43円)を上回っており、短期的な株価は上昇トレンドにあると見ることができます。
直近の株価推移: 過去10日間の株価履歴を見ると、概ね上昇傾向にあります。
高値圏か安値圏か: 現在の株価は、年初来のレンジで見ると比較的高値圏で推移していると言えます。

8. 財務諸表分析

売上高:

  • 2025年5月期:27,052百万円(前期比 △34.7%)
  • 過去12ヶ月:27,052百万円
  • 2024年5月期は41,437百万円と好調でしたが、2025年5月期は前期の大口手配の反動や顧客の在庫調整により、大幅な減収となりました。

利益:

  • 営業利益: 2025年5月期は628百万円(前期比 △90.9%)と大幅減益。売上減に加え、基幹システム再構築に伴う特別損失が影響しました。
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 2025年5月期は△113百万円の赤字(前期は5,169百万円の黒字)。
  • 傾向: 数年間で増収増益の傾向にありましたが、2025年5月期は一時的な要因により大きく落ち込みました。2026年5月期は会社予想で売上高33,325百万円、経常利益2,793百万円とV字回復を見込んでいます。

収益性・効率性(直近12ヶ月):

  • ROE: -0.18%(前期は大幅プラス)
  • ROA: 0.69%(前期は大幅プラス)
  • Operating Margin: -1.75%(前期は大幅プラス)
  • 2025年5月期は赤字転落により、これらの収益性指標は大幅に悪化しています。

安全性:

  • 自己資本比率: 93.1%(2025年5月期実績、前期86.6%から上昇)
  • Total Debt/Equity: 0.50%
  • Current Ratio: 16.88
  • LITE-ONからの新株発行による資金調達もあり、自己資本比率は極めて高い水準を維持しており、財務基盤は非常に強固と言えます。負債も少なく、高い流動性を保持しています。

キャッシュフロー:

  • 営業活動によるCF: 3,858百万円(プラス)。売上債権の減少が主因。
  • 投資活動によるCF: △1,621百万円(マイナス)。設備投資やソフトウェア取得を継続。
  • 財務活動によるCF: 9,228百万円(大幅プラス)。新株発行収入が主因。
  • 全体として現金同等物は大幅に増加しており、豊富な手元流動性を確保しています。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 4.38%
  • 1株配当(会社予想): 55.00円
  • 配当性向(過去12ヶ月): 239.89% (直近のマイナス純利益に基づくと、計算上非常に高くなりますが、実際のDOEは別途設定されています。)

配当方針:

  • コーセルは、2025年5月期の年間配当を55円(中間27円、期末28円)とし、2026年5月期も年間55円を予想しています。
  • 重要な変更として、「株主資本配当率(DOE)3.5%」を目処とする累進配当を基本方針とすることが2025年6月に公表されました。これは、利益水準に関わらず資本に対する一定以上の配当を継続する姿勢を示すものです。

自社株買い:

  • 直近のデータには自社株買いに関する明確な記載はありませんが、LITE-ONとの提携に伴い自己株式の処分は実施されています。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近10日間の取引データを見ると、株価は徐々に上昇基調にあります。50日移動平均線が200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しており、短期的な上昇モメンタムが観測されます。
  • 投資家関心: 2025年5月期の業績悪化は一時的な要因と見られる一方で、LITE-ONとの資本業務提携による成長期待や、DOE3.5%を標榜する累進配当の導入が投資家の関心を集める可能性があります。
  • 出来高: 直近の出来高は平均と比べてやや低水準ですが、株価が年初来高値に迫る動きを見せていることから、今後の動向が注目されます。
  • 信用取引: 信用倍率は1.39倍で、買い残が売り残を上回っています。

11. 総評

コーセルは、産業機器向けスイッチング電源分野で国内上位の地位を確立し、強固な財務体質を持つ企業です。2025年5月期は、国際的な需要変動や国内での基盤システム刷新に伴う一時的な費用により、大幅な減収減益・赤字となりました。しかし2026年5月期には業績の回復を見込んでおり、LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATIONとの資本業務提携を通じたシナジー効果に期待が寄せられます。
財務面では、高い自己資本比率と潤沢な手元資金を保持しており、経営の安定性は極めて高いと言えます。株主還元に関しても、業績の変動にかかわらずDOE3.5%を目途とした累進配当を導入し、株主への還元意欲を示しています。
現在の株価は年初来高値圏で推移しており、市場は業績回復とLITE-ONとの協業による成長期待を織り込みつつあると考えられます。今後の焦点は、LITE-ONとの連携が具体的な売上・利益貢献にどう繋がるか、そしてグローバルな産業機器市場における需要の回復ペースとなるでしょう。
本資料は、提供された情報に基づいて作成された企業分析レポートであり、特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。個別の投資判断は、ご自身の責任と判断において行ってください。本資料に含まれる情報は、正確性および完全性を保証するものではなく、将来の業績を保証するものでもありません。


企業情報

銘柄コード 6905
企業名 コーセル
URL http://www.cosel.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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