4714 リソー教育 企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場するリソー教育(証券コード:4714)について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成しました。
1. 企業情報
リソー教育は、首都圏を中心に個別指導学習塾「TOMAS(トーマス)」を直営展開している企業です。主に小学校、中学校、高校生を対象とした受験指導を提供しています。他にも、医学部受験専門塾「メディックTOMAS」、難関校受験専門塾「Spec TOMAS」、幼児教育の「伸芽会」、プロ家庭教師派遣の「名門会」、学校内個別指導「スクールTOMAS」、合宿形式の人格情操教育を行う「プラスワン教育」、ネイティブ・バイリンガル講師による英語指導「インターTOMAS」など、幅広い教育サービスを手掛けています。
2025年9月1日付で、商号を「株式会社リソー教育グループ」に変更し、持株会社体制へ移行する予定です。
同社は1985年7月6日に設立され、東京都豊島区に本社を置いています。従業員数は1,149人、平均年齢は40.3歳、平均年収は697万円です。
2. 業界のポジションと市場シェア
リソー教育は、個別指導に特化した高付加価値教育サービスを提供する点で業界内で独自のポジションを築いています。「完全1対1」の個別指導を強みとし、既存の集団塾とは異なるニッチな市場でトップクラスの地位を確立しています。
競争優位性:
- 個別指導の質の高さ: 全生徒に独自のカリキュラムと担任講師制を導入しており、きめ細やかな指導が可能です。
- 高付加価値戦略: 医学部受験や難関校受験、幼児教育など、専門性の高い分野で強みを発揮しています。
- 多角的事業展開: 学習塾だけでなく、家庭教師派遣、幼児教育、学校内個別指導など、幅広い年齢層とニーズに応える事業ポートフォリオを持っています。
- 施設開発・提携: 教育特化型ビル「こどもでぱーと」の開発や、他の企業(ヒューリック、コナミスポーツ、UNI SOUNDなど)との提携により、新たな顧客価値創造を進めています。
課題:
- 少子化: 国内市場の少子化は、長期的な顧客基盤の縮小リスクとなります。
- 人件費・賃料の高騰: 首都圏を中心に直営展開しているため、運営コスト(特に人件費、賃料)の増加は収益を圧迫する可能性があります。
- 入試改革への対応: 大学入試制度の多様化に対応し、サービスの質を維持・向上させていく必要があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、高付加価値教育サービスの提供を通じて、社会の変化に対応する人材育成を目指しています。
中期経営計画の主な施策・重点分野:
- 持株会社体制への移行: 2025年9月からの持株会社体制への移行により、グループ全体の経営効率化と事業間のシナジー強化を図ります。
- 「こどもでぱーと」の展開: ヒューリックとの連携による教育特化型ビル「こどもでぱーと」の開発を通じて、幼児教育から学童保育まで一貫した教育環境を提供し、新たな顧客層獲得を目指します。
- DX投資の推進: デジタル化を推進し、学習効率の向上や運営の効率化を図ることで、顧客満足度の向上とコスト最適化の両立を図ります。
- 異業種連携の強化: 他企業との提携により、教育サービスの幅を広げ、新たな収益源の確保を目指しています。UNI SOUNDとの業務提携による中古楽器の買取・販売サービス紹介などが挙げられます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、多様な教育ニーズに対応した複数のブランド展開と、高付加価値戦略によって持続可能性を追求しています。
「完全1対1の個別指導」という高品質なサービスは、費用対効果を重視する顧客層からの継続的な需要が見込めます。また、幼児教育から大学受験、プロ家庭教師まで幅広いセグメントをカバーすることで、少子化の影響を緩和し、特定の市場変動リスクを分散しています。
「こどもでぱーと」のような新たな施設開発や、他社との提携による新サービスの提供は、市場ニーズの変化への適応力を示しており、持続的な成長に向けた取り組みが進行中です。ただし、人件費や賃料の高騰、少子化といったコスト面および需要面の課題への継続的な対応が必要です。
5. 技術革新と主力製品
リソー教育の主力製品は以下の通りです。
* TOMAS(トーマス): 個別指導塾の中核ブランドで、難関校合格を目指す生徒に完全1対1の指導を行います。
* 伸芽会(しんめいかい): 幼児教育の分野で高い実績を持つブランドで、小学校・幼稚園受験対策や総合的な幼児教育を提供します。
* 名門会(めいもんかい): プロ社会人講師による家庭教師派遣サービスで、難関校受験や内部進学対策など、多様なニーズに応えます。
技術革新に関しては、DX投資を推進していることが示されていますが、具体的な製品やサービスに直接組み込まれた独自の技術開発に関する詳細な情報はありません。ただし、教育コンテンツのデジタル化や学習管理システムの活用など、効率的な指導体制構築に向けた取り組みが進められていると推察されます。
6. 株価の評価
現在の株価222.0円をもとに、各種指標を比較します。
* PER(株価収益率)
* リソー教育(会社予想): 18.88倍
* 業界平均: 17.0倍
現在のPERは業界平均と比較してやや高めです。予想EPS(1株当たり利益)11.76円に基づくと、現在の株価222.0円は、PER約18.88倍となります。
-
PBR(株価純資産倍率)
- リソー教育(実績): 3.82倍
- 業界平均: 1.8倍
現在のPBRは業界平均と比較して高めの水準です。実績BPS(1株当たり純資産)58.15円に基づくと、現在の株価222.0円は、PBR約3.82倍となります。
これらの指標から見ると、現在の株価は業界平均と比較して割安とは言えない水準にあります。将来の成長期待や独自性に対する評価が株価に反映されている可能性があります。7. テクニカル分析
現在の株価は222.0円です。
* 年初来高値: 305円
* 年初来安値: 214円
* 50日移動平均: 219.28円
* 200日移動平均: 250.40円
現在の株価222.0円は、年初来安値(214円)に近い水準で推移しており、年初来高値(305円)からは大きく下落しています。
短期の50日移動平均線(219.28円)をやや上回っているものの、中長期の200日移動平均線(250.40円)を大きく下回っています。このことから、株価は中長期的な下降トレンドの中にあり、比較的安値圏に位置していると評価できます。直近10日間の株価推移も220円〜225円の狭いレンジ内での変動であり、明確な上昇・下降トレンドは現れていません。
8. 財務諸表分析
リソー教育の過去数年間の財務状況を見ていきます。
* 売上高:
* 2022年2月期: 30,008百万円
* 2023年2月期: 31,488百万円
* 2024年2月期: 32,215百万円
* 2025年2月期(LTM): 33,394百万円
売上高は着実に増加傾向にあり、持続的な事業拡大を示しています。直近2026年2月期第1四半期も売上高は前年同期比+3.0%と増加を維持しています。
- 利益:
- 営業利益は2023年2月期に一時的に減少したものの、その後回復傾向にあります。2025年2月期(LTM)の営業利益は2,933百万円(営業利益率8.78%)です。
- 純利益も営業利益と同様に2023年2月期の落ち込みから回復し、2025年2月期(LTM)は1,743百万円でした。
- ただし、2026年2月期第1四半期(3月~5月)は季節要因(新学期開始で生徒数が一時的に低水準)と、人件費ベースアップ、賃料上昇、DX投資、広告宣伝などの販売費及び一般管理費の増加により営業損失599百万円を計上しています。この期間における営業利益率(過去12か月)は-8.43%でした。会社は通期業績予想を変更しないとしており、第2四半期以降の講習会等での挽回を見込んでいます。
- 収益性指標:
- 売上総利益率(LTM): 約27.09%を維持しています。
- ROE(実績): 17.14%、直近12か月実績15.62%。資本効率は高く、収益性の良い経営が行われていると言えます。
- ROA(過去12か月): 7.86%。資産の活用効率も良好な水準です。
- 財務健全性:
- 自己資本比率(実績): 54.1%、直近四半期末48.6%。非常に健全な水準であり、財務基盤は安定していると言えます。
- 流動比率(直近四半期):1.63倍。短期的な支払い能力も問題ありません。
- 現金及び預金(直近四半期):7,800百万円。
全体として、財務状況は健全であり、売上も着実に成長していますが、直近の第1四半期は季節要因と費用増により一時的に利益が圧迫されている状況です。
9. 株主還元と配当方針
リソー教育は、株主還元への意識が高い企業です。
* 配当利回り(会社予想): 4.50%
* 1株配当(会社予想): 10.00円
* 配当性向: 95.60%
配当利回りは4.50%と高水準ですが、配当性向が95.60%と非常に高いことが特徴です。これは利益の大部分を配当に回していることを意味します。この高い配当性向が持続可能であるか、会社の成長投資とのバランスを考慮することが重要です。
株主構成では、ヒューリックが50.57%を保有する筆頭株主であり、日本マスタートラスト信託銀行、学校法人駿河台学園などが主要株主となっています。自社も自己株式を保有しています。
直近では、譲渡制限付株式報酬として自己株式を処分しており、これは経営陣へのインセンティブ付与策の一環と考えられます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は220円から225円の範囲で推移しており、大きな変動は見られません。一日の出来高は平均30〜40万株程度で、売買代金も1億円強程度と、市場全体の注目度が特別に高いという状況ではありません。
* 信用取引: 信用買残が1,616,200株、信用売残が683,900株、信用倍率は2.36倍です。買残が売残を上回っており、比較的買い方が多い状態です。
* 直近の株価変動要因: 2026年2月期第1四半期決算で営業損失が拡大したことが、株価にネガティブな影響を与えている可能性があります。ただし、会社側は通期予想を据え置いており、季節要因であることを強調しています。
* ベータ値: -0.21という低いベータ値は、市場全体の動きとは逆相関、または相関が非常に低いことを示しており、市場全体のトレンドとは異なる値動きをしやすい特性があると言えます。
全体としては、直近の株価は年初来安値圏で、明確な上昇モメンタムは不足している状況です。第1四半期の損失というネガティブな情報がある中で、今後の四半期業績の進捗と通期予想達成への確度が投資家の関心を左右するでしょう。
11. 総評
リソー教育は、個別指導塾「TOMAS」をはじめとする高付加価値の教育サービスを中心に、着実に売上を伸ばしている企業です。財務基盤は自己資本比率54.1%と非常に安定しており、ROEも15%台と収益性も良好です。2025年9月には持株会社体制へ移行し、「こどもでぱーと」などの新規事業やDX投資により、少子化などの業界課題に対応しつつ、中長期的な成長戦略を進めています。
一方で、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して高めの水準にあり、直近の株価は年初来安値圏で、中長期的な下降トレンドにあります。2026年2月期第1四半期は季節要因と先行投資により営業損失を計上しましたが、会社は通期の業績予想を据え置いており、今後の業績回復が注目されます。配当利回りは高いものの、配当性向も高く、その持続性には留意が必要です。
今後の注目点としては、持株会社体制への移行効果、重点戦略である「こどもでぱーと」の進捗、DX投資による効率化が収益にどの程度貢献していくか、そして変動費増加を吸収しながら通期予想を達成できるかどうかが挙げられます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率は前年同期比3.66%と着実に成長しています。3年間のCAGRも同水準で、通期売上高予想も前期比+7.8%と伸長を見込んでおり、売上高の堅調な伸びが見られます。
- 収益性: A
- 2025年2月期(LTM)の営業利益率は8.78%と堅実な水準です。ROEは過去12か月で15.62%と高く、資本効率の良い経営が行われています。ただし、直近の2026年2月期第1四半期は季節要因と費用増により営業損失を計上しており、今後の回復が焦点となります。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は実績で54.1%、直近四半期末でも48.6%と50%近い高水準を維持しています。流動比率も1.63倍と充足しており、有利子負債に関する直接的な情報は少ないものの、非常に健全な財務体質であると評価できます。
企業情報
銘柄コード | 4714 |
企業名 | リソー教育 |
URL | http://www.tomas.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.2)」によって自動生成されました。
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