大和工業(5444)企業分析レポート(プライム市場)
株価・指標スナップショット(2025-09-22)
– 株価: 9,693円(時価総額 6,300億円、発行済株式数 6,500万株)
– PER(会社予想・連結): 17.61倍(EPS 550.47円)
– PBR(実績・連結): 1.14倍(BPS 8,510.45円)
– 配当利回り(会社予想): 4.13%(年400円)
– 自己資本比率: 84.8%、ROE(実績): 5.89%
– 50日移動平均: 9,382円、200日移動平均: 8,387円
– 年初来高値/安値: 10,260円 / 6,772円
1. 企業情報
- 概要
- 独立系の電炉大手。主力製品はH形鋼・溝形鋼などの形鋼。鉄スクラップを原料とする電炉法で製造。
- 事業は日本・米国(持分法)・韓国・タイ・インドネシア・ベトナム・中東など国際展開(中東は売却合意に伴い縮小)。
- 鉄鋼(売上構成93%/営業利益率10%台の年もある)に加え、軌道用品(5%)、その他(運送、医療廃棄物処理、不動産、カウンターウエイト等)。
- 特徴
- 形鋼に特化した事業ポートフォリオと、米国・ASEANを含む海外分散。
- 豊富な現預金と極めて低い有利子負債。財務安全性が高い。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内の形鋼(H形鋼)で上位プレーヤー。電炉専業としてコスト柔軟性とCO2面の相対優位(電炉は高炉に比べCO2排出が低め)。
- 海外では、米国拠点(持分法)・タイ・インドネシアなどASEANでのプレゼンスが大きい。
- 競争優位性
- 電炉×形鋼の専業性、地域分散(日本+米国+ASEAN)、健全なバランスシート。
- 米国では大型建築・インフラ需要の取り込み(持分法会社の収益貢献)。
- 課題
- 中国材の輸出増によるASEANでの価格競争激化。
- 日本の建設需要鈍化、電力・償却負担上昇による採算圧力。
- 持分法投資(米国・中東等)の変動が損益ブレ要因。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針・ビジョン(短信等からの要点)
- 形鋼のコアを堅持しつつ、海外事業の最適化と収益基盤の強化。
- 事業ポートフォリオの見直し(中東の株式譲渡合意、インドネシア子会社連結化)。
- 原価低減や歩留まり改善などの現場力強化、鋼材マージンの維持を重視。
- 重点施策
- ASEANでの数量確保とコスト対策(タイ・インドネシア)。
- 日本では需要動向を見極めながら価格・数量バランスを最適化。
- 米国は堅調需要の取り込み継続(持分法会社)。為替・関税・政策動向にも留意。
- 株主還元の強化(安定配当+自己株式取得枠の設定・執行)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 鉄スクラップを主原料とする電炉法により、原料価格や電力コストの変動を価格転嫁・マージン管理で吸収するモデル。
- 地域・通貨・持分法投資による分散でボラティリティを抑制。
- 外部環境適応
- 中国材流入や為替変動による市況変動に対し、製販計画の柔軟化やコスト対策で対応。
- 脱炭素要請には電炉法が相対的に整合的(ESG観点の耐性)。
5. 技術革新と主力製品
- 主力
- H形鋼、溝形鋼、レール用付属品、ビレット、異形棒鋼(地域・拠点により)。
- 技術・独自性
- 電炉・圧延の運転最適化、品質・規格対応力、歩留まり改善などオペレーションの積み上げ。
- 需要地に近い供給体制(米国・ASEAN)で納期・物流面の優位性。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 会社予想ベース
- PER: 17.61倍(EPS 550.47円、株価9,693円)
- PBR: 1.14倍(BPS 8,510.45円)
- 配当利回り: 4.13%(年400円)
- 参考比較(業界平均: PER 8.0倍、PBR 0.6倍)
- PER比較: 17.61倍は業界平均比で高位水準。
- PBR比較: 1.14倍は業界平均比で高位水準。
- 補足計算(機械的比較)
- 業界平均PER 8.0×会社予想EPS 550.47 ≒ 4,404円
- 業界平均PBR 0.6×BPS 8,510.45 ≒ 5,106円
- 現在株価は上記「単純換算値」より上。事業ポートフォリオや財務健全性、海外展開の特性差を市場が織り込む可能性。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 株価は50日・200日移動平均を上回り、中期~長期の上昇トレンド継続。
- 直近は10,260円の年初来高値からの調整局面で、9,700円近辺での保ち合い。
- 位置づけ
- 52週高安の約84%タイル(高値圏寄り)。
- 需給
- 信用倍率 1.28倍、信用買残は前週比+4.6千株でやや積み上がり。直近出来高は3カ月平均をやや下回る水準。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結、百万円)
- 売上高: 150,029(2022)→ 180,438(2023)→ 163,479(2024)→ 168,268(2025/LTM)
- LTM YoY: 約+2.9%、3年CAGR: 約+3.9%
- 営業利益: 13,294 → 16,817 → 17,287 → 12,678(LTM)
- 収益性は足元で低下傾向。2026/1Qの営業利益率は約2.8%(前年比低下)。
- 親会社株主純利益: 39,917 → 65,317 → 70,018 → 31,833(LTM)
- 持分法投資損益の減少や中東関連の損失計上等で大きく変動。
- マージン(目安)
- 粗利率(LTM): 約17.5%
- 営業利益率(LTM): 約7%台 → 2026/1Qは約2.8%まで低下
- キャッシュフロー・財政状態
- 営業CF(LTM): +582.7億円と潤沢。
- 現金等: 2,264.9億円、有利子負債: 15.3億円(D/E 0.27%)、流動比率 11.36倍。
- 自己資本比率 84.8%と極めて健全。
- 効率性
- ROE 5.89%(実績)。高い現金保有と保守的資本構成により資本回転は抑制的。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 会社予想: 年間400円(中間200円+期末200円)。予想利回り約4.1%。
- 2025年は記念配当含む実績あり。2026年予想は据え置き。
- 予想EPS 551.57円に対する配当性向の目安: 約72%(データ提供元の「Payout Ratio 59.7%」は算定基準差異の可能性)。
- 自社株買い
- 取得枠: 上限300万株/255億円(24/11/1〜25/10/31)。
- 2026/1Qに66.0万株(約54億円)取得済。自己株残高 335.8万株。
- 総還元
- 安定配当を基本に、自社株取得も併用。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日
- 高値圏からの調整基調(10,260→9,693)。終値は移動平均上で推移。
- モメンタム
- 52週騰落 +33.5%、β 0.41(低ボラティリティ)。出来高は直近やや細り。
- 影響要因
- 業績見通しの下方修正(営業利益・持分法利益の減少、中東関連損失計上等)。
- 中国材の輸出動向、米国の建設・インフラ需要、為替。
- 近いイベント: 権利落ち日(2025-09-29)、次回決算(2025-10-31予定)。
11. 総評
- 事業面
- 形鋼×電炉に特化し、米国・ASEANを含む分散で需給サイクル耐性を確保。脱炭素文脈でも電炉の相対優位がある。
- 一方で、ASEANでの中国材との価格競争、日本の需要鈍化・コスト上昇で、足元の営業利益率は圧迫。
- 財務面
- 現預金潤沢、負債極小、自己資本比率84.8%と財務健全性は高い。営業CFも強め。
- バリュエーション
- PER・PBRともに業界平均比で高位。海外事業・財務健全性・安定還元などの特性が織り込まれている可能性。
- 還元
- 年400円の配当と自社株買い枠の執行により、総還元の可視性は高い。
- リスク観点
- 中国材輸出、為替、米国景気・建設投資、持分法投資の変動、電力等コストの上振れ。
(注)本レポートは提供データに基づく情報整理であり、投資助言ではありません。記載数値は一部概算を含み、一過性損益は評価から可能な限り除外しています。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性: B
- LTM売上YoY約+2.9%、3年CAGR約+3.9%。ただし直近期の四半期売上成長は▲13.1%で減速。
- 収益性: B
- 粗利率約17%台、LTMの営業利益率は中位水準だが、直近期は約2.8%まで低下。業界サイクル影響を受けやすい。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率84.8%、流動比率11.36倍、D/E 0.27%と極めて健全。
企業情報
銘柄コード | 5444 |
企業名 | 大和工業 |
URL | https://www.yamatokogyo.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.1)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。
評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。
投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。