日本ヒューム(5262)企業分析レポート

株価: 3,920円(2025-09-24終値)/市場: 東証プライム/時価総額: 1,150億円
業種(33区分): ガラス・土石製品/セクター: Industrials

1. 企業情報

  • 概要
    • 1925年創業。太平洋セメント系。下水道向けヒューム管で国内最大手(シェア約2割)。コンクリートパイル、プレキャスト(PC/RC)製品に強み。
    • 主力製品: ヒューム管、推進工法向け内圧管・推進管、ボックスカルバート・アーチカルバート、合成鋼管、組立マンホール、RCセグメント、PC井筒/PRC中空橋脚、抗菌コンクリート等。
    • 事業領域: 製品供給に加え、光ファイバー布設、老朽管路の更生(リハビリ)、耐震対応、建設工事請負、不動産・太陽光、レンタルなど。
  • 事業構成(2025年3月期・連結、カッコ内は目安の利益率情報)
    • 基礎(パイル・基礎製品): 61%(利益率目安 約6%)
    • 下水道関連: 35%(同 約15%)
    • 太陽光発電・不動産: 4%(同 約55%・小規模高採算)
  • 従業員: 549人、平均年齢44.1歳、平均年収662万円
  • 本社: 東京都港区新橋5-33-11

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • 下水道向けヒューム管で国内最大手(シェア約20%)。コンクリートパイルも大手。太平洋セメント系の素材・技術基盤を背景に、プレキャスト領域で製品群が厚い。
  • 競争優位性
    • 長年の設計・施工データと製品ラインナップ、推進工法などの技術対応力。
    • インフラ更新需要(点検・診断・補修)に対し、製品+調査・診断+施工提案の「ワンストップ」対応。
  • 課題
    • 資材・労務費の高止まりによる採算圧迫。
    • 受注・工程の季節性や公共投資動向の影響。民間建設の景況変動。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・中期方針(「23-27計画R」)
    • 下水道の補修・更新市場を重視し、調査・診断・補修提案まで含む一体運営を強化。
    • プレキャスト製品の拡販(施工省力・工期短縮ニーズへの対応)。
    • デジタル化支援:BIM/CIM向け既製コンクリート杭のファミリ無償公開など、設計段階での採用促進。
    • 脱炭素・高機能材料:低炭素高機能コンクリート「e-CON」が土木学会技術開発賞を受賞。
  • 直近期の施策・KPI(短信要旨)
    • 2026年3月期 通期計画(連結): 売上4,000億円、営業利益22億円、純利益22.7億円を計画(前期に対し増収・営業増益、純利益は減益計画)。
    • セグメント戦略: 基礎は採算改善、下水道は受注増を背景に拡大、太陽光・不動産は安定収益源として維持。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • 基礎・下水道製品の継続的需要+インフラ更新(補修・耐震)需要の取り込み。
    • プレキャストの省人・省工期価値で価格競争に依らない付加価値訴求。
    • 太陽光・不動産はポートフォリオ分散とキャッシュ創出に寄与。
  • 持続性評価
    • 老朽化インフラの更新需要は中長期的に底堅い一方、資材・労務コストと公共投資配分の影響を受けやすい。
    • ワンストップ化・デジタル活用・低炭素材による差別化は、需要変化への適応力を高める方向。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発
    • 低炭素・高機能コンクリート「e-CON」など環境対応素材を展開(受賞実績)。
    • 推進工法対応管、抗菌コンクリート、BIM/CIM対応データ提供など、施工性・衛生・設計効率に資する技術。
  • 収益牽引
    • 下水道関連(補修・更新・更生)とプレキャスト領域の拡大が収益改善を牽引。
    • 太陽光・不動産は規模は小さいが利益率が高く、全社採算の底上げに寄与。

6. 株価の評価(バリュエーションの相対比較)

  • 指標(連結)
    • 予想PER: 40.12倍(業界平均18.3倍)
    • 実績PBR: 2.08倍(業界平均1.4倍)
    • 予想EPS: 97.70円、実績BPS: 1,883.55円
    • 予想配当: 年間44円(うち記念配当6円)/配当利回り: 約1.12%
  • 参考比較水準(単純計算)
    • 業界平均PER×同社予想EPS: 18.3×97.7 ≒ 1,790円
    • 業界平均PBR×同社BPS: 1.4×1,883.6 ≒ 2,640円
  • コメント
    • 現在の株価水準は、PER・PBRともに業界平均を上回るレンジに位置。
    • 直近の高成長実績や事業ポートフォリオの変化(下水道更新需要の取り込み)などが織り込まれている可能性。

※本項は相対比較の事実整理であり、投資判断を目的とするものではありません。

7. テクニカル分析

  • 52週レンジ: 高値5,380円/安値1,205円(現値は高値比-約27%、安値比+約225%)
  • 移動平均: 50日MA=3,152円、200日MA=2,108円(現値は両MAを上回る上方乖離)
  • 直近10日: 乱高下を伴う調整局面(出来高は3カ月平均約71万株に対し、直近10日平均約95万株と増加)
  • 信用動向: 信用買残増(+123.8千株)、信用倍率1.94倍(需給はやや買い長)
  • 総括: 中長期では上昇トレンド内、足元は高値圏からの調整と保ち合いの兆し。

8. 財務諸表分析(連結)

  • 売上・利益(単位: 百万円)
    • 売上高: 2022/3 295,010 → 2023/3 318,766 → 2024/3 337,321 → LTM 370,646(3年CAGR約+7.9%、直近YoY約+9.9%)
    • 営業利益: 14,500 → 12,362 → 13,817 → 20,220(LTM)
    • 親会社純利益: 21,362 → 16,424 → 19,124 → 30,456(LTM)※一過性項目含む。正規化利益は約25,486。
  • 収益性(LTMベースの概算)
    • 粗利率: 約19.6%(7,263/37,065)
    • 営業利益率: 約5.5%(2,022/37,065)
    • 当期純利益率: 約8.2%(3,046/37,065)
    • ROE: 7.27%、ROA: 1.80%
  • バランスシート・CF
    • 自己資本比率: 74.4%(2025/3期末)→ 76.0%(2025/6末)
    • 現金同等物: 117.4億円、有利子負債: 8.5億円程度(ネットキャッシュ)
    • 流動比率: 約2.96倍(流動資産25,803/流動負債8,704)
  • セグメント(2026年3月期1Q・対前年同四半期)
    • 基礎: 売上4,389百万円(-30.4%)、利益339百万円(-59.1%)
    • 下水道関連: 売上3,248百万円(+39.3%)、利益643百万円(+63.4%)
    • 太陽光・不動産: 売上371百万円(+3.6%)、利益218百万円(+4.2%)
    • 会社全体: 売上8,034百万円(-10.8%)、営業利益629百万円(-29.6%)
  • 補足
    • LTMの純利益には一過性項目(約6.27億円)が含まれるため、平常時の稼ぐ力は正規化利益で把握するのが妥当。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 実績(2025/3期): 年間38円(中間19円・期末19円)
    • 予想(2026/3期): 年間44円(普通38円+創立100周年記念6円)
    • 予想配当性向: 約45%(44円/予想EPS 97.7円)、実績配当性向(参考): 約29%(38円/実績EPS約130円)
  • 自社株
    • 2025/6末の自己株式数: 6,113,812株(発行済みの約21%)と高水準。資本政策の柔軟性や1株価値への寄与に留意。
  • その他
    • 大株主に太平洋セメント関連信託や金融機関。インサイダー持株比率は約40%(参考データ)。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落率: +217%(市場平均を大幅に上回る)
  • 出来高: 直近10日平均が3カ月平均を上回り、関心は高水準。
  • 需給: 信用買いの積み上がりと売り残減少。イベントとして直近の配当落ち日(2025/9/29)が近く、短期の需給変動に影響の可能性。
  • 影響要因
    • 下水道更新需要の顕在化、技術評価(e-CON受賞)、中計の進捗。
    • 一方、資材・労務費、工程進捗、為替差損益などのブレが収益・評価に影響。

11. 総評

  • 事業面: 下水道更新とプレキャストの構造的需要を捉え、ワンストップ体制やデジタル対応、低炭素材で差別化を進めている。下水道関連の採算が全社利益を牽引。
  • 財務面: 自己資本比率が高く、ネットキャッシュで財務健全性は良好。LTMベースで増収・増益傾向だが、1Qは基礎事業の減速で減収・減益。季節性と受注進捗に留意。
  • 株価面: 52週で大幅上昇し、PER・PBRは業界平均を上回るレンジ。直近は高値からの調整と保ち合い。出来高増と信用買い増で短期の振れ幅に注意。
  • 中期視点: インフラ更新需要とプレキャスト化の追い風に適合する戦略。コスト環境とプロジェクト進捗管理が収益安定化の鍵。

※本レポートは公開情報に基づく客観的な整理であり、投資勧誘や投資助言を目的とするものではありません。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性: A
    • 根拠: LTM売上YoY約+9.9%、3年CAGR約+7.9%。直近1Qは-10.8%だが、通期計画は増収見通し。
  • 収益性: B
    • 根拠: LTM営業利益率約5.5%、粗利率約19.6%。下水道関連は高採算だが、全社平均は業界中位レンジ。
  • 財務健全性: S
    • 根拠: 自己資本比率76%、流動比率約3.0倍、D/E約1.9%、ネットキャッシュ。健全性は高い。

【近々の予定】
– 配当権利落ち日: 2025-09-29
– 決算発表ウィンドウ(予定): 2025-08-07〜08-12(次回以降は会社開示をご確認ください)

【参考指標(2025-09-24時点)】
– 予想PER: 40.12倍/実績PBR: 2.08倍
– 配当利回り(会社予想): 1.12%
– 50日/200日移動平均: 3,152円/2,108円
– 信用倍率: 1.94倍


企業情報

銘柄コード 5262
企業名 日本ヒューム
URL http://www.nipponhume.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – ガラス・土石製品

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.1)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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