1. 企業情報

gooddaysホールディングスは、ITシステム開発と「暮らし」関連事業を二つの柱として展開しています。IT分野では、流通業界向けのクラウドPOSシステム「Redx」の開発・提供を主軸とし、金融機関や流通向けの個別システム開発・保守サービスも手掛けています。一方、「暮らし」分野では、賃貸物件のリノベーション設計・施工、不動産賃貸情報サイト「goodroom」の運営、リノベーション済み賃貸物件「goodroom residence」やシェアオフィス「goodoffice」の開発・運営を行っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

当社はITと不動産(暮らし)の両領域で事業を展開しており、それぞれの市場で競争に直面しています。IT事業におけるクラウドPOS「Redx」は百貨店などへの導入事例を増やしており、SaaSモデルによる標準化推進で競争力強化を図っています。暮らし事業では、自社で賃貸物件のリノベーションから運営まで一貫して手掛けることで、独自の付加価値を提供しています。市場シェアに関する具体的なデータは提供されていませんが、ITと不動産の掛け合わせによる複合的なサービス展開が当社の競争優位性の一つと考えられます。課題としては、IT事業における個別開発とSaaSビジネスのバランス、暮らし事業における大型リノベーション案件の受注変動や、先行投資負担が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は「ビジネスモデル変革」をビジョンに掲げ、従来の個別対応型ビジネスから、クラウドPOS「Redx」に代表される標準化されたSaaS型プロダクト・サービスへの移行を加速させています。これにより、IT事業の効率化とストック収益の強化を目指しています。「暮らし」事業では、賃貸情報サイト「goodroom」のブランド力強化と、「goodroom residence」の稼働室数拡大を重点分野としており、短期目標として約300室、2年間で累計2,000室の稼働を目指す計画です。直近の第1四半期は、新拠点開設や新サービス投入に向けた先行投資期間と位置づけられ、中長期的な事業基盤の強化に注力していると説明されています。

4. 事業モデルの持続可能性

IT事業におけるクラウドPOSのSaaSモデルへの移行は、安定的なストック収益の確保に繋がり、事業の持続可能性を高める要素です。また、AIを用いたソリューション開発への着手も、将来の市場ニーズへの適応力を示しています。「暮らし」事業は、賃貸リノベーションと賃貸住宅運営(goodroom residence)の両軸で収益を上げています。特に「goodroom residence」の稼働室数拡大は、安定した賃貸収入というストック収益の強化に貢献します。不動産市場や賃貸ニーズの変化に影響を受けるものの、多様なサービス展開によりリスク分散を図っています。

5. 技術革新と主力製品

ITセグメントでは、クラウドPOS「Redx」が主力製品であり、免税業務対応や百貨店向け標準パッケージの展開、モバイルオーダー(NEWPORT)とのSaaS連携など、機能拡張と導入事例の拡大が進められています。AIを用いたソリューション開発にも着手しており、技術革新への意欲が見られます。独自の付加価値としては、ITノウハウと不動産知見を融合させた事業展開が挙げられます。「暮らし」セグメントでは、「goodroom」ウェブサイト運営、「goodroom residence」および「goodoffice」の開発・運営、賃貸リノベーションが収益を牽引しています。

6. 株価の評価

  • 株価: 693.0円 (2025年9月25日終値)
  • PER(会社予想): 10.61倍
  • EPS(会社予想): 65.29円
  • PBR(実績): 1.57倍
  • BPS(実績): 440.37円

現在の株価693.0円は、会社予想EPS 65.29円に基づくとPERは10.61倍です。業界平均PERが66.2倍と比較すると、当社のPERは大幅に低い水準にあります。また、実績BPS 440.37円に基づくとPBRは1.57倍で、業界平均PBR 3.5倍と比較しても低い水準です。これは、グロース市場銘柄の将来性への期待や、直近の先行投資による一時的な利益圧迫などが、市場評価に影響を与えている可能性があります。

7. テクニカル分析

現在の株価693.0円は、年初来高値819円と比較すると約15.4%低い水準にあります。一方で、年初来安値555円からは約24.9%高い水準です。
直近の株価推移をみると、現在の株価は50日移動平均線(732.78円)を下回っており、200日移動平均線(680.61円)をわずかに上回っています。直近10日間の株価は671円から703円の範囲で推移しており、出来高は低水準で推移しています。現在の株価は年初来の範囲で見ると高値圏とは言えず、どちらかというと調整局面にあると見られますが、安値圏とも断定できない位置にあります。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間で堅調に増加しており、2022年3月期の6,108百万円から過去12か月では8,805百万円と成長を続けています。ただし、直近の2026年3月期第1四半期(3ヶ月)は前年同期比+1.2%の微増に留まっています。
  • 利益: 営業利益は過去数年間は安定して黒字を維持していましたが、2026年3月期第1四半期では先行投資の影響で26百万円の営業損失を計上しました。純利益も同様に過去は黒字でしたが、直近四半期ではほぼゼロとなっています。粗利率は過去数年で低下傾向にあり、第1四半期では約20.3%まで低下しています。
  • ROE: 実績ROEは11.72%、過去12か月では9.83%と、資本を効率的に活用している水準を示しています。
  • ROA: 過去12か月のROAは5.70%と、総資産に対する利益貢献も堅調です。
  • 自己資本比率: 直近四半期末で50.0%(実績では54.8%)と非常に健全な水準であり、財務基盤の強さを示しています。
  • 流動比率: 直近四半期末で1.19と、短期的な支払い能力は確保されていますが、より余裕があることが望ましいでしょう。
  • D/Eレシオ: 直近四半期末で39.89%と低く、負債依存度が低い健全な財務状況を示しています。
  • キャッシュフロー: 詳細な四半期キャッシュフローは提供されていませんが、直近四半期で長期借入金が計上され、現金及び預金が減少していることから、投資活動に伴う資金変動が見られます。

9. 株主還元と配当方針

会社予想配当利回りは0.58%(1株配当4.00円)であり、配当性向は9.02%と低い水準です。これは、利益の大部分を内部留保し、事業拡大のための再投資に回しているグロース企業としての戦略を示唆しています。自社株買いに関する情報は今回提供されていません。現在の配当水準は株主還元を重視するというよりも、成長投資を優先していると解釈できます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は、2025年9月10日の高値703円から、9月25日の693円まで、一部の日は上昇しながらも全体としてはやや下落傾向にあります。出来高は低水準で推移しており、市場の関心は限定的と見られます。株価の52週変化率は-3.22%と、S&P 500の同時期変化率+15.54%と比較してパフォーマンスは弱いです。
株価への影響要因としては、直近の第1四半期決算で営業損失を計上したことが市場にはネガティブに受け止められる可能性があります。しかし、会社側はこれを中長期成長のための先行投資と説明しており、IT事業における「Redx」の導入拡大や「goodroom residence」の稼働室数増加といった成長戦略の具体的な進捗が、今後の投資家関心と株価モメンタムを左右する主要な要因となるでしょう。

11. 総評

gooddaysホールディングスは、ITと不動産という異なる分野を組み合わせることで、独自の事業モデルを構築している企業です。IT事業ではSaaSモデルへの転換、暮らし事業ではストック収益の強化を掲げ、中長期的な成長を目指しています。過去数年の業績は売上成長が堅調でしたが、直近の2026年3月期第1四半期では、先行投資の影響により営業損失を計上しています。会社は通期での黒字回復を見込んでおり、これらの投資が将来の収益に繋がるかが注目されます。
財務健全性は自己資本比率が50%を超えるなど非常に良好ですが、直近では長期的投資のための借入も増加しています。株価は年初来のレンジでは中間に位置し、PERやPBRは業界平均と比較して低めです。株主還元は控えめであり、成長投資を優先する姿勢が見られます。今後の評価は、先行投資が実を結び、計画通りの事業成長と収益改善が達成されるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性:C
    • 過去12か月の売上成長率は堅調ですが、直近四半期の売上成長率は鈍化し、営業利益が赤字に転落しているため、一時的に成長に課題が見られます。
  • 収益性:C
    • 直近四半期で営業損失を計上し、粗利率も低下傾向にあります。先行投資の影響が大きいものの、現時点での収益性は課題があると評価されます。
  • 財務健全性:A
    • 自己資本比率が50.0%と高く、D/Eレシオも低水準であり、非常に健全な財務体質を有しています。

企業情報

銘柄コード 4437
企業名 gooddaysホールディングス
URL https://gooddays.jp/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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By ジニー

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