1. 企業情報

トレンドマイクロは、日本および世界でセキュリティ関連ソフトウェアの開発・販売とその関連サービスを提供している企業です。特に法人向けのウイルス対策ソフトで国内首位の地位を確立しており、世界市場でも高いシェアを誇ります。個人向け製品としては「ウイルスバスター」が主力として知られています。
近年は、法人向け統合プラットフォームであるXDR (Extended Detection and Response) に注力しており、クラウドセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、メールセキュリティ、OT/ICS (産業制御システム) セキュリティなど、幅広いサイバーセキュリティソリューションを提供しています。事業構成は個人(Home)向けが20%、法人(Business)向けが80%となっており、売上高の約69%を海外事業が占めるグローバル企業です。

2. 業界のポジションと市場シェア

トレンドマイクロは法人用ウイルス対策ソフトで国内首位、世界でも高シェアを占める情報セキュリティ業界のリーディングカンパニーです。長年の実績と「ウイルスバスター」などの製品で培ったブランド力があり、技術力と顧客基盤を背景に競争優位性を確立しています。
市場の競争は激しいものの、同社は法人向けで統合プラットフォーム「Trend Vision One」やAI/SOC関連技術への注力により、クラウドや生成AIの普及に伴う新たな脅威に対応するセキュリティニーズの高まりを捉える戦略を進めています。
課題としては、サイバー攻撃の手口が巧妙化・多様化する中で継続的な技術革新が必須であること、グローバル展開における為替変動や各国のIT投資動向、政策変更が業績に影響を与える可能性がある点が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

トレンドマイクロは、法人向け統合セキュリティプラットフォーム「Trend Vision One」やAIを活用した次世代SOC(Security Operation Center)ソリューションに重点を置いています。これにより、企業の攻撃対象領域 (Attack Surface) を包括的に管理し、検出から対処までを一貫して行うことで、顧客のセキュリティリスクを低減する戦略を推進しています。
決算短信では、Vision One等のプラットフォームやAI/SOC関連が各地域で成長ドライバーとして位置付けられていることが示されており、サイバーセキュリティの高度化と複雑化に対応するソリューション提供を通じて、企業価値の向上を目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

トレンドマイクロの事業モデルは、法人向けセキュリティ製品とサービスが収益の大部分を占め、サブスクリプション型サービスが多いため、安定的な収益基盤を有しています。世界的にサイバー攻撃の脅威が増大し、生成AIの普及に伴う新たなリスクも顕在化していることから、情報セキュリティ市場のニーズは今後も高まっていくと予想されます。
同社はグローバル展開(海外売上比率69%)により、特定の地域リスクを分散し、各国の成長機会を取り込むことが可能です。法人向け統合プラットフォームへの注力は、多様なセキュリティ課題を持つ企業ニーズに柔軟に対応し、顧客との長期的な関係構築を通じて収益の持続性を高めることに寄与すると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

同社の主力製品は個人向けの「ウイルスバスター」ですが、現在の収益と将来の成長を牽引しているのは法人向けのセキュリティソリューションです。特に「Trend Vision One」は、攻撃対象領域管理、拡張検知と対応(XDR)、クラウドセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、メールセキュリティ、OT/ICSセキュリティといった多岐にわたるソリューションを統合し、顧客に提供しています。
技術開発においては、AIを活用した次世代SOC関連技術に力を入れており、巧妙化するサイバー脅威に対する防御能力の強化と、運用効率の向上を図っています。

6. 株価の評価

現在の株価8120.0円に対し、会社予想EPSは229.92円、実績BPSは830.82円です。
これにより算出されるPERは約35.31倍、PBRは約9.77倍となります。
業界平均のPERが23.2倍、PBRが2.3倍と比較すると、現在のPERおよびPBRは業界平均を大きく上回る水準にあります。

7. テクニカル分析

現在の株価は8120.0円です。年初来高値が12,160円、年初来安値が7,731円であり、現在の株価は年初来安値に近い水準に位置しています。
直近10日間の株価推移を見ると、2025年2月末から3月上旬にかけて11,000円台で推移していましたが、その後は下降トレンドとなり、10,000円前後まで下落しています。現在の株価(8120.0円)は直近の株価履歴よりもさらに低い水準にあります。
また、50日移動平均線(8495.98円)と200日移動平均線(9522.86円)をともに下回っており、短期および中長期的な下降モメンタムにあると見ることができます。これらの情報から、現在の株価は比較的安値圏に位置していると評価できます。

8. 財務諸表分析

売上高:

過去数年間で一貫して増加傾向にあります。
2021年:190,359百万円 → 2022年:223,795百万円 → 2023年:248,691百万円 → 2024年:272,638百万円(連結)
直近の過去12か月間の売上高は272,013百万円で、前期比は横ばい。2025年12月期第2四半期の中間期売上高は前年同期比△0.5%とわずかに減少しており、四半期ベースの売上成長率は△3.20%と減速が見られます。通期予想も下方修正されています。

利益:

営業利益は2023年に一時的に減少したものの、2024年には48,106百万円に回復。過去12か月では52,143百万円を計上しています。2025年第2四半期の中間期営業利益は、コスト抑制が寄与し前年同期比+16.5%と増加しました。
純利益は2023年に税金費用等の影響で一次的に大きく減少しましたが、2024年には34,358百万円に回復しています。しかし、2025年第2四半期の中間期純利益は、為替差損の影響により前年同期比△19.9%と減少しています。

収益性指標:

  • ROE(過去12か月): 28.87%と非常に高い水準を維持しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることが示されます。
  • ROA(過去12か月): 8.65%と健全な水準です。
  • 営業利益率(過去12か月): 20.28%と高い収益性を確保しています。

財務健全性:

  • 自己資本比率(実績): 29.2%と、一般的に健全とされる40%の目安を下回っています。しかし、ITサービス業の特性を考慮する必要もあります。
  • 流動比率(直近四半期): 1.15と、短期債務の支払い能力は確保されていますが、より高い水準が望ましいとも考えられます。
  • キャッシュフロー: 過去12か月の営業活動によるキャッシュフローは54.13Bと潤沢であり、財務の安定性に寄与しています。総現金も211.54Bと手厚く保有しています。

9. 株主還元と配当方針

トレンドマイクロは「総還元性向100%」を方針として掲げており、利益を積極的に株主へ還元する姿勢を示しています。
トラベリング配当利回り(過去12ヶ月の実績より)は2.25%で、フォワード配当利回り(会社予想に基づく)は2.94%です。配当性向は78.80%となっています。
直近の決算短信では、中間配当は0.00円で、2025年12月期の期末配当予想は未定とされていますが、「総還元性向100%」の方針から、通期での利益に応じた高水準な配当が期待されます。2024年12月の期末配当は184.00円でした。

10. 株価モメンタムと投資家関心

現在の株価は8120.0円であり、年初来高値12160円に対して約33%下落した水準にあります。直近の株価は、50日移動平均(8495.98円)および200日移動平均(9522.86円)をともに下回っており、下降モメンタムが続いています。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回る信用倍率5.55倍となっており、買い残優勢の状況です。直近10日間の平均出来高が3ヶ月平均を上回っており、株価下落局面で出来高が増加していることは、売り圧力の強さを示唆する可能性があります。
株価に影響を与える要因としては、直近の業績予想の下方修正が挙げられます。特に、米国の関税政策に伴う顧客行動の不確実性や、円高への為替見通しの変更が売上高と利益に影響を与えるとしています。一方で、高まるサイバーセキュリティ需要や法人向けプラットフォームの浸透が、今後の株価を支える要因となる可能性があります。

11. 総評

トレンドマイクロは、情報セキュリティ市場において国内首位、世界でも高シェアを誇る安定した事業基盤を持つ企業です。法人向け統合プラットフォーム「Trend Vision One」やAI/SOC関連技術への注力により、成長戦略を推進しています。
財務面では、売上高は堅調に推移しており、営業利益率やROEも高水準であることから、収益性は高いと評価できます。一方で、直近の中間期決算では、為替差損の影響で純利益が減少しており、通期業績予想も下方修正されました。自己資本比率や流動比率は業界特性を考慮しつつも、さらなる改善の余地があるかもしれません。
株主還元については総還元性向100%を掲げ、積極的な還元姿勢を示しています。株価は年初来安値圏に近く、短期・長期移動平均線を下回る下降モメンタムにあります。PER・PBRは業界平均と比較し割高な水準であるため、市場は同社の成長性や収益性を高く評価している一方で、直近の業績懸念や外部環境の変化が株価に影響を与えていると見られます。

12. 企業スコア

  • 成長性: B

    直近の売上高は横ばい傾向にあり、2025年第2四半期売上高は前年同期比△0.5%と減速が見られます。通期業績予想も下方修正されており、成長のモメンタムは一時的に鈍化していると判断されます。ただし、過去数年の売上高は着実に増加してきました。
    * 収益性: A

    過去12か月の営業利益率20.28%、ROE28.87%は非常に高い水準であり、粗利率も75%を超えて安定しています。ただし、直近四半期の純利益が減少したため、S評価ではなくA評価としました。
    * 財務健全性: B

    自己資本比率29.2%と流動比率1.15は、一般的に健全とされる水準を下回ります。しかし、潤沢な現金保有(211.54B)と安定した営業キャッシュフロー(54.13B)があり、直ちに倒産リスクがあるわけではないため、中程度の健全性と評価します。有利子負債は少ないと見られます。
    * 株価バリュエーション: C

    PER(35.33倍)とPBR(9.78倍)は、それぞれ業界平均(PER 23.2倍、PBR 2.3倍)を大幅に上回っており、現在の株価は割高な水準にあると評価されます。


企業情報

銘柄コード 4704
企業名 トレンドマイクロ
URL http://www.trendmicro.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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By ジニー

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