富士ピー・エス(1848)企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場する富士ピー・エス(証券コード: 1848)について、個人投資家向けに企業分析を行います。
1. 企業情報
富士ピー・エスは、プレストレスト・コンクリート(PC)工法を専門とする日本の大手建設会社です。主な事業内容は、高速道路や鉄道橋、一般道路橋などの橋梁、高架橋、貯水槽といった土木構造物の設計・建設、さらには既存の土木構造物の補修、補強、更新工事を手掛けています。また、マンションなどのPC建築物の設計・建設や、既製PC橋桁、PC枕木、床版などのPC製品の製造・販売も行っています。特に、耐震補強工法やPCタンク、PC枕木などの分野に強みを持っています。事業構成は、土木事業が約67%、建築事業が約32%を占め、官公庁向けの土木工事が大半を占めるのが特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社はPC工法における大手企業として、日本のインフラ整備において独自の技術と実績を築いています。橋梁建設や修繕、PC枕木などのニッチかつ専門性の高い分野で強みを発揮しており、官公庁からの安定した需要に支えられています。インフラの老朽化対策が喫緊の課題となっている日本では、同社が手掛ける補修・補強・更新・メンテナンス事業へのニーズは今後も堅調に推移すると見込まれます。
一方で、建設業界全体が直面する建設資材・エネルギー価格の高騰、運送費・人件費の上昇、そして深刻な人手不足は同社にとっても課題です。また、公共工事の発注スケジュール変動が、受注や売上に影響を与えるリスクもあります。特定の市場シェアに関する具体的なデータは提供されていませんが、PC工法における専門性が競争優位性となっています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、中期経営計画「VISION2030」の第5次中期計画を推進しており、経営リソースの拡充を主要テーマとしています。具体的には、人材育成、技術開発、設備投資、財務体質の強化を重点分野としています。工場リニューアルによる生産性向上、デジタル技術を活用したDX推進に加え、環境負荷低減目標であるSBT認定に向けた取り組みや、メンテナンス事業の拡大なども戦略の重要な柱となっています。これらの取り組みを通じて、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、PC工法という専門技術を核に、土木・建築分野で多岐にわたるインフラ整備や建築需要に応えることで収益を上げています。特にインフラの老朽化対策という社会的なニーズは、同社の土木事業にとって持続的な需要を生み出す基盤となります。
しかし、公共工事は国の予算や政策に影響を受けやすく、発注の後ろ倒しなどが受注を不安定にするリスクがあります。また、建設費用の高騰や労働力不足は、収益性を圧迫する持続的課題です。同社がメンテナンス事業の拡大や生産性向上、DX推進を掲げていることは、これらの市場ニーズや変化に適応し、事業モデルの持続可能性を高めるための取り組みであると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
富士ピー・エスは、プレストレスト・コンクリート(PC)工法という独自の技術を中核としています。これはコンクリートにあらかじめ圧縮力を与えることで、外部からの力に対する耐久性や強度を高める技術であり、橋梁や高層建築物などの大規模構造物の建設に不可欠です。
主力製品・サービスとしては、高速道路や鉄道橋などの「PC橋梁」、一般的な道路橋、高架橋、大型水槽などの「土木構造物」、マンション等の「PC建築物」、そして「PC枕木」や「PC橋桁」などの既製PC製品があります。特に、インフラの長寿命化に貢献する「耐震補強」や「メンテナンス技術」は、今後の収益を牽引する重要な分野と位置づけられます。
6. 株価の評価
現在の株価533.0円に対し、会社予想EPSは44.18円です。これにより、PER(株価収益率)は12.06倍となります。一方、実績BPS(1株当たり純資産)は694.66円であり、PBR(株価純資産倍率)は0.77倍です。
業界平均PERが11.3倍、業界平均PBRが0.7倍であることと比較すると、同社のPERは業界平均よりやや高く、PBRも業界平均よりやや高い水準にあります。PERは若干の割高感を示唆する可能性がありますが、PBRが1倍を下回っていることから、純資産から見れば割安と評価することもできます。なお、2025年3月期の純利益には一過性の特別利益が含まれており、これを調整した場合のEPSは会社予想より低くなる可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価は533.0円で、直近10日間の株価推移を見ると、600円台から下降傾向にあり、本日の価格は直近安値となっています。52週高値606.00円、52週安値383.00円のレンジの中では、高値圏に位置するというよりは、直近で下落し、50日移動平均線546.28円を下回っている状況です。200日移動平均線461.17円は上回っていますが、短期的な下降トレンドにあると判断できます。
売上と利益
- 売上高: 過去数年で増加傾向にあり、2022年3月期の27,301百万円から、2025年3月期には33,771百万円へと成長しています。過去12か月では前年同期比18.23%増と堅調な売上成長を示しています。直近の2026年3月期第1四半期も売上高は8,146百万円(前年同期比+5.6%)と増加しています。
- 利益: 営業利益は過去数年で変動が大きいですが、2025年3月期は大幅な純利益を計上しました(Net Income Common Stockholders 2,187百万円)。ただし、この期は「Total Unusual Items」として2,308百万円が計上されており、一過性の特別利益が大きく寄与している可能性があります。これを除いた「Normalized Income」は559百万円となり、実態としての利益水準はより低いと見られます。
- 2026年3月期第1四半期は、営業利益が351百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が203百万円となり、前年同期の損失から黒字転換を果たし、利益性が改善傾向にあります。
効率性と健全性
- ROE(実績): 19.26%(過去12か月では22.39%)と効率的に自己資本を活用していることを示しています。ただし、一過性利益がROEを押し上げている可能性を考慮する必要があります。
- ROA(過去12か月): 2.44%
- 自己資本比率(実績): 32.6%(2025年6月30日時点では34.4%)。建設業としては標準的ですが、40%を下回る水準であり、財務の安定性には注意が必要です。
- 流動比率(直近四半期): 1.17(117.5%)。短期的な債務返済能力は健全性の目安である100%を上回っています。
- D/E比率(負債資本倍率、直近四半期): 72.44%(ただし、決算短信のデータから計算すると負債合計/純資産合計は191%となり、借入依存度はやや高い水準にあります)。
キャッシュフロー
- 第1四半期決算では、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、直近のキャッシュフローの動向は評価できません。
9. 株主還元と配当方針
同社の配当利回り(会社予想)は2.63%、1株配当(会社予想)は14.00円です。直近の配当性向は10.55%と低く設定されており、利益の大部分を内部留保し、事業投資や財務体質強化に充てる方針と推測されます。
2025年3月期の年間配当実績は13円でしたが、2026年3月期は年間14円に増配予想を発表しています。自社株買いについては、決算短信で自己株式の保有状況が示されていますが、積極的な自社株買いの発表は直近では確認されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は高値600円台から533円まで下降傾向にあり、短期的な下落モメンタムが見られます。
信用取引においては、信用倍率が0.35倍と低く、信用売残が信用買残を大きく上回っています。これは、今後株価が上昇した場合に、信用売りの買い戻しが株価をさらに押し上げる要因となる可能性があります。
株価への影響を与える要因としては、公共投資予算の動向、インフラ老朽化対策の進捗、主要工事の受注状況と採算性、建設資材・労務費の価格変動、そして自然災害後の復旧需要などが挙げられます。足元では、土木事業における発注の後ろ倒しや建設コストの上昇が株価の重しとなる可能性があります。
11. 総評
富士ピー・エスは、プレストレスト・コンクリート工法に特化した高い技術力を持つ建設会社です。インフラ老朽化対策という社会的なニーズに応え、土木事業を中心に安定した受注基盤を持っています。売上高は継続的に成長しており、直近四半期では利益性も改善傾向にあります。
しかし、2025年3月期の純利益は一過性の特別利益に大きく依存していると見られ、経常的な収益性には注意が必要です。建設資材・労務費の高騰や公共工事の発注変動、人手不足といった業界全体のリスクは同社にも影響を与えます。
財務面では、自己資本比率が40%を下回り、改善の余地があると考えられますが、短期的な流動性には問題はありません。株価は業界平均と比較し、PER・PBRともに若干割高感があるものの、純資産に対しては割安とも解釈できます。現在の株価は短期的には下降トレンドにあるため、今後の業績進捗や市場環境の変化を注視する必要があるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 直近のLTM売上成長率が18.23%と高く、過去3年間のCAGRも7.6%と堅調な売上成長を継続しているため、高評価。
- 収益性: B
- 2025年3月期の純利益は一過性の特別利益が大きく寄与しており、これを調整した実質的な利益水準は平均的と見られます。ただし、直近四半期の営業利益率は改善傾向にあり、今後の推移が注目されます。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率が32.6%(直近四半期34.4%)と40%を下回る水準であり、業界平均と比較してもやや低い傾向にあるため、健全性には注意が必要と判断されます。流動比率は100%を超えており、短期的な支払能力は問題ありません。
- 株価バリュエーション: B
- PER(12.06倍)およびPBR(0.77倍)がともに業界平均(PER 11.3倍、PBR 0.7倍)よりやや高い水準にありますが、極端な割高感はなく、平均的なバリュエーションと評価されます。
企業情報
銘柄コード | 1848 |
企業名 | 富士ピー・エス |
URL | http://www.fujips.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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