栗田工業(6370)企業分析レポート
注記:本レポートは公開情報の整理・定量評価を目的としたものであり、投資助言を行うものではありません。数値は連結ベース(特記なき限り)です。
1. 企業情報
- 概要
- 総合水処理の国内最大手。装置(超純水製造・排水再生等)と薬品(ボイラー・冷却水・RO膜関連等)、継続契約型サービス(超純水供給、運転・保守、精密洗浄、遠隔監視)をワンストップで提供。
- 電子市場(半導体・FPD等)と一般水処理市場(一般産業・公共)を両輪に、海外比率は52%(2025/3期)。
- 事業セグメント
- 電子市場:約45%(2026/3期1Q)…超純水供給、精密洗浄、装置・メンテ
- 一般水処理市場:約55%(同上)…装置・メンテ・薬品、土壌/地下水浄化等
- 組織トピック
- 2025/4/1付で米国Avista TechnologiesをKurita Americaへ吸収合併(北米で製品・技術統合)。
- 自己株式取得を実施(2025年1Q、取得額約122億円)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内では総合水処理の最大手。装置×薬品×継続サービスの統合提供に強み。超純水供給(長期契約の継続収益)と水処理薬品の安定性が基盤。
- 競争環境(例)
- 国内:オルガノ、メタウォーター等(事業焦点は各社で異なる)。
- 海外:Ecolab、Veolia、Xylem 等の大手が水処理薬品・装置・運用分野で存在。
- 競争優位性と課題
- 優位性:長期契約型サービス、装置納入後の薬品・メンテ連鎖、半導体分野の品質要求に対応する技術と運転ノウハウ。
- 課題:半導体設備サイクルの変動影響、大型案件の前後期偏在、為替(円高時の外貨売上目減り)・地域景況の影響。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方針(要旨)
- 「装置+薬品+継続契約型サービス」の組合せによるソリューション拡大。
- 海外強化(北米・欧州の薬品/サービスの統合、M&A活用)。
- 中期施策・重点
- 継続収益型(超純水供給、運用・保守、遠隔監視)の拡大。
- 電子市場での装置大型案件とサービスの組合せ強化、一般水処理でのメンテ・再生・薬品の収益性改善。
- ポートフォリオ最適化(セグメント帰属の見直し、収益性指標の管理)。
- 2026/3期会社計画(据置)
- 売上高 4,250億円(+3.9%)
- 営業利益 535億円(+71.1%)
- 親会社帰属当期利益 363億円(+78.8%)
- 1株利益 330.72円
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 長期契約・継続課金(超純水供給、薬品、メンテ)が安定収益源。装置は案件の期ズレがある一方、納入後の薬品・メンテで継続収益化。
- 市場ニーズ適応
- 半導体の高水質ニーズ、循環・再生(排水再利用)、規制強化・ESG対応に沿う領域で技術・運用ノウハウを展開。
- リスク耐性
- 地域・顧客分散とサービス比率拡大で業績変動の平準化を志向。為替や大型案件のタイミング変動には注意が必要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 超純水製造・運転ノウハウ、RO膜関連薬品やプロセス薬品、遠隔監視・運転最適化などの運用技術。
- 北米の薬品技術統合(Avista)により膜処理領域のソリューションを強化。
- 主力/収益牽引
- 継続契約型サービス(超純水供給等)、水処理薬品、電子市場向けメンテ・精密洗浄。
- 一般産業向けの装置・メンテも底堅いが、為替・地域環境の影響を受けやすい。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提(2025/10/1 終値 4,970円)
- 会社予想EPS 327.27円 → PER 約15.19倍(提供値一致)
- 実績BPS 2,944.31円 → PBR 約1.69倍(提供値一致)
- 予想配当 112円 → 予想配当利回り 約2.25%
- EV/売上・EV/EBITDA(概算)
- 時価総額 5,775億円、純有利子負債 ≒ 借入1,013億円−現金536億円 → EV 約6,252億円
- LTM売上 4,089億円 → EV/S 約1.53倍
- LTM EBITDA 877億円 → EV/EBITDA 約7.1倍
- 業界平均との比較(参考)
- PER:同業平均16.6倍に対し約15.2倍(下回る)
- PBR:同業平均1.4倍に対し約1.69倍(上回る)
- 総合評価は指標により差異あり(PERは相対的に低め、PBRは高め)。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均 5,334.9円、200日 5,212.0円に対し、終値 4,970円は両線を下回る。
- 52週高値 6,602円(-約24.7%)、52週安値 3,701円(+約34.2%) → レンジ下寄り〜中位。
- 直近の値動き・需給
- 直近は権利落ち(9/29配当落ち相当)通過後も戻り鈍い。出来高は3カ月平均(約51.6万株)比で同程度〜やや下。
- 信用倍率 18.79倍(買い長) → 需給の片寄りに注意。
- 水準感
- 5,200円近辺(200日線)が上値目安、4,935円(当日安値)付近が目先の下値確認点として意識されやすい価格帯。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上高:2022/3 2,882億円 → 2024/3 3,848億円 → LTM 4,089億円
- LTM YoY +6.2%、3年CAGR 約+12.3%
- 収益性(LTM)
- 粗利率 約36.2%(1,480.9/4,088.9)
- 営業利益 312.7億円 → 営業利益率 約7.6%
- 当期純利益 203.1億円 → 純利益率 約5.0%
- EBITDA 877.5億円 → EBITDAマージン 約21.5%
- 直近1Q(2026/3期):営業利益率 約9.6%
- 効率・資本
- ROE 6.09%、ROA 5.78%
- 自己資本比率 61.2%、D/E約31.1%、流動比率 約158%
- キャッシュフロー(LTM)
- 営業CF 813.7億円、レバードFCF 458.7億円
- キャッシュ創出力は安定、減価償却の増加(LTM 546.9億円)で装置資産の厚みが増加。
- トレンド
- 売上は拡大基調、減価償却増で営業利益は変動。サービス/薬品の積み上げで中期的な安定性向上が想定される一方、大型案件と為替が短期変動要因。
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当:年112円(中間56円・期末56円)、予想利回り約2.25%
- 配当性向:50.92%(提供値)
- 自己株式取得:2025年1Qに約122億円取得(自己株数増加) → 総還元の一環
- 5年平均利回り:1.46%(足元はそれを上回る水準)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週変化率 -18.0%(提供値)。主要指数(参考値)に対して相対的に弱含み。
- Beta 0.86(5年)で市場連動性は相対的に低め。
- 関心・需給
- 機関投資家保有比率 約62%と安定的株主基盤。
- 信用買い残優位(倍率18.79倍)により短期的な値動きの振れに注意。
- 近々のイベント
- 2025/11/6:決算発表予定
- 2026/3/30:配当権利落ち予定
11. 総評
- 事業面
- 装置×薬品×継続サービスの統合力と超純水供給の安定収益が特長。海外比率の上昇と北米薬品事業の統合が進展。
- 収益・財務
- 売上は中期的に拡大基調。LTMは減価償却増で営業利益率が一時的に抑制も、1Qは9.6%と回復傾向。財務安全性は自己資本比率6割超と堅健、CF創出も安定。
- 株価・評価
- PERは業界平均を下回る一方、PBRは上回る。EV/EBITDA約7倍台、EV/S約1.5倍。テクニカルには主要移動平均を下回り、レンジ下寄り。
- 主要リスク/注目点
- 為替、半導体設備サイクル、大型案件の期ズレ、地域景況。継続収益型の拡大が業績安定化に寄与するか、通期計画の進捗とともに確認。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoY +6.2%、3年CAGR 約+12.3%。
- 収益性:B
- 根拠:LTM営業利益率 約7.6%、EBITDAマージン 約21.5%。四半期では約9.6%だが、通期平準で中位水準と判断。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率 61.2%、D/E約31%、流動比率 約158%。指標は総じて健全。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均を下回る一方、PBRは上回る。EV/EBITDA・EV/Sは中位圏の水準感。
出典・注記
– 2026年3月期 第1四半期決算短信(IFRS、連結)、株価・指標・財務データ(提供値)をもとに作成。
– 一過性損益は除外の方針。不明な項目は記載を省略。
企業情報
銘柄コード | 6370 |
企業名 | 栗田工業 |
URL | http://www.kurita.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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