1. 企業情報
Ｄ＆Ｍカンパニーは、医療・介護・障害福祉、およびヘルスケアサービス関連事業に従事する企業を対象に、経営サポートサービスを提供しています。具体的には、資金支援（F&Iサービス）、経営コンサルティング（C&Brサービス）、および人材支援・業務アウトソーシング（HR&OSサービス）をワンストップで提供しています。
事業内容の内訳（2025年5月期 連結実績）:
- F&Iサービス（Finance & Investment）: 50%
- 診療報酬債権等の買取・ファクタリング、リースなど、資金繰りを支援するサービス。
- C&Brサービス（Consulting & Business renovation）: 26%
- 経営診断、コスト削減提案、医療機器販売など、経営改善をサポートするサービス。
- HR&OSサービス（Human Resources & Outsourcing）: 23%
- 人材紹介・派遣、外国人材の就労支援、業務アウトソーシングなど、人材確保と業務効率化を支援するサービス。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、医療・介護・障害福祉という特定の業界に特化し、資金・経営・人材の3つの側面から総合的なサポートを提供するビジネスモデルを展開しています。医療・介護業界では、診療報酬・介護報酬改定による収益環境の制約、慢性的な人材不足、事業承継やM&A、外国人材導入等のニーズが高まっており、同社のサービスはこれらの市場ニーズに対応しています。
競争優位性としては、これら3つのサービスをワンストップで提供できる点が挙げられます。これにより、顧客である医療・介護事業者は、複数のベンダーと契約することなく、包括的な支援を受けることが可能となります。具体的な市場シェアや競合他社との詳細な比較に関する情報は、今回のデータからは確認できません。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、2026年5月期を「飛躍的な業容拡大と持続的成長に向けた重要な転換点」と位置付けています。この戦略に基づき、人員強化および事業インフラへの投資を積極的に実施する方針です。これは短期的に先行費用を増加させ、利益水準に影響を与える可能性があると会社側は見込んでいます。中期経営計画における具体的な数値目標や詳細な進捗状況は、提供データでは確認できません。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、医療・介護業界が抱える構造的な課題（資金調達、経営改善、人材不足）に対応しており、一定のニーズ基盤を有していると考えられます。特に、診療報酬債権などの買取・ファクタリングといった資金支援サービスは、医療・介護機関の安定した経営を支える上で重要な役割を果たす可能性があります。
一方で、F&Iサービスが収益の大きな割合を占めていることから、買取債権や営業貸付金に起因する信用リスクや貸倒リスクは、事業モデルの持続可能性を評価する上で留意すべき点です。変化する市場ニーズに対しては、ワンストップサービス提供の強みを活かし、多様な課題に対応する柔軟性が求められます。
5. 技術革新と主力製品
提供データに、具体的な技術革新や研究開発に関する情報は見当たりません。同社の主力製品は3つのサービス区分であり、特にF&Iサービスが売上構成比約50%、売上総利益構成比約61%を占める最大の収益源となっています。C&BrサービスやHR&OSサービスも、それぞれ2割強の売上構成比を持ち、事業の多角化に貢献しています。
6. 株価の評価
現在の株価1,261.0円に対し、各指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 18.94倍
* PBR（実績）: 1.35倍
* EPS（会社予想）: 66.58円
* BPS（実績）: 934.93円
業界平均と比較すると、PER（業界平均25.7倍）およびPBR（業界平均2.5倍）は、それぞれ業界平均を下回っています。この数値の比較からは、株価が業界平均に対して割安な水準にある可能性があります。ただし、2026年5月期は先行投資による利益減少を見込んでいる点も考慮が必要です。
7. テクニカル分析
現在の株価1,261.0円は、年初来高値1,449円（9月29日記録）に比較的近く、年初来安値692円からは大きく上昇しています。直近10日間の株価推移を見ると、一時的に1,400円台まで上昇した後、調整が入りましたが、本日再び上昇傾向にあります。
50日移動平均線（956.68円）および200日移動平均線（868.40円）を現在の株価が上回っており、株価は上昇トレンドにあると考えられます。直近の出来高も増加傾向にあり、市場の関心が高まっている可能性があります。
8. 財務諸表分析
損益計算書:
- 売上高: 2025年5月期は1,502百万円（前期比+26.3%）と、過去数年着実に増加傾向にあります（2022年5月期930百万円 → 2023年1,111百万円 → 2024年1,189百万円 → 2025年1,502百万円）。
- 営業利益: 2025年5月期は299百万円（前期比+6.6%）で、売上高の伸び率に対して利益の伸び率は鈍化しています。営業利益率は、2024年5月期の23.6%から2025年5月期は19.9%に低下しました。
- 純利益: 2025年5月期は221百万円（前期比+24.4%）と増益を確保しています。
経営指標:
- ROE（実績）: 12.98%と、資本効率は良好な水準です。
- 自己資本比率（実績）: 22.8%。前期の14.5%から改善はしていますが、一般的な健全性の目安とされる水準（40%以上）と比較すると、相対的に低い水準にあります。
- 流動比率（直近四半期）: 1.43倍。1倍を超えており、短期的な支払い能力は確保されています。
- D/E比率（直近四半期）: 326.13%。負債が純資産に比べて高い比率を示しています。これは、買取債権を扱う事業特性も影響している可能性があります。
キャッシュフロー:
- 営業キャッシュフロー: 2025年5月期は△69百万円とマイナスです。これは主に営業貸付金の増加が要因とされています。
- 投資キャッシュフロー: 2025年5月期は△73百万円とマイナスで、有形固定資産の取得等が発生しています。
- 財務キャッシュフロー: 2025年5月期は+250百万円。上場に伴う資金調達や長期借入れの増加が主な要因です。
- 全体として、期末現金及び現金同等物残高は増加していますが、営業活動によるキャッシュ創出力には課題が見られます。
9. 株主還元と配当方針
- 1株配当（会社予想）: 20.00円
- 配当利回り（会社予想）: 1.59%
- 配当性向（2025年5月期実績）: 20.2%
- 配当性向（2026年5月期予想）: 30.0%
同社は、2025年5月期に年間20円の配当を実施し、2026年5月期も同額を予想しています。成長投資を優先しつつも、株主への還元も継続する方針を示しています。2026年5月期には配当性向が30.0%に上昇する見込みです。自社株買いに関する情報はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去52週間の株価変化率は38.70%と、S&P 500の17.74%を上回っています。株価は年初来で大きく上昇しており、強いモメンタムが見られます。直近の株価推移では、高値圏での推移と出来高の増加が見られ、投資家の関心が高まっている状況です。
信用取引においては、信用買残が127,700株（前週比+28,100株）と増加傾向にあり、信用倍率は24.09倍と高水準です。これは、株価上昇への期待がある一方で、将来的に需給の偏りが生じる可能性も示唆しています。
11. 総評
Ｄ＆Ｍカンパニーは、医療・介護・障害福祉業界に特化した経営サポートを多角的に展開し、市場のニーズを捉えて売上高を順調に成長させています。特に資金支援サービスが事業の柱であり、ワンストップでのサービス提供が競争優位性となっています。
財務面では、売上高の成長率に比べて営業利益率が一時的に低下し、2026年5月期も先行投資による利益減少を見込んでいます。自己資本比率が相対的に低く、D/E比率が高い点は、今後の事業拡大における資金調達リスクとして注視が必要な要素です。特に、買取債権を多く抱える事業構造上、貸倒リスクへの対応が重要となります。
株価は、PERおよびPBRが業界平均を下回っており、指標上は割安感がある一方で、年初来高値圏で推移し、テクニカル的には強い上昇トレンドを示しています。今後の成長戦略と投資効果の実現、および財務体質の改善が、株価の長期的な動向に影響を与える可能性があります。
12. 企業スコア
- 成長性: S
- LTM売上成長率（YoY）は26.60%（四半期売上成長率の前年比）と高く、売上高は過去数年堅調に増加しています。
- 収益性: A
- 粗利率は56.29%、営業利益率は18.53%と、サービス業として高い水準を維持しています。ただし、2025年5月期に営業利益率がやや低下しました。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率は22.8%と一般的基準を下回っており、Total Debt/Equity比率も326.13%と高い水準にあります。ただし、上場による資金調達で改善傾向もみられます。
- 株価バリュエーション: A
- PER（会社予想18.94倍）およびPBR（実績1.35倍）は、それぞれ業界平均（PER25.7倍、PBR2.5倍）を下回っており、指標上は割安な水準にあります。
企業情報
| 銘柄コード | 189A |
| 企業名 | D&Mカンパニー |
| URL | https://www.dmcompany.co.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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