以下は、ＴＨＫ（証券コード:6481）に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
ＴＨＫは、直動システム大手企業であり、産業機械に不可欠な機械要素部品の製造・販売をグローバルに展開しています。特に、「LM（リニアモーション）ガイド」や「ボールねじ」といった直動案内機器において世界シェアの過半数を占めるリーディングカンパニーです。同社の製品は、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボット、電子デバイス、輸送機器（自動車部品など）、医療機器、航空機、免震・制震装置といった幅広い分野で活用されています。
事業セグメントは地域別に「日本」「米州」「欧州」「中国」「その他（インド・ASEAN等）」に分かれており、2024年12月期実績では海外売上高比率が70%を占めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ＴＨＫは、工作機械や半導体製造装置などに用いられる直動案内機器において、世界シェア5割超を誇るトップ企業です。これにより、業界内での強い競争優位性を確立しています。主要顧客はFA（ファクトリーオートメーション）業界、特に半導体製造装置や工作機械メーカーです。
一方で、市場の需要変動に業績が左右されやすい側面があります。特に、決算短信によると欧州市場では需要低迷が継続しており営業損失を計上しています。米州市場も輸送機器（自動車向け）需要が低位で、売上・利益ともに伸び悩んでいます。地域ごとの景気変動や設備投資動向が課題として挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
ＴＨＫの経営戦略の柱は、「グローバル展開」、「新規分野への展開」、そして「ビジネススタイルの変革（AI/IoT/ロボット等活用）」とされています。
* グローバル展開: 特に中国市場での産業機器需要の回復を捉え売上を拡大。インド・ASEAN地域でも販売網拡充や新規顧客開拓を進めています。
* 新規分野への展開: 自動車、医療機器、航空機、ロボット、免震・制震、再生可能エネルギーといった分野での製品採用拡大を目指しています。
* ビジネススタイルの変革: AI、IoT、ロボット技術を活用した生産効率向上や顧客サービス強化に取り組むことが示唆されています。
中期経営計画の具体的な数値目標は提供データには記載がありませんが、上記の戦略を継続して実行していく方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
ＴＨＫの事業モデルは、世界トップシェアを誇る直動システム製品を核に、多様な産業分野へ供給することで、特定の産業への依存リスクを分散しています。工作機械、半導体製造装置、自動車といった主要産業に加え、医療、航空宇宙、ロボット、免震・制震などの新規分野への展開も積極的に進めることで、市場ニーズの変化への適応力と事業の持続可能性を高めようとしています。グローバルな生産・販売体制もリスク分散に寄与しています。
売上動向を見ると、FA市場、特に中国における需要回復はプラス要因ですが、欧米市場の回復の遅れや輸送機器分野の低迷が当期の収益に影響を与えています。
5. 技術革新と主力製品
ＴＨＫの主力製品は「LMガイド」「ボールねじ」「ボールスプライン」などの直動システム部品です。これらの製品は、モノの動きを正確かつ円滑に伝えるための基幹部品であり、高い技術力が求められます。同社はこれらの分野で世界シェア首位を維持しており、技術開発における高い独自性を持つと考えられます。
提供データからは具体的な新技術開発の詳細は不明ですが、経営戦略としてAI/IoT/ロボットといった先端技術の活用を掲げており、今後の製品・サービスへの応用が注目されます。
6. 株価の評価
現在の株価は3,980.0円です。
* PER（株価収益率）: 会社予想EPS 158.00円に基づくと、PERは 3,980.0円 ÷ 158.00円 = 25.19倍です。業界平均PERが16.6倍であるため、現在の株価は業界平均と比較して割高な水準にあります。
* PBR（株価純資産倍率）: 実績BPS 2,883.96円に基づくと、PBRは 3,980.0円 ÷ 2,883.96円 = 1.38倍です。業界平均PBRが1.4倍であるため、PBRでは業界平均と同水準またはやや割安な水準にあります。
EPSが近年減少傾向にあることを踏まえると、PERの割高感は中期的な業績回復期待が織り込まれている可能性も考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価3,980.0円は、
* 52週高値4,360円と52週安値2,420円の中間に位置しますが、年初来高値に比較的近い水準です。
* 直近10日間の株価推移を見ると、4,000円台前半から後半で推移していたものが、本日は3,980円まで下落しており、短期的な調整局面に入っている様子が見られます。
* 50日移動平均線（4,069.36円）を下回っており、短期的な下落トレンドを示唆しています。一方で、200日移動平均線（3,802.64円）は依然として上回っており、中長期的な上昇トレンドは維持されている可能性があります。
8. 財務諸表分析
損益計算書（年度比較および直近）
- 売上収益: 2021年の3,181億円から2022年には3,936億円に増加しましたが、2023年には3,519億円に減少。2024年には微増の3,527億円となりましたが、過去12か月間（LTM）では3,491億円とさらに微減。2025年中間期は前年同期比で2.0%の減収となりました。全体として、直近は成長が鈍化し、減少傾向が見られます。
- 営業利益: 2022年の338億円をピークに、2023年には236億円、2024年には172億円、LTMでは155億円と、近年は減少傾向が続いています。2025年中間期も前年同期比で26.4%の大幅な減少となりました。
- 親会社所有者帰属純利益: 営業利益と同様に、2021年の230億円からLTMでは69億円、2025年中間期は37億円と、利益は大きく減少しています。
- 粗利益率: LTMで約23.3%（81,336百万円 / 349,154百万円）。中間期の売上総利益率は約22.4%です。
- 営業利益率: LTMで5.17%となっており、過去の比較的高い水準から低下しています。
キャッシュフロー計算書（中間累計）
- 営業活動によるCF: 2025年中間期は+20,302百万円と堅調にプラスを維持しており、前年同期実績を上回っています。これは、収益性の低下にもかかわらず、事業活動から安定した現金を生み出していることを示しています。
- 投資活動によるCF: 2025年中間期は△8,967百万円と、前年同期の△17,494百万円から投資支出が抑制された形です。
- 財務活動によるCF: 2025年中間期は△42,169百万円と大きなマイナスとなっています。これは主に自己株式取得による支出（36,516百万円）や社債償還100,000百万円、配当支払が影響しています。
貸借対照表と主要指標
- 自己資本比率: 2024年12月期実績で67.6%と高い水準を維持していましたが、2025年中間期には自己株式取得の影響で62.7%に減少しました。しかし、依然として財務健全性は高いといえます。
- 流動比率: 直近四半期で2.99倍と、短期的な支払い能力は十分に健全です。
- D/E比率（有利子負債対自己資本比率）: 直近四半期で33.04%と低く、借入金への依存度は低い水準です。
- ROE（自己資本利益率）: LTMで1.99%、実績で2.82%と、近年収益性の悪化に伴い非常に低い水準にあります。
- ROA（総資産利益率）: LTMで1.85%と、ROEと同様に低下傾向にあります。
- 現金及び現金同等物: 2025年中間期末で101,527百万円であり、前期末から減少していますが、引き続き潤沢な現金を保有しています。
9. 株主還元と配当方針
ＴＨＫは、株主還元として配当と自己株式取得を実施しています。
* 配当: 会社予想の年間配当は246.00円（中間123円＋期末123円）であり、これに基づく配当利回りは6.18%と高水準です。同社は自己資本配当率（DOE）8%を配当方針として掲げています。
* 配当性向: 過去12か月の実績に基づく配当性向は425.84%と非常に高く、現在の利益水準に対して大幅に上回る配当を実施しています。これはDOE方針に基づくものですが、利益の変動によっては配当維持の持続可能性が注目されます。
* 自己株式取得: 2025年中間期には36,516百万円の自己株式取得を積極的に実施しており、株主還元の意思を示しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
ＴＨＫの株価は、過去52週間で62.60%上昇しており、S&P500の同時期上昇率（17.74%）を大きく上回っています。これは、市場から一定の関心を集めていたことを示唆しています。
直近10日間の株価は調整局面に入り下落傾向ですが、過去1年のパフォーマンスからすると、投資家の関心は依然として高い可能性があります。
信用取引においては、信用買残が信用売残を上回っており、信用買いが優勢な状態です。
株価変動の主な要因としては、世界の半導体製造装置市場、工作機械市場の動向、自動車生産の回復、中国経済の景況感、為替レート、および原材料価格の変動などが挙げられます。決算短信では地政学リスクやインフレ動向もリスク要因として言及されています。
11. 総評
ＴＨＫは、直動案内機器で圧倒的な世界シェアを誇る技術優位性の高い企業です。幅広い産業に製品を供給し、グローバルに事業展開することで事業モデルの多様性と安定化を図っています。
しかし、足元では主要顧客である半導体製造装置や工作機械市場の一部地域での需要低迷、特に欧州市場の低調や米州の輸送機器分野の弱さから、売上収益・営業利益・純利益ともに近年は減少傾向にあり、収益性の低下が課題となっています。一方で、中国市場の回復は明るい兆しです。
財務健全性は、自己資本比率や流動比率が高く、引き続き安定しています。DOE8%を基準とする配当方針と積極的な自己株式取得により、高い株主還元策を実施しています。
株価は過去1年間で大きく上昇しましたが、直近では調整局面に入っています。予想PERは業界平均と比較して割高感がありますが、PBRは同水準です。今後の経営戦略で掲げる新規分野への展開や、変動する市場環境（特に半導体サイクルや自動車産業、地政学的リスク）への適応力が、業績回復と株価評価の鍵になると考えられます。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- 過去数年の売上収益は変動があり、直近の過去12か月間および2025年中間期は前年比で減少傾向にあります。短期的な成長は鈍化しています。
- 収益性: C
- 営業利益率（LTM 5.17%）やROE（LTM 1.99%）は、過去の好調期と比較して大きく低下しています。業界平均や過去の水準を考慮すると、改善の余地がある状態です。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率62.7%、流動比率2.99倍、有利子負債対自己資本比率33.04%と、全ての指標が非常に健全な水準です。
- 株価バリュエーション: C
- 予想PER（25.19倍）は業界平均（16.6倍）と比較して割高感があります。PBR（1.38倍）は業界平均（1.4倍）と同水準です。PERの割高感から総合的に判断すると、高めの評価であると見られます。
企業情報
| 銘柄コード | 6481 |
| 企業名 | THK |
| URL | http://www.thk.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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