1. 企業情報
株式会社アール・エス・シーは、1971年に設立された総合ビル管理会社です。主な事業は「建物総合管理サービス」と「人材サービス」の2つで構成されています。建物総合管理サービスでは、警備、清掃、設備管理、建築・工事などを総合的に提供しており、全体の売上の約78%を占める主力事業です。特に警備事業は中堅規模であるとされています。人材サービスでは、一般事務派遣、短期データ入力、イベント臨時業務、公共施設業務などを手掛けており、売上の約22%を占めています。本社は東京都豊島区に位置し、代表者は金井宏夫氏です。
2. 業界のポジションと市場シェア
アール・エス・シーは、ビル管理・警備業界において中堅企業として位置づけられています。主力である建物総合管理サービス事業は、警備、清掃、設備という多様なサービスを統合して提供することで、顧客に対して一元的な管理ソリューションを提供しています。これにより、個別のサービスプロバイダーと比較して、効率性や品質管理において競争優位性を構築していると考えられます。
市場シェアに関する具体的な数値データは提供されていませんが、決算短信では、「都市再開発、大型イベント増加、災害対策強化、治安意識の高まり等により需要は増加傾向」と市場の追い風が指摘されています。一方で、インフレ(物価上昇)による消費低迷リスクや、建築資材価格高騰、労働力不足に伴う人件費上昇といったマクロリスクが業界全体の課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中期経営計画を現在最終年度と位置づけ、持続的な成長に向けた戦略を進めています。その中核をなすのが「人的投資」と「DX化」です。特にDX化においては、AI警備システムの導入などを通じて、労働力不足に対応しつつ、サービスの効率化・高度化を目指しています。
また、M&Aを通じた事業領域の拡大・強化も重要な戦略であり、前期に株式会社クリーンフォースを取得し、清掃事業の拡充を図っています。これらの施策を通じて、変化する市場ニーズに対応し、企業価値の向上を目指す方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
主力である建物総合管理サービスは、施設管理という継続性の高い需要に支えられており、比較的安定した収益基盤を有しています。しかし、労働集約型のビジネスモデルであるため、賃上げ圧力や慢性的な人材不足が収益性を圧迫する可能性があります。これに対し、同社が推進するDX化(AI警備システム等)は、人件費高騰リスクへの適応策として機能し、事業モデルの持続可能性を高めるための重要な取り組みです。
一方、人材サービス事業は大型イベントの有無など、より外部環境の影響を受けやすい特性があります。景気変動や社会情勢の変化に合わせたサービスの柔軟な提供が求められます。
5. 技術革新と主力製品
同社は「DX化(AI警備システム等)」を成長投資の中核と位置づけており、先進技術の導入に意欲を示しています。これは、警備業界における技術革新のトレンドに沿ったものであり、人手不足対策とサービス品質向上に寄与する可能性があります。
現在の主力製品・サービスは、売上高の約9割を占める「建物総合管理サービス」です。具体的には、警備、清掃、設備・工事サービスがその中心を担っており、特に警備と清掃が収益を牽引していると考えられます。人材サービスは、売上規模では劣りますが、多様な顧客ニーズに対応する補完的な役割を担っています。
6. 株価の評価
現在の株価635.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想):8.84倍
* PBR(実績):0.84倍
* EPS(会社予想):71.85円
* BPS(実績):759.89円
一方、業界平均はPER15.0倍、PBR1.2倍です。
同社のPER8.84倍、PBR0.84倍は、いずれも業界平均と比較して低い水準にあり、株価は相対的に割安感を示す可能性があります。現在の株価(635.0円)は、一株あたり純資産(BPS 759.89円)を下回っており、企業が持つ資産価値に対して低く評価されている状態です。
7. テクニカル分析
現在の株価は635.0円です。
* 年初来高値:740円
* 年初来安値:451円
* 50日移動平均:635.62円
* 200日移動平均:614.59円
現在の株価は、年初来高値からは約14%下落していますが、年初来安値からは約40%上昇しています。また、50日移動平均線とほぼ同水準にあり、200日移動平均線よりは上回っています。直近10日間の株価推移を見ると、10月1日の663円から665円、640円台で推移していましたが、10月7日には635円まで下落しており、短期的な下落傾向が見られます。これらの情報から、現在の株価は中長期のトレンドでは上昇基調を維持しつつも、短期では調整局面にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書及び企業財務指標から、以下のような傾向が見られます。
* 売上高:
* 2022年3月期:5,742百万円
* 2023年3月期:6,027百万円 (前年比 +4.9%)
* 2024年3月期:8,096百万円 (前年比 +34.3%)
* 過去12ヶ月(2025年3月期相当):8,844百万円 (YoY +9.2%)
* 直近の第1四半期(2026年3月期):1,821百万円 (前年同期比 △6.2%)
* 通期予想(2026年3月期):8,300百万円 (対2025年3月期 △6.2%)
売上高は2024年3月期に大きく増加し、過去12ヶ月では引き続き成長しています。しかし、直近の第1四半期、および2026年3月期の通期予想では減収を見込んでいます。
-
営業利益:
- 2022年3月期:216百万円
- 2023年3月期:191百万円
- 2024年3月期:284百万円
- 過去12ヶ月(2025年3月期相当):301百万円
営業利益は変動しつつも、直近の過去12ヶ月では増加傾向にあります。ただし、直近第1四半期の営業利益は54百万円で前年同期比△26.9%と減少しており、通期予想も若干の減益を見込んでいます。
* 親会社株主に帰属する純利益:
* 2022年3月期:164百万円
* 2023年3月期:127百万円
* 2024年3月期:244百万円
* 過去12ヶ月(2025年3月期相当):186百万円2024年3月期に大きく回復しましたが、過去12ヶ月では減少しています。第1四半期純利益も39百万円で前年同期比△14.6%と減少しています。
* 収益性指標:
* ROE(実績):8.79% (過去12ヶ月:8.46%) – 資本効率はまずまずの水準です。
* ROA(過去12ヶ月):4.35% – 資産効率は標準的です。
* 財務健全性:
* 自己資本比率(実績):52.3% (直近四半期:53.9%) – 非常に高い水準で財務は安定しています。
* 流動比率(直近四半期):245% – 短期的な支払能力も高く、非常に健全です。
* 有利子負債比率(直近四半期):17.41% – 負債の水準が低く、財務健全性が高いことを示しています。
全体として、財務健全性は非常に高いものの、売上や利益の成長には変動があり、特に直近の四半期および通期予想では減収減益を見込んでいる点に注意が必要です。
9. 株主還元と配当方針
同社の株主還元方針は、安定的な配当実施から伺えます。
* 配当利回り(会社予想):3.78%
* 1株配当(会社予想):24.00円
* 配当性向:36.94%
年間24.00円の配当予想は、株価に対して比較的高い利回りを提供しています。配当性向も約37%と無理のない水準であり、比較的安定した配当政策が期待されます。
自社株買いに関する明確な記述は提供されていませんが、譲渡制限付株式報酬として自己株式の処分が行われており、従業員へのインセンティブとしての活用は見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、670円台から630円台へと緩やかに下落傾向にあります。
出来高は少ない傾向にあり(本日3,800株、3ヶ月平均7.63k株)、投資家の関心度合いは限定的である可能性があります。
信用取引においては、信用買残が113,800株と存在する一方で、信用売残は0株となっており、信用倍率は0.00倍です。これは、株価が大きく変動するような需給状況ではないことを示唆しています。
株価への影響を与える要因としては、建物総合管理事業の受注変動、人材サービス事業における大型イベントの有無、人件費や資材価格の高騰が収益に与える影響、DX化投資の進捗などが考えられます。
11. 総評
アール・エス・シーは、主要な「建物総合管理サービス」事業が安定した収益基盤を提供しつつ、DX化やグループ再編を通じて事業の効率化と成長を図っています。財務健全性は非常に高く、自己資本比率や流動比率、有利子負債比率は優良な水準です。
株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割安感がありますが、直近の四半期決算および通期予想では売上・利益の減収減益を見込んでおり、これが一時的な要因か、あるいは事業環境の変化によるものか注視が必要です。特に、労働力不足や人件費高騰といった外部環境の変化への適応力が今後の事業モデルの持続可能性と収益性向上の鍵となります。技術革新への積極的な投資は、これらの課題に対応するための重要な取り組みと見られます。
12. 企業スコア
-
成長性:B
過去12ヶ月の売上高は前年比で増加しているものの、直近発表された第1四半期および通期予想では減収を見込んでいます。
* 収益性:B過去12ヶ月の粗利率は約17.2%、営業利益率約3.0%~3.4%です。サービス業において特段高い水準とは言えず、人件費上昇などのコスト圧力も存在します。
* 財務健全性:S自己資本比率53.9%、流動比率245%、有利子負債比率17.41%と、全ての指標において非常に高い健全性を示しています。
* 株価バリュエーション:APER(会社予想)8.84倍、PBR(実績)0.84倍は、業界平均PER15.0倍、PBR1.2倍と比較して、割安な水準にあります。
企業情報
銘柄コード | 4664 |
企業名 | アール・エス・シー |
URL | http://www.trsc.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。