以下は株式会社オンコリスバイオファーマ (証券コード:4588) の企業分析レポートです。

1. 企業情報

オンコリスバイオファーマは2004年に設立された日本の創薬ベンチャー企業です。主に腫瘍溶解ウイルス、治療薬、がん診断薬の研究開発、製造、販売、輸出入を手掛けています。特に希少がんや重症感染症を主な対象とし、独自のウイルス技術を活用した創薬を目指しています。主力パイプラインは、食道がん治療薬として開発中の腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン (OBP-301)」であり、国内での承認申請準備が進められています。また、HIV感染症治療薬として開発が進められていたOBP-601(Censavudine)は神経難病薬として現在米国で臨床試験が進行中であり、その他のパイプラインも前臨床から臨床研究段階にあります。

2. 業界のポジションと市場シェア

オンコリスバイオファーマは「医薬品」セクターの「Biotechnology」業界に属する創薬ベンチャーです。特定の製品が上市に至っていない段階であるため、具体的な市場シェアは保有していません。
競争優位性: 独自のウイルス技術、特に腫瘍溶解ウイルス(OBP-301)の開発が大きな強みです。食道がんにおける「先駆け総合評価相談」の進行や、米国における臨床試験での有望な結果は、技術の将来性を期待させる要素です。また、神経難病薬(OBP-601)で大手製薬企業へのライセンスアウトに成功している点も、開発力の証左と見られます。
課題: 創薬ベンチャー特有の開発リスクを抱えています。臨床試験の失敗や薬事承認の遅延は事業に大きな影響を与えます。また、研究開発費が先行するため、持続的な資金調達が重要であり、マイルストーン収入やライセンス収入の安定性が課題となります。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、従来のライセンスアウトに依存するモデルから、主力のOBP-301の国内上市を目指し「製薬会社モデル」と「ライセンスモデル」を組み合わせたハイブリッド型への移行を進めています。

中期経営計画の具体的な施策と重点分野:

  • OBP-301の国内承認申請と商業化: 食道がんを対象とした腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン (OBP-301)」の国内での承認申請(2025年12月期第4四半期を計画)とそれに向けた製販体制(富士フイルム富山化学との販売提携、製造・物流体制の構築、自社での製造販売業許可取得)の整備に経営資源を集中しています。
  • OBP-601の開発推進: ライセンスアウト先のTransposon Therapeutics社主導で、進行性核上性麻痺(PSP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病などへの適応拡大に向けた開発が推進されており、同社は臨床開発を負担しない形で収益機会を追求しています。
  • パイプラインの価値最大化: その他のパイプライン(OBP-702、OBP-2011、OBP-401、OBP-801など)も各ステージで開発を進め、適宜外部提携や資金活用(AMED助成など)を通じて価値向上を目指しています。
  • 安定した研究開発体制: 高い割合を占める研究開発部門の従業員(総従業員の約58.54%)による継続的な研究開発活動を維持しています。

4. 事業モデルの持続可能性

オンコリスバイオファーマの事業モデルは、医薬品の研究開発段階に応じたマイルストーン収入や上市後の製品販売収入(ライセンス契約に基づく)に大きく依存しています。現在は売上が小さく、研究開発費が先行するため、継続的に営業損失を計上しています。

収益モデル:

  • 過去にはライセンスアウトによる一時金やマイルストーン収入が売上高の大半を占めており、特に2021年、2022年には比較的大きな収入がありました。
  • 今後はOBP-301の国内自社販売、もしくは共同販売体制への移行により、製品販売からの収益獲得を目指しています。

市場ニーズの変化への適応力:

  • がんや神経難病といった重篤な疾患領域において、アンメットメディカルニーズ(いまだ有効な治療法が見つかっていない医療上の必要性)に応える薬剤の開発を進めており、これらの分野での技術革新は常に求められています。
  • 独自のウイルス技術は新規性の高いアプローチであり、成功すれば大きな市場を獲得する可能性があります。

資金調達:

  • 研究開発を継続するための資金調達は常に大きな課題であり、2025年8月には第21回新株予約権を発行し、約27億円の資金調達を予定するなど、資金調達は事業継続に不可欠です。この資金はOBP-301の上市費用や適応拡大の副次的費用などに充てられる見込みです。

5. 技術革新と主力製品

オンコリスバイオファーマは、独自の遺伝子改変技術を用いた腫瘍溶解ウイルスや、特定の作用機序を持つ低分子化合物など、多様な技術を活用して創薬を進めています。

技術開発の動向や独自性:

  • 腫瘍溶解ウイルス: がん細胞でのみ増殖し、がん細胞を特異的に破壊するウイルス(OBP-301、OBP-702など)は、次世代のがん治療法として注目されています。健常細胞への影響を抑えつつ、抗腫瘍効果を発揮する遺伝子改変技術が独自性です。
  • LINE-1阻害剤 (OBP-601): HIV治療薬として臨床試験実績を持つ化合物で、最近ではLINE-1というレトロトランスポゾンを阻害することで神経変性疾患(PSP, ALS, アルツハイマー)への効果が期待され、新たな適応領域での開発が進んでいます。

収益を牽引している製品やサービス:

  • 現状では特定の製品が安定的に収益を牽引している状況ではありません。過去のマイルストーン収入が売上を構成してきましたが、近年は収入が減少傾向にあります。
  • 今後、国内での承認申請を計画している腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン (OBP-301)」が上市されれば、同社の主力製品として収益を牽引することが期待されます。

6. 株価の評価

与えられた情報によると、オンコリスバイオファーマは現在、営業損失および最終損失を計上しているため、PER(株価収益率)は算出されていません。
* BPS(1株当たり純資産): (単)57.59円
* PBR(株価純資産倍率): (単)12.48倍
* 現在の株価: 722.0円
* EPS(1株当たり利益、通期予想): — (過去12ヶ月では -93.06円)

BPS 57.59円に対して株価722.0円であり、実績PBRは12.48倍と高水準です。これは、創薬ベンチャー企業が現在の純資産価値よりも将来のパイプラインの成功や成長性を期待されて評価されることが多いためと考えられます。現在の利益がマイナスであることから、BPSと株価の乖離は大きいですが、将来の成長への期待が株価に織り込まれている可能性があります。一方で、財務健全性が維持されている中で、今後のパイプラインの進捗が株価評価の重要な要素となります。

7. テクニカル分析

  • 現在の株価: 722.0円
  • 年初来高値: 797円
  • 年初来安値: 458円
  • 52週高値: 918.00円
  • 52週安値: 458.00円
  • 50日移動平均線: 641.12円
  • 200日移動平均線: 606.00円

現在の株価722.0円は、年初来安値458円からは上昇していますが、年初来高値797円および52週高値918.00円を下回る水準にあります。
直近10日間の株価推移を見ると、700円台前半での取引が中心ですが、10月7日には一時729円まで上昇し、翌日に722円と堅調な動きを見せています。50日移動平均線(641.12円)および200日移動平均線(606.00円)を大幅に上回っており、短期および中長期的に上昇トレンドにあることを示唆しています。
ただし、直近では変動が大きくなっており、高値圏にあるとの見方もできます。

8. 財務諸表分析

オンコリスバイオファーマは創薬ベンチャーであるため、研究開発費が先行し、利益は赤字が続いています。

売上高:

  • 過去12か月: 28,546千円
  • 2024年(予想): 31,384千円
  • 2023年: 63,038千円
  • 2022年: 976,182千円 (大きく減少)
  • 2021年: 642,494千円

売上高は年々変動が大きく、特に2022年から2023年にかけて大幅に減少しています。これはマイルストーン収入の発生時期に大きく左右されるためと考えられます。

利益:

  • 粗利益(過去12か月): 28,546千円
  • 営業損失(過去12か月): -2,155,159千円
  • 当期純損失(過去12か月): -2,243,140千円

研究開発費などの営業費用が売上高を大幅に上回るため、営業損失および純損失が継続しています。

キャッシュフロー:

  • 営業キャッシュフロー(過去12か月): -1,930百万円
  • 現金及び預金(直近四半期):1,387,607千円

営業活動によるキャッシュフローは大幅なマイナスであり、研究開発への先行投資が継続的に行われていることを示しています。現金及び預金は確保されていますが、資金の流出が続いている状況です。

収益性指標:

  • ROE(実績): (単)-80.10% (過去12ヶ月では -157.08%)
  • ROA(過去12か月): -70.86%

純利益が赤字であるため、ROE、ROAともに大幅なマイナスとなっています。

財務健全性指標:

  • 自己資本比率(実績): (単)85.8% (直近四半期では74.1%)
  • 流動比率(直近四半期): 6.78倍
  • Total Debt/Equity(直近四半期): 25.49%

自己資本比率は高く、流動比率も非常に高水準であり、短期的な支払い能力に問題はないと見られます。ただし、これは多額の現金及び預金を保有していることと、2025年5月の減資による純資産の変動も影響しています。新株予約権による資金調達も行われており、今後の研究開発費を賄うための手元資金の確保に努めています。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 0.00%
  • 1株配当(会社予想): 0.00円
  • 配当性向: 0.00%

オンコリスバイオファーマは現在、無配当を維持しています。これは成長途上の創薬ベンチャー企業として、得られた資金や調達した資金を研究開発や事業拡大へ再投資することを優先する方針を示していると考えられます。事業のフェーズを考慮すると、将来的な収益化が見込まれるまでは、配当による株主還元は期待しにくい状況です。自社株買いなどの株主還元策に関する情報は提示されていません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近の株価は722.0円であり、50日移動平均線(641.12円)と200日移動平均線(606.00円)を上回っており、短期から中期にかけて上昇基調にあることが示唆されます。年初来高値には届いていませんが、年初来安値からは大きく回復しています。
  • 出来高: 直近10日間の出来高は10万株台から120万株超と変動があり、特に10月7日には121.55万株の大きな出来高を伴って上昇しています。これは投資家の関心が高まっていることを示唆します。
  • 信用取引: 信用買残は4,398,100株と多く、信用倍率は0.00倍(信用売残が0のため)となっています。高い信用買残は、将来の値上がりに期待する投資家が多いことを示す一方で、将来の利益確定売りや需給悪化のリスクもはらみます。
  • 株価への影響を与える要因:
    • OBP-301の承認申請状況: 国内における食道がん治療薬「テロメライシン」のPMDAとの協議進捗や承認申請の具体的な発表は、株価に大きな影響を与える主要な要因となります。
    • パイプラインの臨床試験結果: OBP-601など、主要パイプラインの各臨床段階での良好な結果や進捗は、将来の収益期待を高め、株価を押し上げる可能性があります。
    • 資金調達: 新株予約権の発行などによる資金調達は、研究開発継続には不可欠ですが、株式の希薄化が生じるため、一時的に株価にネガティブな影響を与えることがあります。
    • マイルストーン収入の発生: ライセンス契約に基づくマイルストーン収入の発表は、業績改善の兆しとしてポジティブに受け止められる可能性があります。

11. 総評

オンコリスバイオファーマは、腫瘍溶解ウイルスをはじめとする革新的な創薬技術を持つバイオベンチャーです。特に食道がん治療薬「テロメライシン (OBP-301)」の国内での承認申請が視野に入っており、経営戦略もライセンスモデルと自社販売を組み合わせたハイブリッド型への移行期にあります。
財務状況は、研究開発費が先行するため継続的に赤字が続いており、売上もマイルストーン収入の有無に大きく左右されます。しかし、高い自己資本比率と流動比率を保ち、直近でも新株予約権による資金調達を行うなど、バイオベンチャーとしては比較的良好な財務健全性を維持し、開発を継続するための資金は確保されている状況です。
株価は将来の成長期待を織り込み、PBRは高水準にあります。直近では移動平均線を上回って推移しており、投資家の関心も一定程度高い状況です。
今後の焦点は、主力パイプラインであるOBP-301の国内承認申請と上市、およびOBP-601を含むその他パイプラインの臨床開発進捗に集まります。これらの開発マイルストーンの達成が、会社の評価と株価に大きく影響すると考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性: D
    • LTM売上成長率(前年比)は-9.00%と減少しており、過去数年間の売上も大幅な変動と減少傾向が見られるため、現時点での成長性は低いと評価します。
  • 収益性: D
    • 粗利率は計上されているものの、営業利益率やROEは大幅なマイナスであり、収益性は低いと評価します。これは創薬ベンチャーとしての特性上、研究開発費が先行することに起因します。
  • 財務健全性: A
    • 自己資本比率は85.8%(直近四半期で74.1%)と高く、流動比率も6.78倍と非常に高水準です。また、Total Debt/Equityも25.49%と低く、借入依存度も低いです。研究開発費による営業キャッシュフローのマイナスは大きいですが、手元資金の確保と健全な自己資本により、高い財務健全性があると言えます。
  • 株価バリュエーション: C
    • PERは赤字のため算出されませんが、PBRが12.48倍であり、BPSに対する株価の乖離が大きいことから、市場からの将来期待が株価に織り込まれており、絶対的には割高感があると考えられます。

企業情報

銘柄コード 4588
企業名 オンコリスバイオファーマ
URL http://www.oncolys.com/
市場区分 グロース市場
業種 医薬品 – 医薬品

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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