古河電池(6937)企業分析レポート

株価: 1,392円(時価総額: 456.6億円)
市場: 東証プライム/電気機器(Auto Parts)

1. 企業情報

  • 概要: 1914年創業。古河電工系の蓄電池メーカー。主力は鉛蓄電池(自動車・二輪向け、産業用、鉄道・航空機向けなど)。加えてアルカリ蓄電池(業務・防災・鉄道・航空・衛星向け)や電源装置(直流電源、UPS等)、マグネシウム空気電池等も展開。海外売上比率は約40%(2025年3月期)。
  • 事業構成(売上構成の目安): 自動車用約70%、産業用約30%、リチウムは極小(赤字)。
  • 最近の重要事項: 国内ファンド(株式会社AP78)による公開買付け(TOB)に対して、同社取締役会は賛同・応募推奨を決議。手続き進展により完全子会社化・上場廃止の可能性あり。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション: 国内では自動車用鉛蓄電池の有力プレイヤー。補修(交換)需要やOEM向けで存在感。産業用(UPS・防災・鉄道等)も手掛け、用途分散。
  • 競争環境: 鉛蓄電池分野は国内外大手(例:国内はGSユアサ等、海外はClarios等)との競争。品質・信頼性、販売網、コスト競争力が鍵。
  • 課題:
    • xEV普及によるICE台数の構成変化。一方で多くのxEVでも12V電源は引き続き必要だが、12Vの化学系変更(Li-ion化)動向は中長期の不確実性。
    • 鉛価格・為替の変動、品質保証費用の変動が利益を左右。
    • リチウム事業は小規模・赤字で、黒字化までの道筋が課題。

3. 経営戦略と重点分野

  • 短期の見通し(会社計画): 2026年3月期は売上84,000百万円(前年比-1.0%)、営業利益4,600百万円(-16.4%)、純利益4,060百万円(+80.9%)を予想。保証費用の減少などで最終益は改善見込み。
  • 重点領域(公開資料から読み取れる範囲):
    • 自動車用の収益基盤維持・改善(保証費用の抑制、コスト低減)。
    • 産業用の収益性回復(前四半期は赤字)。
    • リチウムや特殊電池(マグネシウム空気電池等)の研究・用途開発は継続課題。
  • 注記: 決算短信に中計の詳細記載は無し。TOB後の体制・戦略は非公開化を前提に変化の可能性。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 自動車補修市場(交換需要)と産業用途(UPS・鉄道・防災等)のリカーリング性が基盤。海外比率約40%で地域分散。
  • 耐性・適応力:
    • xEV時代でも12V電源需要は一定残存見込み。一方で化学系シフトの動向が中長期リスク。
    • 原材料(鉛)・為替の変動耐性は、価格転嫁・在庫運用・長期調達力が鍵。
    • 保証費用の変動管理が利益に大きく影響(直近期は減少で改善)。

5. 技術革新と主力製品

  • 主力: 自動車用鉛蓄電池(国内外)。産業用(直流電源、UPS、鉄道・航空用)も柱。
  • 技術・独自性: 長年の鉛蓄電池技術・品質管理。アルカリ・マグネシウム空気電池等の特殊用途も保有。リチウムは現在規模小・損失計上。
  • 直近収益牽引: 自動車セグメントが利益の中心(2026年3月期1Qセグメント利益713百万円)。産業・リチウムは赤字。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 現在値: 1,392円
  • 指標(会社予想・実績)
    • PER(予想)= 1,392 ÷ 123.87 = 約11.24倍(業界平均PER 24.2倍)
    • PBR(実績)= 1,392 ÷ 1,201.25 = 約1.16倍(業界平均PBR 1.6倍)
    • EV/S(実績概算)= EV約422.9億円 ÷ 売上約848.2億円 ≈ 0.50倍
    • EV概算= 時価総額456.6億 + 有利子負債81.5億 – 現預金115.2億 ≈ 422.9億
    • EV/EBITDA(実績)= 422.9 ÷ 67.7 ≈ 約6.2倍(正規化EBITDA 92.1億用なら約4.6倍)
  • 参考レンジ(仮定計算)
    • 業界平均PER(24.2倍)適用の仮想株価: 24.2 × 123.87 ≈ 2,997円
    • 業界平均PBR(1.6倍)適用の仮想株価: 1.6 × 1,201.25 ≈ 1,922円
  • 補足: TOB進行に伴い実勢株価は公開買付価格近辺で推移する傾向があり、一般的な相対バリュエーションと乖離する場合があります。

7. テクニカル分析

  • 52週レンジ: 1,360円〜1,399円(現値は高値圏)
  • 移動平均: 50日線≈1,392.2円、200日線≈1,383.9円。現値は50日線近辺、200日線上。
  • 需給: 内部者保有約90%、フロート約221万株と薄く、価格はTOB価格近辺で極めて狭いレンジ。信用売残ゼロ、信用買残は1.1万株と限定的。
  • モメンタム: 直近はボラティリティ極小の保ち合い。TOB関連の特殊需給色が強い。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益(連結、百万円)
    • 売上: 62,785(2022)→ 69,538(2023)→ 75,455(2024)→ 84,818(過去12か月)
    • LTM YoY: +12.4%、3年CAGR: 約+10.5%
    • 営業利益: 3,213 → 1,900 → 3,233 → 5,501(LTM)
    • 当期純利益: 3,837 → 797 → 2,574 → 2,244(LTM)
  • 収益性(LTM)
    • 粗利率: 17,520 / 84,818 ≈ 20.6%
    • 営業利益率: 5,501 / 84,818 ≈ 6.5%
    • EBITDAマージン: 6,772 / 84,818 ≈ 8.0%
    • 純利益率: 2,244 / 84,818 ≈ 2.6%
  • 効率・資本
    • ROE(実績): 5.87%(開示値)
    • 自己資本比率: 58.0%(期末)→ 59.6%(2025/6末、短信)
    • 流動比率: 約200%(短信)
    • ネットキャッシュ: 現金等115.2億 – 有利子負債81.5億 ≈ +33.7億
  • セグメント(2026年3月期1Q)
    • 自動車: 売上12,271、セグ利益713
    • 産業: 売上4,789、セグ利益-195
    • リチウム: 売上5、セグ利益-85
  • キャッシュフロー: 四半期CFは未作成(短信注記)。減価償却費は四半期798百万円。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当: 2025年3月期は期末無配。2026年3月期も無配予定(短信記載)。5年平均利回りは1.53%だが、直近は無配。
  • 自社株買い: 公開情報で確認できず。
  • 補足: TOB進行を踏まえた配当方針(無配)の位置付けが明示されている。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 価格推移: 年初来高値圏での横ばい。52週騰落率は+1.1%。
  • 出来高: 平均出来高(3ヶ月)約11.3万株。直近は一部日で膨らむが、総じて薄商い。
  • 影響要因:
    • TOBの進行・条件が最重要(上場廃止可能性含む)。
    • 為替・鉛価格、保証費用動向、xEV関連の12V電源規格変更のトレンド。
    • 産業用(UPS・鉄道等)の設備投資サイクル。

11. 総評

  • 自動車用鉛蓄電池を核に、海外比率40%・用途分散で安定性がある一方、原材料・保証費用のブレと、リチウム等新領域の収益化が課題。
  • 収益は直近で改善傾向(営業段階)が見られ、LTM売上も伸長。一方、LTM純利益は一過性費用で抑制されており、正規化ベースでは改善余地がうかがえる。
  • 財務は自己資本比率約58〜60%、流動比率200%、ネットキャッシュと健全。
  • バリュエーションは業界平均比で割安水準の指標が多いが、TOBの影響で市場価格は買付価格近辺での推移が続く可能性がある。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性: A
    • 根拠: LTM売上+12.4% YoY、3年CAGR約+10.5%。
  • 収益性: B
    • 根拠: LTM営業利益率約6.5%、粗利率約20.6%。業界内で中位水準と評価。リチウム・産業の赤字が全体の足かせ。
  • 財務健全性: A
    • 根拠: 自己資本比率約58〜60%、流動比率約200%、D/E約0.2、ネットキャッシュ。
  • 株価バリュエーション: A
    • 根拠: PER約11.2倍・PBR約1.16倍・EV/S約0.5倍と、業界平均より低位。ただしTOB進行という特殊要因あり。


情報ソース: 提示された会社概要、各種指標、決算短信(2026年3月期1Q)、株価データ等。上記は事実関係の整理であり、投資判断を目的とした助言ではありません。


企業情報

銘柄コード 6937
企業名 古河電池
URL http://www.furukawadenchi.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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