日本カーバイド工業(4064)企業分析レポート
基準日:2025-10-09/株価:2,171円/市場:東証プライム
1. 企業情報
- 概要:化学中堅。電子・機能製品、フィルム・シート、建材、エンジニアリングを展開。半導体用金型クリーニング材や機能樹脂、セラミック基板(アルミナ他)、ステッカー・再帰反射シート等に強み。海外売上比率は53%(2025.3期)。
- 主な製品・用途
- 機能化学品:電子材料、コーティング材、農薬・医薬原薬/中間体、金属表面処理剤 等
- 機能樹脂:増粘・粘着剤、染料・塗料用樹脂、メラミン樹脂
- 半導体関連:金型クリーナー/コンディショナー、セラミック基板(厚膜/グリーンシート)
- フィルム・シート:マーキングフィルム、レーザー印字ラベル、再帰反射シート、3Dエンブレム
- 建材:アルミ手すり、樹脂押出成形品
- エンジニアリング:産業プラントEPC、カーボンニュートラル設備
- 従業員:3,388人/本社:東京都港区/設立:1935年
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:スペシャリティ化学 × 加工材料のニッチ領域で製品群を多角化。特に「金型クリーニング材」「再帰反射シート」「セラミック基板」など、品質・用途特化での競争力がうかがえる。
- 競争優位の源泉(推定)
- 用途特化×技術蓄積(半導体周辺、機能樹脂、セラミック基板)
- 価格改定・製品ミックス改善の実行(2026/3期1Qで利益率改善に寄与)
- 海外売上の厚み(為替影響はある一方で、需要分散)
- 課題
- 半導体・電子部品の景気循環への感応度
- 米国の追加関税など通商リスク(特に再帰反射シート等)
- 原材料価格・為替の変動影響
3. 経営戦略と重点分野
- 方針(開示情報からの整理)
- 高付加価値の電子・機能製品とフィルム・シートに経営資源を重点配分
- 価格改定と調達効率化でコスト変動への耐性を強化
- エンジニアリング領域(カーボンニュートラル設備等)の受注拡大
- 通期見通し(会社予想:2026/3期)
- 売上高 4,900億円 → 49,000百万円(+0.6%)
- 営業利益 3,300百万円(-5.5%)
- 経常利益 3,400百万円(-9.6%)
- 親会社純利益 2,300百万円(+4.0%)/EPS 247.01円
- 重点分野(1Q会社コメント)
- 電子・機能:機能化学品(医薬・農薬)、半導体関連が増収
- フィルム・シート:価格改定が利益にプラス。米国向けは関税で弱含み、ブラジル二輪向け等が補完
- 建材:住宅需要・省エネ補助金効果で回復、黒字化
- エンジニアリング:EPC受注拡大・調達効率化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:機能化学品・機能樹脂・半導体関連材・高機能フィルム/シート等の多品種少量型が中心。価格改定と製品ミックスで粗利を確保。
- 耐性・適応:
- 多角化と地域分散で単一市場の変動を緩和
- 原材料・為替の影響は残るが、価格改定や調達効率化を継続
- 半導体・省エネ/安全(サイン・反射材)の長期需要は構造的追い風になりうる一方、景気循環に左右される局面あり
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性
- 半導体用金型クリーニング材:プロセス対応・品質安定性が差別化要因
- セラミック基板(アルミナ等):放熱・電気特性バランスによる用途特化
- 高機能フィルム/再帰反射:耐候性・視認性・加工性などの設計ノウハウ
- 収益牽引(1Qセグメント利益率)
- フィルム・シート:売上比率42.7%、営業利益率約12.0%
- 電子・機能:売上比率35.3%、同約9.5%
- エンジニアリング:同約14.1%(規模は小さいが高採算)
- 建材:同約2.2%(回復局面)
6. 株価の評価(バリュエーションの目安)
- 前提:株価 2,171円、EPS(会社予想)246.94円、BPS 3,749.90円
- PER:約8.79倍(業界平均 20.4倍)
- PBR:約0.58倍(業界平均 1.1倍)
- EV/S:約0.34倍(EV概算:時価総額20,450百万円+有利子負債9,990−現金14,000 ≒16,440百万円、売上48,727百万円で試算)
- EV/EBITDA:約3.0倍(EBITDA 5,467百万円ベース)
- メモ:同業平均指標と比較してディスカウント圏の水準。収益性・成長継続が評価修正要因になりうる一方、景気循環・為替・通商動向の不確実性に留意。
(注)計算は概算。LTM/会社予想の混在に留意。
7. テクニカル分析
- 位置づけ:株価 2,171円は
- 50日移動平均:2,102.7円 上回り
- 200日移動平均:1,864.3円 大きく上回り
- 52週高値:2,288円(約-5%)
- モメンタム(直近10日):2,093円→2,171円へ持ち直し。出来高は3か月平均(約49千株)並み〜やや下回り。
- 判定:移動平均線上で推移しており、相対的に高値圏に近い位置。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移(百万円)
- 売上高:47,003(2022)→44,008(2023)→43,231(2024)→48,727(LTM)
- 営業利益:3,193 →1,262 →849 →3,494
- 親会社純利益:1,930 →332 →999 →2,211
- 収益性
- 粗利率:約32.0%(15,603/48,727)
- 営業利益率:約7.2%(3,494/48,727)
- 当期純利益率:約4〜4.5%
- ROE:6.47%、ROA:3.83%
- キャッシュフロー・財政状態
- 現金等:13,998百万円/有利子負債:9,990百万円 → ネットキャッシュ
- 自己資本比率:56.4%、流動比率:約252%
- D/E(総負債資本倍率):約26.9%(直近四半期)
- コメント:2024期にかけての調整後、LTMで売上・利益が回復。価格改定とミックス改善、半導体関連の持ち直しが寄与。財務基盤は健全。
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当:年間82円(中間41/期末41)、配当利回り約3.78%
- 直近実績:年間80円、5年平均利回り約4.07%
- 配当性向:33.68%(予想)
- 自社株:自己株式約1.12%保有(新規の自己株買い計画は資料記載なし)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週変化率:+28.0%、β(5年):0.22(市場連動性は相対的に低い)
- 信用動向:信用倍率 11.95倍、買残増加(+4,900株)-短期的には強含みの需給
- 需給・外部要因:米国追加関税、為替変動、原材料価格が株価変動要因。半導体・省エネ関連の循環回復はポジティブ材料になりやすい一方、為替換算差で包括利益が振れる点に注意。
11. 総評
- 多角化されたスペシャリティ化学・材料メーカー。半導体周辺材、機能樹脂、高機能フィルム/反射材により、直近は価格改定とミックス改善で収益性が改善。
- 財務は自己資本比率56%台・ネットキャッシュと健全。通期見通しは増益ながら、営業・経常は前年からの慎重計画。
- バリュエーションは業界平均比で低位に位置。今後は半導体を含む需要回復の持続、通商・為替動向、建材の回復継続、エンジニアリングの受注進捗が注視点。
(注)本資料は公開情報に基づく客観的整理であり、投資助言を目的とするものではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上 48,727百万円(前年比+約12.7%)、1Q売上も+4.7%。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率約32%、営業利益率約7%台。業界中位水準と評価。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率56.4%、流動比率約252%、ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER約8.8倍、PBR約0.58倍、EV/EBITDA約3倍、EV/S約0.3倍(いずれも業界平均比で低水準)。赤字でないためPERも参照。
参考データ(抜粋)
– 時価総額:204.5億円/発行済株式:9,419,659株
– 年初来高値・安値:2,288円/1,410円
– 1Q(2026/3期):売上 11,770、営業益 965、最終益 534(百万円)
企業情報
銘柄コード | 4064 |
企業名 | 日本カーバイド工業 |
URL | http://www.carbide.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。