株式会社ACCESS (4813) 企業分析レポート

1. 企業情報

ACCESSは、主に情報機器向けのソフトウェア技術を提供する企業です。モバイル、ネットワーク、組込みソフトウェアの技術を世界中の通信キャリア、家電メーカー、放送・出版会社、自動車業界、エネルギーインフラ事業者などに提供しています。主要な事業内容は、IoT(モノのインターネット)関連のデバイス受託開発・ソリューション、スマートTVや車載向けなどのWebプラットフォーム、ネットワークOSであるOcNOS®を含むネットワーク事業の3つのセグメントで構成されています。特に北米拠点のネットワーク事業が収益の柱となっており、IoTデバイスの受託開発や車載プラットフォームの提供にも注力しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ACCESSは、コネクテッドカー、スマートTV、IoTデバイス、ネットワークインフラなど、多岐にわたる分野でソフトウェア技術を提供しています。競合優位性としては、長年の経験と独自技術に裏打ちされた組込みソフトウェアやネットワークOS(OcNOS®)の技術力が挙げられます。特に、モバイル・ネットワーク技術を基盤としたソリューションは、現代のデジタル化が進む社会において幅広いニーズに対応できる可能性があります。一方で、市場シェアに関する具体的な数値は開示されておらず、競争環境の詳細な分析は困難です。課題としては、北米拠点のネットワーク事業における不適切会計の問題が判明し、特別注意銘柄に指定されている点があります。これにより、企業としての信用力や競争環境において不利な状況に直面している可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣の掲げるビジョンや戦略に関する具体的な中期経営計画の数値目標や詳細な施策に関する記述は、提供された情報からは限定的です。しかし、事業内容からは、IoTプロフェッショナルサービス、自社開発IoTソリューション、Webプラットフォーム(組み込みウェブブラウザNetFront®シリーズなど)、そしてネットワークOS(OcNOS®)を中核としたホワイトボックスソリューションが重点分野として考えられます。決算短信からは、IoT事業の拡大、WebプラットフォームのTV・車載向け育成、ネットワーク事業におけるOcNOS®の新規顧客獲得への注力が継続していることが伺えます。また、全社的には内部管理体制の強化と顧客関係の維持、そして新規資金調達の検討が喫緊の課題として挙げられています。

4. 事業モデルの持続可能性

ACCESSの事業モデルは、IoTの普及、コネクテッドカー市場の拡大、クラウド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の増加といった市場ニーズの変化に適応しようとしています。特に、IoT事業は高成長を続けており、位置情報利活用やエネルギーマネジメント、生成AI関連での案件拡大が見られます。これにより、新たな成長機会を捉える可能性を秘めています。しかし、過去の不適切会計問題による特別注意銘柄への指定は、事業モデルの持続可能性に大きな不確実性をもたらしています。顧客やパートナーからの信頼回復、内部管理体制の抜本的な改善が、今後の持続的な成長の前提となります。ネットワーク事業においては、前年同期の大型案件の反動と減損損失の計上により、収益性が大幅に悪化しており、その立て直しも課題です。

5. 技術革新と主力製品

ACCESSは、長年にわたり組込みソフトウェア技術とネットワーク技術を培ってきました。主要な技術開発の動向としては、HTML5ブラウザ技術(NetFront Browser BE, NX)、HbbTVやUK freeview play向けのBrowser SDKs、自動車向けHTMLエンジン、IoTゲートウェイ製品の開発などがあります。主力製品として、組込みウェブブラウザの「NetFront®」シリーズは、スマートTVや車載インフォテインメントシステムなどで広く採用されています。また、ネットワークOSである「OcNOS®」は、OCP(Open Compute Project)準拠のホワイトボックスシステム向けに提供され、仮想化技術を用いた「VirNOS」も展開しています。これらの技術は、多様なデバイスやITインフラの根幹を支えるものであり、同社の収益を牽引する重要な要素です。IoT事業では、IoTプロフェッショナルサービスや自社開発IoTソリューションが、最近の売上増に貢献しています。

6. 株価の評価

現在の株価は610.0円です。
PERは、会社予想EPSがマイナスであるため算出できません。
PBR(実績)は3.10倍であり、業界平均PBR 2.3倍と比較すると、現時点では割高な水準にあります。
BPS(実績)は197.37円(直近四半期196.26円)であり、株価610.0円と比較すると、純資産価値に対して株価が約3倍の水準です。これは、企業が赤字でありながらも、市場が将来の成長期待や無形資産価値を見込んでいる可能性を示唆しますが、現在の赤字の状態と不適切会計問題を考慮すると、慎重な評価が求められます。

7. テクニカル分析

現在の株価610.0円は、年初来高値1,192円、年初来安値560円に対して、安値圏に位置しています。
また、50日移動平均線(690.72円)および200日移動平均線(812.34円)を大きく下回っており、短期および長期においても下降トレンドにあると考えられます。直近10日間の株価推移を見ると、560円~615円のレンジで推移しており、底値圏での横ばい、あるいはやや下値を試す動きが見られます。現在の株価は、52週安値560円に近く、全体的には安値圏での推移と評価できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間は増加傾向にあり、2022年1月期から2025年1月期にかけて大きく伸びています(9,853百万円 → 15,930百万円)。直近12か月売上高16,619百万円。2026年1月期の中間期売上高は9,055百万円で前年同期比+8.2%と増収でしたが、直近四半期売上高成長率(前年比)は-14.60%と減少に転じています。通期業績予想では20,500百万円で前期比+28.7%の高成長を見込んでいますが、中間期の実績と比較すると後半での挽回が必須となります。
  • 利益: 営業利益、経常利益、純利益ともに過去数年にわたり赤字が継続しており、特に2025年1月期および直近12か月では赤字幅が拡大しています。2026年1月期中間期も営業損失△1,990百万円、親会社株主に帰属する中間純損失△2,718百万円と赤字が続いています。
  • キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは、直近12か月で△1,470百万円、2026年1月期中間期で△3,323百万円と継続してマイナスです。特に中間期では特別調査費用等の支払いが約2,168百万円と大きく影響しています。投資活動によるキャッシュフローも△944百万円とマイナスで、フリーキャッシュフローはLevered Free Cash Flowで410.12百万円とプラスですが、質的な安定性には課題が見られます。
  • ROE/ROA: 継続的な純損失のため、ROE(実績 -33.04%、LTM -67.65%)およびROA(LTM -12.07%)も大幅なマイナスとなっています。効率性の改善が重要な課題です。
  • 財務健全性: 自己資本比率は実績で46.5%、2026年1月期中間期末で50.6%と50%を超えており、比較的高い水準です。流動比率は1.80倍と短期的な支払い能力も健全です。Total Debt/Equityは12.15%と低く、借入依存度は低い状態です。しかし、決算短信には「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象」があると記載されており、財務の健全性が揺らぐリスクも抱えています。

9. 株主還元と配当方針

会社予想の1株配当は0.00円であり、配当利回りも0.00%です。過去のEx-Dividend Dateも2021年1月が最後であり、継続的な赤字のため、現状は無配当方針と判断されます。自社株買いなどの株主還元策に関する情報も提供されていません。収益が安定し、黒字転換が実現するまでは、積極的な株主還元は期待しにくい状況です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

過去52週間の株価変動は-53.39%と大きく下落しており、S&P 500の同時期の変化率+16.85%と比較しても、株価は非常に軟調な推移を示しています。直近10日間の株価は560円から615円のレンジで推移し、出来高は10万株から50万株程度で推移しています。信用買残が信用売残の10.00倍と買い残が多く、需給面では重石となる可能性があります。この株価の低迷は、同社の継続的な赤字に加え、不適切会計問題による特別注意銘柄指定が大きな要因となっていると考えられます。投資家の関心は、会計問題の解決と業績回復の兆し、そして特別注意銘柄の指定解除に向けた内部管理体制の改善状況に集まっていると推測されます。

11. 総評

ACCESSは、IoT、Webプラットフォーム、ネットワークといった成長分野で独自のソフトウェア技術を展開する企業であり、特にIoT事業の成長は目を引きます。しかし、収益面では継続的な赤字状態にあり、財務諸表上は自己資本比率や流動比率が健全であるものの、営業キャッシュフローのマイナスや「継続企業の前提に関する重要な疑義」といった指摘も存在します。
最大の課題は、北米拠点のネットワーク事業における不適切会計が発覚し、東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されている点です。これにより、企業の信用力が大きく損なわれており、今後の上場維持審査の行方も不透明です。株価は年初来安値圏で推移し、PBRは業界平均を上回る水準ですが、EPSがマイナスであるためバリュエーション評価は困難です。
今後の見通しとしては、内部管理体制の改善、不正会計問題に対する信頼回復、そしてネットワーク事業の立て直しとIoT事業のさらなる成長が必須となります。これらの課題解決の進捗が、同社の企業価値および株価に大きく影響を与えるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 過去数年間の売上高は増加傾向にありますが、直近四半期売上高成長率(前年比)は-14.60%と減少に転じています。ただし、IoT事業は大幅に成長しており、会社予想通期の売上高は前期比+28.7%の高成長を見込んでいます。セクター間で成長にばらつきがあるため中立評価。
  • 収益性: D
    • 営業利益、経常利益、純利益全てが継続的に赤字であり、直近12か月では赤字幅が拡大しています。営業利益率、プロフィットマージンともに大幅なマイナスであり、収益性は低いと評価されます。
  • 財務健全性: B
    • 自己資本比率は実績46.5%(中間期50.6%)、流動比率1.80倍、Total Debt/Equity比率12.15%と、主要な健全性指標は一般的に良好な水準です。しかし、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が指摘されており、特別注意銘柄指定という重大なリスクを抱えているため、中立評価とします。
  • 株価バリュエーション: C
    • PERは赤字のため算出できません。PBR(実績)は3.10倍で、業界平均PBR 2.3倍と比較すると割高な水準にあります。EPSがマイナスであることも考慮すると、現在の株価は割高と評価されます。

企業情報

銘柄コード 4813
企業名 ACCESS
URL https://www.access-company.com/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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