三菱瓦斯化学(4182)企業分析レポート
株価:2,706円(2025-10-10終値)
市場区分:東証プライム/化学(素材・化学)
1. 企業情報
- 概要
- 基礎化学品からファインケミカル、機能材料まで幅広い製品群を展開。海外でメタノールを合弁生産(世界トップ級規模)。半導体・スマホ関連の電子材料やエンジニアリングプラスチックなど機能化学分野も強み。
- 主な製品・事業
- グリーン・エネルギー&ケミカル:メタノール、アンモニア系化学品、エネルギー資源(天然ガス、ヨウ素等)、メタキシレンジアミン ほか
- 機能化学品:無機化学品、エンプラ(ポリカーボネート、ポリアセタール等)、光学材料、電子材料(BT材料、OPEなど)、酸素吸収剤、銅張積層板 等
- 事業構成(連結、売上/営業利益率):グリーン・エネルギー&ケミカル 41%(営業利益率約4%)、機能化学品 58%(同約9%)[過年度実績ベース、丸め]
- 海外比率:68%(2025.3)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- メタノール:海外合弁による大規模供給力で世界上位のプレゼンス。
- 機能材料:半導体関連(BT材料、ハイブリッドケミカル、OPE等)で一定の存在感。酸素吸収剤など独自性の高いニッチ製品も保有。
- 競争優位性
- 上流(基礎化学)から下流(機能材料)までの一貫ポートフォリオにより、市況の変動をある程度吸収可能。
- 電子材料・無機ケミカルなど高付加価値分野の技術蓄積。
- 課題
- メタノールやポリカーボネートなどコモディティ市況・為替の影響が大きい。
- 先端半導体投資に伴う固定費(減価償却)の増加と、新製品の立ち上がりタイミング管理。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画「Grow UP 2026」
- 事業ポートフォリオの強靭化(市況影響の高い領域の最適化、採算性改善)
- Uniqueness & Presence事業への集中(半導体・電子材料、先端無機ケミカル等)
- イノベーション推進(先端半導体向けハイブリッドケミカル等の開発・量産)
- 重点管理事業の再構築(不採算領域の撤退・縮小:例 オルソキシレンチェーン撤退)
- 重点施策(短信・補足資料の要旨)
- 先端半導体/電子材料の能力増強と品質対応
- コモディティ領域のコスト構造最適化、JV活用
- 円高・市況変動を踏まえた収益ボラティリティ低減
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 基礎化学(市況連動・JV含む)のキャッシュ創出力と、機能材料(用途拡大・高付加価値)のミックスで循環と構造を併せ持つモデル。
- 適応力
- 市況悪化期にコスト最適化・再編を進めつつ、成長領域(半導体、電子部材)へ資源配分を強化。
- 需要ドライバー(AIサーバー、先端半導体、スマホ等)の変動に応じた製品ポートフォリオ調整。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性
- 先端半導体向けハイブリッドケミカル、電子材料(BT材料、OPE)の改良・量産。
- 酸素吸収剤など食品・生活関連の独自ソリューション。
- 収益牽引製品
- 電子材料(BT、OPEなど)の需要回復傾向。
- エンプラ(ポリカーボネート等)は市況下落・為替の影響を受けやすいが数量面で底堅さも。
- メタノールは市況下落局面で減益要因。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価:2,706円、時価総額:約5,728億円
- EPS(予想):184.89円、EPS(LTM):228.93円
- BPS:3,406.09円
- 会社予想PER:14.64倍、実績PBR:0.79倍、配当利回り:3.70%
- 試算
- 実績PER(LTM)= 2,706 / 228.93 ≈ 11.8倍
- PBR = 2,706 / 3,406.09 ≈ 0.79倍(提供値と一致)
- EV ≈ 572.8 + 204.2 − 76.9 ≈ 7,000億円
- EV/売上(LTM)≈ 7,000 / 7,736 ≈ 0.90倍
- EV/EBITDA(LTM)≈ 7,000 / 951 ≈ 7.4倍
- 相対評価(業界平均比)
- 業界平均PER 20.4倍、PBR 1.1倍に対し、同社は下回る水準。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:2,663.97円、200日:2,452.56円。株価は両移動平均を上回り、中期的には上向き基調。
- 位置づけ
- 年初来高値:2,854円(現状は約5%下)。52週高値:2,976.5円、52週安値:1,918円。
- 直近10日では2,830円近辺から一服し2,700円台へ反落。出来高は3カ月平均(約122万株)を下回る(本日約87万株)。
- 需給
- 信用倍率:13.50倍(買い長)。信用買残・売残とも減少傾向。
8. 財務諸表分析
- 収益・利益(百万円)
- 売上高(LTM):773,591(2024/3期:813,417、2023/3期:781,211、2022/3期:705,656)
- 営業利益(LTM):50,851、EBITDA:95,127
- 親会社株主純利益(LTM):45,544、EPS(LTM):228.93円
- 収益性
- 粗利率(LTM):約21.2%(164,293/773,591)
- 営業利益率(LTM):約6.6%(会社指標では約5.9%)
- EBITDAマージン(LTM):約12.3%
- 効率性・資本性
- ROE(実績):6.87%、ROA(LTM):2.63%
- 自己資本比率:59.7%、D/E(総負債/資本):約29.5%
- 流動比率:約1.68倍
- トレンド
- 売上は直近で前年比マイナス(市況・為替影響)。一方、3年では緩やかな増加。
- 2026年3月期1Qは減収減益(売上▲5.4%、営業益▲30.2%)ながら、電子材料の回復とコスト最適化の進捗を示唆。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期:年間95円(中間45円・期末50円)
- 2026/3期(会社予想):年間100円(中間50円・期末50円)
- 予想配当利回り:3.70%、配当性向:約41.5%
- 自己株式
- 自己株式比率:8.02%(約1,698万株)— 過去の自己株取得実績が示唆。
- 還元スタンス
- 業績連動を基本に安定配当を志向。自己株式の活用余地も存在。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 200日線を上回る上昇トレンドの中、短期的には高値圏からの押し目形成。
- 投資家構成
- 機関投資家保有比率:約53%、インサイダー:約5%。
- ベータ(5年):0.50(市場連動性は相対的に低め)。
- 影響要因
- メタノール・エンプラ市況、為替、半導体サイクルの変動。
- 固定費増(減価償却)と新製品立ち上がりコストの見極め。
11. 総評
- 事業ポートフォリオは、景気・市況に敏感な基礎化学と、成長性のある機能材料の組み合わせ。短期的には為替・市況・固定費増の逆風で減益局面だが、半導体・電子材料の回復や再編効果で中期的な改善余地を持つ構図。
- 財務健全性は高く、PBR 0.8倍台・PER 10〜15倍台のレンジで、業界平均比では抑制的なバリュエーション水準。
- 今後は、先端半導体向け材料の伸長度合い、コモディティ市況の底打ち、為替の影響、コスト構造改善の進捗が主要な観察ポイント。
(注)本資料は提供データに基づく客観的な整理であり、投資判断を目的とした助言ではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上成長率は前年比マイナス(約▲4.9%)だが、3年CAGRは約+3%と緩やかに増加。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率約21%、営業利益率約6%台、EBITDAマージン約12%台。業界水準並み。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約60%、流動比率1.68倍、D/E約30%と健全。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER・PBRとも業界平均を下回る。EV/EBITDA約7倍台、EV/S約0.9倍。
【参考データ抜粋】
– 株価レンジ(52週):1,918〜2,976.5円
– 年初来高値/安値:2,854/1,918円
– 出来高(本日):約86.7万株(3カ月平均:約122万株)
– 次回決算予定:2025-11-06
– 予想配当:年間100円、権利落ち予定日:2026-03-30
不明点・追加開示が必要な事項は最新のTDnet開示・決算説明資料をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 4182 |
企業名 | 三菱瓦斯化学 |
URL | http://www.mgc.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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