1. 企業情報

東亞合成株式会社は、化学品製造販売を主軸とする中堅化学メーカーです。幅広い化学製品を手掛けており、電解製品、アクリル酸、高分子凝集剤などの「基幹化学品」、様々な機能を持つ「ポリマー・オリゴマー」、瞬間接着剤「アロンアルフア」に代表される「接着材料」、高純度無機化学品等の「高機能材料」、環境インフラ関連やライフサポート製品などの「樹脂加工製品」を展開しています。特にアクリル酸関連には長い歴史と強みを持ち、瞬間接着剤「アロンアルファ」は広く知られています。近年では車載電池向け材料の開発にも注力しています。連結売上高における基幹化学品事業の割合が約47%と最も大きく、海外売上比率は約17%(2024年12月期)。

2. 業界のポジションと市場シェア

東亞合成は化学業界の中堅企業として、特定分野で競争優位性を確立しています。「アクリル酸関連に強み」という特徴を持ち、特にアクリル酸エステルの先駆者としての地位は技術的な優位性を示唆しています。また、瞬間接着剤「アロンアルファ」は一般消費者にも広く浸透しているブランド力があります。
決算短信からは、高純度無機化学品においてAI関連の強い需給があること、機能性接着剤が車載や電子材料向けで堅調であるといった具体的な市場ニーズへの対応が見られます。これらは同社の製品が特定の高成長市場において競争力を持っていることを示唆します。しかし、市場全体のシェアに関する具体的な数値は提供された情報からは確認できません。課題としては、半導体市場回復の遅れや一部基幹製品の販売数量減など、マクロ経済や特定産業の動向に業績が左右される点が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

東亞合成は、成長分野への積極的な投資を経営戦略の柱としています。中期経営計画との整合性として、製造設備の増強、研究開発の強化、海外拠点の設立といった成長投資を継続していく方針であることが決算短信から確認できます。
具体的な施策としては、最近の社債発行(100億円)が成長分野への設備投資を目的としていることや、米国での合弁事業(Toagosei America Inc.とNewell Brandsの合弁)を解消し、Toagosei America Inc.が持分を取得することで、主要市場である北米での事業再編・強化を進めている点が挙げられます。これらを通じて、中長期的な企業価値向上を目指しているものと見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

東亞合成の事業モデルは、多様な化学製品ポートフォリオと用途の広さにより一定の持続可能性を有しています。基幹化学品で安定的な収益基盤を築きつつ、ポリマー・オリゴマー、接着材料、高機能材料、樹脂加工製品といった幅広い用途を持つ製品群を展開することで、特定の市場変動リスクを分散しています。
特に、AI関連需要を取り込む高純度無機化学品や、車載・電子機器向けの機能性接着剤といった成長市場への展開は、市場ニーズの変化への適応力と今後の成長の可能性を示しています。一方で、世界経済の先行き不透明感、米国の関税政策、地政学リスク、原材料価格や原燃料価格の変動が業績に影響を及ぼすリスクも存在します。これらの外部環境に対し、市況や原燃料価格に注意を払いながら柔軟に対応し、需要回復が見込める分野や開発製品の拡販を進める方針です。

5. 技術革新と主力製品

東亞合成の技術開発は「アクリル酸関連に強み」があることを基盤としています。主力製品として、一般消費者にも浸透している瞬間接着剤「アロンアルフア」があります。また、アクリル酸エステルの先駆者として培った技術を活かし、幅広い産業向けに製品を提供しています。
最近では「車載電池向け材料」や「高純度無機化学品(AI関連)」が注力分野として挙げられ、これらが将来の収益を牽引する可能性があります。研究開発センターにおける費用増加は、これらの新しい技術・製品開発への投資意欲を示しており、技術的な独自性を保ちながら高付加価値製品への転換を図っていると見られます。

6. 株価の評価

現在の株価1,490.0円に対し、各種指標を評価します。
* PER(会社予想): 13.49倍
* 業界平均PER 20.4倍と比較すると、現在のPERは相対的に割安な水準にあります。
* PBR(実績): 0.78倍
* 業界平均PBR 1.1倍と比較すると、現在のPBRは解散価値を下回っており、相対的に割安な水準にあります。
* EPS(会社予想): 110.48円
* BPS(実績): 1,917.59円

これらの指標に基づくと、現在の株価は業界平均と比較して割安な評価を受けていると見ることができます。

7. テクニカル分析

現在の株価1,490.0円は、
* 年初来高値1,576円、年初来安値1,204円のレンジの中央よりやや高値寄りの位置にあります。
* 52週高値1,690.00円、52週安値1,203.50円のレンジの約中央(高値から約12%、安値から約24%の位置)にあります。
* 50日移動平均線1,520.07円を下回っており、直近では下降傾向にあることを示唆しています。
* 200日移動平均線1,437.44円は上回っています。

直近10日間の株価推移を見ると、10月9日の1,534円から10月10日の1,490円へと下落しており、短期的な下降トレンドが継続しています。現在の株価は短期的には高値圏から下落し、レンジの中間に位置していると言えます。

8. 財務諸表分析

売上高:

過去5年間(2021年12月期〜2024年12月期実績およびLTM)の総売上高は1,563億円から1,675億円の間で推移しており、大きな変動はなく横ばいから微増傾向にあります。直近12か月は1,663億円です。しかし、2025年12月期通期予想は1,625億円と、前期比で△3.0%の減収を見込んでおり、直近中間期においても前年同期比で△1.5%の減収となっています。

利益:

営業利益は2021年12月期の176億円から2023年12月期の125億円まで減少傾向にありましたが、直近12か月では139億円とやや回復。しかし、2025年12月期通期予想は140億円と前期比△1.6%の減益見込みで、中間期も前年同期比△4.2%の減益と、直近の利益は鈍化傾向にあります。純利益も同様に減少傾向が見られ、直近12か月で105億円、中間期で57億円の減益となっています。

キャッシュフロー:

営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月で226億円のプラス、直近中間期でも166億円のプラスと、安定的に現金を創出できています。一方、投資活動によるキャッシュフローは、過去12か月で△109億円、直近中間期で△173億円と大幅な支出超過となっており、主に設備投資の増加が原因です。これは成長戦略として設備増強に資金を投じていることを示しています。

収益性指標:

  • ROE(実績): 5.60% (過去12か月: 4.97%)。やや低めの水準です。
  • ROA(過去12か月): 3.16%。
  • 粗利率(過去12か月): 約27.6% (売上45.96B / 売上原価166.37B)。
  • 営業利益率(過去12か月): 9.02% (中間期: 8.7%)。

財務健全性:

  • 自己資本比率(実績): 76.5% (直近四半期: 77.7%)。極めて高い水準で、財務基盤は非常に強固です。
  • 流動比率(直近四半期): 273%。流動性も非常に高いです。
  • D/E Ratio(直近四半期): 5.22%。負債が極めて少なく、財務リスクは限定的です。

全体として、東亞合成は極めて高い財務健全性を保っている一方で、直近の売上・利益は減少傾向にあり、収益性の改善が課題となっています。積極的な設備投資は中長期的な成長に繋がる可能性があります。

9. 株主還元と配当方針

東亞合成は安定した株主還元を目指しています。
* 1株配当(会社予想): 65.00円 (中間32.50円、期末32.50円)
* 配当利回り(会社予想): 4.36% (現在の株価1,490.0円で計算)。高水準の配当利回りです。
* 配当性向: 65.93%。利益の半分以上を配当に回している計算になります。

過去5年間の平均配当利回りが3.31%であることを考えると、現在の利回りは高めです。
また、決算短信において中間期中に自己株式取得を実施したことが記されており、配当だけでなく自社株買いによる株主還元も行っています。2025年12月期の通期配当予想は、前回予想の62.50円から65.00円に修正されており、株主還元への意欲が伺えます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価モメンタムは下降傾向にあります。直近10日間の株価は高値1,536円から安値1,490円まで下落し、本日終値が日中安値と一致するなど、売りの勢いが強い状況が伺えます。50日移動平均線を下回っており、短期的なトレンドは軟調です。
投資家関心としては、信用買残が前週比で増加し、信用売残が減少しているため、信用倍率は1.28倍となっています。
株価への影響を与える要因としては、2025年12月期の通期業績予想が下方修正されたことがマイナスに作用する可能性があります。一方で、AI関連や車載電池向けなど成長分野への投資(社債発行や米国事業再編)は中長期的な期待感に繋がり得ますが、短期的な利益を圧迫する可能性も考慮されます。マクロ経済の不透明感や原燃料価格の変動も引き続き株価に影響を与える要因となります。

11. 総評

東亞合成は、アクリル酸関連や瞬間接着剤「アロンアルファ」に代表される多様な化学製品ポートフォリオを持つ中堅化学メーカーです。極めて強固な財務体質(自己資本比率77.7%)と潤沢な流動性、負債の少なさを誇ります。成長分野への積極的な投資を継続しており、AI関連や車載電池向け材料など、将来の成長が見込める分野への注力が見られます。
現在の株価は、業界平均と比較してPER、PBRともに割安な水準にあります。また、会社予想に基づく配当利回りも4.36%と高水準であり、自社株買いも実施するなど、株主還元への意識も高いと言えます。
しかしながら、直近の売上高および利益はやや減少傾向にあり、2025年12月期の通期業績予想も下方修正されています。営業利益は過去数年で減少傾向にあり、収益性の改善が課題です。積極的な設備投資によるキャッシュフローの支出超過も続いていますが、これは中長期的な成長のための戦略的な投資と考えられます。
短期的な株価は軟調な動きを見せており、業績の下方修正や外部環境の不透明感が投資家心理に影響を与えています。

12. 企業スコア

  • 成長性:C
    • LTM売上高は微減傾向、2025年12月期通期予想も前期比△3.0%の減収を見込んでおり、直近の中間期売上高も前年同期比△1.5%と減少傾向が見られます。
  • 収益性:B
    • 過去12か月の営業利益率は9.02%、中間期では8.7%です。EBITDAマージンも15.3%と、化学業界として平均的な水準であると判断されます。直近は利益の減少傾向が見られますが、大幅な劣化ではありません。
  • 財務健全性:S
    • 自己資本比率は77.7%、流動比率は273%、D/Eレシオは5.22%と、非常に高い水準で財務基盤が極めて強固であり、安定性に優れています。
  • 株価バリュエーション:A
    • PER(会社予想)13.49倍は業界平均20.4倍を下回り、PBR(実績)0.78倍も業界平均1.1倍を下回っており、相対的に割安な水準にあると評価できます。

企業情報

銘柄コード 4045
企業名 東亞合成
URL http://www.toagosei.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By ジニー

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