ワコム(6727)企業分析レポート
注意:本資料は公開データに基づく客観的な情報整理であり、投資助言を目的とするものではありません。数値は連結ベース中心。単位の異なる出所が混在する場合は文中で補足します。
1. 企業情報
- 概要
- デジタルペン(EMR/AES)とペンタブレット・ペンディスプレイ等の開発・製造・販売。自社ブランド(クリエイター・教育・法人向け)と、OEM向け技術提供(テクノロジーソリューション)の2セグメント。
- 代表製品:Wacom Cintiq/Cintiq Pro、Wacom One、Intuos/Intuos Pro、MobileStudio Pro、Wacom Movink(有機EL薄型ペンディスプレイ)、Bambooシリーズ、アプリ(Bamboo Paper、Inkspace、Wacom Notes等)。
- 特徴:ペンタブレットは世界首位クラス。サムスン等へ電子ペン・デジタイザ技術を供給。
- 事業構成(参考)
- 2026年3月期1Q売上構成:テクノロジーソリューション約73%、ブランド製品約27%。
- 地域:海外売上比率 約49%(2025年3月期)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- クリエイター向けペンタブレットでトップブランド。OEM向けでもスマホ・タブレット・PC向けデジタイザ/スタイラス技術で高いプレゼンス。
- 競争環境・課題
- ブランド製品:中華系(Huion、XP-Pen等)との価格競争、エコシステム競争(Apple Pencil、Surface Pen等)。
- OEM:PC・タブレットのサイクル、米関税政策や為替の影響、主要顧客依存(需要時期の変動・集中リスク)。
- 機会:教育分野のデジタル化、生成AI×クリエイティブ需要、ペン入力の標準化(USI等)に伴う裾野拡大。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期方針(「Wacom Chapter 4」〜2029年3月)
- 「かく」体験の高度化とエコシステム提供(ハード+ソフト+サービス)。
- OEM向けデジタルペン技術の深耕(EMR/AES)とPC・タブレット領域での拡販。
- ブランド製品ポートフォリオの刷新と事業構造改革(固定費削減、販路の効率化)。
- 共創・投資による新ユースケース開拓(例:SYNCORE TECHNOLOGY、Holoeyes等への出資)。
- 直近の施策・進捗(1Q)
- 売上は減少も、構造改革で営業利益率が改善。ブランド事業は黒字化。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- OEM向けロイヤルティ/部材供給+自社ブランド製品のハード売上。ソフト・サービス収益もあるが規模は限定的。
- 持続性の観点
- 強み:筆圧・遅延・描画感の技術的蓄積、ブランド力、主要OEMとの関係。
- 留意点:ハード中心ゆえ景気・在庫サイクルの影響、為替・関税・地政学の外部要因、顧客集中。ソフト/サービスの比率拡大が安定度向上の論点。
5. 技術革新と主力製品
- 技術
- EMR(電磁誘導)/AES(アクティブ静電)両方式を展開。低遅延・高精度・低消費電力、傾き検知等で差別化。
- 主力プロダクト
- クリエイター向け:Cintiq/Cintiq Pro、Movink(薄型・軽量)、Intuos/Intuos Pro、MobileStudio Pro。
- エントリー/教育:Wacom One、One by Wacom、Bambooシリーズ。
- 収益牽引:テクノロジーソリューション(OEM向け)が売上・利益の中核。ブランドは収益改善が進行。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価 815円、時価総額 約1,100億円、予想EPS 63.19円、実績BPS 222.94円。
- 指標
- 予想PER:約12.9倍(提示値と一致)。業界平均PER 24.2倍より低位。
- PBR:約3.66倍。業界平均PBR 1.6倍より高位。
- EV/Sales(概算):EV ≒ 1,100 – 194 + 120 = 約1,026億円、LTM売上 約1,110〜1,156億円 → 約0.9倍。
- コメント
- PERは業界平均比で低位、PBRは高位と混在。EV/Sはハードウェアとしては低〜中位水準の目安。
7. テクニカル分析(短期)
- トレンド
- 200日移動平均:662円、50日:760円。現在値は両移動平均上方 → 中期的な上昇基調。
- 位置
- 52週レンジ:449〜869円。現在は上限近辺(直近高値からはやや調整)。
- 直近の値動き(10日)
- 869円を付けた後、840円前後で揉み合いから本日815円まで押し。出来高は3カ月平均と同程度。
- 需給
- 信用買残 503千株(前週比▲126.7千)、信用売残 +24.3千、信用倍率 3.53倍。短期は買い残整理の動きが観測。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上推移:2022/3 1,088億 → 2023/3 1,127億 → 2024/3 1,188億 → 過去12カ月 約1,156億(やや減速)。
- 直近四半期(2026/3期1Q):売上▲16.0% YoY(セグメントとも減収)。
- 収益性
- LTM営業利益 約102億、営業利益率 約11.1%(改善基調)。1Q営業利益率 約11.1%(前年同期8.7%→改善)。
- LTM粗利率 約35〜37%レンジ。1Q粗利率 約37.6%。
- LTM EBITDA 約124億。
- 実績ROE 15.63%。
- キャッシュフロー・効率
- LTM営業CF 約94億。1Q営業CFは在庫増等で▲6.9億。
- 財務健全性
- 自己資本比率 43.6〜45.4%、流動比率 1.88倍、総有利子負債 約120億、現金等 約194億 → ネットキャッシュ。
- リスク
- 為替差損益の振れ(1Qは為替差損計上)、関税・地政学、顧客需要の変動。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 年間予想配当 22円(中間11・期末11)、予想利回り 約2.70%。
- トレーリング配当性向 約59.5%(22円/直近EPSベース)、予想EPSベースでは約35%。
- 自己株式
- 2025/5/16 自己株式1,100万株を消却。1Q末自己株式 495,186株。
- その他
- 5年平均配当利回り 2.66%。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週変化 +17.1%。直近は高値圏からの調整局面。
- 投資家属性
- 機関投資家保有比率 約50.6%、インサイダー約12.9%。
- 需給・イベント
- 信用動向は買い残の縮小・売り残の増加。次回決算予定:2025/10/30。権利落ち予定:2026/3/30。
11. 総評
- OEM中心のテクノロジーソリューションが収益の柱。ブランド事業は構造改革で損益改善が進展。
- 2026/3期1Qは減収も、コスト最適化で営業利益率は改善。為替差損で経常・純利益は伸び悩み。
- バリュエーションはPERで業界平均比低位、PBRは高位。事業ポートフォリオ・資本効率や無形資産評価を織り込む水準。
- 主な注視点:PC・タブレット/スマホのサイクル、主要OEMの需要タイミング、為替・関税の外部環境、ブランド事業の収益改善継続、ソフト/サービス比率の拡大進捗。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上は前年比微減、直近四半期は▲16% YoY。3年CAGRはプラスだが最新トレンドは減速。
- 収益性:A
- 根拠:LTM営業利益率約11%、粗利率35%台、EBITDA率も二桁。ハードウェア企業として良好な水準。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率43.6%超、流動比率1.88倍、ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均比で低位、PBRは高位、EV/S約0.9倍。総合的に中立評価。
【補足】
– 数値は主に2026年3月期1Q決算短信、提示のLTM・年度データ、株価・指標データに基づく。出所によりLTMの売上・利益水準に軽微な差異あり(表示単位・端数処理・一過性項目の扱い等)。一過性損益はスコアから除外するよう配慮。
企業情報
銘柄コード | 6727 |
企業名 | ワコム |
URL | https://www.wacom.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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