以下は、ナガイレーベン(証券コード:7447)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
ナガイレーベンは1915年創業の医療・介護施設向け白衣(メディカルウェア)を企画・製造・販売する企業です。国内の衛生白衣市場において最大手であり、高いシェアを誇ります。制電・抗菌加工といった機能性素材の使用で差別化を図り、製品の品質と機能性に強みを持っています。
事業内容は多岐にわたり、ヘルスケアウェアが全体の54%、ドクターウェアが14%を占めるほか、患者ウェア18%、手術ウェア9%、ユーティリティウェア・他3%、海外市場2%で構成されています(2024年8月期)。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、供給される情報に基づき「衛生白衣最大手で国内高シェア」とされています。具体的な国内シェアは6割と開示されており、これは業界内で圧倒的な競争優位性を示しています。制電・抗菌加工などの高機能素材を使用することで、競合他社との差別化を図り、品質と機能性で市場での評価を得ています。
しかしながら、医療・介護機関の経営環境は物価高や人件費上昇、補助金終了などで厳しさを増しており、サプライヤー側も原材料価格の高騰や物流費の増加といったコスト上昇の影響を受けるという課題があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、売上高営業利益率及びROE(自己資本当期純利益率)の長期的向上を重視する中期経営方針を掲げています。
具体的な戦略としては以下の分野に注力しています。
* コア市場(ヘルスケアウェア、ドクターウェア)の深耕: 高感度・高機能の高付加価値商品群の強化、販促強化、新販路開拓。
* 周辺市場(患者ウェア、手術ウェア)の拡大: 手術ウェアでは再利用可能な「コンペルパック」の高付加価値化、患者ウェアの機能性強化。
* 海外市場の開拓: 東アジアを中心に、台湾での洗濯アウトソーシングの普及、EC直販モデルの展開、韓国へのソウル支店設立などで事業基盤を拡充。
* 生産体制の最適化: 海外素材の導入、海外生産へのシフトを推進しコスト削減を図りつつ、国内では小ロット多品種対応と品質維持に注力。
* 事業連携の強化: 企画から生産、販売までの一連のプロセスでの連携強化。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、医療・介護分野という安定的な需要を持つ市場に特化しており、衛生白衣という消耗品・実用品を供給することで継続的な収益を得ています。制電・抗菌加工などの機能性や、感染対策商品開発への取り組みは、市場ニーズの変化への適応力を示しています。
しかし、原材料価格の高騰、最低賃金引上げに伴う人件費上昇、委託工場の加工賃上昇、物流費増加(航空便使用)が原価を押し上げる要因となっており、為替の円安も原価面で影響を与える可能性があります。これに対し、価格改定の実施や海外生産シフトの推進でコスト増に対応する方針です。主要顧客としてワタキューセイモア㈱への売上が全体の約20%を占めています。
5. 技術革新と主力製品
ナガイレーベンは、医療・介護現場で求められる「制電・抗菌加工」といった機能性素材の開発・採用に強みを持っています。これらの技術は製品の差別化に貢献し、医療従事者の安全性や快適性を向上させています。
収益を牽引する主力製品は、事業構成比率からヘルスケアウェア(54%)とドクターウェア(14%)が挙げられます。また、手術ウェアでは再利用可能な特殊製品「コンペルパック」を提供しており、これはサステナビリティとコスト削減への貢献を目指すユニークな製品です。
6. 株価の評価
現在の株価1,778.0円に対し、以下の指標が算出されます。
* PER(会社予想): 18.69倍
* 業界平均PER(卸売業)は12.1倍であるため、比較すると割高に評価されている状況です。
* PBR(実績): 1.31倍
* 業界平均PBR(卸売業)は1.0倍であるため、比較するとやや割高に評価されている状況です。
* EPS(会社予想): 95.15円
* BPS(実績): 1,355.60円
これらの指標から見ると、現在の株価は業界平均と比較して割高圏にあると考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,778.0円は、年初来高値2,471円と比較すると約28%下落しており、年初来安値1,725円に近い水準で推移しています。
直近10日間の株価推移も下落傾向を示しており、特に10月上旬から下落幅が拡大しています。50日移動平均線(2,104.02円)および200日移動平均線(2,044.89円)を大きく下回っていることから、現在の株価は安値圏にあると判断できます。
8. 財務諸表分析
売上高:
過去数年(2021年8月期~2024年8月期)は横ばいから微減傾向でしたが、2025年8月期は前年比+3.5%の16,983百万円と増収に転じました。
利益:
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年8月期以降減少傾向にありましたが、2025年8月期も増収ながら営業利益は3,583百万円(前年比△10.5%)、経常利益は3,706百万円(△9.0%)、純利益は2,573百万円(△8.8%)と減益となりました。これは原材料価格高騰や人件費、物流費の増加など、コストの上昇が主な要因とされています。売上総利益率は39.5%でしたが、前年からは3.3ポイント低下しました。
キャッシュフロー:
- 営業活動CF: 過去12ヶ月で+2,180百万円とプラスを維持しており、本業で安定してキャッシュを創出しています。
- 投資活動CF: 過去12ヶ月で+1,109百万円とプラスですが、これは大口定期預金の払戻入金21,000百万円が影響しています。
- 財務活動CF: 過去12ヶ月で△3,894百万円とマイナスで、主に自己株式取得と配当金支払によるものです。
収益性・効率性指標:
- ROE(実績): 6.13%(過去12か月)
- ROA(実績): 4.90%(過去12か月)
- 営業利益率: 19.49%(過去12か月)と高い水準を維持していますが、2025年8月期は21.1%で前年比減少。
- 自己資本比率(実績): 92.5%と極めて高く、財務基盤が非常に安定しています。
- 流動比率(直近四半期): 14.44倍と高く、短期的な支払い能力も非常に高いです。
- 有利子負債: 負債合計が非常に小さく、実質的に有利子負債はほとんどないと考えられます。
9. 株主還元と配当方針
同社は、単体純利益の50%以上を配当する方針を掲げており、必要に応じて自己株式取得も実施することで株主還元に積極的です。
* 配当利回り(会社予想): 3.37%
* 1株配当(会社予想): 60.00円
* 配当性向(会社予想): 63.1%(2025年8月期実績は記念配当を含み120.1%でしたが、会社予想は通常の配当を基に算出されています。)
自己株式取得も活発に行われており、2025年8月期も2,181百万円の自己株式取得を行っています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近の10日間で下落傾向にあり、年初来の安値圏で取引されています。52週変化率で-25.17%と、S&P 500の同時期の上昇を大きく下回っており、株価モメンタムは弱い状況です。
信用取引においては、信用買残が前週比で増加し、信用売残が減少しているため、信用倍率は1.71倍となっています。直近10日間の平均出来高は3ヶ月平均を上回っており、下落局面で出来高が増加していることから、投資家の注目は集めているものの、売り圧力が強い可能性があります。
株価への影響要因としては、直近の決算で示された原材料高騰、人件費、物流費といったコスト増による利益率の低下懸念、および大型案件の納期ずれや入札遅延といった事業の不透明感が挙げられます。
11. 総評
ナガイレーベンは、医療・介護分野の衛生白衣市場で国内トップシェアを誇る安定した事業基盤を持つ企業です。高機能製品による差別化戦略と強固な顧客基盤を確立しています。財務面では自己資本比率92.5%と極めて健全であり、流動性も非常に高いです。株主還元にも積極的で、安定配当と自己株式取得を両立させています。
しかし、直近の業績は原材料価格高騰や人件費・物流費の増加により減益となり、収益性の低下が懸念されています。株価は年初来安値圏で低迷しており、業界平均と比較して各種バリュエーション指標はやや割高感があります。今後は、コスト増への戦略的な対応(価格改定、海外生産シフトなど)と、国内外での新たな事業拡大戦略の進捗が注目されます。
12. 企業スコア
- 成長性: B(中立)
- 2025年8月期の売上高は前年比+3.5%と増収に転じましたが、過去3年間のCAGRは微減傾向にあります。2026年8月期は増収増益予想ですが、過去の動向を考慮すると成長は安定しているものの、高成長とは言えません。
- 収益性: A(優良)
- 2025年8月期の営業利益率は21.1%(過去12ヶ月は19.49%)と、卸売業としては非常に高い水準を維持しています。原材料高騰の影響で粗利率は低下しましたが、依然として高い収益性を誇ります。
- 財務健全性: S(極めて優良)
- 自己資本比率は92.5%を誇り、流動比率も14.44倍と極めて高く、有利子負債もほとんどないことからも、非常に強固な財務体質を持っています。
- 株価バリュエーション: C(やや割高)
- 会社の予想PERは18.69倍、実績PBRは1.31倍であり、それぞれ業界平均PER12.1倍、業界平均PBR1.0倍と比較すると割高な水準にあります。
企業情報
銘柄コード | 7447 |
企業名 | ナガイレーベン |
URL | http://www.nagaileben.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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