1. 企業情報
日本エム・ディ・エムは、主に整形外科領域で使用される医療機器の開発、製造、輸入、販売を行っています。特に骨接合材料(骨折部位に埋め込む釘、ネジ、プレートなど)や人工関節(疾患や損傷により失われた関節機能を回復させる製品)、脊椎固定器具(脊椎不安定症手術で使用)などを手掛けています。売上の約8割を米国で製造しており、海外売上比率も約46%(2025.3期予想)とグローバルに事業を展開しています。人工関節事業が連結事業の約65%を占める主力分野です。
2. 業界のポジションと市場シェア
提供されたデータに具体的な市場シェアの記載はありませんが、日本エム・ディ・エムは整形外科領域の医療機器メーカーおよび販売会社として活動しています。主力製品を米国で製造・販売していることから、米国市場での競争力を有していると考えられます。強みとしては、自社製品比率が約79.5%と高い点が挙げられ、これにより製品開発や品質管理におけるコントロールを維持しています。一方で、決算短信には「骨接合材料分野で競合環境が激化している」との記述があり、競争激化が課題となっています。また、為替変動(円高)が米国市場での収益に影響を与えるリスクも抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細は、提供されたデータからは読み取れません。しかし、2026年3月期の通期業績予想は据え置かれており、売上高264億円(前年比+5.1%)、営業利益18.5億円(前年比+18.9%)、経常利益17億円(前年比+14.2%)、当期純利益14.5億円を目標としています。ただし、今後の為替や米国子会社の海外調達に関する相互関税等の影響が明らかになった場合は、業績予想を見直す可能性も示唆しています。これは外部環境の変化に柔軟に対応していく姿勢を示していると言えるでしょう。
4. 事業モデルの持続可能性
日本エム・ディ・エムは、高齢化社会において需要が安定している整形外科領域の医療機器を主要事業としています。これにより、長期的な市場ニーズの安定性が期待できます。約8割の製品を米国で製造し、海外売上比率も高いことから、グローバル市場からの収益獲得を目指すビジネスモデルです。その一方で、米国での製造比率が高い点は、為替変動(特に円高)が国内決算に与える影響が大きく、収益性の変動要因となり得ます。また、調達コストや自社製造コストの上昇、人件費の増加が決算短信で指摘されており、これらのコスト管理が持続可能性を維持する上で重要となります。
5. 技術革新と主力製品
同社は、人工関節、骨接合材料、脊椎固定器具といった整形外科向け医療機器を主力製品としています。これらの分野で自社製品の開発も手掛けており、「開発、製造、輸入、販売」を一貫して行う体制を構築しています。特に人工関節分野では「BKS TriMax(人工膝)」が米国で二桁成長を継続しており、「Trivicta Hip Stem(人工股関節)」も堅調です。骨接合材料では「Prima Hip Screw」や「ASULOCK」の症例が増加傾向にあります。技術開発の具体的な独自性に関する詳細なデータは提供されていませんが、製品ラインナップの強化と新製品投入が継続的な収益源となっています。
6. 株価の評価
現在の株価515.0円に対し、会社予想PER(連結)は22.65倍、PBR(実績)は0.57倍です。
業界平均PERが21.1倍であることから、同社のPERは業界平均よりやや高めの水準にあります。
一方、業界平均PBRが1.8倍であるのに対し、同社のPBRは0.57倍と、業界平均を大きく下回っており、株価が1株あたり純資産(BPS 909.65円)を下回る水準で評価されています。これは、企業が持つ資産価値に対して株価が割安であると解釈されることがあります。
ただし、過去12ヶ月(LTM)のEPSは-17.52円と赤字であり、PERは計算できません。会社予想PER22.65倍は、2026年3月期予想EPS22.78円(会社予想)に基づくものです。第1四半期決算では、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅減益となっていますが、通期予想純利益は14.5億円、1株あたり純利益55.06円を据え置いています。
7. テクニカル分析
現在の株価515.0円は、年初来高値649円(約20%低い水準)および52週高値697円(約26%低い水準)と比較すると安値圏に近い水準にあります。一方、年初来安値460円や52週安値460円からはやや上昇しています。
50日移動平均線(520.60円)と200日移動平均線(558.03円)を下回っているため、中長期的な下降トレンドにあると見ることができます。直近10日間の株価は493円から520円の範囲で推移しており、現在の株価は短期的にはこのレンジの中間に位置しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去3年間(2022年3月期から2024年3月期)で19,193百万円から23,177百万円へと年々増加しており、順調な成長傾向にあります。2025年3月期(予想)も25,114百万円と成長を続けています。
- 営業利益: 2022年3月期の2,661百万円から、2024年3月期には1,746百万円へと減少傾向にあります。2025年3月期(予想)も1,555百万円と、売上成長に対して利益は伸び悩んでいます。これは、売上原価率の上昇(調達コスト・自社製造コスト)や販管費(人件費、セミナー費用など)の増加が主な要因として挙げられています。
- 純利益: 2022年3月期の2,135百万円から2024年3月期の1,271百万円へと減少傾向です。特に過去12ヶ月(LTM)の純利益は-461百万と赤字を計上しています。これは一時的な「Total Unusual Items」が大きく影響しているためです。ただし、この赤字は正規化利益(Normalized Income)で見ると944百万の黒字となります。直近の2026年3月期第1四半期では、前年同期比で純利益が75.9%の大幅減益となり、65百万円にとどまっています。
- ROE(実績): (連)-1.84%。過去12ヶ月(LTM)も-2.70%と、自己資本を効率的に活用できていない状況を示しています。
- ROA(過去12ヶ月): 2.61%。
- 自己資本比率(実績): (連)73.3%(直近四半期で74.4%)。非常に高い水準で、財務基盤が強固であることを示しています。
- 流動比率(直近四半期): 4.11。非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。
- D/E Ratio(直近四半期): 17.99%。総負債に占める借入の割合が低く、負債負担が小さいことを示しています。
- キャッシュフロー: 第1四半期決算短信では作成されていないため、詳細な分析はできません。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.29%(1株配当17.00円)であり、これは株価水準に対して比較的高い水準です。配当性向は26.00%と、利益に対する配当の割合が適切に抑えられていると考えられます。
2025年3月期の年間配当実績15.00円から、2026年3月期は17.00円に増配を予想しており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。自社株買いに関するデータは提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去52週間の株価変動率が-24.20%であり、S&P 500の+13.03%と比較して大きくアンダーパフォームしています。これは、中長期的に株価が下降傾向にあることを示唆しています。
信用買残が信用売残の5.00倍と買い残が多い状況であり、将来の売り圧力となる可能性を秘めています。
直近の株価は50日移動平均線、200日移動平均線を下回って推移しており、下降モメンタムが続いています。
株価への影響を与える要因としては、米国事業の動向、為替変動(特に円高)、調達コストや販管費の変動、競合環境の激化、そして今後の業績予想の上方修正があるかどうかが挙げられます。
11. 総評
日本エム・ディ・エムは整形外科医療機器という安定した需要のある分野で堅実に売上を伸ばしており、米国市場でのプレゼンスも有しています。財務基盤は自己資本比率が高く、負債も少ないため非常に健全です。しかし、近年、売上成長に比べて利益が伸び悩んでおり、特に過去12ヶ月実績では特別損失の影響で純利益が赤字化しています。直近の第1四半期決算も大幅な減益となっており、収益性の改善が喫緊の課題と言えるでしょう。株価はPBRで見て割安感がある一方で、PERは業界平均並みであり、今後の利益回復と成長が株価上昇の鍵を握ると考えられます。為替変動やコスト上昇は引き続き業績と株価の変動要因となるため、これらの動向を注視する必要があるでしょう。
12. 企業スコア
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成長性:A
LTM売上成長率(YoY)は約+8.3%と堅調な伸びを見せています。ただし、直近四半期の売上成長率は-2.2%と減速しており、来期の通期売上成長率予想は+5.1%です。安定的な成長は継続していると評価できます。
* 収益性:C粗利率は高い水準ですが、LTM営業利益率は2.54%、ROEは-2.70%と低迷しています。特別損失による赤字計上や、直近四半期の大幅な利益減少を考慮すると、収益性には課題があります。
* 財務健全性:S自己資本比率73.3%、流動比率4.11、D/E Ratio 17.99%と、いずれの指標も非常に優れており、財務基盤は極めて強固です。
* 株価バリュエーション:A会社予想PER22.65倍は業界平均21.1倍と比較してやや割高ですが、PBR0.57倍は業界平均1.8倍を大きく下回っており、資産価値から見ると割安感があります。予想PERは直近の赤字実績ではなく回復予想に基づくため、PBRの割安感を重視して評価します。
企業情報
銘柄コード | 7600 |
企業名 | 日本エム・ディ・エム |
URL | http://www.jmdm.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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