扶桑薬品工業(4538)企業分析レポート
注)本資料は公開情報と提供データに基づく客観的な整理であり、投資助言を行うものではありません。数値は一部概算を含みます。
1. 企業情報
- 概要:人工腎臓用透析剤・補液(輸液)を主軸とする医薬品メーカー。国内の人工透析用透析液で約5割のシェアを持つとされ、血液関連薬でも高シェア。医療機器、後発医薬品(GE)、医薬品の製造受託(CMO)、不動産賃貸(重要性は小)も展開。
- 強み領域:透析用濃厚液「キンダリー」シリーズ等の透析関連、補液・注射剤の品質・供給安定性。
- 拠点:大阪市城東区。創業1937年。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内透析液のリーディングプレーヤー(国内シェア約5割)。高齢化・慢性腎臓病患者の存在から透析需要は底堅い。
- 競合環境:
- 透析関連:ニプロ、テルモ、海外勢(バクスター等)が機器・消耗品で競合。
- 輸液・注射剤:大塚製薬工場、テルモ等。
- 後発医薬品:沢井、東和など大手GE各社。
- 競争優位性:高シェアのスケール、品質管理・供給安定性、病院・クリニックとの粘着的な取引関係。
- 課題:薬価改定の継続的な下押し、原材料・物流コストの上昇、GE競争激化、品質・GMP対応の継続投資、特許訴訟リスク(東レ訴訟)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略(公表情報の要点):
- 透析関連製品と輸液・注射剤の基盤強化、後発医薬品の浸透拡大。
- 製造受託(CMO)の活用による稼働率向上と固定費吸収。
- 研究開発・品質保証への継続投資、安定供給体制の強化。
- 施策・重点分野:
- 透析関連(キンダリー等)と輸液の販売促進。
- ERP導入に伴う在庫評価法変更(総平均法)などの業務基盤整備(影響は軽微と開示)。
- 訴訟関連の資金流動性確保(特殊当座借越契約締結等)。
- 2026年3月期会社計画(非連結、変更なし):売上高 6,150億円? → 提供資料の単位は百万円。売上 61,500百万円(=615億円)、営業利益 3,400百万円、純利益 2,300百万円、EPS 269.24円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:消耗品(透析液・輸液・注射剤)の継続需要に基づくストック型に近い収益。顧客基盤は医療機関中心でディフェンシブ。
- 需要動向:高齢化・慢性腎臓病の患者数推移は中長期的に安定〜微増。透析治療は必需で需給は比較的安定。
- リスク適応力:薬価改定・コスト上昇への対応として製品ミックス・効率化・CMO活用を進める一方、品質投資・法規制対応の継続が不可欠。訴訟・一過性損失は資本・流動性に影響を与えうる。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性:透析液の処方・清浄化技術、注射剤・輸液の無菌製造、品質保証体制がコア。医療現場の運用性・安全性向上(容器・接続系など)の工夫。
- 収益牽引:
- 透析関連(キンダリーシリーズ等):主力で高シェア。
- 補液・注射剤:病院需要に根差した安定収益。
- 後発医薬品・CMO:収益多角化に寄与(競争は厳しめ)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:2,163円、時価総額 約204.4億円。
- 業界平均との比較(提供データ):
- PER(予想):8.03倍(業界平均 27.8倍)→ 低位。
- PBR(実績):0.56倍(業界平均 1.4倍)→ 低位。
- PSR(時価総額/売上):約0.34倍(=204.4/605.6)。
- EV/S:約0.81倍(EV ≈ 492億円、LTM売上 ≈ 606億円)。
- EV/EBITDA(正規化):約7.8倍(正規化EBITDA ≈ 63億円)。
- 補足:前期に特別損失(訴訟関連引当金)計上によりLTMの純利益・ROEは歪み。予想EPS(269円)ベースでは配当性向は30%台前半。
7. テクニカル分析
- 位置づけ:株価2,163円は
- 50日移動平均 2,181円弱、200日移動平均 2,286円弱をともに下回る。
- 年初来高値 2,641円、安値 2,028円のレンジで安値圏寄り(安値比+6〜7%、高値比-18%程度)。
- 直近の値動き:10営業日で2,110〜2,174円の狭いレンジで推移、出来高は3カ月平均(約27千株)を下回る日が多く、方向感は乏しい横ばい基調。
8. 財務諸表分析(非連結、提供データ)
- 成長性(売上):
- 2022/3:496億円 → 2023/3:510億円 → 2024/3:554億円 → 過去12か月:約606億円。
- 3年CAGR ≈ 約6.8%、LTM YoY ≈ 約9%。
- 収益性:
- 粗利率:LTM 約27.3%(2024/3は約25.0%)で改善。
- 営業利益:LTM 約41億円、営業利益率 約6.8%(1Q単独は3.8%でコスト増影響)。
- 正規化EBITDA:LTM 約63億円、マージン約10%。
- 特別損失影響:LTMで純損失 約33億円(訴訟関連が主因)。正規化後は安定黒字水準。
- 収益トレンド:売上拡大に対し、薬価・コスト要因でマージンは中位。1QはR&Dや費用増で一時的に低下。
- キャッシュフロー:四半期CF未作成。減価償却 LTM 約23.5億円。正規化EBITDAは黒字で内部創出力は維持。
- 安全性・資本構成:
- 自己資本比率:38.1%(前期末40.4%から低下)。
- 流動比率:1.09倍とタイト。
- 総有利子負債:約320億円、現金約32億円、ネットD/E ≈ 高め。ネット有利子負債/正規化EBITDA ≈ 4.6倍。
- 訴訟対応で短期借入増、流動性管理が論点。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2025/3実績 82円、2026/3予想 90円(中間45円・期末45円)。予想利回り 約4.16%。
- 配当性向:予想EPS269円に対し約33%程度(提供データのPayout Ratioは29%、基準の差異に留意)。
- 自己株式:保有比率 約9.6%。直近で自社株買いの新規開示は確認情報なし(提供資料ベース)。
- 方針:安定配当志向とみられるが、公式ポリシーの詳細は資料記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落 -10.7%、低ベータ(0.20)。直近は保ち合いで方向感限定。
- 投資家層:インサイダー保有約22%、機関保有約20%、フリーフロートは比較的限られる。出来高は薄め。
- 信用動向:信用倍率 7.16倍(買い長)、ただし残高は小口で需給インパクトは限定的。
- 価格に影響する要因:
- 訴訟の最終帰趨と引当金・キャッシュ影響。
- 薬価改定・原材料/物流コストの動向。
- 透析関連・輸液の数量動向と製品ミックス。
- 流動性・借入金の圧縮進捗。
11. 総評
- 透析液での高い国内シェアと輸液・注射剤の安定需要により、売上は中期的に堅調。粗利率は改善傾向も、薬価・コスト上昇・R&D等で営業利益率は中位水準。
- 前期の特別損失(訴訟関連)で会計上のLTM純利益・ROEはマイナスだが、正規化ベースでは黒字・キャッシュ創出を維持。
- バリュエーションはPER・PBRとも業界平均を大幅に下回る水準。これは利益率水準、訴訟・負債・流動性等のリスクを織り込む形。
- 短期課題は「訴訟の決着と資金繰り安定化」。中期では「薬価環境下でのマージン維持・改善」と「製品ミックス/効率化」が焦点。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
注)一過性損益は除外して評価。不足データはB(中立)。
– 成長性:A
– 根拠:LTM売上YoY約+9%、3年CAGR約+6.8%。
– 収益性:B
– 根拠:正規化営業/EBITDAマージンは中位(営業6〜7%、EBITDA約10%)。業界(新薬系)平均に比べ低めだが、汎用品・GE/輸液の特性を勘案し中立評価。
– 財務健全性:C
– 根拠:自己資本比率38%台、流動比率1.09倍、ネット有利子負債/EBITDA約4.6倍とやや重い。訴訟対応で短期借入増。
– 株価バリュエーション:A
– 根拠:PER約8倍、PBR0.56倍、EV/S約0.8倍と業界平均比で低位。赤字期は特別損失要因のため、予想・正規化指標で評価。
【主要数値(概算)】
– 売上高(LTM):約605.6億円
– 営業利益(LTM):約41.3億円(正規化EBITDA:約63.1億円)
– 粗利率:約27.3%、営業利益率:約6.8%(1Q単独3.8%)
– 時価総額:約204.4億円、EV:約492億円
– PER(予想):約8.0倍、PBR:0.56倍、配当利回り(予想):約4.16%
(参考・留意)
– 訴訟(東レ)関連:控訴審で支払い命令判決、最高裁へ上告中。前期に関連引当を特別損失計上済み。
– 会計変更:棚卸資産評価法を総平均法へ(影響は軽微)。
企業情報
| 銘柄コード | 4538 |
| 企業名 | 扶桑薬品工業 |
| URL | https://www.fuso-pharm.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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