明電舎(6508)企業分析レポート
最終更新: 2025-10-18
注:本資料は公開情報に基づく企業分析であり、投資助言ではありません。数値は連結ベース。単位は特記ない限り円・百万円。
1. 企業情報
- 概要と事業
- 住友系の老舗重電メーカー(1897年創業)。発電・変電機器、監視制御、水処理システム、鉄道用電力供給、モーター・ドライブ、EV駆動、フィールドサービス(保守・点検)などを展開。国内外で公共・産業・電力インフラ向けに強み。
- 主な製品・サービス
- 受配電:真空遮断器・高圧開閉器・変圧器・モバイル変電所、避雷器(酸化亜鉛ブロック)
- 発電:水力・バイオマス・太陽光
- 社会システム:電力監視制御、水道・下水道向け監視制御・膜ろ過・自動給配水、クラウド(遠隔監視)
- 鉄道:交流/直流き電、回生電力回収、トロリー線検査・パンタグラフ監視
- 産業・モビリティ:モーター/ドライブ、半導体製造装置、EV駆動、AGV、X線管
- フィールドエンジニアリング:保全・延命化、改修、運用支援
- 事業構成(参考)
- 電力インフラ28%、社会システム30%、産業電子・モビリティ23%、フィールドエンジ16%、不動産他2%(海外売上比率29%、2025/3期)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内重電で中堅〜上位(重電5位規模)。電力・水処理・鉄道など公共性の高い分野で実績。フィールドサービスの比率が相対的に高め。
- 競争優位性
- 国内電力・水インフラでの長期実績と保守網、鉄道・水処理の制御/クラウド等の組み合わせ提案力、再生可能エネルギー(水力含む)関連での技術蓄積。
- 課題
- EV関連の市況変動、海外変電の大型案件偏重・為替影響、社会システム(電鉄・水インフラ)での採算ミックス。半導体サイクルの影響も受けやすい。
3. 経営戦略と重点分野
- 会社方針(開示の要点)
- 既受注案件の着実な進捗、設備延命化需要の獲得で安定収益を重視。
- 電力インフラ(国内水力等)の底堅さを活かしつつ、海外変電は案件ミックス・為替への注意。
- 社会システムは公共向け増加の一方、電鉄・水インフラの収益性改善が課題。
- 産業電子・モビリティはEVの需要変動に対応、電子機器は底打ち~回復取り込み。
- フィールドエンジニアリングは需要拡大・負荷平準化で収益柱化。
- 中期的重点
- サービス収益の拡大(保守・改修・運用支援)
- エネルギー転換・老朽インフラ更新需要の取り込み
- 水インフラのデジタル化(遠隔監視/クラウド)、効率運用ソリューション
- 事業ポートフォリオの採算管理(赤字領域の改善)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 製品+システム納入に加え、保守・延命化・運用支援の継続収益が強化。受注残と年度末偏重の計上特性あり。
- 需要の耐久性
- 老朽インフラ更新、災害・レジリエンス、再エネ・省エネ、鉄道安全・効率化、水道の人手不足対策など構造的需要。一方で、EV・半導体など景気敏感分野の振れに注意。
- 適応力
- クラウド/遠隔監視、回生電力回収等の省エネ提案、保全サービス拡充で景気循環を緩和する余地。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向
- 高信頼開閉・保護技術、発変電監視制御、鉄道き電・回生回収、IoT/クラウド連携(水インフラ)、高効率モーター/ドライブ、パワエレ活用。
- 主力・収益牽引
- 国内電力(水力等)・鉄道電力供給、受配電機器、フィールドエンジニアリング。短期的にはサービス/保全が利益貢献。EV向けは市況次第で変動。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価 5,940円、予想EPS 308.61円、実績BPS 3,019.44円、時価総額 約2,704億円
- 指標比較
- 予想PER:19.25倍(業界平均 24.2倍)
- 実績PBR:1.97倍(業界平均 1.6倍)
- EV/EBITDA:約7.9倍(EV≈2,684億円、EBITDA≈338億円)
- EV/Sales:約0.88倍(売上約3,045億円)
- FCF利回り:約6.7%(LTMレバードFCF≈181億円)
- 参考水準試算
- 業界平均PER適用の理論株価(単純比較):約7,470円(=308.61×24.2)
- 業界平均PBR適用の理論株価(単純比較):約4,830円(=3,019.44×1.6)
- 補足
- PERベースでは業界平均比で割安、PBRではプレミアム。ROE実績13.9%と自己資本効率の高さがPBRに反映。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日線 5,924円、200日線 4,832円。株価は50日・200日線上で推移し、中期上昇トレンド継続。
- 位置
- 年初来高値 6,230円に対し現値は約4.7%下。52週レンジ上限近辺の高値圏。
- 短期推移(直近10日)
- 6,200円接近後に5,750〜6,200円での持ち合い。10日平均出来高(約20.1万株)は3カ月平均(約18.0万株)を上回り、売買関心はやや上向き。
- 需給
- 信用買残増(+9.4千株)、売残減(-4.2千株)、信用倍率3.53倍。短期はロング志向が優勢。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上高(億円):2022/3 2,550 → 2023/3 2,726 → 2024/3 2,879 → 2025/3 3,011(LTM)
- 3年CAGR:約+5.7%
- 収益性(LTM)
- 粗利率:約27.1%(81,592/301,101)
- 営業利益率:約7.1%(21,517/301,101)
- 当期純利益率:約6.1%(18,487/301,101)
- EBITDAマージン:約11.9%
- 注:四半期(1Q)の営業利益率は約0.6%(季節性で年度後半偏重)
- 効率
- ROE(実績):13.94%/ROA(LTM):4.44%
- キャッシュフロー・財務
- 営業CF:356億円、レバードFCF:181億円(LTM)
- 流動比率:1.92倍、自己資本比率:40.7%(1Q末42.2%)
- 総有利子負債:約389億円、現金等:約409億円(ネットキャッシュ)
- セグメント(1Q 2026/3)
- 売上:電力インフラ19,521、社会14,130、産業電子・モビリティ15,158、FE 7,927、不動産799、その他853(百万円)
- 利益:電力+1,658、社会▲1,919、産業電子・モビリティ▲22、FE +1,014、不動産+381、その他+30
9. 株主還元と配当方針
- 実績配当(2025/3):年間123円(中間35・期末88)、実績配当利回り約2.0%
- 予想配当(2026/3):会社予想は未定(短信記載)。一方、市場データ上のフォワード参考は135円・利回り約2.2%(会社予想と一致しない可能性あり)
- 配当性向:実績約30.2%
- 自社株買い:開示ベースで大型の自己株買いは確認できず(自己株式0.36%)
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落:+56.2%、S&P500対比アウトパフォーム。ベータ0.33で低ボラティリティ。
- イベント
- 配当落ち日:2025/9/29(落ち後の価格調整影響)
- 決算発表予定:2025/10/30
- 投資家属性
- 機関保有比率:約36.8%、インサイダー約16.9%。信用買い超過で個人主導の短期フローも観測。
11. 総評
- 収益力はLTMで営業利益率約7%・ROE約14%と改善。サービス・保全の伸長や国内電力(水力等)の堅調さが寄与。
- 一方、1Qは季節性とミックスで営業利益率0.6%に低下。社会システム(電鉄・水インフラ)収益性の改善、EV関連の需要変動対応が短中期の焦点。
- バリュエーションはPERで業界平均比ディスカウント、PBRはプレミアム。高ROEや安定CFがPBRに反映。EV/EBITDA約8倍、EV/S約0.9倍と妥当圏。
- テクニカルは上昇トレンド継続で高値圏内。短期はイベント(決算)や需給(信用買い増)に留意。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上+4.6%、3年CAGR約+5.7%と持続的成長。
- 収益性:A
- 根拠:粗利率約27%、営業利益率約7%、ROE約14%。業界水準を上回る印象(1Qの季節性は考慮)。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率40%超、流動比率1.9倍、ネットキャッシュ、D/E約28%。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは割安、PBRは平均超。総合的に中立評価。
【参考データ】
– 株価:5,940円(当日高6,050/安5,890)
– 時価総額:約2,704億円、発行済株式数:45,527,540株
– 予想PER:19.25倍、実績PBR:1.97倍、BPS:3,019.44円、ROE:13.94%
– 50日移動平均:5,924円、200日移動平均:4,831円
– 営業CF:356億円、レバードFCF:181億円(LTM)
注:会社予想未定項目や開示のない市場シェア等は記載を控えています。数値は資料間で定義差・四半期季節性により見かけが異なる場合があります。
企業情報
銘柄コード | 6508 |
企業名 | 明電舎 |
URL | http://www.meidensha.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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