オムロン(6645)企業分析レポート
以下は、公開データと決算短信(2026年3月期1Q)をもとに整理した分析です。投資判断を目的とした助言ではありません。
1. 企業情報
- 概要:制御機器(インダストリアル・オートメーション:IAB)が稼ぎ頭。電子部品(リレー・スイッチ等:DMB)、社会システム(駅務機器・交通・エネルギー:SSB)、ヘルスケア(血圧計等:HCB)、データソリューション(JMDC 等:DSB)を展開。海外売上比率は約56%。
- 特徴:感知(センサ)とリレー制御、モーション、ロボティクス、電源、制御ソフトまでを一気通貫で提供。駅務機器やUPS等の社会インフラ、在宅ヘルスケア機器でもプレゼンス。
- 事業構成(目安):制御機器約45%、ヘルスケア約18%、社会システム約18%、電子部品約13%、データソリューション約5%。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 制御機器:国内は三菱電機、キーエンス、SMC 等と並ぶ主要プレイヤー。グローバルではロックウェル、シーメンス等と競合。広い製品ラインとFA(工場自動化)ソリューションの総合力が強み。
- ヘルスケア:電子血圧計など在宅医療機器で世界的な高シェアブランド。中国消費動向や為替の影響は受けやすい。
- 社会システム:日本の駅務機器は高い導入実績。再エネやエネルギー管理関連が伸びる一方、案件の期ズレで業績は振れやすい。
- データソリューション:JMDC を中核にデータヘルス領域を拡大中。SaaS/プラットフォーム型の比率を高めて収益の安定化を志向。
- 課題:IAB・DMBは半導体・二次電池投資に連動し景気敏感度が高い。HCBは中国需要・価格競争、為替の影響。SSBは大型案件依存と採算管理が焦点。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期「NEXT2025」:固定費削減と構造改革を継続しつつ、成長投資を継続。
- 重点投資領域:半導体/AI・二次電池関連のFA需要、再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント、データヘルス(JMDC含む)など。
- 収益性向上:生産性改善、サプライチェーン再編、プロダクトミックス改善で利益率回復を目指す。
- 地域対応:米国関税・為替・中国消費など外部環境の不確実性を踏まえ機動的に対応。
- 1Q進捗:IABとDMBが回復、HCBは中国が逆風。構造改革効果で固定費は改善。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:IAB/DMBの設備投資サイクル依存度は高いが、HCB(在宅医療)、SSB(社会インフラ)、DSB(データ)は景気抵抗力の補完軸。
- リカーリング化:DSBの拡大やソフト/サービスの比率上昇で収益の安定化余地。SSBは保守・運用で継続収益を確保。
- 適応力:製品群の広さとグローバル供給体制、コスト構造の見直しにより、需要変動への対応力を高めている。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:センサ・安全制御・モーション/ドライブ・ロボティクス・マシンオートメーション統合、AI活用、トレーサビリティ、エネルギーマネジメントに注力。
- 主力領域:
- IAB:PLC、センサ、ドライブ、ロボット、ビジョン、ソフト統合ソリューション。
- DMB:リレー、スイッチ、コネクタ、車載・産機向けセンサ。
- SSB:自動改札・券売、交通管理、決済、蓄電・電力制御。
- HCB:血圧計、呼吸・遠隔モニタリング機器。
- DSB:データヘルスプラットフォーム(JMDC等)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:4,227円
- EPS(会社予想):147.28円 → PER約28.7倍(業界平均PER 24.2倍との比較でプレミアム)
- BPS(実績):3,945.29円 → PBR約1.07倍(業界平均PBR 1.6倍より低位)
- ROE(実績):2.09%(足元は一時費用影響後で低水準)
- コメント:PERは相対的に高めだが、PBRは低位で、足元の低ROEを織り込んだ水準。構造改革進捗と利益回復の確度が評価の鍵。
7. テクニカル分析
- 直近株価レンジ(10日):約4,198〜4,495円帯での推移。直近は4,468円 → 4,227円と押し戻され気味。
- 移動平均:50日線約3,992円、200日線約4,196円。現値は両線の上に位置し、短期は底堅さも、上値では戻り売りも観測。
- 年初来レンジ:高値5,336円、安値3,503円の中間圏。短期はもみ合い、長期は戻り基調への転換過程が課題。
8. 財務諸表分析(連結)
- 売上高(億円換算):2022/3期7,629 → 2023/3期8,761 → 2024/3期8,188 → 過去12ヶ月8,017
- 傾向:2023年をピークに調整後、足元1Qは+3.1%YoYで回復の兆し。
- 利益:
- 粗利:3,571億円(粗利率約44〜45%)
- 営業利益:568億円(営業利益率約7%:定義差に留意)
- 当期純利益:162億円(LTM、前期の一時費用反動で改善中だが水準は控えめ)
- EBITDA:902億円(正規化EBITDAは1,180億円相当)
- 効率・収益性:ROE 2.1%、ROA 2.4%(一時費用影響後で低水準)
- キャッシュフロー:営業CF 633億円、レバードFCF 371億円(安定)。1Qも営業CF改善。
- 財政状態:自己資本比率56.7%、流動比率2.34、D/E約22%と健全。現金1,569億円、総借入2,103億円。
- セグメント動向(1Q):IAB・DMB増収、HCB減収、SSB横ばい〜微減、DSB増収(損失縮小)。
※ 利益計数はUS GAAPおよび「営業利益」便宜表示の定義差・一時費用影響に留意。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:会社予想 年間104円(予想配当利回り約2.46%)。5年平均利回り1.5%を上回る水準。
- 配当性向:直近実績ベースでは高め(LTMで約126%)だが、会社予想EPS(147.28円)ベースでは約71%。
- 自己株式:保有比率約4.3%。足元で大規模な自社株買いの明示は確認情報なし(短信記載ベース)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期は戻り売り優勢のもみ合い。50日・200日線上での攻防。
- 信用動向:信用倍率5.77倍と買い残優位だが、買い残は前週比で減少(調整進捗)。売り残は小幅増。
- 投資家構成:機関投資家保有比率約49%と安定。内外の年金/投信に加え信託銀行の比率が高い。
- 予定イベント:次回決算 2025/11/7予定。配当権利落ち 2025/3/28は経過。
11. 総評
- 事業:制御機器を核に、社会インフラ・ヘルスケア・データまで分散したポートフォリオ。IAB/DMBの回復が確認でき、構造改革「NEXT2025」による固定費改善が寄与。
- 業績:前期の一時費用反動で利益は持ち直しつつも、ROEは低位。通期レンジガイダンスは据え置きで、外部環境(関税・為替・中国需要)に慎重姿勢。
- バリュエーション:PERは業界比で高め、PBRは低位。利益水準の回復度合いと再現性が評価の分かれ目。
- ファクター:短期はテクニカル中立域、信用需給はやや買い長。中期は半導体・二次電池・再エネ・データヘルスのテーマ性が支え。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上YoYはマイナス(約-2%)、3年CAGRは低位。直近1Qは+3.1%YoYで改善兆し。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率は高水準、営業利益率は定義により振れがあるが概ね業界並み。前期一時費用後でROEは低位。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約57%、流動比率2.34、D/E約22%と健全。CFも安定。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均超、PBRは平均未満で相殺。利益回復前提度合いを織り込んだ中立評価。
(注)本資料は提供データ・決算短信に基づく客観的整理です。将来見通しに関する記述は不確実性を伴い、投資行動の助言を目的とするものではありません。
企業情報
銘柄コード | 6645 |
企業名 | オムロン |
URL | http://www.omron.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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