4043 トクヤマ 企業分析レポート(プライム・化学)
注記)本レポートは公開データをもとに構成した客観的な分析であり、投資判断を目的とした助言ではありません。数値は特記なき限り連結・円ベースです。
1. 企業情報
- 概要と事業内容
- 1918年創業の総合化学メーカー。苛性ソーダ・塩ビなどの基礎化学、セメント、電子先端材料(半導体向け高純度多結晶シリコン、IC用薬品、乾式シリカ、窒化アルミニウムなど)、ライフサイエンス(歯科材料・医薬品原薬・プラスチックレンズ材料等)、環境事業(イオン交換膜、廃石膏ボードリサイクル)を展開。
- 売上構成(目安):化成品34%、セメント19%、電子先端材料25%、ライフサイエンス12%、環境1%、その他9%。海外売上比率27%(2025.3)。
- 特徴:半導体用多結晶シリコンで世界有数の供給者。国内は徳山地区を中核に製造。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争ポジション
- 半導体グレード多結晶シリコンは世界でも供給者が限られる領域で、トクヤマは主要プレイヤーの一角。顧客の品質要求が高く参入障壁が高い。
- 基礎化学(苛性ソーダ・塩ビ)はコモディティ性が強く市況・為替・エネルギー価格の影響を受けやすい。セメントは国内需要やインフラ投資、エネルギーコストの動向に左右される。
- 競争優位と課題
- 優位性:高純度材料の製造技術、半導体向けの品質保証体制、国内一体型の生産体制、セメント×リサイクルの垂直統合。
- 課題:電力・原燃料コストへの感応度、市況製品の価格変動、為替(円安・円高)影響、中国需要の鈍化など。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・中計(中期経営計画2025 目標)
- 売上高4,000億円、営業利益450億円、ROE11%以上、成長事業CAGR10%以上(最終年度:2025年度)。
- 重点分野
- 電子先端材料の強化(半導体用Si、ICケミカル、放熱材=窒化Al等、高純度シリカ)。
- コスト競争力強化(製造原価・エネルギー効率改善、価格改定の定着)。
- セメント×環境リサイクルの拡大(副産物・廃棄物の受入、循環型モデル)。
- 進捗(2026年3月期1Q)
- 連結売上は微減だが、製造コスト改善と価格対応で営業利益率は改善。電子先端材料が増収増益で牽引。通期予想は据え置き。
- 設備投資計画:351億円程度(資金は自己資金・借入等で調達予定)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 高付加価値の電子材料(寡占・高要求品質)と、コモディティの化成品・セメント(規模・コスト勝負)のポートフォリオ型。
- 適応力
- 価格改定とコスト改善の継続、電子材料のミックス改善でサイクル耐性を補強。長期電力契約の拘束など下方リスクには注意が必要。
- リスク要因
- 為替、原材料・エネルギー価格、市況(塩ビ・苛性ソーダ等)、中国需要、長期電力契約の硬直性。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 半導体向け超高純度多結晶シリコンや高純度薬品は不純物管理・プロセス技術が鍵で参入障壁が高い。
- 乾式シリカ、窒化アルミニウムなど熱マネジメント材料も需要拡大領域。
- 収益牽引製品(直近期の動向)
- 電子先端材料:売上+18.8%、営業利益+45.5%(2026年3月期1Q)。ICケミカル・放熱材が数量増。多結晶Siは数量増も在庫評価損で利益は抑制。
- セメント:価格改定とコスト改善で増益。化成品は輸出数量や市況影響を受けつつも採算改善。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価3,667円、予想EPS 403.09円、BPS 3,644.06円、時価総額2,643億円
- 指標比較
- PER(予想):9.1倍(業界平均20.4倍比で低位)
- PBR(実績):1.01倍(業界平均1.1倍と同程度)
- EV/売上(LTM):約0.87倍[EV≒2,962億円=時価総額2,643+純有利子負債約319(億円)]
- EV/EBITDA(LTM):約5.9倍(EBITDA約505億円)
- 位置づけ
- 収益回復局面ながら、業界平均比では割安水準のバリュエーションが観察されます(定量比較)。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 200日線:2,993円、50日線:3,547円、終値:3,667円。両移動平均線を上回る上昇トレンド。
- 52週高値:3,858円、52週安値:2,232円。現状は高値圏(高値比約95%)。
- 直近の値動き
- 10日間で3,853→3,667円へ小幅反落・持ち合い。出来高は3ヶ月平均46.5万株に対し直近31万株と減少気味。
8. 財務諸表分析
- 収益・利益(LTM)
- 売上高3,430億円(前年比ほぼ横ばい)、粗利率約32%、営業利益299億円(営業利益率約9.6%)、純利益約209億円(純利率6.1%)。
- マージンは2023→2024→LTMで改善傾向(原価改善・価格対応)。
- 成長性
- LTM売上は前年比+0.3%程度、3年CAGRは約+5.3%(2022→LTM)。
- 効率・資本収益
- ROE(実績):9.16%(LTM目安7.7%)、ROA:約4%。
- キャッシュと負債・安全性
- 現金同等物約798億円、有利子負債約1,117億円(ネット有利子負債約319億円)。
- 自己資本比率:54.9%(1Q末55.3%)、流動比率:2.72倍、D/E:約0.40。財務は堅健。
- セグメント(2026年3月期1Q)
- 化成品:減収も採算は改善。セメント:価格改定・コスト改善で増益。電子先端材料:増収増益で牽引。ライフサイエンス:減収減益。環境:増収・黒字転換。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025年3月期:年間100円、2026年3月期会社予想:年間120円(利回り約3.27%)、配当性向約31%。
- 5年平均利回り:約3.3%と整合的。中計期間中は安定配当志向が示唆される。
- 自社株買い
- 現時点で大規模な自己株式取得の開示は確認情報なし。
- 主要株主
- 機関投資家の保有比率が4割強、インサイダー約6%。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落:+33.2%(S&P500 +13.8%)と相対的に強い。
- 信用動向:信用倍率7.98倍、買残増加基調。短期的には需給の偏りによるボラティリティに留意。
- 関心材料(今後のイベント)
- 決算発表予定:2025/10/29。配当権利落ち予定:2026/3/30。
- 半導体サイクル、エネルギー・原燃料価格、為替の変動が株価感応度の高いファクター。
11. 総評
- 電子先端材料の拡大とコスト改善で、収益性はボトムアウトからの改善過程。半導体向け高純度材料という参入障壁の高い領域を核に、コモディティ領域の価格改定・コスト対策で収益の底堅さを高めている。
- 財務基盤は堅健(自己資本比率55%前後、流動比率2.7倍、ネットD/E低位)。ROEは中計目標(11%)に対し改善途上。
- バリュエーションは業界平均比で割安水準が観察される一方、株価位置は52週高値圏で短期的な値動きには注意。外部環境(為替・エネルギー・市況)の影響度は引き続き高い。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上は横ばい(+0.3%程度)。3年CAGRは+5%強だが、直近四半期は前年比-0.8%で総合B。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率約32%、営業利益率約9.6%。化学大手平均と比し概ね同水準(トップピアよりは低位)。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約55%、流動比率2.7倍、D/E約0.40、ネット有利子負債は適度。総じて健全。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER9.1倍(業界平均20.4倍を下回る)、PBR約1.0倍、EV/EBITDA約5.9倍と相対的に割安な定量水準。
参考データ(抜粋)
– 株価:3,667円、時価総額:2,643億円、BPS:3,644円、ROE(実績):9.16%、配当利回り(予想):3.27%、ベータ(5年):0.20
– 50日線:3,547円、200日線:2,993円、52週高/安:3,858/2,232円
– LTM 売上:3,424〜3,431億円、EBITDA:約505億円、純利益:約209〜234億円(データ出所により端数差あり)
(出所)決算短信(2026年3月期1Q)、提供の財務・株価データ、会社開示。
企業情報
銘柄コード | 4043 |
企業名 | トクヤマ |
URL | http://www.tokuyama.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – 化学 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。