以下、山口フィナンシャルグループ(証券コード:8418)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
山口フィナンシャルグループは、山口県下関市に本社を置く金融持株会社です。傘下に山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行という3つの地域銀行を持ち、預金や貸出金を主要事業としています。これに加えて、証券、クレジットカード、リース、地域コンサルティング、保険代理店、債権管理回収、投信運用、ファンド運用、従業員福利厚生代理、信用保証といった金融関連事業を幅広く展開しています。さらに、農業やクラウドファンディング事業、農林水産物の卸売・小売まで手掛け、「地域の総合金融」および「金融コングロマリット化」を標榜しています。資金調達は普通預金が53%、定期預金が34%を占め、運用では貸出金が66%、有価証券が16%を占めています。融資は中小企業等向けが62%、住宅・消費者向けが17%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
山口フィナンシャルグループは、山口県、広島県、福岡県北部地域において強固な地盤を持つ地域金融コングロマリットです。傘下の3行がそれぞれの地域で活動し、地域経済に深く根ざした事業展開を行っています。複数の地域銀行を束ねることで広範な顧客ネットワークを有し、証券、リース、コンサルティングなど多角的な金融サービスを提供できる点が競争優位性と考えられます。これにより、顧客の多様なニーズに対応できる総合的な金融ソリューション提供能力を確立しています。一方で、地域経済の人口減少や高齢化に伴う市場縮小リスク、日本銀行の金融政策による金利変動リスク、デジタル化の進展による異業種からの新規参入といった競争環境の変化が課題として挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「金融コングロマリット化」を掲げ、銀行業のみならず、証券、リース、地域コンサルティング、さらには農業やクラウドファンディングなど、幅広い分野で事業を展開することで、地域の総合金融機関としての地位確立を目指しています。多角的な事業展開を通じて安定的な収益基盤の構築と地域経済の活性化への貢献を追求していると考えられます。提供された情報からは具体的な中期経営計画の詳細は不明ですが、直近の連結業績予想に変更はない旨が記載されており、現在の事業戦略に沿った計画遂行を目指していると推察されます。資金運用収益の向上や融資先の確保、金利変動への適切な対応が重要な経営戦略の重点分野となるでしょう。
4. 事業モデルの持続可能性
事業モデルは、地域密着型の銀行業を核としつつ、多様な金融サービスを展開する「金融コングロマリット」です。預金と貸出による利ざや獲得が主要な収益源であり、安定的な顧客基盤から得られる手数料収益も重要です。地域創生への貢献を標榜し、農業やクラウドファンディングといった地域の課題解決に資する新規事業にも取り組むことで、単なる金融機関に留まらない地域社会のインフラとしての役割を強化し、持続的な成長を目指す姿勢がうかがえます。しかし、地域金融機関を取り巻く環境は厳しく、人口減少や低金利環境の長期化、デジタル化による競争激化が継続的な課題です。特に、金利上昇局面における預金金利の上昇が資金調達コストを押し上げ、収益を圧迫する可能性が直近の決算短信で示唆されており、市場ニーズの変化への適応力が今後も重要となります。
5. 技術革新と主力製品
技術革新に関して具体的な記述はありませんが、金融機関としてデジタルトランスフォーメーション (DX) 推進によるサービスの高度化や効率化、金融テクノロジー(FinTech)の導入などに取り組んでいると推測されます。主力製品・サービスは、傘下の銀行が提供する「預金」と「貸出金」といった基本的な金融サービスです。企業および個人顧客への融資(中小企業等向け62%、住宅・消費者向け17%)が収益の大きな柱となっています。また、証券、リース、クレジットカードなども収益に貢献するサービス群に含まれます。
6. 株価の評価
現在の株価は1,667.0円です。
会社予想EPS 149.30円に基づくと、PERは約11.17倍となります。実績BPS 2,997.89円に基づくと、PBRは約0.56倍となります。
業界平均PERが10.7倍、業界平均PBRが0.4倍であるのと比較すると、同社のPERは業界平均よりやや高く、PBRは業界平均よりも高い水準にあります。このことから、現在の株価は業界平均と比較してやや割高な水準にあると評価できます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,667.0円は、年初来高値1,874円と年初来安値1,301円の中間に位置しています。
50日移動平均線1,766.20円を下回っており、200日移動平均線1,654.14円をわずかに上回っています。
直近10日間の株価推移を見ると、概ね1,787円から1,637.5円の間で変動しており、特に10月上旬の1,700円台後半から直近にかけては下降傾向にあります。これらの情報から、現在の株価は年初来のレンジの中間よりやや高めですが、短期的には調整局面、あるいは高値圏からは一服した状態と見ることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上高(Total Revenue): 過去数年間で増加傾向にあり、2022年3月期の131,980百万円から2025年3月期には168,207百万円へと伸長しています。ただし、直近の第1四半期(2025年4月-6月)の経常収益は前年同期比+2.7%と伸びは鈍化しています。
- 純利益(Net Income Common Stockholders): 2022年3月期の赤字から大幅に回復し、2025年3月期には35,345百万円と大きく改善・増加しています。
- キャッシュフロー: 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
- ROE(Return on Equity): 実績連結で5.56%、過去12か月では5.26%であり、日本の銀行業としては標準的な水準で推移し、収益性の改善に伴い上昇傾向にあります。
- ROA(Return on Assets): 過去12か月で0.26%であり、銀行業としては一般的な水準です。
- 自己資本比率: 実績連結では4.8%ですが、国際統一基準による総自己資本比率は13.62%(2025年6月期)と、バーゼル規制の基準を十分にクリアしており、財務の健全性は高いと評価できます。
- 不良債権比率: グループ全体の不良債権比率は1.67%(2025年6月末)と低水準に抑えられており、資産の質は良好です。
- 利益率: Profit Margin 19.58%、Operating Margin 31.26%と、比較的高い水準を維持しています。ただし、直近四半期の経常利益は前年同期比△16.2%と減少しており、資金調達費用(預金利息)の増加が要因として挙げられています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想配当利回りは3.84%であり、投資家にとって魅力的な水準です。1株配当(会社予想)は64.00円で、2025年3月期の実績60.00円からの増配予想となっています。配当性向は36.33%であり、利益の成長と財務の安定性を考慮すると、持続可能な範囲にあると言えるでしょう。発行済株式数の9.52%に相当する自己株口を保有しており、これは自社株買いによる株主還元策、または将来的な機動的な資本政策の余地を示唆しています。2026年3月30日に期末配当の権利落ち日が予定されています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、1700円台後半から1600円台半ばへ下降傾向にあり、短期的には株価モメンタムは弱い状況です。信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残を大きく上回り、信用倍率は23.38倍と高い水準です。これは、将来的な株価上昇を期待する買い方が多いことを示唆しますが、一方で、買い残の積み上がりは将来的な売り圧力となり、株価の上値を重くする可能性も考えられます。平均出来高は3ヶ月平均が約61.4万株、10日平均が約64.8万株と、比較的高く、一定の投資家関心があることを示しています。日本銀行の金融政策動向(利上げ観測、イールドカーブコントロールの修正など)や地域経済の動向、貸し倒れリスクの増減が、同行の株価に大きな影響を与える要因となります。
11. 総評
山口フィナンシャルグループは、地域に根差した強力な基盤と、多岐にわたる金融サービスを展開する「金融コングロマリット」としての強みを持っています。近年の財務状況は、売上と純利益が着実に成長し、収益性も改善傾向にあり、国際統一基準での自己資本比率も健全性を保っています。株主還元策として、魅力的な配当利回りと適度な配当性向を維持しており、自己株式の保有も行っています。
一方で、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較してやや割高な水準にあり、短期的には株価が下降傾向にある点は留意が必要です。また、金利上昇による資金調達コストの増加、地域経済の構造的課題、デジタル化の波といった外部環境の変化への適応が、今後も事業継続と成長の鍵となります。全体として、堅実な経営基盤と収益改善が見られるものの、外部環境の変化と株価バリュエーションを総合的に考慮した上で評価することが重要であると言えるでしょう。
12. 企業スコア
-
成長性:A
LTM売上成長率が約18.06%と高く、過去数年間の売上高も着実に増加傾向にあることから、高い成長性があると評価しました。
– 収益性:AOperating Marginが31.26%と良好な水準であり、Profit Marginも19.58%を維持しています。ROEは標準的な水準ですが、これら利益率の高さから収益性は高いと評価しました。
– 財務健全性:A国際統一基準による総自己資本比率が13.62%と十分な水準であり、不良債権比率も1.67%と低く、資産の質も良好であることから、高い財務健全性があると評価しました。
– 株価バリュエーション:CPER(11.17倍)は業界平均(10.7倍)よりやや高く、PBR(0.56倍)は業界平均(0.4倍)を上回っています。業界平均と比較すると、現在の株価にはやや割高感がある可能性があると評価しました。
企業情報
銘柄コード | 8418 |
企業名 | 山口フィナンシャルグループ |
URL | http://www.ymfg.co.jp |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 銀行 – 銀行業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。