極東証券(8706)企業分析レポート
最終更新日: 2025-10-20
1. 企業情報
- 概要:独立系の中堅証券会社。富裕層向けの対面コンサルティング営業に特化し、外債(特に新興国含む外国債)の販売に強み。投資信託販売にも注力。連結では「投資・金融サービス業」の単一セグメント(受入手数料、トレーディング損益、金融収益が主な収益源)。
- 事業内訳(2025/3期 連結):受入手数料39%、トレーディング損益41%、金融収益21%、その他0%
- 主要拠点:東京都中央区(日本橋茅場町)
- 従業員:246名、平均年齢44.7歳、平均年収864万円
- 上場区分:東証プライム(証券・商品先物取引業)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:野村・大和・SMBC日興など大手総合証券に対し、富裕層向け対面営業に特化した独立系ニッチプレイヤー。外債提案力で差別化。
- 競争優位性:
- 富裕層向けコンサルティブ営業のノウハウ
- 外国債券商品の品揃えと販売力
- 自己資本規制比率492.9%など健全性の高さ(短期耐性)
- 課題:
- トレーディング損益の変動が大きく、金利・為替・市場環境に業績が左右されやすい
- 規模の経済で大手に劣るため、商品開発・デジタル投資の効率性確保が課題
- 市場シェアの公表はなく、定量的比較は限定的
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方針(開示の範囲):
- 収益源の多様化と株主資本の効率的運用を重視(短信記載)
- 対面コンサル強化を軸に、投信・外債等の手数料収益の安定化を志向
- 重点施策(推測含む):
- 富裕層向けウェルスマネジメントの深化(投信積立・債券ラダー等で継続収益化)
- マーケット局面に応じた外債ラインナップの最適化(クレジット・為替・デュレーション管理)
- 資本効率の改善(投資有価証券の機動的な売買、自己株式活用含む)
- 業績予想:変動要因が大きいため非開示方針。四半期末から10営業日目を目安に速報開示。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:手数料(委託手数料、募集・売出し等)+トレーディング損益+金融収益(受取利息等)の組合せ。手数料は比較的安定、トレーディングはボラタイル。
- 強みとリスク:
- 強み:顧客基盤の質(富裕層)と対面営業の関係資産、自己資本の厚さ
- リスク:金利・為替・クレジットスプレッド変動による債券評価・トレーディングの振れ、株式市場サイクルによる委託手数料の変動
- 適応力:商品ミックスの調整や投信残高の積み上げでボラティリティ緩和を図る余地。デジタル/CRMの活用度が中長期の安定性に影響。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:同社は対面特化だが、CRM・マーケティングオートメーション、リスク管理(ALM/クレジット)などのシステム活用が効率改善・コンプライアンス強化に寄与。
- 主力商材・収益牽引:
- 外国債(利回り訴求型):金利・為替・クレジット局面により販売・評価が変動
- 投資信託:長期積立・分配型等で安定収益化を志向
- トレーディング:1Qは債券トレーディング利益が減少し純営業収益が減少
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:1,578円
- 時価総額:517.25億円
- EPS(LTM):約139.4円 → PER約11.3倍(業界平均13.3倍比でやや低い)
- BPS:1,564.21円 → PBR約1.01倍(業界平均1.0倍と同水準)
- EV概算:EV = 517.25億 + 有利子負債110.4億 – 現金427.2億 ≈ 200.5億円(ネットキャッシュ企業)
- 売上基準の違いによるEV/S
- 営業収益(LTM 約1,187億円? → 11,870百万円 = 118.7億円):EV/S ≈ 1.69倍
- 純営業収益(LTM 約70.1億円):EV/純営業収益 ≈ 2.86倍
- 配当利回り:実績110円で約7.06%(会社予想は未開示)
- 補足:LTM純利益には投資有価証券売却益等の一過性寄与が含まれる可能性があり、PER/利回り評価は平準化すると変動の余地あり。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:終値1,578円は50日移動平均1,555.6円、200日移動平均1,505.4円を上回る(中期・長期とも上方)
- 52週レンジ:1,123円〜1,730円のうち上方域(高値比約-8.8%)
- 直近10日:10/16に一時1,588円まで上昇後、1,558〜1,582円のレンジ。出来高はイベント後にやや減速。
- 信用動向:信用倍率5.38倍(買い長)。買残減少・売残減少でやや需給中立化。下押し時の投げ・上昇時のコスト上昇の両面に留意。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(百万円)
- 営業収益(売上高相当):2022/3 8,068 → 2023/3 6,170 → 2024/3 10,717 → 2025/3 11,870(3年CAGR約+13.6%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:2,117 → 1,168 → 4,341 → 4,446
- 2026/3期1Q:純営業収益1,724(前年同期比-34.4%)、営業利益479(同-61.5%)
- 収益性
- 営業利益率(LTM):約28.1%
- 純利益率(LTM):約53.9%(投資有価証券売却益など特別要因の影響含む)
- ROE(実績):8.45%、ROA(LTM):4.69%
- キャッシュ・フロー
- 四半期CFは未作成。期末現金等427.2億円、総負債110.4億円でネットキャッシュ約317億円
- 財務安全性
- 自己資本比率:65.7%(短信:66.6%)
- 流動比率:約205%、D/E約22%
- 自己資本規制比率:492.9%
- 傾向:2024/3〜2025/3は増収増益だが、2026/3期1Qはトレーディング鈍化で減収減益。景気・金利・為替の影響度が高い構造。
9. 株主還元と配当方針
- 実績配当:2025/3期 年間110円(中間50円・期末60円)
- 2026/3期配当予想:非開示(業績予想非開示方針に準じる)
- 配当性向(LTM):約78.9%
- 自己株式:発行済の約2.68%を保有(直近の新規自己株買い開示は確認情報なし)
- 方針:安定配当を志向しつつ、資本効率を意識(短信言及)。市場環境次第で機動的対応の余地。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:200日線上の推移が継続、50日線も上回り中期上昇基調を維持。年初来高値圏に接近。
- 関心材料:
- 金利動向(国内外の政策金利・長期金利)と為替(円相場)
- クレジットスプレッド、地政学要因(外債販売・評価に影響)
- 国内株式市況(委託手数料・投信フローに影響)
- 直近イベント:2025/9/29権利落ち通過。業績予想は非開示のため、四半期ごとの速報値が短期材料。
11. 総評
- 同社は富裕層向け対面営業と外債販売の強みを持つ独立系証券。財務基盤は厚く、ネットキャッシュ企業で規制比率も高い。
- 2025/3期までの増収増益を経て、2026/3期1Qは債券トレーディング鈍化で減収減益。事業特性としてマーケットの影響を強く受ける点は引き続きの留意点。
- バリュエーションはPERで業界平均をやや下回り、PBRは同水準。高い実績配当利回りが目立つ一方、一過性損益の影響や配当予想未開示により、平準化収益力の見極めが重要。
- テクニカルでは中期上昇基調を維持しつつ、52週高値圏手前。信用需給は買い長だが過度ではなく、イベントドリブンで変動しやすい。
(本レポートは記載の公表情報に基づく客観的整理であり、投資助言を目的としたものではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上(営業収益)YoY約+10.8%、2022→2025のCAGR約+13.6%。一方で2026/3期1Qは-34%でボラティリティあり。
- 収益性:A
- 根拠:営業利益率LTM約28%と高水準。純利益率は一過性寄与の可能性があるため参考値扱い。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率約66%、流動比率約205%、D/E約22%、自己資本規制比率約493%。ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:A
- 根拠:PER約11.3倍(業界平均13.3倍を下回る)、PBR約1.01倍(同水準)、EV/純営業収益約2.9倍。実績配当利回り約7%。一過性損益の影響は留意。
参考データ(主要指標)
- 株価:1,578円
- PER(LTM):約11.3倍
- PBR:1.01倍
- BPS:1,564.21円
- ROE:8.45%
- 自己資本比率:65.7%
- 配当(実績):110円、利回り約7.06%
- 50日/200日MA:1,555.6円 / 1,505.4円
- 52週高値/安値:1,730円 / 1,123円
- 信用倍率:5.38倍
企業情報
銘柄コード | 8706 |
企業名 | 極東証券 |
URL | http://www.kyokuto-sec.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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