1. 企業情報
アルプスアルパイン株式会社は、1948年設立の老舗電子部品メーカーです。主要事業は、電子部品分野の「コンポーネント」、センシング技術や通信技術を応用した「センサー・コミュニケーション」、そして主に車載向けシステムを手掛ける「モビリティ(旧モジュール・システム)」の3つのセグメントで構成されています。自動車、モバイル機器、家電、ゲーム機器など幅広い分野に約15,000種の製品・サービスを提供しており、23か国・地域に183拠点を展開するグローバル企業です。特に車載・家電向け電子部品において高い市場シェアを持ち、金型の精密加工技術とセンシング技術を強みとしています。
2. 業界のポジションと市場シェア
アルプスアルパインは、多岐にわたる電子部品と車載情報機器を扱う大手企業として、業界内で確固たる地位を築いています。車載・家電向け電子部品では高い市場シェアを保有しており、特に金型の精密加工技術において競争優位性を持っています。また、センシング技術を中核とする製品開発は、次世代のモビリティやIoT分野での成長ドライバーとなり得るでしょう。
課題としては、主要顧客である自動車メーカーの受注動向、特に中国市場における競争激化や、世界経済の不確実性、為替変動(円高)が収益に与える影響が挙げられます。直近の決算短信でも、車載市場の一部で受注が踊り場傾向にあることが示唆されています。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信のみからは詳細な中期経営計画の具体的な施策の記載は限定的ですが、セグメント名称を「モジュール・システム事業」から「モビリティ事業」へ変更したことは、自動車分野への注力を明確にする戦略の一環と考えられます。為替変動の影響を強く受ける事業構造であるため、為替環境に対する感応度管理も重要な経営課題の一つです。第2四半期以降の市場変化を注視しつつ、フレキシブルに業績予想を修正していく方針が示されています。
4. 事業モデルの持続可能性
アルプスアルパインの事業モデルは、コンポーネント、センサー・コミュニケーション、モビリティの3つの異なるセグメントによって構成されており、車載、モバイル、民生といった多様な市場ニーズに対応しています。この多様な事業ポートフォリオは、特定の市場変動リスクを分散する効果があると考えられます。センシング技術など未来技術への投資を継続しており、技術革新に対応する姿勢も見られます。
ただし、収益性が市場環境や為替変動に大きく左右される傾向があり、特に車載市場の競争激化や新型車生産サイクル、モバイル市場の需要動向への適応が収益モデルの持続性において重要となります。直近の決算では為替差損の影響で経常利益、純利益が大きく変動しており、外部環境への依存度が高い側面も持ち合わせています。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術優位性の基盤は、長年培ってきた金型の精密加工技術にあります。これにより、高精度・高品質な電子部品の製造を可能にしています。また、センサー・コミュニケーションセグメントに見られるように、電流、圧力、ミリ波、磁気センサーといったセンシング技術の開発にも注力しており、IoTや自動運転技術の進展に伴い、これらの技術は今後も主力製品群を牽引する可能性があります。
主力製品としては、自動車用スイッチ(TACTスイッチ、パワーウィンドウスイッチ)、ポテンショメータ、HAPTICリアクター、アクチュエータ、カーオーディオ・ナビゲーションシステム(アルパインブランド)、デジタルキー、スマホカメラ部品、ゲーム機部品などが挙げられます。
6. 株価の評価
現在の株価1,904.0円に対し、以下の指標が示されています。
* EPS(会社予想):26.81円
* PER(会社予想):70.94倍
* BPS(実績):1,960.42円
* PBR(実績):0.97倍
* 業界平均PER:24.2倍
* 業界平均PBR:1.6倍
PER(会社予想)は70.94倍と、業界平均の24.2倍と比較して大幅に割高な水準です。これは会社予想EPSが26.81円と低いことに起因しています。一方で、PBR(実績)は0.97倍であり、業界平均の1.6倍を下回っており、純資産価値に対しては割安感があるとも言えます。現在の株価(1,904.0円)はBPS(1,960.42円)をわずかに下回っており、PBRが1倍を割れる状況です。
PERから見た理論株価は、EPS 26.81円 × 業界平均PER 24.2倍 = 約649円となり、現在の株価を大きく下回ります。PBRから見た理論株価は、BPS 1960.42円 × 業界平均PBR 1.6倍 = 約3,136円となり、現在の株価を上回ります。利益の変動が大きく、PERが一時的に高水準となっている可能性があるため、PBRも考慮した評価が必要です。
7. テクニカル分析
現在の株価は1,904.0円です。
* 年初来高値:1,970円
* 年初来安値:1,195円
* 52週高値:1,970.00円
* 52週安値:1,195.00円
* 50日移動平均:1,804.80円
* 200日移動平均:1,570.84円
現在の株価は、年初来高値および52週高値に近しい水準にあります。また、50日移動平均線(1,804.80円)と200日移動平均線(1,570.84円)の両方を上回っており、短期・中期ともに上昇トレンドにあると見られます。過去の株価推移からは、安値圏から高値圏へシフトしている状況が示唆されます。
8. 財務諸表分析
項目 | 過去12か月(LTM) | 2025年3月期(予) | 2024年3月期 | 2023年3月期 | 2022年3月期 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 (百万円) | 990,407 | 990,407 | 964,090 | 933,114 | 802,854 |
売上高成長率(YoY) | — | — | +3.3% | +16.2% | — |
営業利益 (百万円) | 34,107 | 34,107 | 19,712 | 33,596 | 35,208 |
純利益 (百万円) | 37,837 | 37,837 | △29,814 | 11,470 | 22,960 |
ROE (%) | 8.62% | 9.40% | — | — | — |
ROA (%) | 3.01% | — | — | — | — |
自己資本比率 (%) | — | 55.9% | — | — | — |
流動比率 (%) | — | 223.1% (Q1) | — | — | — |
売上高: 過去数年間は順調に成長してきましたが、2026年3月期の通期予想では売上高950,000百万円(前期比△4.1%)と減収を見込んでいます。直近の第1四半期売上高は前年同期比+2.3%と微増でした。
利益: 営業利益は2024年3月期に19,712百万円と大幅に減少しましたが、過去12か月では34,107百万円と回復傾向にあります。しかし、2026年3月期の通期営業利益予想は25,000百万円(前期比△26.7%)と再び減益となる見通しです。純利益は2024年3月期に△29,814百万円の純損失を計上するなど、大きく変動しています。2026年3月期通期純利益予想も5,500百万円(前期比△85.5%)と大幅な減益を見込んでいます。第1四半期決算では為替差損が経常利益・純利益に大きく影響しました。
キャッシュフロー: 第1四半期のキャッシュフロー計算書は未作成のため、詳細な評価は限定的です。
収益性指標:
- 売上総利益率(LTM):約17.69%
- 営業利益率(LTM):1.56%
- 純利益率(LTM):3.47%
- ROE(LTM):8.62%、実績(2025年3月期、連結)9.40%
- ROA(LTM):3.01%
これらの利益率は、直近の収益性の変動が大きく、特に営業利益率は低い水準にあります。
財務健全性:
- 自己資本比率:55.9%(実績)。直近四半期においても56.8%と健全な水準を維持しています。
- 流動比率:直近四半期で223.1%。流動負債に対する流動資産の比率が高く、短期的な支払能力に問題はないと評価できます。
- 総負債/純資産比率(D/Eレシオ):直近四半期で18.23%と非常に低い水準であり、財務健全性は極めて高いと言えます。
9. 株主還元と配当方針
アルプスアルパインは、安定的な株主還元を重視しており、2025年3月期の実績および2026年3月期の会社予想ともに、年間配当を60.00円(中間30.00円、期末30.00円)としています。
* 予想配当利回り:3.15%
* 予想配当性向:32.61%(会社予想EPS 26.81円に基づくと、実績配当性向は223%超となる)
過去5年平均の配当利回りは2.42%であり、現在の予想利回りはそれを上回っています。2024年3月期が純損失であったにもかかわらず配当を維持したこと、および今期の減益予想にもかかわらず配当予想を据え置いていることから、株主還元への強い意欲がうかがえます。また、決算短信には自己株式の取得(自社株買い)も実施している旨の記載があり、積極的な株主還元策を実行しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
現在の株価は、年初来安値1,195円から約42%上昇しており、52週高値に迫る水準で推移しています。50日移動平均線が200日移動平均線を上回っており、短期的な上昇モメンタムが続いています。
52週間の株価変化率は+20.91%と、S&P500の同時期変化率+15.11%を上回っており、市場平均と比較しても良好な株価推移を示しています。
信用情報は、信用買残184,800株に対し、信用売残312,900株と売残が買残を上回っており、信用倍率は0.59倍です。これは、株価が上昇する中で、将来の株価下落を予想する投資家もいる一方で、踏み上げが起こりやすい状況とも解釈されます。
直近の決算で通期業績予想の下方修正、特に純利益の大幅減益にもかかわらず株価が堅調なのは、市場が既に織り込み済みであるか、特定の事業分野での回復期待、あるいは株主還元策を評価している可能性が考えられます。
11. 総評
アルプスアルパインは、電子部品と車載情報機器におけるグローバル大手であり、金型精密加工やセンシング技術に強みを持っています。多角的な事業ポートフォリオを持つことで事業リスクを分散していますが、車載市場の競争激化や為替変動が収益に大きく影響する傾向が見られます。特に2024年3月期は純損失、2026年3月期も大幅減益の予想であり、収益性の安定化が課題です。一方で、自己資本比率55.9%、流動比率223.1%、D/Eレシオ18.23%と財務基盤は極めて健全です。株主還元策として高水準の配当を維持し、自社株買いも実施しており、株主還元への意識が高い企業と言えます。現在の株価は年初来高値圏で推移しており、PERは会社予想EPSから見ると非常に割高ですが、PBRは1倍を下回っており、見方は分かれるでしょう。今後の業績回復と安定成長が株価を支える鍵となります。
12. 企業スコア
-
成長性:C
LTM売上高は増加していますが、2026年3月期の通期売上高は前期比で△4.1%の減収を見込んでおり、短期的な成長は足踏み状態にあると判断。
– 収益性:C過去12か月の営業利益率は1.56%と低い水準にあります。純利益も大幅な変動があり、2024年3月期は純損失を計上、2026年3月期も大幅減益を予想しており、収益の安定性および水準に改善の余地があるため。
– 財務健全性:S自己資本比率55.9%、流動比率223.1%、総負債/純資産比率18.23%と、全ての指標において非常に健全な財務体質を保持しているため。
– 株価バリュエーション:CPER(会社予想)が70.94倍と業界平均24.2倍を大幅に上回っており、現在の利益水準から見ると割高感があります。ただし、PBRは0.97倍と業界平均を下回っており、見方が分かれるものの、利益の変動性を考慮するとPERの割高感は無視できないため。
企業情報
銘柄コード | 6770 |
企業名 | アルプスアルパイン |
URL | https://www.alpsalpine.com/j/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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