1. 企業情報
ロームは、半導体素子、集積回路(LSI)、モジュール、受動部品(抵抗器など)を包括的に開発・製造・販売する総合電子部品メーカーです。特に、カスタムLSIで高いシェアを持ち、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体や車載・産業機器向けのアナログ半導体を得意としています。京都に本社を置き、グローバルに事業を展開しています。SiCパワー半導体は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー分野での需要拡大を見据え、同社の成長戦略の中核を担っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ロームは、半導体業界の中でも、高信頼性が求められる自動車や産業機器向けに強みを持つ企業として位置づけられています。カスタムLSIの分野では首位を占めるなど、特定の市場で高い競争力を保持。次世代パワー半導体であるSiCデバイスへの積極的な投資・大増産計画は、今後の市場シェア拡大に向けた戦略的な取り組みです。しかし、半導体市場全体は需要変動が大きく、EV市場の成長鈍化、地政学リスク、中国経済の動向などが業界全体の課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は現在、利益体質の立て直しを最重要課題と位置づけ、2024年11月に公表した構造改革を推進しています。並行して新たな中期経営計画の策定を進めており、コスト効率の改善に注力しています。具体的には、SiC関連を含む設備投資については、市場状況を鑑みて必要最小限に抑制し、固定費の増加を抑制する方針です。車載や産業機器向けパワー・アナログ半導体の開発・供給は引き続き重点分野であり、SiCパワー半導体の育成を通じて、中長期的な成長基盤を強化しています。
4. 事業モデルの持続可能性
ロームの事業モデルは、多様な半導体・電子部品を、自動車、産業機器、民生、通信といった幅広い分野に提供することで、市場の変動リスクを分散しています。SiCパワー半導体などの革新的な技術への投資は、EVや省エネルギー化といった長期的な市場ニーズに対応するものであり、事業の持続可能性を高める要素です。カスタム製品や高性能部品の提供は、価格競争に陥りにくい高付加価値戦略を支えています。ただし、世界経済や半導体サイクルに左右される部分も大きく、市場の変化への迅速な適応が引き続き求められます。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向や独自性: ロームは特にSiCパワー半導体の開発に注力しており、電力損失の低減や小型化に貢献するこの技術は、EVや産業機器の効率化に不可欠なものとして注目されています。この分野での技術的な優位性は、今後の成長の鍵となります。
収益を牽引している製品やサービス:
– LSI: 自動車の先進運転支援システム(ADAS)などで使用される高付加価値品、民生機器向け製品などが主力です。
– 半導体素子: SiCパワーデバイスが将来の収益を牽引する期待が高まっています。汎用デバイスやLEDなども重要な製品群です。
– モジュール: 事務機向けのプリントヘッドが堅調に推移しています。
– その他: 車載や産業機器向けの高信頼性抵抗器も安定した収益源です。
6. 株価の評価
- 現在の株価は2,400.0円です。
- PER(会社予想)は132.30倍であり、業界平均の24.2倍と比較して非常に高水準です。これは、直近の業績悪化によりEPSが低水準にあるためと考えられます。
- PBR(実績)は1.05倍であり、業界平均の1.6倍を下回っており、純資産価値に対しては割安な水準と評価できます。
- 業績の回復が株価のPER評価を正常化させるか、PBRの水準からの評価が続くかが注目されます。
7. テクニカル分析
現在の株価2,400.0円は、年初来高値2,428円に非常に近い水準にあります。52週高値も2,428円であり、年間を通じて株価が大きく上昇した後の高値圏で推移していると言えます。50日移動平均線(2,175.76円)および200日移動平均線(1,715.48円)を大幅に上回っており、株価は強い上昇トレンドにあると見られます。過去1年間の株価上昇率は43.82%と、S&P 500指数を大きく上回っています。
8. 財務諸表分析
- 売上: 過去数年間の売上高は減少傾向にあり、直近12か月の売上高も前期比で減少しています(約4464億円→約4678億円)。2026年3月期第1四半期の売上高は1,162億円で、前年同期比1.8%減でした。
- 利益: 過去12か月の営業利益および純利益は赤字となっています。2026年3月期第1四半期の営業利益は1億95百万円に大幅減少(前年同期比△84.6%)。これは半導体市場の調整に加え、 SiC関連の先行投資負担や生産調整の影響が大きいと考えられます。なお、会計方針の変更(減価償却方法変更)により、第1四半期の営業利益は約27億円の増加影響がありました。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは過去12か月で687億円のプラスでしたが、積極的な有形固定資産の取得等により、投資活動によるキャッシュフローは大幅なマイナスとなり、フリーキャッシュフローはマイナスです。
- ROE・ROA: 直近の純利益がマイナスであるため、ROEは-5.39%とマイナスです。
- 財務健全性: 自己資本比率は61.7%と高く、流動比率も248%と非常に良好です。総負債/株式資本比率も45.35%と低く、非常に盤石な財務基盤を維持しています。潤沢な現金及び現金同等物も保有しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは2.08%で、1株当たり年間配当金は50.00円を予定しています。しかし、直近の利益水準に基づくと配当性向は221.83%と非常に高く、実質的には利益を上回る配当となっています。これは一時的な業績悪化の中での安定配当維持を示すものと見られます。自社株買いに関する明確な情報は提供データにはありませんでした。強固な財務体質が配当を支える一因となっていますが、今後の業績回復が配当方針の持続性において重要となります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近でも上昇傾向にあり、特に過去1年間で顕著な上昇を見せています。52週高値圏での推移は、足元の厳しい業績にもかかわらず、SiCパワー半導体への期待や今後の半導体市場の回復、構造改革の進展に対する市場の関心の高さを示唆しています。信用買残は減少傾向にありますが、信用売残は増加しており、信用倍率は2.67倍と買い残が優勢です。地政学リスクや半導体需要の変動、中国経済の動向などが、今後の株価に影響を与える要因として考えられます。
11. 総評
ロームは、SiCパワー半導体という成長分野に注力し、車載・産業機器向けに強固な技術基盤を持つ電子部品メーカーです。現在の業績は、半導体市場の調整やEV市場の成長鈍化、SiCへの先行投資負担により、売上高が減少し、利益面では大幅な悪化を経験しています。特に、営業利益が極めて低い水準にあることは課題です。
しかしながら、自己資本比率60%超、流動比率200%超といった極めて強固な財務体質は、現在の厳しい事業環境下において、企業の安定性と将来的な成長投資余力を示しています。株価は、足元の業績とは対照的に年初来高値圏で推移しており、中長期的な成長戦略、特にSiCパワー半導体への期待が市場に織り込まれている可能性が高いと見られます。
今後の注目点は、SiCパワー半導体事業の本格的な収益貢献、構造改革による利益率の改善、および世界半導体市場の回復動向です。財務健全性は評価できるものの、収益性の早期回復が企業の持続的な成長と株主価値向上にとって不可欠です。
12. 企業スコア
- 成長性: D
- LTM売上高は前年比で減少傾向にあり、直近四半期売上高も前年同期比で減少。過去数年間で見ても売上の伸びは見られず、むしろ微減傾向にあるため評価は低い。
- 収益性: D
- LTMおよび直近四半期の営業利益は大幅に減少し、LTMでは赤字。売上総利益率も低く、業界平均と比較しても収益性は著しく低い水準にあるため評価は低い。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率61.7%、流動比率248%、総負債/株式資本比率45.35%と、いずれの指標も非常に健全な水準であり、強固な財務基盤を評価できる。
- 株価バリュエーション: A
- PERは非常に高水準で割高感があるが、EPSが一時的に低迷していることが大きく影響している。PBR(1.05倍)は業界平均(1.6倍)を下回っており、純資産に対しては割安と判断できるため、PBRを重視し高評価とした。
企業情報
銘柄コード | 6963 |
企業名 | ローム |
URL | http://www.rohm.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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