6963 ローム 分析レポート(個人投資家向け)
株価(10/22終値):2,400円
時価総額:約9,690億円
1. 企業情報
- 概要:アナログ/パワー半導体および電子部品の大手。カスタムLSI、抵抗器に強み。車載・産業向けのパワー/アナログ半導体が主力で、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体を重点拡大中。京都本社。
- セグメント構成(売上構成の目安):LSI約45%、半導体素子約42%、モジュール約7%、その他(抵抗器等)約6%(2025年3月期)。海外売上比率約71%。
- 主用途:自動車(ADAS/モータ制御/電源)、産業機器、民生、通信機器など。
- 特徴:SiCは基板〜デバイス〜モジュールに至るバリューチェーン対応(垂直統合の度合いが相対的に高い)。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内では車載向けアナログ/パワー半導体に強いプレゼンス。SiCはグローバルで先行組の一角(競合:STMicro、Infineon、onsemi、Wolfspeed、三菱電機 等)。
- 競争優位性:
- 車載・産業に適した品質/信頼性とアナログ設計力、カスタム対応力。
- SiCの内製度合い(基板〜デバイス)と量産実績の積み上げ。
- 課題:
- EV市況の鈍化や顧客在庫調整でSiC・車載向けの需要変動が大きい。
- 直近は稼働率低下・コスト増で収益性が大きく低下。
- グローバル大手との投資規模・開発スピード競争。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/戦略の方向性:
- 収益体質の立て直し(2024年公表の構造改革を継続)。
- 中期経営計画の再策定を進行。
- 重点施策(2026年3月期1Q開示):
- 設備投資は必要最小限(特にSiC)とし、固定費増を抑制。
- 在庫適正化、稼働率の段階的改善。
- 減価償却方法を定率法から定額法に変更(短期の損益下支え)。
- 注力分野:
- 車載向け高付加価値品(ADAS関連、PMIC/ドライバ等)。
- SiCパワーデバイス(MOSFET、SBD)とそのモジュール。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:車載・産業向けの中長期需要(電動化/効率化/安全性強化)に連動。アナログ/パワーはスイッチングコストが高めで粘着性がある一方、サイクル影響は回避できない。
- 適応力:
- 構造改革・投資抑制で低稼働期の損益耐性向上を図る方針。
- SiCは長期テーマとして有望だが、短期はEV需要や顧客投資サイクルの影響を受けやすい。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向/独自性:
- SiCの内製・量産力と車載品質、カスタムLSI/アナログ設計力。
- 減価償却方法変更により短期の損益改善余地を確保。
- 収益牽引領域:
- LSI(車載ADAS対応など)は黒字を維持(1Qセグ利益:43.3億円)。
- 半導体素子はSiC好調分もあるが、1Qはセグ損失(▲62.6億円)と振れ大。
- 抵抗器やプリントヘッドなどモジュール/その他は安定的に貢献。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価2,400円、時価総額約9,690億円、予想EPS 18.14円、実績BPS 2,283.35円、現金2,133億円、借入金4,000億円、売上LTM 4,464億円、EBITDA LTM 約356〜367億円。
- 指標比較:
- PER(予想):約132.3倍(業界平均約24.2倍)
- PBR(実績):約1.05倍(業界平均約1.6倍)
- EV/売上(LTM):約2.6倍(EV≒9,690+1,867=約1.16兆円)
- EV/EBITDA(LTM):約32倍前後
- コメント:
- 直近の利益水準が低いためPERは見かけ上高く、PBRはほぼ簿価水準。
- 売上規模に対するEV(EV/S)は中立〜やや高めのレンジ、EBITDA基準では負荷が重い水準。
7. テクニカル分析
- 株価位置:52週高値2,428円に接近(現値2,400円)。年初来安値1,069円からは大幅回復。
- トレンド:50日移動平均約2,176円、200日約1,715円で上向き。上昇トレンド優勢。
- 需給・節目:
- 直近出来高は3カ月平均(約401万株)並み。
- 2,428円付近に上値抵抗、2,300円前後に短期サポート帯の目安。
8. 財務諸表分析
- 売上推移:
- 2022/3:4,521億円 → 2023/3:5,079億円 → 2024/3:4,678億円 → 2025/3:4,485億円 → LTM:4,464億円
- 3年CAGRは微減、直近YoYもマイナス域。
- 収益性:
- 粗利率:2023/3 約38.1% → 2024/3 約31.1% → 2025/3 約16.6% → LTM 約15.8%
- 営業利益:2023/3 923億円 → 2024/3 433億円 → 2025/3 ▲401億円 → LTM ▲411億円
- 収益性は急速に悪化。1Q(2026/3期)は営業利益率約0.17%まで戻したが、まだ低水準。
- キャッシュフロー/投資:
- 営業CF(LTM):約686億円(黒字)
- レバードFCF(LTM):約▲319億円(設備投資負担が重い)
- 安全性:
- 自己資本比率:約61.7%と高水準
- 流動比率:約248%と潤沢
- D/E(有利子負債/資本):約45%(社債・長期借入含む)
- 特記事項:
- 2026/3期1Qから減価償却の定額法移行(1Qで営業利益等に+約27.6億円影響)。
- 特別利益・損失の計上あり(補助金収入、固定資産圧縮損 等)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績/予想:年間50円(予想・変更なし)。配当利回り約2.08%(株価2,400円)。
- 配当性向:予想EPS 18.14円に対して約276%(直近期は利益水準が低く、会計上は高い割合)。
- 自社株:自己株比率約4.4%。新規の自社株買いは記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週騰落率+43.8%と強含み。年初来で段階的に上昇。
- 信用動向:信用倍率2.67倍。信用買い残は前週比で減少、売り残は増加(短期的な戻り売りも観測)。
- 需給要因:決算を受けた業績ボトムアウト期待、SiC関連ニュース、為替/金利動向、EV・車載需給のヘッドラインに反応しやすい。
11. 総評
- 事業環境:車載・産業に中長期テーマ(電動化/安全/効率化)は残る一方、短期はEV減速・顧客在庫調整の影響が大きい。
- 収益性:2025/3期は赤字転落、LTMでも赤字。1Q(2026/3期)は極小ながら黒字域に接近しつつあるが、十分な回復とは言い難い。
- 財務:流動性・自己資本比率は健全。営業CFは黒字も、設備投資負担でFCFは赤字。
- バリュエーション:利益基準では割高感が出やすく、PBRでは簿価水準。回復前提の評価に敏感。
- テクニカル:上昇トレンドで52週高値圏。イベント・需給で振れやすい水準。
- 留意点:減価償却方法変更による短期的な利益押上げ、特別損益の影響、SiC投資ペース調整、為替とEV関連ニュースに注意。
(注)本レポートは公開情報に基づく客観的整理であり、投資助言ではありません。不明点は記載を省略しています。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上成長率▲約1.8%(四半期YoY)、3年CAGR微減。
- 収益性:D
- 根拠:粗利率低下、LTM営業赤字、EBITDA倍率も高水準。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約62%、流動比率約248%、D/E約45%。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは高いが、PBR約1.05倍と簿価水準、EV/Sは中立圏。利益回復前提の評価バランスを考慮し中立評価。
【補足データ】
– 予想PER:約132.3倍、PBR:約1.05倍、配当利回り:約2.08%
– EV/売上:約2.6倍、EV/EBITDA:約32倍
– 52週高安:2,428円 / 1,069円
– 1Q(2026/3期)実績:売上1,162億円(▲1.8%)、営業利益19.5億円(率0.17%)
企業情報
銘柄コード | 6963 |
企業名 | ローム |
URL | http://www.rohm.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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