中外製薬(4519)企業分析レポート
本レポートは提供データおよび公開情報に基づく事実整理です。投資助言は行いません。
1. 企業情報
- 概要:ロシュ傘下の医薬品大手。抗体・バイオ医薬に強みを持ち、オンコロジー(がん)およびスペシャリティ(眼科・血液・自己免疫等)領域が主力。国内販売に加え、ロシュ向け輸出が収益の柱。
- 事業内訳(連結、2024年実績ベースの構成比):国内製商品(オンコロジー約21%、スペシャリティ約18%)、海外製商品約46%、その他約15%。海外売上比率は約60%。
- 主な製品群(例):アバスチン、パージェタ、ポライビー、フェスゴ、ルンスミオ(がん)、バビースモ(眼科)、ヘムライブラ(血液)、エンスプリング 等。
- 親会社:ロシュが議決権約59.9%保有。
- 人員・本社:従業員7,972人、本社:東京都中央区。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内大手の中でもバイオ医薬・抗体医薬に特化した強みを持つ企業。時価総額は国内製薬上位。ロシュ連携によりグローバル展開力と研究・臨床開発力を補完。
- 競争優位性:
- 高付加価値のバイオ医薬ポートフォリオ(高い利益率)。
- ロシュとの戦略的アライアンス(開発・販売・輸出のパイプラインおよび顧客基盤)。
- 独自の抗体工学技術群(リサイクリング抗体、スウィーピング抗体等のプラットフォーム)。
- 課題:
- Roche向け売上への依存度が高い(顧客集中リスク)。
- 国内薬価改定・バイオシミラー進展による価格圧力。
- 主力品のライフサイクル管理(適応拡大・新製品投入の継続)が不可欠。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針:Core指標(非経常要因除外の社内管理指標)で事業運営・株主還元を重視。高付加価値バイオ医薬への集中、オンコロジー/眼科/血液・免疫中心のパイプライン強化。
- 重点施策:
- 研究開発の継続投資(R&D比率:9カ月累計で売上比約14%)。
- 新薬の適応拡大とロシュとのグローバル展開の強化(例:テセントリク、ルンスミオ等)。
- 外部アセット取得によるポートフォリオ拡充(例:Renalis Pharma買収決議、sparsentanの日韓台権利取得)。
- 2025年通期(Core予想):売上1.19兆円(+1.7%)、Core営業利益5,700億円(+2.5%)、Core EPS 250円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:国内販売+ロシュ向け輸出の二本柱。高マージンのバイオ医薬比率が高く、営業利益率は40%超と高水準。
- 持続性評価:
- 強み:技術プラットフォームとグローバル連携により新薬創出力を確保。潤沢なネット現金と高い自己資本比率で投資余力が大きい。
- リスク:薬価改定、バイオシミラー浸透、個別品依存、臨床開発の成功不確実性。依存度の高い主要顧客(ロシュ)動向。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発:抗体工学の独自技術(リサイクリング抗体・スウィーピング抗体等)を核に、二重特異性抗体を含む先端バイオ創薬を推進。
- 主力製品の収益貢献:
- オンコロジー:アバスチン、パージェタ、ポライビー、フェスゴ、ルンスミオ等。
- スペシャリティ:バビースモ(網膜疾患)、ヘムライブラ(血友病)、エンスプリング(視神経脊髄炎)等。
- パイプライン進展(2025年):複数の承認・適応拡大申請、一方で一部開発中止により効率的な資源配分を進行。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:6,935円
- EPS:
- 過去12カ月希薄化後EPS:約240円 → 予想PER(実績ベース)約28.9倍。
- 会社Core EPS予想:250円 → 前方PER(Coreベース)約27.7倍。
- BPS:
- 実績BPS(連):1,148.51円 → 計算上PBR約6.0倍(会社公表PBR 5.75倍と同水準)。
- EV指標(概算):
- 時価総額:約11.64兆円、ネット現金:約0.88兆円 → EV約10.8兆円。
- EV/売上(LTM):約9.0倍、EV/EBITDA(LTM:0.589兆円):約18.3倍。
- 業界平均との比較(提供データ):
- PER:業界平均約27.8倍に対し同程度〜やや上回る水準。
- PBR:業界平均約1.4倍に対し高位(収益性の高さ・無形資産/成長期待の織り込みを反映)。
- 総合:高収益モデルにプレミアムが付与されやすい一方、指標面では平均より高めのレンジ。
7. テクニカル分析
- トレンド:終値6,935円は
- 50日移動平均(約6,695円)上、
- 200日移動平均(約7,099円)下。
- 短期は持ち直し基調、 中期は戻り待ちのレンジ内。
- 位置:52週高値8,655円から下方、52週安値5,942円は上回る中位圏。
- 直近10日:10/10高値後はやや調整。出来高は直近平均並み〜やや上振れ。
8. 財務諸表分析
- 売上推移(億円、IFRS):
- 2021:9,998 → 2022:12,597 → 2023:11,114 → 2024:11,706 → LTM:11,962
- 3年CAGR(2021→2024):約+5%台。LTM対前年:+2.2%。直近四半期YoYは▲8.2%と減速局面も確認。
- 利益・利益率:
- 営業利益:2023年43.9 → 2024年54.2 → LTM 55.7(百億円換算)。
- 営業利益率(LTM):約47%と非常に高い。粗利率約70%。
- ROE(実績):約22%、ROA(LTM):約16%。
- キャッシュフロー:
- 営業CF(LTM):約4,621億円、レバードFCF:約3,432億円と潤沢。
- 財務安全性:
- 自己資本比率:約86%、流動比率:約6.0倍、ネット現金基調。財務耐性は高い。
9. 株主還元と配当方針
- 2025年配当予想:年間250円(うち記念配当150円、普通配当100円)。
- 予想配当利回り:3.60%(株価6,935円ベース、記念配当含む)。
- 普通配当ベース利回り:約1.4%。
- 配当性向:
- 普通配当ベースの配当性向:約45%(提供データ)。
- Core方針:Core EPSに対し高水準の還元(2025年は記念配当を含む特殊要因あり)。
- 自社株買い:—(直近実施情報は提供データに記載なし)。自己株比率約2%。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:短期は50日線上回復の兆候、中期は200日線下で方向感模索。
- 信用動向:信用買残増(+43.7万株)、売残減、信用倍率23.6倍と買いに傾斜。需給はやや過熱気味になりやすい局面も想定される。
- 流動性:出来高は3カ月平均(約363万株)に概ね沿う。インサイダー保有比率が高く(約60%)、フリーフロートは相対的に限定的。
11. 総評
- 事業面:バイオ医薬・抗体医薬に強みを持ち、高収益・高CFの構造。ロシュ連携を活かした海外展開と新薬投入が成長ドライバー。
- 財務面:自己資本・流動性ともに厚く、R&DやM&Aの投資余力は十分。
- 収益性:業界でも屈指の高い営業利益率・ROEを維持。
- 課題:薬価改定、バイオシミラー、顧客集中(Roche)リスク、パイプラインの実行力が継続的な焦点。
- バリュエーション:高収益を背景にプレミアム評価。指標面では業界平均を上回るレンジが続く。
- テクニカル:短期は持ち直しつつも、中期はレンジ内。信用買い偏重の需給には留意。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:LTM売上+2.2%、3年CAGR約+5%台。直近四半期YoYは▲8.2%で減速感もあり、中立寄り。
- 収益性:S
- 根拠:粗利率約70%、営業利益率約47%、ROE約22%。業界平均を大きく上回る。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率約86%、流動比率約6倍、ネット現金。負債依存度が低い。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PER(実績ベース約28.9倍、Core前方約27.7倍)は業界平均27.8倍と同程度〜やや上、PBRは平均を大きく上回る。EV/売上・EV/EBITDAも高水準。
参考(主要数値)
– 株価:6,935円、時価総額:約11.64兆円
– LTM売上:1.196兆円、LTM営業利益:5,571億円、LTM EPS:約240円
– 自己資本比率:86.1%、ROE:21.96%、営業CF(LTM):4,621億円
– 配当:2025年予想250円(うち記念150円、普通100円)
注記
– EPS/利益の「Core」とIFRSでは定義が異なります。本分析は提供データのIFRSおよびCoreの双方を参照しています。
– 記念配当は一過性であり、翌期以降は普通配当水準(現行目安:年100円)に収れんする可能性があります。
企業情報
| 銘柄コード | 4519 |
| 企業名 | 中外製薬 |
| URL | http://www.chugai-pharm.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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