セブン銀行(8410)企業分析レポート
注記:本資料は公開情報を基に作成した企業分析であり、投資判断を目的とした助言ではありません。数値は単位・会計基準の違いに留意してください。
1. 企業情報
- 概要:コンビニエンスストア「セブン‐イレブン」を主軸に全国へATMを展開。ATM利用手数料(金融機関からの受入手数料等)が収益の柱。個人向け口座・ローン、決済(デビット・後払い)、カード・電子マネー(セブン・カードサービス、nanaco)も展開。米国・東南アジアで海外ATM事業を拡大。
- 特徴:第4世代ATMへの入替完了。ATMを「現金プラットフォーム」から本人確認・行政連携(マイナポータル)・口座手続・情報提供など多機能化する「サービスプラットフォーム」へ進化させる方針。
- 規模:ATM台数 28,082台(2025/6末)。個人口座 343.7万口座(前年同期比+9.8%)。
- 従業員:1,425人、平均年齢41.2歳、平均年収694万円。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 位置づけ:国内コンビニATMでは最大規模(セブン‐イレブン店舗網の優位)。競合はイーネット(ファミリーマート系)、ローソン銀行、ゆうちょ・メガバンク系ATM等。
- 競争優位:
- 圧倒的店舗網と24時間稼働による利便性・認知度。
- 金融機関・非銀行との広範な接続により手数料収入の安定性。
- 新機能(+Connect、マイナポータル連携、本人確認・不正検知)で差別化。
- 課題:
- キャッシュレス進展による現金引出需要の構造的減少圧力。
- 海外事業の収益性(米国FCTI等は利益貢献が限定的)。
- カード・電子マネー事業の収益改善(現状は赤字セグメント)。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン:ATMを社会的インフラとして「サービスプラットフォーム」化し、現金依存の低下局面でも収益機会を拡張。
- 重点施策:
- 第4世代ATMのフル活用(口座開設・情報変更、マイナポータル連携、情報通知等)。
- 個人口座・個人ローン・後払い(BNPL)等の非ATM収益の拡大。
- 海外での設置拡大と採算性の向上。
- 不正検知・本人確認ソリューションの提供強化。
- 自己株式取得:2025年6月に約1.94億株を取得(自己資本比率低下と引換えに資本効率の改善を志向)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:ATM手数料(取引件数×単価)、預金・ローン利鞘、決済手数料、本人確認・後方支援BPO等のフィー収入。
- 持続性の評価ポイント:
- 取引件数はなお増加(2025年Q1 ATM利用+3.4% YoY)。一方で長期的にはキャッシュレスが逆風。
- ATM高機能化により、行政・金融手続や情報連携等の新用途を取り込み、件数・単価両面の維持・向上を狙う構造。
- 海外・口座・ローン・認証/不正対策など多角化で依存度を分散。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発・独自性:第4世代ATM(スマホ連携、QR/本人確認機能、API接続)、マイナポータル連携、+Connect、AI不正検知・KYC支援等。
- 収益牽引:
- 主力は国内ATM事業(経常収益の約68%)。
- 電子マネーnanaco会員8,368万(+1.4% YoY)だが取扱高は前年同期減、カード事業は赤字。
- 海外ATMは収益寄与拡大中だが利益は限定的。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:287.4円、時価総額:約3,389億円(発行済ベース)。
- 1株価値との比較:
- 予想EPS 13.96円 → 予想PER 約20.6倍(287.4/13.96)。
- TTM EPS 15.58円 → TTM PER 約18.5倍。
- BPS 228.54円 → PBR 約1.26倍。
- 予想配当11円 → 予想配当利回り 約3.83%、TTM配当性向 約70.7%(11/15.58)。予想ベースでは約78.8%(11/13.96)。
- 業界平均との比較(銀行業):PER 10.7倍、PBR 0.4倍。
- 同社はPER・PBRとも業界平均を上回る水準(プレミアム評価)。ATMプラットフォーム性や安定フィーへの評価が背景と考えられる一方、成長鈍化時のバリュエーション調整リスクには留意。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:終値287.4円は50日移動平均286.84円、200日移動平均279.72円の上。中期的な上昇基調を維持しつつも、直近はもみ合い。
- レンジ感:
- 年初来高値317円・安値233円の中間〜やや上寄り。
- 52週高値350円比 -18%、52週安値233.4円比 +23%。
- 出来高・需給:直近10日平均5.06百万株(3カ月平均6.91百万株をやや下回る)。信用倍率2.85倍、買残増(+277.5万株)でロング偏重気味。
8. 財務諸表分析
- 成長(売上・経常収益):
- 2022/3: 100,375、2023/3: 111,439、2024/3: 143,285、LTM: 156,657(百万円)と拡大。3年CAGRは約+16%(定義差に留意)。
- 2026/3会社予想(経常収益):216,000百万円(前年比+0.7%)。2026年Q1は+3.6% YoY。
- 収益性:
- LTM 営業利益率 約16.7%、純利益率 約8.4%。
- ROE 実績 6.65%〜LTM 7.09%、ROA 約1.12%。
- Q1(累計)経常利益率 12.4%(前年から低下)。
- キャッシュ・負債:
- 現預金 8,285.7億円、有価証券1,177.5億円、借入943.4億円(2025/6末)。預金8702.6億円で安定調達。
- 概算D/E ≈ 0.4(簿価ベース、銀行特性に留意)。
- 資本:
- 連結自己資本比率 18.5%(実績)。2025/6末は自己株式取得の影響で純資産が減少、自己資本比率(同社算定)15.1%。国内基準の連結自己資本比率23.42%。
- 利益トレンド:
- 純利益は2024/3に一過性要因含み上振れ、その後LTM・Q1で前年割れ。Normalizedベースは概ね横ばい〜微減。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間11円(中間5.5円・期末5.5円)を継続予想。TTM利回り約3.8%。
- 配当性向:TTM約71%、予想ベース約79%と高めの還元水準。
- 自社株買い:2025年6月に約1.94億株を取得(発行済比約16%)。浮動株縮小・資本効率改善に寄与する一方、自己資本比率は低下。
- 大株主:セブン‐イレブン・ジャパン等グループで過半近い持分。インサイダー保有51.8%、浮動株約3.53億株。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:直近10日で反発基調(276円台→287円台)。52週では-10.4%とやや軟調推移。
- ボラティリティ・相関:β -0.07(低相関傾向)。浮動株が小さく、需給要因の影響を受けやすい面も。
- 関心材料:
- ATM利用件数の堅調、サービスプラットフォーム化の進捗。
- クレカ/電子マネー事業の収益改善、海外事業の採算動向。
- 自己株式取得後の資本政策と規制資本比率の推移。
- 次回決算(2025/11/7)および配当権利落ち(2026/3/30)。
11. 総評
- セブン銀行は、国内最大のコンビニATM網を背景に安定的な手数料収入を確保しつつ、ATMの高機能化・プラットフォーム化で非現金関連サービスの収益化を進めている。短期的には経費増などで利益率がやや低下、カード・電子マネー事業の赤字や海外の採算も課題。中期的には口座・ローンや本人確認/不正対策等の周辺サービス拡大が、キャッシュレス化の逆風を緩和できるかが焦点。
- バリュエーションは銀行業平均に対してプレミアム水準。高い株主還元(配当+大型自社株買い)を実施する一方、自己資本比率が低下している点に留意。テクニカル面では移動平均線上で推移し、レンジ内の中位水準。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:売上(経常収益)の中期拡大(3年CAGR約+16%)。LTM/予想の伸びは鈍化しているが、口座・ATM件数は増加。
- 収益性:B
- 根拠:営業利益率約17%、ROE約7%。銀行として中位水準。Q1は利益率低下。
- 財務健全性:B
- 根拠:連結自己資本比率18.5%(同社算定15.1%に低下)も、国内基準の規制自己資本比率は23.4%。借入は相対的に抑制。銀行特性を考慮し中位評価。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PER・PBRとも業界平均を上回る(プレミアム)。配当利回りは平均的。
参考データ
– 株価関連:終値287.4円/年初来高値317円・安値233円/50日MA 286.84円/200日MA 279.72円/信用倍率2.85倍
– 予想:通期 経常収益216,000百万円、純利益16,000百万円、EPS 15.70円(会社予想)
– 次イベント:2025/11/7 決算発表(予定)、2026/3/30 権利落ち日(予定)
企業情報
| 銘柄コード | 8410 |
| 企業名 | セブン銀行 |
| URL | http://www.sevenbank.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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