1. 企業情報
Ｍ＆Ａキャピタルパートナーズは、中小・中堅企業向けのM&A（企業の合併・買収）仲介サービスを提供する独立系企業です。事業の売却・買収や事業承継に関する助言を主な事業内容とし、特に事業承継案件やダイレクト営業による大型案件に強みを持っています。2005年に設立され、2016年にはM&A仲介大手であるレコフを買収し、グループ体制を強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は独立系M&A仲介大手の一角を占め、業界内で有力なポジションを築いています。国内のM&A件数は増加傾向にあり、特に経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズを背景に、中堅・中小企業のM&A需要は堅調に推移しています。これは同社にとって追い風となる市場環境です。
一方で、未上場の中堅・中小企業向けM&A市場には新規参入が急増しており、一部で不適切な助言等のトラブルが発生しているという課題もあります。これに対し、同社は教育・研修制度の強化、顧客本位の手数料体系、質の高いコンサルタントの採用等を通じて信頼性の維持・向上を図るとしています。市場シェアに関する具体的なデータは提供されていませんが、業界内での経験とブランド力、レコフの買収による体制強化は競争優位性と考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信には中期経営計画の詳細な記載はありませんが、同社は事業承継を始めとするM&Aニーズに継続的に応えるべく、信頼性の高いサービス提供を重視しています。顧客本位のサービスを徹底し、質の高いコンサルタントによる支援体制を確立することが、市場での競争力を維持・向上させる上での重点分野と位置付けられます。通期業績予想については、2024年10月31日公表の数値を変更しておらず、堅調な成長を見込んでいます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、企業のM&A成約に対する成功報酬を主な収益源とするM&A仲介サービスです。国内における中小企業の経営者高齢化に伴う事業承継ニーズは今後も継続すると見込まれており、経済構造の変化や再編の動きもM&Aの需要を後押しする可能性があります。これにより、事業モデルの基盤となる市場ニーズは一定の持続性を持つと考えられます。
ただし、M&A市場の景気変動や、新規参入による競争激化、さらに不適切な助言に対する規制強化や信頼性低下のリスクも存在します。同社が質の高いコンサルティングサービスの提供と顧客本位の姿勢を継続できるかが、事業モデルの持続可能性を高める上で重要となります。
5. 技術革新と主力製品
M&A仲介業は、特定の「技術革新」や物理的な「製品」よりも、M&Aに関する専門知識、交渉能力、ネットワーク、そしてコンサルタントのノウハウが重要となるサービス業です。同社はグループ全体で中堅・中小企業のM&A成約支援を主力サービスとしており、これが収益を牽引しています。特に大型案件の成約が業績に大きく影響する傾向があります。技術開発というよりは、М＆Aプロセスを効率化するツールや、顧客情報管理の最適化などが重要になると考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価3,285.0円に対し、以下の指標が示されています。
* PER（会社予想）: 19.01倍
* 業界平均PER: 17.0倍 と比較すると、現在の株価はPERの観点からは業界平均よりやや割高な水準にあります。
* PBR（実績）: 2.50倍
* 業界平均PBR: 1.8倍 と比較すると、現在の株価はPBRの観点からは業界平均より割高な水準にあります。
* EPS（会社予想）: 172.77円
* BPS（実績）: 1,311.68円
これらの指標から、現在の株価は業界平均と比較してプレミアムが乗っている状態と見受けられます。
7. テクニカル分析
現在の株価は3,285円です。
* 年初来安値: 2,279円
* 年初来高値: 3,305円
* 52週安値: 2,187円
* 52週高値: 3,305円
現在の株価は年初来高値および52週高値とほぼ同水準であり、高値圏にあると言えます。
直近10日間の株価推移を見ると、3,055円から3,305円の範囲で変動しており、緩やかな上昇トレンドを示しています。
50日移動平均線（3,146.12円）と200日移動平均線（2,900.48円）の両方を上回っており、短期および中期の移動平均線から見ても上昇基調にあります。
売上高・利益の推移
| Breakdown | 過去12か月 | 9/30/2024 | 9/30/2023 | 9/30/2022 | 9/30/2021 |
|---|---|---|---|---|---|
| Total Revenue | 23,385,757 | 19,166,533 | 20,851,370 | 20,706,403 | 15,161,059 |
| Operating Income | 8,944,381 | 6,375,107 | 7,449,685 | 9,713,009 | 6,572,012 |
| Net Income | 6,228,399 | 4,464,468 | 4,225,876 | 6,794,777 | 4,311,810 |
- 売上高: 過去12か月（LTM）の売上高は23,385百万円であり、2024年9月期の19,166百万円から増加しています。直近の2025年9月期第3四半期累計では、前年同期比41.2%増の16,260百万円と大幅な増収を達成しており、特に大型案件の成約が寄与しています。
- 利益: 営業利益は2022年9月期をピークに2023年9月期に一時減少しましたが、過去12か月（LTM）では8,944百万円と回復傾向にあります。2025年9月期第3四半期累計の営業利益は5,637百万円（前年同期比95.2%増）と大幅な増益を記録しています。増収に伴い売上原価や販管費も増加していますが、利益成長率は売上成長率を上回っています。
- 収益性指標:
- ROE（実績）: 2024年9月期実績で11.66%、過去12か月（LTM）で15.99%と高い水準を維持しています。
- ROA（実績）: 過去12か月（LTM）で12.61%と、効率的な資産運用を示唆します。
- 売上総利益率（LTM）: 約65.3% (15,266M / 23,385M) と高水準であり、M&A仲介業のビジネスモデルの特性を表しています。
- 営業利益率（LTM）: 29.27%と高い収益性を有しています。
- 財務健全性:
- 自己資本比率（実績）: 2024年9月期実績で84.7%、2025年6月30日時点では86.5%と非常に高く、財務基盤が極めて安定していることを示します。
- 流動比率（直近四半期）: 8.44倍と非常に高く、短期的な支払能力に問題がないことを示唆しています。
- 現金及び預金: 直近四半期で41,872百万円と潤沢です。
- キャッシュフロー: 2025年9月期第3四半期累計期間にかかるキャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできません。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 1.58%
- 1株配当（会社予想）: 51.84円
- 配当性向（Forward）: 20.69%
配当利回りは市場平均と比較して特段高い水準ではありませんが、配当性向が約20%と低めに設定されており、利益成長に伴う増配の余地や、内部留保による事業投資余力が大きいことを示唆しています。自社株買いに関する情報は今回提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は直近の10日間で上昇傾向にあり、52週間の変化率が+40.04%と、S&P500の+16.63%を大きく上回るパフォーマンスを見せています。これは投資家の高い関心と、同社の業績好調、特に大型案件の成約による利益成長に対する期待が背景にあると推測されます。
直近の四半期売上成長率（前年比12.30%）と四半期利益成長率（前年比21.10%）も堅調であり、これらが株価上昇のモメンタムを形成していると考えられます。信用買残は信用売残を上回っていますが、信用倍率は5.29倍で、特段の偏りは見られません。
11. 総評
Ｍ＆Ａキャピタルパートナーズは、堅調なM&A市場、特に事業承継ニーズを背景に、売上・利益ともに高い成長を継続している企業です。財務基盤は非常に強固で、極めて高い自己資本比率と潤沢な現金を有しています。収益性も業界内で高水準を維持しています。
一方で、現在の株価は業界平均PER・PBRと比較して割高感があり、市場からの高い期待が織り込まれている状態と見られます。M&A仲介市場における競争激化や不適切な助言に対する規制強化などのリスク要因には注意が必要です。しかし、同社はこれらの課題に対し、サービスの質向上と信頼性維持で対応策を講じています。株主還元は配当性向が比較的低い水準にあり、将来の利益成長や増配への期待、または内部留保を通じた事業拡大の余地があると考えられます。
12. 企業スコア
- 成長性: S
- 2025年9月期第3四半期累計の売上高は前年同期比で41.2%増加し、通期予想も前年比23.4%増と高い成長を見込んでいます。LTM売上高も前年度から大きく伸長しており、非常に高い成長性を示しています。
- 収益性: S
- 過去12か月の営業利益率は29.27%、直近第3四半期の営業利益率は約34.7%と非常に高く、高い収益力を有しています。売上総利益率も高水準です。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率が2025年6月30日時点で86.5%と極めて高く、流動比率も8.44倍と非常に良好です。総負債が少なく、財務基盤は非常に安定しています。
- 株価バリュエーション: C
- PER（会社予想19.01倍）は業界平均（17.0倍）を上回っており、PBR（実績2.50倍）も業界平均（1.8倍）より割高な水準にあります。市場からの評価が高く、平均と比較して割高感が見られます。
企業情報
| 銘柄コード | 6080 |
| 企業名 | M&Aキャピタルパートナーズ |
| URL | http://www.ma-cp.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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