荒川化学工業(4968)企業分析レポート
株価:1,114円(2025/10/31終値)
市場:東証プライム/業種:化学(スペシャルティケミカル)
時価総額:約230億円
– 企業情報
– 概要・事業内容
    – 製紙用薬品(サイズ剤、撥水・表面改質・強度剤など)、印刷インキ用・接着剤用樹脂(タッキファイヤ、エステルガム、重合乳化剤、ARKONブランドの水添炭化水素樹脂)で国内首位級。
    – 機能性コーティング(塗料・フィルム用樹脂、離型剤、オフセット/グラビア印刷向け)、粘接着・バイオマス(ロジン系)を柱に、エレクトロニクス分野(半導体先端材料、ハードディスク用精密研磨剤、精密部品洗浄剤、電子はんだ等)へ展開。
    – 熱可塑性ポリイミド(TPI)、有機・無機ハイブリッド樹脂、ハイブリッドポリイミドフィルムなど高機能材料を保有。
    – 海外売上比率:43%(2025/3期)でアジア(中国含む)を重視。
– セグメント構成(連結、売上構成比)
    – 機能性コーティング 21%
    – 製紙・環境 28%
    – 粘接着・バイオマス 35%
    – ファイン・エレクトロニクス 17%
– 業界のポジションと市場シェア
– ポジション
    – 製紙薬品・印刷インキ用樹脂で国内首位。長年の応用技術・処方設計力、紙・印刷・包装・接着・電子材料まで広がる顧客基盤が強み。
– 競争環境
    – 競合にはartience(旧DIC)、三菱ケミカルなど大手。用途特化・カスタマイズ対応、品質安定性、原料調達力が差別化要因。
– 課題
    – 製紙需要は構造的縮小傾向。一方で包装・衛生紙・電子材料は底堅い。ロジンやC5/C9系など原料価格変動の影響を受けやすい。中国景気・半導体サイクルの影響も大きい。
– 経営戦略と重点分野
– 中期方針
    – 「第5次中期5ヵ年経営実行計画(KIZUNA経営)」に沿った重点施策を推進。
– 重点分野・施策(Q3開示ベース)
    – 機能性コーティング:需要拡大に向け人的・設備投資を強化。
    – 製紙・環境:アジアでの新需要創出。
    – 粘接着・バイオマス:千葉アルコン製造の稼働率改善、ロジン系粘着・接着剤用樹脂のアジア展開。
    – ファイン・エレクトロニクス:半導体関連先端材料やHDD向け研磨剤の増収を背景に、能力増強。
– 収益改善
    – コスト構造の見直しとポートフォリオの高付加価値化により、赤字セグメントの縮小と利益回復を目指す。
– 事業モデルの持続可能性
– 収益モデル
    – 既存顧客への用途深耕・カスタマイズ(スイッチングコストが働きやすい)を基盤に、電子材料など高付加価値比率を高めるモデル。
– 持続性評価
    – 製紙関連の構造課題はあるが、パッケージ・衛生紙・接着など安定需要、および半導体/先端材料の成長が補完。原材料市況・為替に対して、価格転嫁・調達多様化が鍵。
– 技術革新と主力製品
– 主力・差別化要素
    – ARKON(水添炭化水素樹脂)、ロジン誘導体(タッキファイヤ/エステルガム)、精密研磨スラリー、精密洗浄剤、TPI/ハイブリッド樹脂/フィルム。
– 技術動向
    – 半導体前工程・パッケージング材料、HDD向け精密研磨、耐熱・薄膜化対応のポリイミド系で開発を推進。用途別の物性最適化・微細化対応が強み。
– 株価の評価(バリュエーション)
– 指標(現在株価1,114円)
    – 会社予想EPS:90.73円 → 予想PER:約12.28倍(業界平均PER 20.4倍)
    – LTM EPS:133.31円 → 実績PER:約8.36倍
    – BPS:2,912.68円 → PBR:約0.38倍(業界平均PBR 1.1倍)
    – EV/S(概算):EV約549億円(時価総額約230億円+純有利子負債約319億円)÷ 売上約809億円 ≈ 0.68倍
– コメント
    – 業界平均比でPER・PBRともディスカウント。LTMベースではさらに割安度が高い一方、会社計画EPSはLTMより保守的。資産価値(PBR)面の下支えが示唆される。
– テクニカル分析
– トレンド
    – 50日移動平均:1,113円/200日:1,097円。株価は両移動平均のやや上に位置し、中立~やや強含み。
– 位置づけ
    – 52週高値1,210円・安値898円に対し、現在値はレンジ上中位(約69%水準)。年初来高値は未更新。
– 需給
    – 信用倍率7.83倍と買い優位。直近出来高は3カ月平均並み~やや上。低β(0.21)でボラティリティは低い傾向。
– 財務諸表分析(単位:円換算の概略)
– 売上・利益(LTMと年次)
    – 売上高:802億円(LTM)/722億円(2024)/794億円(2023)/805億円(2022)
    – 営業利益:10.6億円(LTM)/▲26.2億円(2024)/▲29.1億円(2023)/33.0億円(2022)
    – 当期純利益:26.4億円(LTM)/▲10.4億円(2024)/▲49.4億円(2023)/15.0億円(2022)
    – 正常化利益(Normalized):約11.2億円(LTM)
– 収益性
    – 粗利率:約20.6%(LTM、2024は約16%、2022は約22%)
    – 営業利益率:約1.3%(LTM)/EBITDAマージン:約11%(LTM)
    – ROE:4.61%(実績)
– キャッシュフロー・財務
    – 営業CF:53億円(LTM)/レバードFCF:約19億円
    – 自己資本比率:47.8%、流動比率:1.63倍、D/E(総有利子負債/自己資本):約73%
– トレンド評価
    – 2023-24の損失から回復。売上は前年比+約11%、粗利率も改善。ただし営業利益率はなお低位で、一過性を除いた収益体質は改善途上。
– 株主還元と配当方針
– 配当
    – 会社予想配当:年50円(予想配当利回り約4.49%)
    – 実績:年49円(前期)/5年平均利回り約4.31%
    – 予想配当性向:約37%(LTM EPS比でも約37~38%)
– 自己株式
    – 自己株口:3.94%。足元での新規自己株買いの開示は確認情報なし(本データ範囲)。
– 基本方針
    – 安定配当を基本に、業績回復と資本効率の改善が並行。
- 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 直近10日で1,060円台から1,110円台へ反発。52週変化率は▲16.2%と過去一年では弱含みだが、直近は持ち直し。
 
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関心・需給 - 信用買残は増加、個人主体の短期資金流入が示唆。機関投資家保有比率は約19%と中庸。今後は半導体関連の需給・価格転嫁状況、セグメント黒字化の進捗が注目材料。
 
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総評 
- 事業基盤は製紙・インキ用樹脂の国内首位級に加え、電子材料など高付加価値分野へのシフトを進展。2023-24の低迷から、2025期は売上増・粗利率改善で回復局面。
- 一方、営業利益率はまだ低位で、原材料市況と価格転嫁、中国・半導体サイクルの影響度が課題。粘接着・バイオマス事業の採算改善と、ファイン・エレクトロニクスの増益持続が鍵。
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バリュエーションはPER・PBRとも業界平均比でディスカウント。資本の健全性はおおむね良好で、配当利回りも相対的に高い水準。セクター循環・セグメント改善の進捗と合わせたモニタリングが有用。 
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企業スコア(S〜D、B=中立、単発要因除外) 
- 成長性:A
- LTM売上成長率:約+11%YoY。3年CAGRは横ばいだが、直近の回復を評価。
 
- 収益性:C
- 粗利率は改善も、営業利益率は約1%台で業界平均を下回る水準。
 
- 財務健全性:A
- 自己資本比率約48%、流動比率1.6倍、D/E約73%で概ね健全。
 
- 株価バリュエーション:A
- 予想PER約12倍・PBR約0.38倍は業界平均(PER20.4倍、PBR1.1倍)比で割安。EV/Sも0.7倍弱。
 
注記
企業情報
| 銘柄コード | 4968 | 
| 企業名 | 荒川化学工業 | 
| URL | http://www.arakawachem.co.jp/ | 
| 市場区分 | プライム市場 | 
| 業種 | 素材・化学 – 化学 | 
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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