1. 企業情報

ニッキは、1932年設立の自動車気化器(キャブレター)の老舗メーカーです。現在は、ガソリン車向けキャブレター製造を縮小し、天然ガス車(CNG/LPG車)向けの燃料制御装置や、汎用エンジン向けの機器を収益の柱としています。さらに、電動モーターや燃料電池スタック関連製品、クリーンエネルギー製品の開発・拡大にも注力し、事業構造の転換を進めています。
事業内容は、主に「ガス機器事業」(ガス関連機器・部品)、「汎用機器事業」(主に米国市場向け)、「自動車機器事業」(フォークリフト向けキャブレターなど)、「産業機器事業」(産業機械向け部品)、そして「不動産賃貸事業」を展開しています。2025年3月期(予想)の売上高構成比では、汎用機器事業が41%、ガス機器事業が37%を占めており、海外売上比率も約58%とグローバルに事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ニッキは、長年にわたる燃料供給・制御技術の知見を強みとしています。自動車業界がEV(電気自動車)シフトや環境規制強化の潮流にある中で、同社はガソリン車向けからの脱却を図り、天然ガスなどの代替燃料や、燃料電池、電動モーターといった次世代のクリーンエネルギー分野への事業転換を進めることで、新たな市場でのポジション確立を目指しています。
現在の収益柱であるCNG車向け燃料制御装置や汎用エンジン向け機器は、特定のニッチ市場で強みを発揮していると考えられます。しかし、主要市場である米国や中国における景気変動、在庫調整の長期化、フォークリフト向け部品販売の回復遅れなどが、業績に影響を与える課題となっています。同社は、これらの市場動向や競争環境に対応しながら、技術革新と事業ポートフォリオの最適化を通じて、競争力を維持・向上させることを目指しています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、環境変化に対応した事業構造の変革を推進しており、以下の分野を重点領域としていると考えられます。
* クリーンエネルギー・次世代技術分野へのシフト: 電動モーター、燃料電池スタック関連製品(水素用レギュレーター、ガスインジェクターなど)、アンモニア用レギュレーターといった、脱炭素社会に貢献する製品群の開発と市場投入を進めています。
* 代替燃料分野の拡充: CNG/LPGシステムやレギュレーターなど、天然ガス・LPガスを燃料とする汎用エンジンや自動車向け機器の需要を取り込み、事業基盤を強化しています。
* 事業の多角化と収益安定化: 本社工場の遊休地を活用した不動産賃貸事業を本格稼働させ、安定的な収益源を確保しています。また、2025年9月には産業機械部品加工業の「大島機工株式会社」を子会社化し、既存事業とのシナジーや新たな収益機会の創出を図っています。

4. 事業モデルの持続可能性

ニッキの事業モデルは、環境規制強化や脱炭素化の市場ニーズに対応するため、従来のガソリン車向け部品製造から多角化を進めており、持続可能性を高めようとしています。
* 収益源の多様化: ガス機器、汎用機器、自動車機器、産業機器といった製造業に加え、安定的収益を期待できる不動産賃貸事業を持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。
* 市場ニーズへの適応: ガソリン車市場の縮小という大きなトレンドに対し、天然ガス車や燃料電池、電動モーターなど、次世代の環境技術・代替燃料分野へと事業ドメインを積極的にシフトしています。これは長期的な事業継続性を確保する上で重要な戦略です。
* 技術の応用と継承: 燃料供給・制御に関する長年の技術的知見を、新分野へ応用することで、技術優位性を維持し、変化する産業構造に適応しようとしています。

ただし、新分野への投資は先行費用を伴い、収益化には時間がかかる可能性があります。また、主要地域の経済状況や地政学リスク、原材料価格の変動なども、事業運営における継続的な課題です。

5. 技術革新と主力製品

ニッキは、環境対応と脱炭素社会への貢献を目指し、技術革新を推進しています。
* 技術開発の動向と独自性:
* 燃料電池スタック関連製品: 水素用レギュレーター、ガスインジェクター、燃料電池バイパス用バルブ、水素用安全バルブなど、燃料電池システムの中核を担う部品開発に注力しています。
* クリーンエネルギー製品: 水素、アンモニア用レギュレーター、電動スロットルボディなど、将来のエネルギー多様化に対応する製品群を提供しています。
* 電動モーター: 今後のモビリティ市場の動向を見据え、電動化技術への対応も進めていると考えられます。
* 収益を牽引している製品・サービス:
* 現在の主要な収益源は、CNG車向け燃料制御装置と汎用エンジン向けの機器です。
* 2026年3月期中間期の連結事業別では、売上高の約44%を占める「汎用機器事業」と約35%を占める「ガス機器事業」が主要な収益貢献をしています。
* また、「不動産賃貸事業」は売上高は小さいながらも高い利益率を確保しており、安定的な収益源として寄与しています。

6. 株価の評価

現在の株価 3,260.0円をもとに、以下の指標で評価します。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 321.93円を使用すると、PER = 3,260円 ÷ 321.93円 = 10.12倍となります。同業他社の業界平均PER 7.3倍と比較すると、現在のニッキのPERは業界平均より割高水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 7,046.88円を使用すると、PBR = 3,260円 ÷ 7,046.88円 = 0.46倍となります。業界平均PBR 0.5倍と比較すると、現在のPBRは業界平均と同程度かやや割安水準にあります。

純資産価値に対してはまだ低い評価であるものの、予想される将来の利益に対しては現在の株価に割高感がみられます。

7. テクニカル分析

現在の株価 3,260円について、直近の株価推移や移動平均線から分析します。
* 年初来高値・安値: 年初来高値は3,585円、年初来安値は2,360円です。現在の株価は年間レンジの中で中〜高値圏に近い位置にあります。52週高値・安値も同様の傾向です。
* 移動平均線:
* 50日移動平均線: 3,120.64円
* 200日移動平均線: 2,723.54円

現在の株価 3,260円は、50日移動平均線および200日移動平均線の双方を上回って推移しています。これは、中長期的な視点で見ると株価が上昇トレンドにあることを示唆しています。
  • 直近10日間の株価推移: 約2週間の株価は、10月20日の3,125円から上昇傾向にあり、10月28日には3,585円の年間高値を記録しました。本日(10月31日)は3260円で引けており、高値からの調整局面にあると見られます。

8. 財務諸表分析

過去数年間の連結損益計算書と財務指標を分析します。
* 売上高:
* 2022年3月期 8,844百万円 → 2023年3月期 8,802百万円 → 2024年3月期 9,355百万円 → 2025年3月期(予想)8,360百万円

売上高は概ね90億円前後で推移していましたが、2025年3月期は減収が予想され、直近四半期の売上高成長率(前年比)も-21.7%と減少しています。
  • 利益:

    • 営業利益: 2022年3月期 1,084百万円 → 2023年3月期 1,169百万円(増益) → 2024年3月期 904百万円(減益) → 2025年3月期(予想)885百万円(微減益)

    営業利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあり、2025年3月期も減益が予想されます。
    * 純利益: 2022年3月期 923百万円 → 2023年3月期 878百万円 → 2024年3月期 2,192百万円 → 2025年3月期(予想)630百万円

    2024年3月期の純利益は大幅に増加していますが、これは評価益などの「Total Unusual Items」1,790百万円といった一過性要因が大きく影響しています。この特殊要因を除いた場合、純利益は概ね800~900百万円前後で推移しており、2025年3月期(予想)は630百万円と減少が見込まれます。
    * 収益性指標:
    * ROE(自己資本利益率): 実績4.96%、過去12か月5.92%。一般的に10%以上が良いとされる中で、やや低い水準です。
    * ROA(総資産利益率): 過去12か月2.42%。こちらもやや低い水準です。
    * 営業利益率: 過去12か月では10.59%(損益計算書から算出)。製造業としては比較的高い水準です。
    * 財務健全性:
    * 自己資本比率: 実績55.8%(直近四半期も同率)。非常に高く、財務基盤は強固です。
    * 流動比率: 直近四半期163%。短期的な支払い能力に問題はありません。
    * D/Eレシオ(総負債/自己資本): 直近四半期61.00%。負債比率も健全な範囲にあります。
    * キャッシュフロー(2026年3月期中間累計):
    * 営業活動によるCF: +960百万円(プラスで本業において現金を創出しています)
    * 投資活動によるCF: △625百万円(設備投資や子会社株式取得などの支出があります)
    * 財務活動によるCF: △332百万円(配当金支払いや借入金返済などによる支出です)

    営業キャッシュフローがプラスであるものの、投資と財務活動による支出で全体の現金残高は減少しています。

    9. 株主還元と配当方針

    ニッキは、安定した株主還元策を実施していると見られます。
    * 配当利回り(会社予想): 3.37% (現在の株価と会社予想1株配当110.00円に基づき計算)。市場全体から見て比較的高い水準であり、投資家にとって魅力的な利回りと言えます。
    * 配当性向(Payout Ratio): 32.42% (実績ベース)。企業の利益水準に対して無理のない範囲で配当を支払っており、事業投資や成長戦略に必要な内部留保も確保している、バランスの取れた方針と考えられます。
    * 自社株買い: 株主情報に「自社(自己株口)」として発行済株式の6.97%が記載されており、過去に自社株買いが実施されたことが示唆されます。これは株主還元策の一つです。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近10日間の株価は、10月20日頃から上昇基調にあり、10月28日には3,585円で年初来高値を更新しました。本日(10月31日)は中間期決算発表を受けて、3,260円まで調整する動きを見せています。
  • 出来高と売買代金: 本日の出来高は5,900株、売買代金は19,770千円と、市場全体から見ると流動性は限定的です。これは、比較的に長期保有の株主が多いか、限定的な投資家の注目度を示唆する可能性があります。
  • 信用取引: 信用買残が27,400株ある一方で、信用売残は0株となっており、信用倍率は0.00倍です。信用買残の増加(前週比+5,100株)は、株価の上昇を期待する投資家が存在することを示唆しますが、売残がないため、需給バランスには偏りが見られます。
  • 株価への影響を与える要因: 本日発表された中間期決算は減益でしたが、同時に通期業績予想に関して「直近公表分から修正は無い(ただし10月29日に修正公表の旨記載)」とあり、堅調な販売と円安を背景に上方修正が行われている可能性があります。このような業績見通しの修正や、燃料電池関連など新規事業の成長期待が今後の株価を動かす材料となる可能性があります。

11. 総評

ニッキは、既存のガソリン車向け事業から、天然ガス汎用エンジンや燃料電池といったクリーンエネルギー分野への事業構造転換を進めている企業です。足元の業績は、主要市場の在庫調整や部品販売の回復遅れにより直近では減収減益傾向にありますが、財務基盤は自己資本比率55.8%と極めて健全です。
株価の評価では、PBRが業界平均並みかやや割安である一方、PERは業界平均より割高です。株主還元は配当利回り3.37%、配当性向32.42%と魅力的で安定しています。
テクニカル面では、中長期的な上昇トレンドを示す移動平均線上にありましたが、本日の中間期決算発表を受けて株価は調整しました。今後は、新分野への事業転換の進捗と収益貢献、そして足元の業績回復の動向が、投資家の注目を集める主要な要素となるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性: C
    • LTM売上高は前年比で減少傾向にあり、直近四半期売上成長率も-21.70%、中間期売上高も前年同期比△11.6%と減収が続いています。通期予想も前期比△0.7%の減収見込みであり、厳しい状況です。
  • 収益性: A
    • 過去12か月の粗利率は32.46%、営業利益率は10.59%、EBITDA率は22.78%と、製造業としては高い水準を維持しています。特に不動産賃貸事業の高利益率も全体に寄与しています。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率55.8%は非常に高く、流動比率163%、D/Eレシオ61.00%も健全な水準です。極めて安定した財務基盤を持っています。
  • 株価バリュエーション: B
    • PER(会社予想)10.12倍は業界平均7.3倍より割高ですが、PBR(実績)0.46倍は業界平均0.5倍と同程度かやや割安です。総合的に見ると中立(平均レベル)と評価します。

企業情報

銘柄コード 6042
企業名 ニッキ
URL http://www.nikkinet.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 自動車・輸送機 – 輸送用機器

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By ジニー

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