1. 企業情報

  • 概要:日本郵船(NYK)は国内最大級の総合海運グループ。コンテナ(定期船)・航空貨物(NCAは2025/8/1にANAHDへ譲渡)・国際物流・自動車船・ドライバルク(鉄鉱石・石炭など)・エネルギー(原油・製品・化学品・LPG・LNG 等)・その他(客船「飛鳥II」、技術・船舶管理等)を展開。
  • 特徴:海・陸・空を跨ぐ物流機能を持ち、特に自動車船やLNG船など長期・安定収益の比率を高めつつ、コンテナは3社統合会社ONE(持分法適用)を通じて関与。
  • 連結事業構成(2026年3月期ガイダンス近傍の参考構成、カッコ内は利益寄与傾向):定期船7%、航空7%、物流31%、自動車21%、ドライバルク23%、エネルギー7%、他4%。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:国内「海運三社(NYK・商船三井・川崎汽船)」の一角。コンテナはONEを通じて世界上位グループ(世界シェア概ね1桁台半ば)。自動車船は世界有数の船隊規模。LNGや原油タンカーでも安定契約比率が高い。
  • 競争優位:
    • 多角ポートフォリオ(自動車・LNG等の長期契約×市況連動のバルク・コンテナ)により収益変動を一定程度平準化。
    • 大口荷主・完成車メーカーとの関係資産(自動車船)と長期チャーター基盤(LNG等)。
    • ONEによるスケール効率(ターミナル・航路網・機材共用)。
  • 課題:
    • 市況サイクル(コンテナ・バルク)と為替・燃料価格の感応度が大きい。
    • 脱炭素対応に伴う大型投資(LNG燃料、アンモニア対応など)と新燃料調達・運用リスク。
    • 貿易政策・地政学リスク(関税・航路混乱)が需給と運賃に影響。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・方針(要旨):
    • 収益の安定化:自動車船・エネルギー(LNG等)・物流の拡大で市況依存度を低減。
    • 成長投資:物流の非資産型領域やヘルスケア物流(Movianto買収:約12.5億ユーロ)を強化。
    • ポートフォリオ再構築:NCAをANAHDへ譲渡(2025/8/1)し、資本効率と戦略領域の集中を図る。
    • 脱炭素:LNG燃料船、アンモニア・メタノール等の代替燃料検討、船隊更新。
  • 中期的な重点施策:
    • 物流事業(郵船ロジ+ヘルスケア物流)の拡大、収益性改善。
    • 自動車船の運航効率・ネットワーク最適化、ターミナル含む川上・川下の一体最適化。
    • エネルギー・海洋事業での長期安定案件の積み上げ。
    • 資本政策:連結配当性向40%目安、年間下限200円/株、上限1,500億円の自己株式取得(原則消却)を実施中。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:長期契約(LNG・一部タンカー・自動車船)と市況連動(コンテナ・バルク)の組合せ。物流は景気影響を受けるが、取扱機能の多様化でボラティリティ低減に寄与。
  • 適応力:
    • NCAの譲渡で事業選択と集中を進展。
    • Moviantoで医薬・ライフサイエンス領域へ展開。高い温度管理・品質要件に対応可能な付加価値物流。
    • 燃料・CO2コスト上昇への対応(省エネ運航、代替燃料、カーボンプライシング対応等)。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・独自性:LNG燃料・代替燃料対応船の導入、デジタル運航最適化、港湾・ターミナルの効率化、輸送トレーサビリティ強化。
  • 主力領域:
    • 自動車船:旺盛な完成車輸送需要(地域ミックスにより変動)。
    • エネルギー輸送:LNG・VLCC等。LNGは中長期契約で安定収益。
    • コンテナ:ONE経由の持分法利益。短期運賃の変動影響は残存。
    • 物流:郵船ロジ+Moviantoが今後の非資産型収益の柱候補。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提:株価 5,331円、EPS(会社予想)約560円(短信修正後 560.18円、他指標557.16円)、BPS 6,516.57円
  • 指標比較:
    • PER:約9.5〜9.6倍(業界平均 7.8倍比で小幅プレミアム)
    • PBR:約0.82倍(業界平均 0.8倍と同水準)
    • EV/S:約1.16倍(EV ≒ 3.00兆円、LTM売上 ≒ 2.59兆円)
  • 参考バリュー目安(単純比較、参考値):
    • 業界平均PER(7.8倍)× EPS(約560円)= 約4,370円
    • PBR 1.0倍 × BPS(6,517円)= 約6,517円

上記は単純比較であり、事業ポートフォリオや収益の安定性・市況前提の差を反映しない参考値。

7. テクニカル分析

  • 位置づけ:52週レンジ(4,133〜5,640円)の中で、現在5,331円は安値比+約29%、高値比−約5.5%で「中高値圏」。
  • トレンド:50日移動平均(約5,272円)、200日(約5,101円)を上回り、上昇基調が継続。
  • 需給:信用倍率2.90倍。買い残・売り残とも前週比で減少(整理・手仕舞いの進行)。直近出来高は3カ月平均(約321万株)に対し同程度〜やや減速。

8. 財務諸表分析

  • 損益(LTM、概算):
    • 売上高:約2.59兆円(2024/3期 2.39兆円 → 反発気味)
    • 営業利益:約0.21兆円(営業利益率 ≒ 8%)
    • 親会社株主帰属純利益:約0.48兆円(純利益率 ≒ 高位、持分法含む)
  • 四半期(2026/3期 1Q):
    • 売上 6,009億円(前年比 −7.8%)
    • 営業利益 378億円(−42.6%)、経常 598億円(−52.5%)、純利益 521億円(−52.8%)
    • 背景:コンテナ・ドライバルク市況の軟化、円高、コスト上昇。自動車・エネルギーは堅調。ドライバルクは赤字。
  • 効率・収益性:
    • ROE(実績):17.16%
    • ROA(LTM):2.64%
    • 粗利率(LTM):約18%(参考)
  • 財政状態・流動性:
    • 自己資本比率:67.6%(1Q時点 64.6%)
    • 有利子負債:約8,606億円、現金預金:約1,740億円 → ネット有利子負債 約6,867億円
    • D/E(有利子負債自己資本比):約0.31、流動比率:約156%
  • マルチイヤー傾向:
    • 売上高:2022/3 2.28兆円 → 2023/3 2.62兆円 → 2024/3 2.39兆円 → LTM 2.59兆円
    • 純利益:2022/3 1.01兆円 → 2023/3 1.01兆円 → 2024/3 0.23兆円 → LTM 0.48兆円(コンテナ特需の反動減からの水準調整)
  • セグメント(2026/3期 1Q):
    • 自動車:売上1.28兆円、セグ利益294億円で牽引
    • エネルギー:売上540億円、セグ利益164億円(LNGは安定)
    • 定期船(コンテナ):セグ利益128億円(ONEの持分法利益含む)
    • ドライバルク:セグ損失−31億円

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:2025/3期 実績325円(配当性向 ≒30%)。2026/3期 会社予想235円(中間115・期末120、目安40%、下限200円維持)。
  • 自己株式:上限1,500億円の自己株式取得を実施中(原則消却)。自己株比率 約5.9%。
  • 予想配当利回り:約4.41%(株価5,331円基準)。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム:直近10日で緩やかな上昇基調。50日・200日線上で推移。
  • 関心材料:
    • 直近イベント:決算発表(2025/11/6予定)、自己株買いの進捗、Movianto取り込みの収益効果。
    • 外部要因:コンテナ・バルク市況、為替(USD/JPY)、燃料価格、関税政策・地政学リスク。
  • 保有構造:機関保有約51.5%、ベータ1.01(市場並みの変動性)。

11. 総評

  • 収益の柱が「自動車船・エネルギー(長期契約)」にシフトしつつあり、物流(ヘルスケア)強化で安定性を高める戦略。一方で、コンテナ・ドライバルクの市況感応度は引き続き存在。
  • 財務は自己資本比率・D/Eともに保守的で、資本政策(配当性向40%目安、下限200円+自己株買い)も明確。
  • バリュエーションはPERで業界平均に対し小幅プレミアム、PBRは同水準。収益ミックスの安定化や自己株買いが評価を下支えする一方、短期は市況・為替・燃料の外部変動が業績のブレ要因。
  • テクニカル面では中高値圏で上昇トレンド継続。決算・ガイダンス更新が近時の方向性に影響しやすい環境。

12. 企業スコア

(S, A, B, C, Dの5段階。欠損はB、中立。一次的要因は除外に努めています)
– 成長性:A
– 根拠:LTM売上は前年期比で増加(約+8%)、3年CAGRもプラス。1Qは減収減益だが、通期では物流取り込み等の寄与を見込む構造。
– 収益性:B
– 根拠:LTM営業利益率約8%、粗利率約18%。業界の資産回転・市況感応度を踏まえると良好だが、1Qはマージン低下。
– 財務健全性:A
– 根拠:自己資本比率約65%超、D/E約0.31、流動比率約156%で健全。
– 株価バリュエーション:B
– 根拠:PERは業界平均比でややプレミアム、PBRは同水準、EV/Sは概ね平均圏。配当利回りは政策と整合。

(ご要望があれば、セグメント別の四半期推移表や為替・燃料感応度の簡易シミュレーションも作成可能です)


企業情報

銘柄コード 9101
企業名 日本郵船
URL http://www.nyk.com
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 海運業

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By シャーロット

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