1. 企業情報
FRONTEO(フロンテオ)は、自然言語解析技術を強みとする人工知能(AI)ソリューションおよびサービスを提供する企業です。2003年に設立され、以前はUBICとして知られていましたが、2016年にFRONTEOに商号変更し、AIテクノロジーを主体とする事業へと転換しました。主要な事業領域は、ライフサイエンスAI(創薬支援、AI医療機器)、リスクマネジメント(企業間の訴訟・不正調査支援、経済安全保障ソリューション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)の3つです。東京証券取引所のグロース市場に上場しており、情報通信・サービスその他に区分されるサービス業に属しています。
従業員数は284名(平均年齢43.2歳、平均年収9,000千円)と、専門性の高いプロフェッショナル集団であることがうかがえます。
2. 業界のポジションと市場シェア
FRONTEOは、AIを活用したリーガルテック分野において、電子証拠開示(e-discovery)支援や不正調査の専門性と実績を持つ先駆的な企業です。独自の自然言語解析技術「KIBIT」を基盤に、金融機関向けコンプライアンス支援や経済安全保障分野でのソリューションを提供しています。
近年は、ライフサイエンスAIおよびDX分野へ事業領域を拡大しており、特にAI創薬支援サービスやAI医療機器では、国内の創薬強化政策や官民連携の動きを追い風に成長を目指しています。市場シェアに関する具体的な数値は開示されていませんが、専門性の高いニッチ分野において独自技術による優位性を確立していると考えられます。しかし、AI市場全体の競争が激化する中で、事業多角化における各分野での競争ポジション確立が今後の課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
FRONTEOの経営陣は、人工知能技術を事業成長の最も重要な推進力と位置づけ、特に「ライフサイエンスAI」を中核事業としています。中期経営計画(2029年3月期 ステージ4)では、AI創薬支援システム「DDAIF」やAI医療機器「SDS-881」の開発・普及を重点施策とし、これらに向けた研究開発投資と人材投資を積極的かつ先行的に行っています。
また、DX分野の強化を目的に株式会社アルネッツを子会社化するなど、M&Aを通じて事業基盤の拡充も図っています。これにより、製造業向けDX支援サービスの提供を強化し、既存のビジネスインテリジェンス事業との連携による相乗効果を追求しています。リスクマネジメント事業では、経済安全保障に関する高まるニーズに対応するソリューション提供に力を入れています。
4. 事業モデルの持続可能性
FRONTEOの事業モデルは、独自の自然言語解析AI「KIBIT」を核とした高付加価値ソリューション提供に重点を置いています。リーガルテック、ライフサイエンス、DXといった専門性の高い領域での課題解決を通じて、顧客企業の効率化や意思決定の質向上に貢献しています。
市場ニーズへの適応としては、国際訴訟支援から、国内企業のコンプライアンス強化、さらにはライフサイエンスやDXといった成長分野への進出により、事業ポートフォリオの多角化を進めています。特にライフサイエンス分野は長期的な成長が見込まれる一方で、研究開発投資の回収には時間を要する傾向があります。リスクマネジメント分野における米国子会社事業の撤退はありましたが、国内でのコンプライアンスや経済安全保障に関する需要は安定的な収益源となる可能性があります。
ソフトウェアライセンス、ソリューション提供、およびサービス売上が組み合わされた収益モデルであり、AI技術の継続的な進化と市場動向への迅速な対応が、長期的な事業持続可能性の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
FRONTEOの技術革新の中心は、大量のデータから人間の思考プロセスを模倣して重要な情報を抽出する独自の自然言語解析AI「KIBIT」です。この基盤技術を応用し、多岐にわたる主力製品・サービスを提供しています。
* ライフサイエンスAI:AI創薬支援システム「DDAIF」は「Concept Encoder」を基盤とし、新薬開発の期間短縮を目指します。また、AI医療機器「SDS-881」は、医療現場での診断支援などに貢献します。
* リスクマネジメント:企業内不正調査、情報漏洩リスク管理、電子証拠開示(e-discovery)を支援する「saki-mori」「KIBIT Digital Forensic」などのコンプライアンス支援ツールや、経済安全保障関連のソリューションを提供しています。
* DX事業:製造業を対象に、熟練者のノウハウをAIで解析し形式化する「匠KIBIT零」や、ローコード開発プラットフォームMendixを活用したDX内製化支援・システム開発を提供しています。
これらの製品・サービスは、高度なAI技術を通じて、データに基づく意思決定を支援し、業務効率化や生産性向上を実現することを強みとしています。
6. 株価の評価
FRONTEOの現在の株価は929.0円です。
* PER(株価収益率):会社予想EPS 15.63円に基づくと、PERは59.44倍です。情報通信・サービスその他における業界平均PER25.7倍と比較すると、現在の株価はPERの観点から割高な水準にあると言えます。これは、将来性に対する市場の高い期待が株価に織り込まれている可能性を示唆します。
* PBR(株価純資産倍率):実績BPS 78.21円に基づくと、PBRは11.88倍です。業界平均PBR2.5倍と比較すると、現在の株価はPBRの観点から非常に割高な水準にあります。企業の持つ純資産価値に対して、市場が著しく高い評価を与えている状況です。
7. テクニカル分析
現在のFRONTEOの株価929.0円は、年初来高値1,233円、年初来安値452円の範囲内で推移しています。直近の株価推移を見ると、10月20日の875円から10月23日の1,005円へと一時的な上昇がありましたが、その後は929円へと調整しました。
50日移動平均線(912.82円)をわずかに上回り、200日移動平均線(707.38円)を大きく上回って推移しています。これは中長期的な上昇トレンドが継続していることを示唆していますが、年初来安値からは約105.5%の大幅な上昇を遂げており、現在の株価は高値圏での調整局面にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
(注:損益計算書の「過去12か月」は2025年3月期の実績値と想定し、企業財務指標の「過去12か月」は直近12か月間の実績(LTM)として評価しています。)
* 売上高: 過去数年間は、2022年3月期の10,932百万円をピークに減少傾向にあり、2025年3月期は6,099百万円でした。LTM売上高は6,060百万円で前年同期比△2.2%となっています。しかし、2026年3月期の会社予想では7,000百万円と増収を見込んでいます。直近の2026年3月期第1四半期の売上高は1,546百万円(前年同期比△2.2%)でした。
* 利益: 売上総利益率は、2025年3月期で約56.6%、2026年3月期第1四半期で約52.5%と高い水準を維持しています。しかし、営業利益は過去に大きく変動しており、2023年3月期と2024年3月期には多額の営業損失を計上しました。2025年3月期に527百万円の黒字に転換(営業利益率8.65%)しましたが、2026年3月期第1四半期は△88百万円の営業損失です。会社予想では2026年3月期に700百万円の営業利益を見込んでいます。親会社株主に帰属する純利益も同様に変動し、2026年3月期第1四半期は△168百万円の純損失となっています。
* ROE・ROA: ROEは2025年3月期で19.90%でしたが、LTMでは8.22%に低下しています。ROA(LTM)は2.41%です。
* 財務状態: 自己資本比率は、2025年3月期末の45.9%から、2026年3月期第1四半期末には39.2%に低下しています。これは、M&A(アルネッツ)に伴う負債増加が主な要因です。流動比率(直近四半期)は0.96と1.0を下回っており、短期的な支払い能力に課題があることを示唆しています。D/E Ratio(直近四半期)は92.75%と高水準で、借入金が自己資本に比べて大きい状態です。三菱UFJ銀行との長期借入には純資産額維持等の財務制限条項が付されている点も留意が必要です。
* キャッシュフロー: 四半期連結キャッシュフロー計算書は作成されていないとの記載ですが、2026年3月期第1四半期中には、アルネッツ取得にかかる現金支出等により現金及び預金が約430.6百万円減少しています。
9. 株主還元と配当方針
FRONTEOは現在、配当を実施していません。会社予想の配当利回りは0.00%、1株配当も0.00円です。これは、主に成長分野への事業投資や研究開発に資金を優先的に配分する経営方針によるものと考えられます。
株主還元策としては、2025年8月14日付の決算短信で、2025年8月15日から10月15日の期間において自社株買い(上限200,000株、上限取得金額1億円)を実施すると発表しており、成長投資と並行して株主価値向上への意識も示されています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
FRONTEOの株価は、過去52週間でS&P 500指数の上昇率(+19.09%)を大きく上回る+48.15%と、強い上昇トレンドを示してきました。年初来安値から大きく回復し、現在は高値圏で推移しています。
直近の出来高は一時的に増加しましたが、最近10日間ではやや減少傾向にあります。信用取引では、信用買残が信用売残を大きく上回り、信用倍率は3,937.80倍と非常に高いです。これは、株価の将来的な上昇を期待する投資家が多いことを示唆し、短期的な需給は引き締まっている可能性がありますが、信用買い残の多さは将来の売り圧力につながるリスクもはらんでいます。
従業員の平均年収が9,000千円と高く、インサイダー保有割合も34.67%と高いことから、経営陣や従業員の会社へのコミットメントは強いと考えられます。AIテクノロジーへの期待や中期経営計画の進捗に、投資家の関心が集まっていると推測されます。
11. 総評
FRONTEOは、独自の自然言語解析AI技術を基盤とし、リーガルテックからライフサイエンスAI、DXへと事業領域を拡大している企業です。ライフサイエンスAIを中核事業と定め、成長投資を加速させています。
直近の業績は、米国子会社事業の撤退やM&Aに伴う一過性費用により変動が大きくなっていますが、2026年3月期には増収・黒字転換を見込んでいます。しかし、財務面では自己資本比率の低下、流動比率の1割れ、借入金の増加とそれに伴う財務制限条項の設定など、引き続き改善が必要な点が散見されます。
株価の評価においては、PERおよびPBRともに業界平均を大きく上回っており、市場は同社の将来の成長性に高い期待を寄せている状況です。株価モメンタムは強かったものの、信用買い残の高さは留意すべき点です。ライフサイエンスAIや経済安全保障といった成長分野への戦略的シフトは潜在的な成長ドライバーとなりうる一方で、先行投資負担、M&Aによる財務への影響、そして今後の計画通りの収益性改善が、今後の企業価値向上の鍵となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: B
- LTM売上高は減少傾向にあるものの、2026年3月期の会社予想では増収を見込んでいます。ライフサイエンスAI事業の成長やM&AによるDX事業の拡大が期待されますが、一部事業の縮小影響も考慮し、評価はBとします。
- 収益性: B
- 売上総利益率は高水準ですが、過去には営業損失を計上した期もあり、直近四半期も営業損失となっています。しかし、2026年3月期の通期予想では営業利益の黒字化を見込んでおり、潜在的な収益力はあると判断し、B評価とします。
- 財務健全性: C
- 直近の自己資本比率は40%を下回り、流動比率も1.0を下回っています。M&Aに伴う借入金増加と、それに付随する財務制限条項の存在を考慮すると、財務の健全性はC評価とします。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)59.44倍およびPBR(実績)11.88倍は、情報通信・サービスその他における業界平均(PER25.7倍、PBR2.5倍)と比較して著しく割高な水準です。これは、市場が将来の成長期待を高く織り込んでいることを示唆しており、バリュエーションの観点からはD評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 2158 |
| 企業名 | FRONTEO |
| URL | http://www.fronteo.com/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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