東海カーボン(5301)企業分析レポート

最終更新日: 2025-11-03
本資料は公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資助言を目的とするものではありません。

1. 企業情報

  • 概要: 炭素製品大手。主力はタイヤ向けカーボンブラック(国内首位)、電炉用黒鉛電極、半導体製造向けのファインカーボン(SiCコート、等方性黒鉛 等)、工業炉・ヒーター、摩擦材、リチウムイオン電池用負極材など。1918年創業、東京本社。海外売上比率 約79%(2024年)。
  • 主要製品・ブランド:
    • カーボンブラック: SEAST、Touka Black、Aqua Black、Thermax 等(タイヤ補強材・着色用途)
    • ファインカーボン: 等方性黒鉛G/HKシリーズ、SiCコート、C/Cコンポジット、ガラス状炭素 等(半導体/太陽電池炉材)
    • 黒鉛電極: 電炉向け(直流/交流/精錬炉)
    • 工業炉・関連: SiCヒーター、抵抗体、工業炉
    • その他: スメルティング/ライニング(カソード・炉材)、摩擦材、負極材(LIB)
  • 事業構成(2024年期 参考・売上構成イメージ): カーボンブラック約45%、ファインカーボン約15%、S&L約18%、黒鉛電極約14%、工業炉・その他約7%

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:
    • カーボンブラック: 国内タイヤ向けで首位。グローバルでは大手の一角(国際競合: Birla Carbon、Cabot、Orion 等)。
    • 黒鉛電極: 国際市況影響が大きく、中国の供給増が価格を圧迫。
    • ファインカーボン: 半導体領域での高付加価値品を展開(SiC関連部材等)。
  • 競争優位性:
    • 多角的な炭素素材ポートフォリオと長期顧客関係
    • 半導体向けの高機能材料と加工技術(等方性黒鉛、SiCコート)
    • 海外売上比率が高く通貨分散効果
  • 課題:
    • 黒鉛電極の市況悪化(中国の過剰供給)
    • 自動車/タイヤ、半導体投資サイクルへの感応度
    • 原材料・エネルギー価格と為替変動の影響

3. 経営戦略と重点分野

  • 長期ビジョン「Vision 2030」(2025年2月公表)
    • 目標: 売上高5,000億円、EBITDAマージン20%、ROIC 12%
  • 重点施策
    • 構造改革: 黒鉛電極の国内拠点統合、欧州子会社の譲渡・連結除外、S&Lの改革推進
    • 成長投資: タイのカーボンブラック工場移転、使用済タイヤ由来リサイクルCBプロジェクト、米国黒鉛加工会社(KBR, MWI)連結化
    • 資本効率: 2024年の減損に伴う償却負担の軽減、固定費圧縮
  • 2025年通期会社計画(据え置き)
    • 売上高 3,410億円(前年比-2.6%)
    • 営業利益 233億円(+20.2%)
    • 親会社純利益 110億円(EPS 51.53円)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: タイヤ・自動車、半導体、金属製錬向けなど景気・設備投資に連動。原燃料の価格変動は採算に影響。カーボンブラックは原料連動の価格調整が一般的で、一定のコスト転嫁が効く局面もある一方、需要調整期は数量面の影響が出やすい。
  • 適応力:
    • サイクル分散のための事業ポートフォリオ(自動車×半導体×金属製錬×産業機械)
    • 構造改革による固定費低減と収益体質改善
    • リサイクルCB、半導体用高機能材など中長期成長分野へのシフト

5. 技術革新と主力製品

  • 技術動向・独自性:
    • 等方性黒鉛、SiCコーティング、C/Cコンポジットなど高耐熱・高純度の加工技術
    • SiCフォーカスリング等、半導体製造装置向けの高付加価値部材
  • 収益牽引領域(2025年上期の概況)
    • カーボンブラック: 数量減で減益だが全社主軸
    • ファインカーボン: 売上増(連結拡大・製品伸長)も、償却増・市場減速で利益は縮小
    • S&L/黒鉛電極: 市況は弱いが、コスト削減・資産再編で損益は改善傾向

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提
    • 株価: 1,033.5円
    • 会社予想EPS: 51.53円、BPS: 1,285.97円
    • PER(会社予想): 20.06倍、PBR: 0.80倍
    • 業界平均: PER 18.3倍、PBR 1.4倍
  • 単純比較
    • PER比較: 20.06倍(同社) vs 18.3倍(業界) → 収益倍率はややプレミアム
    • PBR比較: 0.80倍(同社) vs 1.4倍(業界) → 純資産倍率はディスカウント
  • 感度(単純な目安)
    • 業界平均PER適用価格 ≈ 51.53×18.3 = 約942円
    • 業界平均PBR適用価格 ≈ 1,285.97×1.4 = 約1,800円
    • 参考: EV/S ≈ (時価総額2325億 + 有利子負債1985億 – 現金722億)/売上3373億 ≈ 1.06倍
  • 補足: 利益の回復度合い(構造改革後の持続性)やセグメント構成により、適正倍率は変動し得ます。

7. テクニカル分析

  • 位置づけ: 株価1,033.5円は、50日移動平均1,042.98円を僅かに下回り、200日移動平均975.80円は上回る水準。年初来高値1,120円に対し約8%下、安値765円に対し約35%上。
  • 短期トレンド: 10/24~10/31にかけて高値圏(1,110円台)から調整し、出来高増を伴う下押し後に1,030円台で推移。短期はもみ合い~調整局面、200日線上の中期上昇基調は維持。
  • 需給: 信用倍率3.74倍。信用買残は前週比減、売残は増で、やや戻り待ち・警戒感のある需給。

8. 財務諸表分析

  • 成長性(売上)
    • 売上推移: 2,588億円(2021)→ 3,404億(2022)→ 3,639億(2023)→ 3,501億(2024)→ LTM 3,373億円
    • 直近は前年比で減少傾向(会社予想も-2.6%)
  • 収益性
    • 粗利: LTM 814億円(粗利率約24.1%)
    • 営業利益: LTM 249億円(営業利益率約8.8%)
    • EBITDA: 約602億円(LTM、EBITDAマージン約17.9%)
    • 純利益: LTM -518億円(2024年の減損等一過性影響が大)
  • 効率性・資本性
    • ROE: 実績(2024)-18.5%、LTM -13.7%(一過性損益の影響大)
    • ROA(LTM): 2.39%(営業ベースの改善進行)
  • キャッシュフロー・財務
    • 営業CF: 688億円(LTM)、レバレッジドFCF: 270億円(LTM)
    • 現金同等物: 722億円、総有利子負債: 1,985億円 → ネットデット約1,263億円
    • 自己資本比率: 45.2%、流動比率: 1.87、D/E(総額ベース): 約64%
  • セグメント(2025年上期)
    • カーボンブラック: 減収・減益(数量減)
    • ファインカーボン: 売上増・利益減(償却増、パワー半導体鈍化)
    • S&L/黒鉛電極: 市況軟化もコスト削減で改善
    • 工業炉・その他: 設備投資遅延・需要弱含みで減収

9. 株主還元と配当方針

  • 配当: 年間予想30円(中間15円、期末15円)、予想利回り約2.90%
  • 配当性向: 会社予想EPS基準で約58%(30÷51.53)。外部データ上は72.74%の表記もあり、算定基準の違いに留意
  • 自社株: 自己株式比率約5.08%(期末時点)。当期の新規自己株買いの有無は開示資料に記載なし

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム: 52週騰落+20.3%。50日線付近での攻防、200日線上での基調維持
  • ボラティリティ: 5年ベータ0.31(市場連動性は低位)
  • 取引動向: 直近10日平均売買高は3カ月平均を上回る推移。信用売残増加でイベント前のヘッジ志向もうかがえる
  • 予定イベント: 2025-11-06 決算発表、2025-12-29 権利落ち(配当)

11. 総評

  • 2024年の大規模減損を経て、2025年上期はコスト削減・償却負担減により利益が大幅に改善。もっとも、売上は主要市場(タイヤ・電極・設備投資)の調整により減少傾向。
  • セグメントでは、黒鉛電極とS&Lの市況が依然弱く、カーボンブラック数量も回復途上。一方、半導体向けのファインカーボンは構造的な需要機会があり、中長期の柱として育成中。
  • 財務は自己資本比率45%と健全、営業CFも堅調。バリュエーションはPERで業界平均比やや高め、PBRで低位と分かれる。今後は構造改革後の収益定着度、数量回復、リサイクルCBや半導体向けの伸長が評価軸。
  • リスクは中国発の電極市況、タイヤ・半導体のサイクル、原材料・為替、地政学要因。イベントとして決算・配当関連が短期の注目材料。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性: C
    • 根拠: LTM売上減少、会社予想でも前年比-2.6%
  • 収益性: B
    • 根拠: 営業利益率約8.8%、EBITDAマージン約18%(一過性損益除外ベースで標準的)
  • 財務健全性: A
    • 根拠: 自己資本比率45%超、流動比率1.87、D/E約64%で総じて健全
  • 株価バリュエーション: B
    • 根拠: PERは業界平均超、PBRは業界平均を下回り相殺

参考データ(抜粋)
– 株価: 1,033.5円、時価総額: 約2,324億円、発行株式数: 2.249億株
– PER: 20.06倍、PBR: 0.80倍、EV/S: 約1.06倍
– 配当利回り(予想): 2.90%、EPS(予想): 51.53円、BPS: 1,285.97円
– 自己資本比率: 45.2%、ROE(LTM): -13.65%、ROA(LTM): 2.39%
– 売上高(LTM): 3,373億円、営業利益(LTM): 249億円、営業CF(LTM): 688億円

注記: 本レポートは公開データの範囲で作成しています。数値は単位・会計基準の違いにより四捨五入差・集計タイミング差が生じる場合があります。


企業情報

銘柄コード 5301
企業名 東海カーボン
URL http://www.tokaicarbon.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – ガラス・土石製品

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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