1. 企業情報
電算は、1966年設立の長野県に本社を置く情報サービス会社です。主に日本の地方公共団体向けに総合行政情報システム「Reams」を提供する公共分野と、民間企業向けにシステム開発、受託計算処理、機器販売、保守サービスなどを行う産業分野の2つのセグメントで事業を展開しています。特に地方自治体向けシステムに強みを持ち、信越地方を地盤に首都圏にも展開しています。
事業構成比（2025年3月期予想）:
- 情報処理・通信サービス: 19%
- ソフトウェア開発・システム提供サービス: 38%
- システム機器販売等: 22%
- 他関連サービス: 21%
2. 業界のポジションと市場シェア
電算は情報システム開発・運用サービス業界に属し、特に地方公共団体向けの総合行政情報システムにおいて強固な地盤を築いています。長年にわたる公官庁との取引実績と、地域に根差したサービス提供が競争優位性となっています。主力製品である「Reams」の標準準拠システムへの移行が進んでおり、これが公共分野の収益を牽引しています。具体的な市場シェアのデータは提示されていませんが、地方自治体向けというニッチな市場で高い専門性と信頼性を構築していると推測されます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、公共分野における「Reams」の標準準拠システムへの移行を最重要戦略として掲げています。デジタル庁が推進するデジタル社会の実現に向けた取り組みと連動し、顧客である地方公共団体に対して、ガバメントクラウドへの対応を含む標準準拠システムの提供を進めています。2025年度末までの全顧客団体に対する移行完了を目標としており、これにより運用効率の向上とサービス継続性の確保を目指しています。また、産業分野では、医薬品在庫管理システムの次期プロダクト開発を開始するなど、民間向け事業の強化も図っています。
4. 事業モデルの持続可能性
電算の事業モデルは、公共分野の安定した需要と、民間分野での多様なITサービス提供により持続可能性が高いと考えられます。公共分野では、地方自治体のDX推進や情報セキュリティ対策の強化が追い風となっており、主力製品「Reams」のデジタル庁適合確認試験合格は、今後の事業展開における競争力の源泉となります。また、自社データセンターを活用した受託計算処理や情報通信・ストレージサービスは、顧客のIT投資負担軽減ニーズに応えるものです。市場ニーズの変化、特にDXへの対応とそれに伴うシステム投資への適応力がモデルの柱となっています。
5. 技術革新と主力製品
電算の主力製品は、地方公共団体向けの総合行政情報システム「Reams」です。このシステムは、国が推進する「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における地方公共団体情報システムの標準化・共通化に対応し、デジタル庁適合確認試験に合格しています。これにより、クラウド環境への移行や運用の効率化に貢献しています。産業分野では、医薬品在庫管理システムの次期プロダクト開発に着手しており、新たな市場ニーズへの対応も進めています。
6. 株価の評価
現在の株価3,205.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* 予想PER: 6.07倍
* 会社予想EPS 528.38円に基づき計算すると、3,205.0円 ÷ 528.38円 = 約6.07倍となります。
* 業界平均PER 17.6倍と比較すると、現在のPERは大幅に低い水準にあります。
* 実績PBR: 1.36倍
* 実績BPS 2,350.38円に基づき計算すると、3,205.0円 ÷ 2,350.38円 = 約1.36倍となります。
* 業界平均PBR 1.6倍と比較すると、やや低い水準にあります。
これらの指標から見ると、現在の株価は業界平均と比較して割安であると評価できます。
7. テクニカル分析
現在の株価3,205.0円は、年初来高値3,580円に近く、年初来安値1,342円からは大幅に上昇しています。
直近10日間の株価推移を見ると、3,000円前後から3,200円台まで比較的短期で上昇しており、比較的勢いのある動きが見られます。
50日移動平均2,946.82円、200日移動平均2,281.08円をいずれも上回っており、中長期的な上昇トレンドにあることが示唆されます。現在の株価は、これらの移動平均線から離れており、高値圏にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
売上高:
* 過去12か月間の売上高は22,040百万円と、前年同期比で大幅な成長を遂げています（直近四半期前年比+71.60%）。
* 過去数年の連結売上高は、2022年3月期17,306百万円 → 2023年3月期17,804百万円 → 2024年3月期15,974百万円と推移し、2024年3月期は減少しましたが、2025年3月期（予想）18,740百万円、さらに2026年3月期第2四半期は前年同期比+45.3%と大幅な増収となっています。
利益:
* 粗利益（過去12か月）は7,640百万円（粗利率約34.66%）です。
* 営業利益（過去12か月）は2,517百万円 (PL値)、営業利益率（過去12か月）は25.23%と高い水準です。
* EBITDA（過去12か月）は5,250百万円（EBITDA率約23.82%）です。
* ROE（過去12か月）は23.00%、ROA（過去12か月）は12.10%と、資本効率も良好です。
キャッシュフロー:
* 営業活動によるキャッシュフローは過去12か月で2,060百万円のプラス、直近中間期でも+1,273百万円と安定的に資金を稼ぎ出しています。
* 投資活動によるキャッシュフローは直近中間期で-116百万円、財務活動によるキャッシュフローは直近中間期で-1,340百万円（主に自己株式取得によるもの）となっています。
財務健全性:
* 自己資本比率（直近四半期）は61.5%と非常に高く、財務基盤は強固です。
* 流動比率（直近四半期）は1.93倍と、短期的な支払い能力も問題ありません。
* 総負債/自己資本比率（直近四半期）は15.57%と、負債が非常に少ない健康的な財務状態です。
全体として、売上・利益ともに直近で大きく伸長しており、収益性・財務健全性ともに優れていると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
- 会社予想の1株配当は100.00円（中間17.00円、期末83.00円）。期末配当には記念配当60.00円が含まれています。
- 現在の株価に基づく配当利回り（会社予想）は3.12%です。
- Payout Ratio 4 は11.67%と低い水準ですが、これは過去の配当実績に基づく可能性があり、会社予想の1株配当100.00円と予想EPS 528.38円で計算すると約18.9%となります。
- 2025年7月31日の取締役会決議に基づく自己株式取得が実施され、当中間期に約8.2億円の自己株式取得が行われました。
電算は、安定した配当に加え、記念配当や自己株式取得も実施しており、積極的に株主還元を行っている姿勢が見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、年初来高値に近づき、52週変化率は128.55%と大きな上昇を見せています。50日移動平均線、200日移動平均線を大きく上回っており、株価の上昇モメンタムは強い状況です。
信用買残が100,800株と比較的多く、信用倍率は6.95倍となっています。これは、今後の株価動向によっては需給が影響を与える可能性を示唆します。
直近の出来高も増加傾向にあり、投資家の関心は高まっていると推測されます。公共分野の好調な業績や、予想PER・PBRの割安感が株価上昇の要因となっている可能性が考えられます。
11. 総評
電算は、地方公共団体向け情報システム「Reams」を主力とする公共分野の事業が好調に推移しており、業績が大きく改善しています。特に、ガバメントクラウドへの対応を含む標準準拠システムへの移行が計画通りに進捗し、売上高と利益を大きく押し上げています。
財務面では、自己資本比率が高く、負債も少ないため非常に健全な状態です。収益性も高い水準で推移しており、事業活動から安定的にキャッシュフローを生み出しています。
株価評価の面では、会社予想PERが業界平均と比較してPBRも業界平均を下回っており、割安感があります。株価も直近で力強い上昇モメンタムを示しており、投資家の関心も高まっています。
ただし、公共分野への依存度が高いため、政府の政策変更や市場環境の変化が業績に影響を与える可能性はあります。今後の課題としては、産業分野での新たな事業の育成と収益貢献が挙げられます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 過去12か月（LTM）の売上成長率が前年同期比で+71.60%と非常に高く、中間期も+45.3%と大幅な増収。通期売上予想も堅調であり、公共分野の事業進捗が成長を牽引している。
- 収益性: S
- 営業利益率（過去12か月）25.23%は高水準であり、直近中間期の売上高営業利益率も15.9%と高い。ROE 23.00%、ROA 12.10%ともに資本効率が良いことを示している。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率61.5%、流動比率1.93倍、総負債/自己資本比率15.57%と、いずれの指標も非常に健全な財務状態を示している。
- 株価バリュエーション: A
- PER（会社予想）6.07倍は業界平均17.6倍と比較して大幅に割安。PBR（実績）1.36倍も業界平均1.6倍と比較してやや割安水準。
企業情報
| 銘柄コード | 3640 |
| 企業名 | 電算 |
| URL | https://www.ndensan.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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