1. 企業情報
近畿車輛は、1920年創業の鉄道車両製造を専業とする企業です。主に鉄道車両関連事業と不動産賃貸事業を展開しており、売上の97%を鉄道車両関連事業が占めています。国内ではJR向けの車両製造が中心ですが、海外事業にも注力しており、特に低床式路面電車(LRV)での実績が豊富です。所在地は大阪府東大阪市で、従業員数は1,225人です。
2. 業界のポジションと市場シェア
鉄道車両業界において、近畿車輛は中堅企業と位置づけられています。海外比重が大きく、特に公共交通機関向けに需要が高まっているLRV(低床式路面電車)の技術と実績が強みです。海外での大型案件受注実績が競争優位性となっており、直近では米国向け最終組立案件を受注するなど、海外市場での存在感を高めています。業界内での競争は激しいものの、特定のニッチ市場で独自の地位を築いていると言えます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は具体的な中期経営計画の詳細は開示していませんが、決算短信からは海外市場、特に米国市場での案件獲得を重点分野としていることが伺えます。直近の受注状況では、Hyundai Rotem USAを経由したLA郡都市交通局の最終組立案件を成功裏に獲得しており、これが今後の業績を牽引する重要な戦略的施策となっています。国内市場の安定供給を維持しつつ、海外展開を加速させることで成長を目指す方針と推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
近畿車輛の主要な収益モデルは、鉄道車両の製造・販売です。これは大型かつ長期プロジェクトを特徴とし、受注状況が業績に大きく影響します。海外でのLRVなどの実績は、都市化の進展や環境意識の高まりに伴う公共交通機関への需要増という市場ニーズに対応しており、持続可能性は高いと考えられます。しかし、プロジェクト型事業の性質上、案件の獲得や採算性によって業績が大きく変動するリスクも伴います。不動産賃貸事業は安定的な収益源ですが、企業全体の収益に占める割合は小さいです。
5. 技術革新と主力製品
近畿車輛は、低床式路面電車(LRV)において実績を重ねており、これが同社の主力製品の一つです。公共交通のバリアフリー化や都市景観との調和が求められる中で、LRV技術は重要な競争力となっています。技術開発の独自性については詳細は不明ですが、長年にわたる鉄道車両製造の経験とノウハウが蓄積されており、顧客の多様なニーズに応える技術力を持っています。
6. 株価の評価
- 現在株価: 2,423.0円
- EPS(会社予想): 87.20円
- PER(会社予想): 27.79倍
- BPS(実績): 4,830.29円
- PBR(実績): 0.50倍
業界平均PER 7.3倍と比較すると、近畿車輛の予想PER 27.79倍は割高な水準にあります。一方で、業界平均PBR 0.5倍と同水準の0.50倍であり、実績PBRのみを見ると解散価値に対して適正、あるいは若干割安と評価できます。これは、純資産に対して株価が低く評価されていることを示唆しています。ただし、PERが大きくぶれているため、PBRを重視した評価が妥当な場合があります。
7. テクニカル分析
直近の株価2,423.0円は、年初来高値2,550円に近く、年初来安値1,256円からは大きく上昇しています。50日移動平均線(2,386.54円)と200日移動平均線(1,890.82円)をともに上回っており、短期および中長期的な上昇トレンドを示唆しています。このことから、現在の株価は、年初来高値に近づく高値圏にあると考えられます。直近の出来高は比較的少ない傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去の業績は、2024年3月期に431億円と増加したものの、過去12ヶ月(LTM)では302億円に減少トレンドが見られます。2026年3月期第1四半期は75億円で前年同期比+4.6%と増収でした。
- 利益: 営業利益、経常利益、純利益は過去数年間で大きく変動しています。特にLTMでは営業利益2.3億円、純利益5.6億円と大幅に減少しており、2026年3月期第1四半期においては、営業利益59百万円(前年同期比△88.1%)、純利益△37百万円と赤字に転落しました。これは売上原価の増加や営業外費用(為替差損等)が要因とされています。ただし、2026年3月期の通期予想では、売上高420億円、営業利益9億円、純利益6億円と大幅な黒字回復を見込んでいます。
- ROE・ROA: LTMではROE -0.90%、ROA -0.22%と収益性の悪化が伺えます。
- 自己資本比率: 2026年3月期第1四半期末で55.5%と高い水準を維持しており、財務健全性は非常に良好です。
- 流動比率: 同1.85倍と短期的な支払能力も問題ありません。
- D/Eレシオ: 同10.53%と負債は非常に少ないです。
過去および直近の収益性の変動が大きく、今後の通期予想達成が注目されます。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当は50.00円で、現在の株価に基づく配当利回りは2.06%です。これは5年平均配当利回り1.40%と比較して高い水準です。予想EPS 87.20円に対する配当性向は約57.3%と、特別高すぎる水準ではありませんが、業績の変動が大きい点には注意が必要です。自社株買いなどの追加的な株主還元策に関する情報は今回のデータには含まれていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
近畿車輛の株価は、52週高値2,550円に近く、強い上昇モメンタムが見られます。50日移動平均線、200日移動平均線を上回り、良好なテクニカルチャートを形成しています。しかし、直近の出来高は平均で1万株前後と比較的少なく、売買代金も限定的です。信用買残が多い一方で信用売残も存在し、信用倍率4.76倍と買いが優勢ですが、需給状況には注意が必要です。直近の第1四半期決算で利益が大幅に悪化したものの、通期業績予想が据え置かれたことや、海外での大型受注案件が投資家関心を引きつける要因となっています。
11. 総評
近畿車輛は、鉄道車両製造を主軸に海外市場、特に低床式路面電車(LRV)分野で競争力を持つ中堅企業です。財務基盤は自己資本比率が高く非常に健全ですが、プロジェクト型のビジネスモデルのため過去の収益は大きく変動してきました。直近の会計年度(2025年3月期LTM)と2026年3月期第1四半期では収益性が悪化し赤字転落しましたが、会社は2026年3月期通期での大幅な増収増益を見込んでいます。株価は年初来高値圏にあり、テクニカル的には良好な推移を見せています。PBRは業界平均とほぼ同水準で、過去の業績から見てPERは高めに評価されています。今後の株価は、現在のポジティブなモメンタムと、通期業績予想達成への期待、そして大型受注案件の進捗に左右されると考えられます。
12. 企業スコア
- 成長性:A
- 過去12ヶ月の売上高は減少したものの、会社が公表する2026年3月期通期売上高は前年(過去12ヶ月)から+38.8%の大幅な増収を見込んでおり、特に海外案件の受注増が貢献する見通しです。
- 収益性:C
- 過去12ヶ月の営業利益率は0.77%、直近の第1四半期営業利益率も約0.78%と極めて低水準で推移しており、純利益は赤字転落となりました。2026年3月期通期予想の営業利益率も2.14%と、自社の過去最高水準(2024年3月期約10%)には及ばず、業界平均との比較は不明ながらも低いと判断されます。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率55.5%、流動比率1.85倍、D/Eレシオ10.53%と、全般的に非常に健全な財務体質を保持しています。
- 株価バリュエーション:C
- 予想PERが27.79倍(業界平均7.3倍)と大きく乖離しており割高に見えます。PBRは0.50倍で業界平均と同水準ですが、PERの割高感から総合的に判断すると中立よりは割高寄りと評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 7122 |
| 企業名 | 近畿車輛 |
| URL | http://www.kinkisharyo.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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