以下は、株式会社名村造船所(7014)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
株式会社名村造船所は、1911年創業、1931年設立の造船準大手企業です。主に中大型船の建造を手掛けており、主力はバラ積み運搬船(バルクキャリア)です。事業は「新造船事業」「修繕船事業」「鉄構・機械事業」「その他事業」の4つのセグメントで構成され、新造船事業が売上高の約77%(2025年3月期実績)を占める中核となっています。傘下には函館どつくや佐世保重工があり、グループ全体で事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
名村造船所は国内の造船業界において準大手の位置づけにあり、中大型のバラ積み船を主力としています。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比で減少していますが、新造船の受注残は前年同期比17.4%増の4,327億円と増加しており、将来の売上基盤を確保しています。市場全体では、大型撒積運搬船の需要回復や代替発注、LNGを燃料とする大型LPG船(VLGC)の需要増を見込むなど、特定の船種に強みを持っています。
競争環境としては、韓国や中国の造船メーカーとの国際競争に加えて、国内の他社との競争も存在します。原材料価格の変動や為替レートの動向が収益に影響を与える可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は新造船事業において、現在のハンディ型撒積運搬船から、より収益性の高い大型撒積運搬船や大型LPG船(VLGC)へ主力商品を移行する戦略を進めています。直近の決算短信では、上半期の業績は一時的な操業低下や為替レートの影響を受けたものの、通期予想は据え置かれており、この移行期を乗り越え、将来の成長を見据えた投資と効率化を進めていることが伺えます。具体的な中期経営計画の数値目標は提示されていませんが、新技術への対応(LNG燃料船など)や多様な船種への対応を強化し、事業の安定化と成長を目指す方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
名村造船所の収益モデルは、基本的に顧客からの受注生産によって成り立っています。新造船事業が中核であり、受注残の確保が収益源の安定性を示しています。足元では商品構成の変化に伴う一時的な操業低下や、原材料価格・人件費の上昇、為替変動が利益を圧迫する要因となっていますが、受注残の増加は将来の収益性を支える要素です。また、LNG燃料船といった環境規制に対応した船の開発・建造は、環境意識の高まりや国際海事機関(IMO)の規制強化といった市場ニーズの変化に適応する姿勢を示しており、持続可能性に寄与すると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
新造船事業においては、様々なタイプのバラ積み運搬船に加え、原油タンカー、プロダクトキャリア、LNG燃料船など多岐にわたる船種の建造実績があります。特に、LPG(液化石油ガス)を燃料とする大型LPG船(VLGC)は、次世代燃料に対応した先進的な技術開発の成果であり、今後の主力製品の一つとして期待されています。これらの環境対応船技術は、同社の競争優位性の源泉となり得ます。また、子会社を通じて舶用機械(クランクシャフト等)の製造や、鉄構・橋梁の設計・製作も手掛けており、技術力を活かした事業多角化も図っています。
6. 株価の評価
現在の株価4,455.0円に対し、会社予想PERは20.59倍、実績PBRは2.62倍です。
* EPS(会社予想)216.09円、BPS(実績)1,695.94円。
* 業界平均PERが7.3倍、PBRが0.5倍とされているため、現在の株価は業界平均と比較してPER、PBRともに割高な水準にあります。
* EPSベースの理論株価(216.09円 × 7.3倍)は約1,577円、BPSベースの理論株価(1,695.94円 × 0.5倍)は約848円であり、現在の株価はこれらの理論株価を大きく上回っています。
7. テクニカル分析
直近の株価は、年初来安値1,555円から大きく上昇し、一時5,650円の高値を記録しました。現在の株価4,455.0円は、年初来高値からは約21%下落していますが、年初来安値からは2.8倍以上の水準です。
50日移動平均線(3,791.20円)と200日移動平均線(2,764.91円)をいずれも上回っており、中長期的な上昇トレンドは継続していると見られます。しかし、直近10日間の推移では高値5,350円から下降しており、短期的な調整局面にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 直近四半期売上高は前年同期比△7.2%の72,610百万円。通期予想も前期比△0.8%の158,000百万円と微減傾向にあります。
- 利益: 直近四半期の営業利益は△28.6%、経常利益は△22.0%、親会社株主に帰属する中間純利益は△42.6%と大幅な減益となりました。これは、新造船の商品構成移行期における一時的な操業低下や為替の円高寄与、原材料価格・人件費の上昇が主な要因と説明されています。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは13,021百万円のプラスを維持しており、現金及び現金同等物の期末残高も97,085百万円と増加しています。
- 収益性指標: ROE(実績)は28.55%(過去12ヶ月実績19.17%)と非常に高い水準を維持しています。ROA(過去12ヶ月)も7.45%と良好です。営業利益率(過去12ヶ月)は13.88%、粗利率も21.24%であり、製造業としては高い収益性を示しています。
- 財務健全性指標: 自己資本比率は50.5%(中間期末)と健全な水準にあります。流動比率は1.80(180%)と十分な流動性を持ち、総負債対自己資本比率(D/E)は13.86%と低水準であり、財務体質は非常に健全であると評価できます。現金及び預金も潤沢です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想配当利回りは0.90%で、1株配当は40.00円(中間20円、期末20円)を予定しています。現在の配当性向は17.40%と低く、今後の事業成長や収益改善に伴う増配の余地があると考えられます。過去5年平均配当利回り2.79%と比較すると、現在の利回りは低い水準です。今回の情報には自社株買いに関する具体的な記載はありませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇基調にあったものの、5,000円台半ばから調整に入り、下降モメンタムが見られます。しかし、出来高は直近10日間で平均300万株以上と活発であり、投資家の関心は依然として高い状態です。信用買残は増加、信用売残は減少傾向にあり、信用倍率は1.38倍と買い方に傾いた需給状況です。これは短期的に買い方の手仕舞売りによる調整に注意が必要な一方、下値での買い意欲も示唆している可能性があります。
11. 総評
名村造船所は、中大型船建造を主力とする造船準大手であり、豊富な新造船受注残を背景に将来の収益基盤を確保しています。直近の決算では一時的な減益となりましたが、会社は通期予想を据え置いており、事業の構造変化期と捉えられます。財務体質は自己資本比率50%超、流動比率180%、低D/E比率と非常に健全であり、豊富なネットキャッシュもポジティブな要素です。ROEやROA、営業利益率も製造業としては高水準を維持しており、収益性も良好です。
一方、株価に関しては、業界平均と比較してPER、PBRともに割高な水準にあり、直近の株価は高値圏からの調整局面にあると言えます。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- LTM売上成長率(直近四半期)は-6.20%、通期予想も前期比-0.8%と微減ないしマイナス成長基調であるためC評価とします。
- 収益性: A
- 粗利率21.24%、営業利益率(LTM)13.88%、EBITDA率(LTM)18.68%、ROE(LTM)19.17%と、製造業として高い水準を維持しておりA評価とします。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率50.5%、流動比率180%、D/E比率13.86%と、いずれの指標も非常に健全な水準であり、S評価とします。潤沢なネットキャッシュも評価点です。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)20.59倍、PBR(実績)2.62倍は、業界平均PER7.3倍、PBR0.5倍と比較して大幅に割高な水準であるため、D評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 7014 |
| 企業名 | 名村造船所 |
| URL | http://www.namura.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。